SES業界の採用単価とRPO費用の考え方|待機の期間まで含めた「稼働までの費用」で比べる
SES業界の会社は、技術者を雇い、取引先の案件に入ってもらうことで売上を立てます。このため、採用した人が案件に入るまでの間は、給与だけがかかって売上が立たない期間になります。採用代行(RPO)の費用を、採用1人あたりの費用だけで比べると、この期間の費用が見えません。結論から書くと、SESのRPO費用は、採用の費用に、入社から案件に入るまでの待機と育成の期間の費用を足した「稼働までの費用」で比べ、案件の見込みに合わせて採る人数を決めると判断しやすくなります。
採用代行の料金や技術者の採用単価は、会社の規模・採る人の経験・時期によって大きく異なり、公的な統計もないため、この記事では相場の金額は扱いません。自社の数字で比べる手順を書きます。
業界の採用構造:採用と稼働が直結している
SESの会社では、採用した技術者が案件に入って初めて売上が立ちます。配属先の案件が採用の時点で決まっていないことも多く、入社してから案件を探す形になりがちです。経験のある技術者なら比較的早く案件に入れますが、未経験や若手を採る場合は、研修の期間を経てから案件を探すことになります。
| 採る人 | 入社から稼働までの流れ | 費用で見落としやすいこと |
|---|---|---|
| 経験のある技術者 | 入社後すぐに案件を探す | 経験と案件が合わないと、待機が長引く |
| 経験の浅い若手 | 短い研修のあと案件を探す | 入れる案件が限られ、待機が長くなりやすい |
| 未経験 | 研修を経てから案件を探す | 研修の期間の給与と、研修を担う人の時間 |
この表のように、どの層を採るかで、採用してから売上が立つまでの期間が大きく変わります。採用代行の見積もりを比べる前に、自社がどの層をどれだけ採るのかを決めてください。業界の採用の難しさはSES業界の採用代行で任せる範囲で書いています。
「稼働までの費用」を出す
SESの採用費用は、次の三つを足した「稼働までの費用」で見ると、比べやすくなります。
- 採用の費用:求人広告、人材紹介の手数料、採用代行への支払いなど、1人を採るまでにかかった費用
- 育成の費用:研修の期間の給与と、研修を担う社員の時間
- 待機の費用:研修のあと、または入社後から案件に入るまでの期間の給与
採用の費用が安くても、待機が長くなる層ばかりを採っていれば、稼働までの費用は高くなります。反対に、採用の費用が高くても、入社後すぐに案件に入れる人を採れれば、稼働までの費用は抑えられます。採用代行の成果を採用人数だけで見ると、この差が分かりません。
まずは、ここ1年ほどの採用者について、入社から案件に入るまでの日数を一覧にしてみてください。経路ごと・層ごとに日数を並べると、どの経路で採った人が早く稼働しているかが見えます。この日数に月の給与を掛ければ、待機の費用のおおよその額が出せます。
エラベルの見解
SESの会社からの相談で多い思い込みは、採用の数を増やせば売上も増えるという考え方です。案件の見込みがないまま採用を増やすと、待機の人が増え、その間の給与が費用として積み上がります。待機が長くなると、本人の不安も大きくなり、案件に入る前に辞めてしまうこともあります。採用の費用も育成の費用も、そこで失われます。
担当者を選ぶときは、採用の数だけでなく、営業が持っている案件の見込みと照らし合わせて動ける人かどうかを見てください。どんな案件に入れそうかを候補者に正確に伝え、案件に合う経験の人を優先して紹介する担当者のほうが、採用人数はやや少なくても、稼働までの費用は抑えられます。同じ料金でも、採用と稼働をつなげて考える担当者かどうかで、会社に残る利益は大きく変わります。
案件の見込みと採る人数をそろえる
稼働までの費用を抑えるには、営業が持っている案件の見込みと、採用の計画を同じ表で管理することが役に立ちます。見込みのある案件ごとに、求められる経験と人数、開始の時期を並べ、それに合わせて採る層と人数を決めます。
- 見込みの確度が高い案件:求められる経験に合う人を、開始の時期に間に合うよう優先して採る
- 見込みの確度が低い案件:採用を急がず、確度が上がってから動く
- 未経験の採用:研修の期間を見込んで、研修が終わる時期に入れる案件の見込みがあるかを確かめてから採る
採用代行に任せる場合も、この表を担当者と共有してください。候補者に「どんな案件に入れそうか」を伝えられるようになると、応募の質が上がり、入社後のずれも減ります。
待機中の給与と契約の形で気をつけること
待機の期間の扱いは、費用だけでなく法律にも関わります。労働基準法第26条は、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合、使用者は休業期間中の労働者に、平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならないと定めています。案件がなく待機になった期間の給与の扱いは、雇用契約の内容や待機の実態によって判断が分かれるため、待機の費用を見積もるときは、自社の雇用契約と給与の規程を確かめてください。
もう一つ確かめておきたいのが、取引先での働き方です。労働者派遣法第2条は、自己の雇用する労働者を、他人の指揮命令を受けて当該他人のために労働に従事させることを労働者派遣と定め、第5条は、労働者派遣事業を行おうとする者に厚生労働大臣の許可を求めています。また職業安定法第44条は、労働者供給事業を禁じています。準委任などの契約で技術者が取引先に入っているのに、取引先の社員が直接仕事の指示を出していると、一般に偽装請負と呼ばれる状態になるおそれがあります。個別の判断は社会保険労務士・弁護士にご確認ください。
外注の使いどころと料金の形
SESの採用で採用代行に任せやすいのは、スカウトの送信と追客、応募者への連絡、日程調整など、手順を決めれば回せる作業です。候補者の経験と案件の照らし合わせ、条件の決定、採るかどうかの判断は社内に残します。
求人やスカウトの文面で気をつけたいのが、案件の伝え方です。職業安定法第5条の4は、労働者の募集を行う者や募集受託者などが広告などで募集に関する情報を提供するときに、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示をしてはならないと定めています。入れる見込みのない案件を例に出して応募を集めると、入社後のずれと早期の退職につながり、稼働までの費用が無駄になります。採用代行に文面を任せる場合も、案件の例は実際の見込みに合わせてください。
エラベルの費用は、採用が決まったときに1名につき10万円(税別)です。採用が決まらなければ費用はかかりません。案件の見込みに合わせて必要な人数だけ採りたい場合の選択肢の一つとして、稼働までの費用と並べて比べてみてください。
エラベルの見解
もう一つ見てほしいのは、SESの採用費用は、入社後の早い時期の退職で大きく膨らむということです。案件に入る前、あるいは入ってすぐに辞められると、採用・育成・待機の費用がすべて回収できないまま失われます。早期の退職の多くは、入社前に聞いていた案件や働き方と、実際のずれから起きています。
採用代行に任せるときは、採用人数と稼働までの日数に加えて、入社から一定の期間での退職の数も記録してください。退職が多い経路や層があれば、そこで候補者に伝えている内容と実際の案件がずれていないかを担当者と確かめます。入社前に伝える内容を正確にするだけで、稼働までの費用の無駄は減らせます。
まとめ
- SESのRPO費用は、採用の費用に育成と待機の期間の費用を足した「稼働までの費用」で比べる
- 入社から案件に入るまでの日数を、経路ごと・層ごとに一覧にして見る
- 営業の案件の見込みと採用の計画を同じ表で管理し、確度の高い案件に合わせて採る
- 待機中の給与の扱いと、取引先での働き方が派遣や労働者供給に当たらないかを確かめる
- 採用人数・稼働までの日数・早期の退職の数を並べて、代行の成果を見る
よくある質問
SES業界の採用代行の費用の相場はいくらですか
採用代行の料金は、任せる業務の範囲や採る人の層、料金の形によって大きく異なり、公的な統計もないため、一律の相場はお伝えできません。稼働までの費用を自社の数字で出し、その範囲で同じ業務範囲の見積もりを比べてください。エラベルの場合は、採用が決まったときに1名10万円(税別)です。
未経験の採用に採用代行を使う意味はありますか
未経験の採用は応募が集まりやすい一方、選考の件数が多くなり、日程調整や連絡の作業が増えます。こうした作業を任せる意味はあります。ただし、研修が終わる時期に入れる案件の見込みがあるかを先に確かめないと、採用の数だけ待機が増えるので注意してください。
待機中の技術者の給与はどう扱えばよいですか
待機中の給与の扱いは、雇用契約の内容や待機の実態によって判断が分かれます。労働基準法第26条の休業手当との関係も含めて、自社の雇用契約と給与の規程を確かめてください。個別の判断は社会保険労務士・弁護士にご確認ください。
- e-Gov法令検索「労働基準法」(第26条)
- e-Gov法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(第2条・第5条)
- e-Gov法令検索「職業安定法」(第5条の4・第44条)
- エラベル 料金(公式)
本記事は 2026-10-16 時点の公開情報にもとづいて作成しています。
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