採用代行 / SES
SES業界で採用代行が機能する条件・機能しない条件
同じ採用代行を使っても、機能するSESの会社と機能しない会社があります。差を作るのは代行の腕ではなく、発注側の条件です。採る数が一枚から決まっているか、要件が案件の型で切られているか、育てる体制があるか、待機が設計されているか、動く理由を実態で語れるか、記録が社内にあるか、任せる工程が絞られているか。結論を先に書くと、SES業界で採用代行が機能するのは、採る数・案件の型・体制・待機・動く理由・記録・工程の七つで「社内に残すものを残している」会社で、機能しないのは「案件が取れそうだから何人でも、全部任せたい」会社です。発注の前に七つで自社を確かめ、機能しない条件があれば、発注の前にそれを変えます。工程の切り分けはSES業界の採用代行に、課題の分解はSES業界の採用課題に、SIer業界の条件はSIer業界で採用代行が機能する条件・機能しない条件に書いています。ここでは、SES業界の七つの対に絞ります。
七つの対
| 軸 | 機能する条件 | 機能しない条件 |
|---|---|---|
| 採る数 | 案件の型ごとの稼働・待機・見込み・確度の一枚から、採る数と時期が決まっている | 「案件が取れそうだから何人でも」。待機が増えたら止める |
| 案件の型 | 「業界・工程・常駐の形」の型で要件が切られている | 「案件に出せる人なら誰でも」 |
| 体制 | 未経験を採るなら、教える人・中身・期間が決まっている。経験者なら技術の見極めを担う人がいる | 「研修はこれから考える」。見極めが無い |
| 待機 | 待機が「次の案件の型に向けた育成の期間」として設計され、上限がある | 待機は自習。上限が無い |
| 動く理由 | 案件の選び方・還元の考え方・育つ道筋・相談先を、実態で語れる | 「SESだから」。額だけで差を出そうとする |
| 記録 | 一覧と面接の記録が社内の環境にあり、代行がそこに書く | 記録が代行の環境。契約が終わると消える |
| 工程 | 任せる工程が絞られ、残す工程(配属・稼働の管理・育成・条件)の担当がいる | 「全部任せたい」 |
七つのうち一つでも機能しない条件にあると、代行はその部分で止まります。
採る数:一枚から決まっているか
| 機能する | 機能しない |
|---|---|
| 営業・採用・経営者が同じ一枚(稼働・待機・見込み・確度)を月次で見る | 営業の感覚で「三人」 |
| 見込みの確度で採る数を分けている | 「取れそう」を全部数える |
| 募集から入社までの日数を記録から出し、見込みの時期から逆算 | 「来月から」 |
採る数の根拠が無い会社では、代行が何人集めても、待機か不足のどちらかになります。一枚の作り方は要員計画と採用計画がつながっていないに書いています。
エラベルの見解
SES業界で最も多い機能しない条件は、「体制」です。「未経験を採って育てる」と言う会社で、研修の中身と教える人が決まっておらず、代行が未経験の母集団を集め、採り、研修が回らず、途中で離れる。会社は「代行が集めた人の質が低い」と言いますが、原因は体制です。直し方は、募集の前に「誰が、何を、どのくらいの期間教え、研修の後にどの型の案件に出すか」を一枚にし、その体制で受け入れられる人数だけを採ること。体制が無いなら、経験者の採用に絞る判断もあります。エラベルで担当者を選ぶ企業には、「研修の一枚(教える人・中身・期間・その後の案件の型)はありますか」を、私たちから先に聞いています。無ければ、未経験の募集の前に一枚を作ります。体制の考え方は新卒採用の実務の進め方に書いています。
案件の型:要件が切られているか
| 機能する | 機能しない |
|---|---|
| 過去の案件を「業界・工程・常駐の形」で三つ程度の型に分け、型ごとに要件がある | 「案件に出せる人」の一本 |
| 代行が型ごとに「担った工程の言葉」に整え、社内が確認 | 代行が広く集める |
| 型が変われば要件が変わる、と伝わる | 去年の要件のまま |
型は社内でしか作れません。作る作業は、過去の案件を並べて三十分で足ります。
体制:育てる人と見極める人がいるか
| 機能する | 機能しない |
|---|---|
| 未経験:教える人・中身・期間・その後の案件の型が一枚に | 「研修はこれから考える」 |
| 経験者:技術の見極めを担う人がいて、面接の枠を週に決まった数出せる | 見極めが無く、書類だけで採る |
| 受け入れられる数だけ採る | 母集団の数に合わせて採る |
待機:設計されているか
| 機能する | 機能しない |
|---|---|
| 待機中の育成の中身・教える人・期限が決まり、上限がある | 自習。上限が無い |
| 待機中に社内との週次の接点がある | 連絡が無い |
| 待機の上限を超える前に、一枚に戻して採る数を見直す | 待機が増えてから採用を止める |
待機が設計されていない会社では、採った人が案件の合間に離れ、代行の成果が消えます。
動く理由:実態で語れるか
| 機能する | 機能しない |
|---|---|
| いまうまくやっている人の「前の会社と違うこと」「続けている理由」が一枚にあり、文面と面接で使える | 「SESだから」「単価が高い」 |
| 案件の選び方・還元の考え方・育つ道筋・相談先を、仕組みとして説明できる | 説明できない。担当者の口頭 |
| 「自社開発に行きたい」層は対象から外している | 全層に送る |
動く理由は、会社の実態の中にしか作れません。代行の文面の腕では補えません。作り方は自社紹介はどこまで書くかに書いています。
エラベルの見解
「全部任せたい」というSESの会社は、多くの場合、営業が採用を兼ねていて、案件の営業と採用の両方で手一杯です。その状態で全部を任せると、採る数の根拠も案件の型も配属の判断も代行に寄り、代行にはできないので止まります。エラベルは担当者を工程ごとに選べる形にしているので、営業を兼ねる責任者が「一枚の更新・案件の型・配属の判断」だけに時間を使い、「母集団形成・一次対応・日程・記録」を担当者が担う、という組み方ができます。責任者の時間は、月に一度の一枚の更新と、型ごとの要件の確認と、面接の一段で足ります。工程の切り分けは母集団形成は代行に出せるかや面接の日程調整は代行に出せるかに書いています。
記録:社内の環境にあるか
| 機能する | 機能しない |
|---|---|
| 一覧と面接の記録が社内のATSか共有の場所にあり、代行がそこに書く | 記録が代行の環境 |
| 週次の一枚で、段階ごとの数と止まりが届く | 月末の報告だけ |
| 契約が終わっても、記録と型(案件の型の要件、文面、依頼書)が社内に残る | 契約が終わると消え、次の募集でゼロから |
SESは募集を繰り返すので、型が残るかどうかで、二回目以降の速さが変わります。記録の扱いは引き継ぎ資料に含める内容に書いています。
工程:絞られているか
| 機能する | 機能しない |
|---|---|
| 「経験者のスカウトの母集団形成と一次対応」「未経験の掲載型の母集団形成と一次対応」のように、層と工程で任せる範囲が明確 | 「採用を全部」 |
| 残す工程(採る数・案件の型・配属・育成・待機・条件)の担当が決まっている | 残す工程の担当がいない |
| 一つの層・一つの工程で三か月回し、記録で効いたかを見てから広げる | 最初から全層・全工程 |
機能しない条件を変える順番
| 順 | 変えること | 費用 |
|---|---|---|
| 一 | 採る数:稼働・待機・見込みの一枚を作る | かからない(責任者の時間) |
| 二 | 案件の型:過去の案件を三つの型に分け、型ごとに要件 | かからない |
| 三 | 体制:未経験なら研修の一枚。経験者なら見極める人と枠 | 教える人の時間 |
| 四 | 待機:育成の中身と上限 | 教える人の時間 |
| 五 | 記録:一覧を社内の環境に | かからない |
| 六 | 工程:任せる工程を一つに絞る | 契約の範囲が小さくなる |
| 七 | 動く理由:いまうまくやっている人に聞いて一枚に | かからない |
一・二・五・七は発注の前に社内で変えられます。三と四は教える人の時間が要り、六は契約の設計です。
機能しているかを見る記録
| 見ること | 機能している目印 |
|---|---|
| 採った人の入社から最初の案件までの日数 | 短ければ採る数と案件の型が機能 |
| 研修中と待機中の離職 | 減っていれば体制と待機が機能 |
| 経験者からの返信の数 | 増えていれば動く理由が機能 |
| 週次の一枚と、型が次の募集に写せたか | 写せていれば記録が機能 |
| 任せた工程の数字 | 動いていれば工程が機能 |
件数のまま並べ、前の募集と比べます。割合や外部の平均で断定しません。見る指標は採用代行との定例会で見るべき数字に書いています。
法令上の整理は専門家に
派遣と請負の線引き、常駐先での指揮命令の扱い、待機中の労務の扱いは、法令上の整理があると一般に整理されていて、求人票と面接で候補者に説明する内容に関わります。専門家(社労士等)の確認を経た内容で進め、代行の担当者が独自に説明する形にはしません。個別の判断は専門家にご確認ください。線引きの考え方は採用代行と人材派遣の違いに書いています。
まとめ
- 代行が機能するかは代行の腕より発注側の条件で決まる
- 七つの対は採る数・案件の型・体制・待機・動く理由・記録・工程
- 最も多い機能しない条件は体制。未経験の募集の前に研修の一枚
- 採る数は一枚から。「案件が取れそうだから何人でも」は機能しない
- 「全部任せたい」は機能しない。営業を兼ねる責任者は一枚・型・配属に絞り、残りを任せる
- 変える順番は採る数→案件の型→体制→待機→記録→工程→動く理由
- 法令上の整理は専門家に。個別の判断は専門家にご確認ください
よくある質問
案件の見込みが読めず、一枚が作れません
見込みを「確定・高い・低い」の三段で分け、確定と高いだけを採る数の根拠にします。低い見込みは一枚に載せるが数えない。最初は営業の感覚で三段に分けるだけでよく、月次で「見込みどおりだったか」を見て、確度の付け方を直します。一枚は完成させるものではなく、月次で直すものです。
経験者を採りたいのですが、スカウトの返信が来ません
「SESに転職する理由」が文面に無いことが多い。いまうまくやっている人に「前の会社と違うこと」「ここで続けている理由」を聞き、案件の選び方・還元の考え方・育つ道筋・相談先の実態を一枚にし、文面の二段落目に置きます。「自社開発に行きたい」層は対象から外し、「SESの中で動く理由がある」層に絞ります。実態に動く理由が無ければ、文面では補えず、仕組みを作るほうが先です。
代行に出したのに、採った人が待機のまま辞めました
待機が設計されていない条件です。採用の側ではなく、待機中の育成の中身・接点・上限が無いことが原因で、代行の問題ではありません。待機を「次の案件の型に向けた育成の期間」として設計し、週次の接点と上限を置きます。上限を超える前に一枚に戻し、採る数を見直します。待機の設計が無いまま採用を続けると、同じことが繰り返されます。