採用代行 / SIer
SIer業界で採用代行が機能する条件・機能しない条件
同じ採用代行を使っても、機能するSIerと機能しないSIerがあります。差を作るのは代行の腕ではなく、発注側の条件です。役割を工程と案件で切っているか、採った人をどの案件に入れるかを社内で決めているか、常駐と働き方の実態を先に出しているか、案件の見込みの段階で採用が動いているか、記録が社内にあるか、任せる工程が絞られているか。結論を先に書くと、SIer業界で採用代行が機能するのは、役割・照合・働き方・時期・記録・工程の六つで「社内に残すものを残している」会社で、機能しないのは「SEを何人でも、全部任せたい」会社です。発注の前に六つで自社を確かめ、機能しない条件があれば、発注の前にそれを変えます。工程の切り分けはSIer業界の採用代行に、課題の分解はSIer業界の採用課題に、IT・Web業界の条件はIT・Web業界で採用代行が機能する条件・機能しない条件に書いています。ここでは、SIer業界の六つの対に絞ります。
六つの対
| 軸 | 機能する条件 | 機能しない条件 |
|---|---|---|
| 役割 | 「どの工程を、どの案件で、常駐か持ち帰りか」で要件を切っている | 「SE経験〇年」「幅広くできる人」 |
| 照合 | 採った人をどの案件に入れるかを、社内の責任者が決めている | 「採ってから考える」。稼働しない期間が出る |
| 働き方 | 常駐先の型と持ち帰りの比率を、求人票と初回の連絡で出している | 「常駐のことは面接で」 |
| 時期 | 案件の見込みの段階で、要る役割・人数・時期が採用の一枚にある | 受注が決まってから「急いで」 |
| 記録 | 一覧と面接の記録が社内の環境にあり、代行がそこに書く | 記録が代行の環境。契約が終わると消える |
| 工程 | 任せる工程が一つか二つに絞られ、残す工程の担当がいる | 「全部任せたい」 |
六つのうち一つでも機能しない条件にあると、代行はその部分で止まります。全部が揃っている必要は無く、発注前に一つずつ変えます。
役割:工程と案件で切っているか
| 機能する | 機能しない |
|---|---|
| 社内の責任者が、案件と体制から「上流のPM」「設計・実装」「運用・常駐」を分けて要件にしている | 「SE」の一本で募集。代行が広く集め、面接で「案件に合わない」 |
| 代行が「担った工程の言葉」に整え、責任者が確認する | 代行が要件を推測 |
| 案件が変われば要件が変わる、と代行に伝わる | 要件が変わっても伝わらず、ずれた推薦が続く |
役割の切り分けは、社内の責任者にしかできません。切り分けに時間を出せない会社では、代行は機能しません。時間は、案件ごとに三十分で足ります。
エラベルの見解
SIer業界で最も多い機能しない条件は、「照合」が無いことです。代行が採用を進め、内定が出た段階で「この人はどの案件に入れるか」を考え始め、合う案件が無く、稼働しない期間が出るか、合わない案件に入れて早期に離れる。直し方は、募集を始める前に、「この募集は、この案件(または、この型の案件)のため」と決め、採用の一枚に案件の列を置くことです。案件が決まっていない募集は、「この型の案件に入れる人」として、型(業界、工程、常駐か持ち帰りか)を決めておきます。エラベルで担当者を選ぶ企業には、「いまの募集は、どの案件のためですか」を、私たちから先に聞いています。答えが無い募集は、代行に出す前に案件との紐づけをします。紐づけ方は要員計画と採用計画がつながっていないに書いています。
照合:案件に入れる人を社内で決めているか
| 機能する | 機能しない |
|---|---|
| 募集ごとに「どの案件(型)のため」が決まっている | 「採ってから考える」 |
| 採った人の最初の案件と、入社から案件の開始までの役割が決まっている | 入社後に稼働しない期間が出る |
| 案件の責任者が面接に出る | 人事だけが面接し、案件の責任者が入社後に「合わない」と言う |
照合は、代行に任せられない工程です。案件の責任者が、要件の切り分けと面接の一段に出る形が、機能する条件です。
働き方:常駐の実態を先に出しているか
| 機能する | 機能しない |
|---|---|
| 常駐先の型(業界、場所の範囲)、持ち帰りの比率、常駐先が変わる頻度を、求人票と初回の連絡で出す | 「常駐のことは面接で」。面接や内定後に辞退 |
| リモートの可否を「常駐先の条件による」と正直に | 「リモート可」と書き、実態は常駐先次第 |
| 応募の減少を受け入れ、面接の通過と定着で見る | 応募の数を成果にして、実態を隠す |
働き方を先に出す判断は会社のもので、代行が決められません。出さない会社では、代行の母集団形成は面接での辞退で消えます。
時期:案件の見込みの段階で動いているか
| 機能する | 機能しない |
|---|---|
| 営業と採用が月次で案件の見込みを共有し、採用の一枚に「要る役割・人数・時期」が先に置かれている | 受注が決まってから募集。間に合わず、要件を緩める |
| 募集の開始を、過去の記録の日数から逆算している | 「来月には欲しい」で始める |
| 採る時期と案件の開始を合わせ、間の期間の役割を決めている | 採れたが稼働しない |
時期の条件は、営業と採用の間の仕組みで、代行が触れない領域です。仕組みが無い会社では、代行は「急いで」の依頼を受け続け、ずれた採用を繰り返します。
エラベルの見解
「全部任せたい」というSIerの会社は、多くの場合、社内に採用の担当がおらず、営業と現場の責任者が兼務で採用を見ています。その状態で全部を任せると、役割の切り分けも照合も働き方の判断も代行に寄り、代行にはできないので止まります。エラベルは担当者を工程ごとに選べる形にしているので、兼務の責任者が「役割の切り分けと案件との照合」だけに時間を使い、「母集団形成・一次対応・日程・記録」を担当者が担う、という組み方ができます。責任者の時間は、案件ごとに三十分の切り分けと、面接の一段だけで足ります。全部を任せる契約より、残す工程を最小にして残りを任せるほうが、機能します。工程の切り分けは母集団形成は代行に出せるかや面接の日程調整は代行に出せるかに書いています。
記録:社内の環境にあるか
| 機能する | 機能しない |
|---|---|
| 一覧と面接の記録が社内のATSか共有の場所にあり、代行がそこに書く | 記録が代行の環境。社内から見えない |
| 週次の一枚で、段階ごとの数と止まりが届く | 月末の報告だけ |
| 契約が終わっても、記録と型(要件の一枚、依頼書、文面)が社内に残る | 契約が終わると全部消え、次の案件でゼロから |
SIerは案件ごとに募集を繰り返すので、型が社内に残るかどうかで、二回目以降の速さが変わります。記録の扱いは引き継ぎ資料に含める内容に書いています。
工程:絞られているか
| 機能する | 機能しない |
|---|---|
| 「スカウトの母集団形成と一次対応」「紹介会社への依頼書と返事の速さ」のように、任せる工程が明確 | 「採用を全部」 |
| 残す工程(役割・照合・技術の見極め・条件・合否)の担当が決まっている | 残す工程の担当がいない |
| 一つの案件の募集で三か月回し、記録で効いたかを見てから広げる | 最初から全工程・全募集 |
機能しない条件を変える順番
| 順 | 変えること | 費用 |
|---|---|---|
| 一 | 役割:いまの募集を「どの工程を、どの案件で、常駐か持ち帰りか」で切る | かからない(責任者の三十分) |
| 二 | 照合:募集ごとに案件(型)を決める | かからない |
| 三 | 記録:一覧と記録の形を社内の環境に | かからない |
| 四 | 工程:任せる工程を一つに絞る | 契約の範囲が小さくなる |
| 五 | 働き方:常駐の実態を先に出すかを決める | 会社の判断 |
| 六 | 時期:営業と採用の月次の共有を置く | 仕組み。時間がかかる |
一から四は発注の前に社内で変えられます。五は会社の判断、六は仕組みなので、代行を使いながら整えます。
機能しているかを見る記録
| 見ること | 機能している目印 |
|---|---|
| 書類の○と面接の一致 | 一致していれば役割が機能 |
| 入社から最初の案件の開始までの日数 | 短ければ照合が機能 |
| 面接と内定後の辞退の理由 | 「働き方」が減っていれば働き方が機能 |
| 募集の開始と案件の開始の差 | 間に合っていれば時期が機能 |
| 週次の一枚と、型の残り | 届き、残っていれば記録が機能 |
件数のまま並べ、前の募集と比べます。割合や外部の平均で断定しません。三か月で動かない工程は、六つの対で「代行の問題か、社内の残す部分の問題か」を分けます。見る指標は採用代行との定例会で見るべき数字に書いています。
まとめ
- 代行が機能するかは代行の腕より発注側の条件で決まる
- 六つの対は役割・照合・働き方・時期・記録・工程
- 最も多い機能しない条件は照合。募集ごとに「どの案件のため」を決める
- 「SEを何人でも、全部任せたい」は機能しない。残す工程を最小にして残りを任せる
- 変える順番は役割→照合→記録→工程→働き方→時期。一〜四は発注前に社内で
- SIerは募集を繰り返すので、型が社内に残るかで二回目以降が変わる
- 機能しているかは記録で件数のまま見る
よくある質問
案件が常に複数動いていて、募集ごとに案件を決められません
「案件の型」で決めます。「金融の上流」「製造の運用常駐」「公共の設計・実装」のように、業界と工程と働き方の型を三つ程度作り、募集を型に紐づけます。採った人は、その型の案件のどれかに入る、という形なら、照合の判断は入社の前にできます。型が決まらない募集は、対象が絞れず、代行は機能しません。
常駐の実態を先に出すと、競合のSIerに負けるのではないですか
先に出さない競合は、面接と入社後に辞退と離職を出しています。先に出す会社は、応募は減っても、面接の通過と定着が上がり、募集を繰り返す回数が減ります。どちらが「負け」かは、応募の数で見るか、入社と定着で見るかで変わります。記録で「辞退の理由」と「早期離職の理由」を見れば、自社がどちらで損をしているかが分かります。
営業と採用の共有の仕組みが無く、時期の条件を変えられません
仕組みが無い間は、代行を使いながら、「案件の見込みが立ったら、責任者から代行の担当者に一言」の形から始めます。月次の会議でなくても、一言が採用の一枚に入れば、募集の開始を逆算できます。仕組みは後から整えればよく、最初は「見込みの段階で一言」の習慣で足ります。採用計画とのつなぎは採用計画の設計の進め方に書いています。