採用代行 / SES
SES業界の採用代行|業界特有の難しさとどこを外注するか
SES業界の会社が採用代行を検討するとき、動機は「案件はあるのに、出せる人がいない」であることが多い。ただ、SESの採用は、SIerとも自社開発とも違う難しさがあります。採る人の配属先が採用の時点で決まっていないことが多い、候補者の側に「SESから自社開発やSIerへ」を考えている層が多い、未経験や若手を採って育てる型が主で育てる体制が採用の前提になる、常駐先での稼働と待機が採用の数と直結する。結論を先に書くと、SES業界の採用代行は、母集団形成・一次対応・日程調整・記録は外に出せる一方、案件と配属の判断・稼働と待機の管理・育てる体制・条件の判断は社内に残さないと、採れても稼働しません。代行に出す前に、難しさを自社の状況で分解し、工程ごとに「任せる・残す」を決めることが、代行が機能する条件です。SIer業界との違いはSIer業界の採用代行に、代行と派遣の線引きは採用代行と人材派遣の違いに書いています。ここでは、SES業界で共通する切り分けに絞ります。
SES業界の採用が難しい四つの理由
| 難しさ | 中身 | 代行への影響 |
|---|---|---|
| 配属先が採用の時点で決まっていない | 採ってから案件を探す形が多い。要件が「案件に出せる人」と広くなる | 要件が曖昧なまま募集が始まり、面接でずれる |
| 候補者の層が「SESからの転職」と重なる | SESで働く人の一部は、自社開発やSIerへの転職を考えている。同業のSESに動く理由を文面で示す必要がある | 「SESだから」の訴求では返信が来ない。案件の型・単価の考え方・育つ道筋で動く理由を作る |
| 育てる型が主 | 未経験や若手を採り、研修を経て案件に出す。育てる体制が採用の前提 | 体制が無いまま採ると、案件に出せず、待機か離職 |
| 稼働と待機が採用と直結 | 待機の人数が採用の数を決める。案件の見込みと採用の時期のずれが、そのまま費用になる | 案件の見込みと採用の一枚がつながっていないと、採る数が読めない |
四つのうち、代行で解決できるのは母集団形成と速さで、配属・稼働・育成・条件は社内の関わりが要ります。
工程ごとの「任せられる・残す」
| 工程 | 任せられるか | 理由 |
|---|---|---|
| 案件の見込みと採る数・時期の判断 | 残す | 稼働と待機の管理と直結。社内の営業と責任者が決める |
| 採用要件の言葉への整理 | 一緒に | 「案件に出せる人」を、「〇〇の型の案件で、〇〇を担える経験」に。代行が整え、社内が確認 |
| 母集団形成(媒体・スカウト・学校経由) | 任せられる | 型があれば外で回せる。未経験は掲載型と学校経由、経験者はスカウト |
| 一次対応(返信・日程) | 任せられる | 速さが要る工程 |
| 書類の一次確認 | 一部任せられる | 必須の照合は外で。案件との適合は社内 |
| 配属の判断(どの案件に出すか) | 残す | 社内の営業と責任者にしか判断できない |
| 技術と経験の見極め(面接) | 残す | 社内の技術者か責任者 |
| 育てる体制(研修、待機中の育成) | 残す | 社内の体制。代行は受け入れの型の設計まで |
| 条件の判断 | 残す | 会社の判断 |
| 記録と報告 | 任せられる | 一覧と週次の一枚 |
「配属の判断」と「育てる体制」は、SESに特有の残す工程です。ここを外に出そうとする会社では、代行は機能しません。
エラベルの見解
SES業界で多くの会社が見落とすのは、「採る数」が「案件の見込み」ではなく「待機の許容」で決まっている点です。案件が取れそうだから採る、では、案件が遅れたときに待機が増え、費用が出て、採用を止め、次に案件が来たときに人がいない。この往復を繰り返します。直すのは、「案件の型」(業界、工程、単価の考え方)ごとに、いま稼働している人数・待機の人数・案件の見込みを一枚に並べ、採る数と時期をそこから決めることです。代行は、この一枚に沿って母集団を作る役で、一枚を作るのは社内です。エラベルで担当者を選ぶ企業には、「いまの採用の数は、案件の見込みと待機の数から決まっていますか」を、私たちから先に聞いています。答えが「営業の感覚」なら、代行の前に一枚が要ります。計画のつなぎ方は要員計画と採用計画がつながっていないに書いています。
代行に出す前に社内で確認すること
| 確認 | 中身 |
|---|---|
| 案件の型が決まっているか | 「業界・工程・常駐の形」で、自社の案件を三つ程度の型に分けられるか |
| 採る数の根拠 | 稼働・待機・見込みの一枚から決まっているか |
| 育てる体制 | 未経験を採るなら、研修の中身・期間・教える人。待機中の育成の型 |
| 「SESに転職する理由」を語れるか | 案件の型、単価と還元の考え方、育つ道筋、常駐先の選び方の実態を、いまうまくやっている人の言葉で |
| 面接の枠 | 責任者と技術者の枠を週に決まった数出せるか |
| 記録の形 | 一覧と記録が社内の環境にあるか |
| 法令上の整理 | 派遣と請負の線引き、常駐先での指揮命令の扱いは専門家に確認済みか |
最後の項目は、採用の話ではなく事業の話ですが、求人票や面接で候補者に説明する内容に関わるので、発注の前に専門家の確認を経ておきます。個別の判断は専門家にご確認ください。
経験者と未経験で代行の型が違う
| 層 | 代行に向く工程 | 社内に残す度合い |
|---|---|---|
| 経験者(案件にすぐ出せる) | スカウト中心の母集団形成、一次対応 | 案件の型との照合。「SESに転職する理由」が要る |
| 未経験・若手 | 掲載型と学校経由の母集団形成、一次対応 | 育てる体制が先。体制で受け入れられる数だけ採る |
| 他社のSESからの転職 | スカウト。案件の型と単価の考え方で差を出す | 実態で差を出せなければ返信は来ない |
「SESの採用に強い代行」でも、経験者と未経験で型が違います。両方を同時に始める前に、どちらを先にするかを決めます。
代行を選ぶときの確認項目
| 確認 | 聞き方 |
|---|---|
| 経験者と未経験の型があるか | 「経験者のスカウトと、未経験の掲載型で、文面と経路をどう変えますか」 |
| 担当者の経歴 | 「担当する方は、SES業界のどの層の採用を、どの工程で担った経験がありますか」 |
| 「SESに転職する理由」の作り方 | 「候補者が他社のSESから御社に動く理由を、御社の実態からどう作りますか」 |
| 配属と育成の分担 | 「配属の判断と育てる体制は社内で持ちます。その前提で、どこまで任せられますか」 |
| 返事の速さと記録の置き場所 | 「候補者への返事は何営業日以内か。記録はどこに置くか」 |
| 費用の構造 | 「月額に含まれる工程と、経験者・未経験の区別は」 |
費用は、含まれる工程と層で変わり、金額の相場を先に聞くより「同じ工程・同じ層で比べる軸」をそろえます。費用の構造は採用代行の費用の内訳に、選び方の軸は採用代行会社の選び方に書いています。
代行に出したあとに起きること
| 起きること | 原因 | 対応 |
|---|---|---|
| 応募は増えたが、案件に出せない | 案件の型が無く、要件が「案件に出せる人」 | 案件の型で要件を切る |
| 未経験を採ったが、研修の途中で離れる | 育てる体制が無い。研修の中身と教える人が決まっていない | 体制で受け入れられる数だけ採る |
| 採ったが、待機が続く | 案件の見込みと採用の時期がずれている | 稼働・待機・見込みの一枚から採る数と時期を |
| 経験者から返信が来ない | 「SESに転職する理由」が文面に無い | 案件の型・単価の考え方・育つ道筋を実態の言葉で |
| 候補者から「派遣とどう違うのか」と聞かれ、答えられない | 法令上の整理を社内で確認していない | 専門家の確認を経た説明を、求人票と面接に |
| 契約が終わると記録が消える | 記録が代行の環境 | 社内の環境に置く形を契約で |
出したあとの問題は、「案件の型」「育てる体制」「採る数の根拠」「動く理由」に戻ります。
エラベルの見解
SES業界で「SESに転職する理由」を作れる会社は、単価と還元の考え方、案件の選び方、育つ道筋を、実態の言葉で候補者に説明できる会社です。それができない会社は、「SESだから」で他社と同じに見え、返信が来ません。エラベルは、担当者を工程ごとに選べる形にしているので、SES業界の経験者のスカウトを担った担当者と、未経験の母集団形成を担った担当者を、層ごとに分けて選べます。ただし、どの担当者を選んでも、「SESに転職する理由」の元になる実態は、会社の中にしかありません。代行に出す前に、いまうまくやっている人に「前の会社と違うこと」「ここで続けている理由」を聞き、一枚にしておくことが、返信を決めます。動く理由の作り方は自社紹介はどこまで書くかに書いています。
まとめ
- SES業界の難しさは、配属先が未定・候補者層の重なり・育てる型・稼働と待機の四つ
- 母集団形成・一次対応・日程・記録は任せられ、配属の判断・稼働と待機の管理・育てる体制・条件は残す
- 採る数は案件の型ごとの稼働・待機・見込みの一枚から。営業の感覚で決めない
- 経験者と未経験で代行の型が違う。どちらを先にするかを決める
- 未経験は育てる体制で受け入れられる数だけ採る
- 「SESに転職する理由」は実態の中にしか作れない。代行の前に一枚に
- 派遣と請負の線引きなど法令上の整理は専門家に。求人票と面接の説明に関わる。個別の判断は専門家にご確認ください
よくある質問
案件が決まっていないので、要件が「案件に出せる人」になります
案件の型(業界・工程・常駐の形)を三つ程度に分け、「この型の案件に出せる人」として要件を切ります。型ごとに「担ってきた工程」と「使ってきた技術の範囲」を必須にすれば、案件が個別に決まっていなくても、対象は絞れます。型が無い会社は、過去に出した案件を三つの型に分けるところから。型の作り方は採用要件の定義の進め方に書いています。
未経験を採って育てたいのですが、研修の体制がありません
体制が無いまま採ると、待機か離職になります。まず、「誰が、何を、どのくらいの期間、教えるか」と「研修の後、最初に出す案件の型」を一枚にし、その体制で受け入れられる人数だけを採ります。研修を外部に出す場合も、研修の後の配属と待機中の育成は社内です。体制ができるまでは、経験者の採用に絞る判断もあります。育てる体制の考え方は新卒採用の実務の進め方に書いています。
候補者から「派遣と何が違うのか」「常駐先で誰の指示を受けるのか」と聞かれます
答えは、法令上の整理(派遣と請負の線引き、指揮命令の扱い)に関わり、会社が専門家の確認を経て決めた説明を、求人票と面接で一貫して伝える必要があります。代行の担当者が独自に答える形にはしません。説明の内容が決まっていない会社は、発注の前に専門家と決めます。線引きの考え方は採用代行と人材派遣の違いに書いていますが、個別の判断は専門家にご確認ください。