採用代行 / 採用の課題

使える写真・素材がない|プロに頼む前に、「何を見せたいか」を決めて、社内で撮れるものから揃える

公開 2026-09-13

求人媒体の会社紹介に、写真を載せたい。採用サイトを作りたい。ただ、使える写真が無い。あるのは数年前の集合写真で、写っている社員の半分は辞めている。オフィスの写真は暗く、スマートフォンで撮ったもの。「素材が無いから、採用ページが作れない」で止まっている。結論を先に書くと、素材が無いのは、撮る機会が無かったからではなく、「何を見せたいか」が決まっていないからです。候補者が見たいものは決まっています。それを決めれば、社内で撮れるものと、プロに頼むものが分かれ、プロに頼む範囲は小さくなります。素材が無いことを、採用ページや求人票を作らない理由にしません。採用サイトの効果が無い場合は採用サイトを作ったのに効果がないに、求人原稿が古い場合は求人原稿を何年も更新していないにまとめています。

素材が無い会社で起きていること

使える素材が無い会社では、次のことが起きています。

起きていること背景
「素材が無いから作れない」で止まる素材が先、と思っている。何を見せたいかが無いので、何を撮ればよいかも分からない
古い写真を使い続けている辞めた社員が写っている、当時の制服やオフィス。候補者が入社して「写真と違う」
媒体の写真の枠が空白か、素材集の写真空白は「本気で採っていない」に見え、素材集の写真は「実態を隠している」に見える
プロに頼むと費用がかかるので、先延ばし全部をプロに頼む前提で、費用が大きく見えている
社員の写真の同意が曖昧過去に撮った写真の公開の同意が無く、使ってよいか分からない
撮っても、保存場所がばらばらで見つからない誰かのスマートフォンや個人のフォルダにあり、次に使うときに探せない
写真以外の素材(図、文章、動画)を考えていない「素材=写真」と思っていて、他の見せ方を検討していない

素材は、候補者に「実態」を見せるためのものです。「何の実態を見せたいか」から始めます。

候補者が見たい素材

候補者が採用の場面で見たいものは、決まっています。

候補者が知りたいこと見せる素材
どんな場所で働くかオフィスや現場の、実際の様子。整えすぎない。普段の状態
誰と働くか一緒に働く人の顔と、仕事をしている様子。集合写真より、数人が仕事をしている場面
何をする仕事か仕事の場面。会議、作業、顧客との場面。役割が想像できるもの
会社の雰囲気昼休み、雑談、会議の空気。演出ではなく、普段
働き方の実態リモートの様子、フレックスの実態、オフィスの時間帯ごとの様子
社員の話顔写真と、具体的な話(最初の三か月、大変だったこと、続けている理由)
会社の規模と実態社員数や拠点の数字は自社の記録から。写真より、事実の記述

候補者は、「きれいな写真」より「実態が分かる写真」を見たいです。プロが撮った演出の写真より、社内で撮った普段の写真のほうが、判断の材料になることがあります。

見たい素材が決まれば、「何を撮るか」が決まります。「とりあえず撮ろう」では、使える素材は集まりません。

社内で撮れるものと撮り方

プロに頼む前に、社内で撮れるものがあります。

オフィスや現場の様子。 スマートフォンで、明るい時間帯に、普段の状態を撮ります。片付けすぎない。人が働いている時間に撮れば、雰囲気が写ります。

仕事の場面。 会議、作業、打ち合わせ。「撮りますね」と一言かけて、普段どおりに続けてもらい、数枚撮ります。ポーズを取らせない。

一緒に働く人。 数人が仕事をしている場面。顔が写る場合は、事前に同意を取ります(後述)。

社員の顔写真。 自然光の入る場所で、背景をシンプルに、正面から。スマートフォンで十分です。表情は、笑顔を強要しない。

昼休みや雑談の場面。 雰囲気が最も写る場面です。撮られることに抵抗が無い人がいる場面で。

撮り方の要点。 明るい時間帯、窓の近く、逆光を避ける、ブレないように両手で持つ、数枚撮って選ぶ、縦と横の両方を撮る(媒体によって枠の形が違う)。

撮る人を決める。 人事か、写真が好きな社員か。「誰か撮って」では撮られません。

社内で撮った写真は、演出が無い分、実態が伝わります。「プロのような写真」を目指さず、「実態が分かる写真」を目指します。

社員の写真の同意と扱い

社員の写真を公開するには、同意と扱いの決め事が要ります。

公開の前に、本人の同意を書面で取る。 「採用の媒体、採用サイト、会社のSNSに掲載する」と、用途を明示して同意を取ります。口頭の同意は、後で「そんなつもりは無かった」になります。同意の書式と法令上の扱いは、専門家に確認します。

用途を限定する。 採用の用途で同意を取った写真を、広告や他の用途に使わない。用途を広げるなら、改めて同意を取ります。

退職した社員の写真は、使わない。 退職時に、写真の取り下げを本人に確認します。退職者が写っている写真を使い続けると、候補者が入社後に「あの人はいない」と気づき、不信になります。

取り下げの申し出に、応じる。 社員が「やはり公開をやめたい」と言ったら、応じます。応じる旨を、同意の書面に書いておきます。

写真の管理者を決める。 誰の写真が、どこに、いつから使われているかを、一覧で管理します。取り下げのときに、全部の掲載先から外せる状態に。

顔を出さない選択肢を用意する。 顔を出したくない社員には、後ろ姿、手元、遠景など、顔が写らない撮り方を用意します。

同意の扱いを曖昧にすると、写真を使うたびに不安が残ります。決め事があれば、安心して使えます。

エラベルの見解

相談で最も多い失敗は、「素材が無いので、プロに頼んで一日かけて撮影し、費用をかけたが、演出が強すぎて『実態と違う』と面接で言われた」というものです。きれいなオフィス、笑顔の社員、整った会議。候補者が入社して見たのは、普段のオフィスでした。「何を見せたいか」を決めずにプロに頼むと、プロは「きれいに撮る」ことをします。実態を見せたいなら、社内で普段を撮るほうが合っていました。

見ていて差がつくのは、担当者が「素材が無い」を「作れない理由」にしないかどうかです。「素材が揃ってから作りましょう」と待つ担当者と、「まず、スマートフォンでオフィスと仕事の場面を十枚撮ってください。同意の書式はこちらで用意します。それで求人票と採用ページの初版を出します」と、あるもので進める担当者がいます。後者は、止まりません。

発注側にできるのは、「プロに頼む予算が付いたら」を待たず、「社内で撮れるものから」と担当者に言うことです。

写真以外の素材

素材は写真だけではありません。

役割の記述。 「何を決める役割か」「誰と働くか」「どこまで担うか」の文章は、写真より判断の材料になります。素材が無くても、文章は書けます。

社員の話(文章)。 顔写真が無くても、名前(または仮名)と役割と具体的な話があれば、素材になります。「入社して最初の三か月で何をしたか」「大変だったこと」「続けている理由」。聞き取りは三十分。

一日の流れ。 「ある社員の一日」を、時間ごとに文章で。写真が無くても、働き方が想像できます。

図。 組織の図、選考の流れの図、役割の関係の図。写真より、構造が伝わります。簡単な図は、社内で作れます。

数字。 社員数、拠点の数、平均の在籍年数など。自社の記録の数字だけを使い、出典を明記します。

短い動画。 スマートフォンで、オフィスを歩く三十秒、社員が仕事を一言で話す三十秒。編集は最小限。動画の公開も、写っている人の同意が要ります。

候補者からの質問と答え。 面接でよく聞かれる質問と、その答え。候補者が知りたいことが、そのまま素材になります。

写真が無いから採用ページが作れない、は成り立ちません。文章と図と数字で、初版は作れます。写真は、揃ったら足します。

プロに頼む範囲と頼み方

社内で撮れないもの、社内で撮った写真では足りないものは、プロに頼みます。範囲を絞ります。

プロに頼む価値があるもの。 採用サイトの一番目立つ場所の写真、社員の顔写真を揃えたい場合、印刷物に使う場合。

プロに頼まなくてよいもの。 普段のオフィス、仕事の場面、雰囲気。社内で撮った普段の写真のほうが、実態が伝わります。

頼むときに伝えること。 「候補者に実態を見せたい。演出は最小限に。普段の状態を撮ってほしい」。伝えないと、プロは「きれいに」撮ります。

撮る一覧を、先に渡す。 「オフィスの全景、会議の場面、顔写真を〇人、仕事の場面を三種類」。一覧が無いと、撮影の日に迷い、撮り漏れが出ます。

縦と横の両方を頼む。 媒体によって枠の形が違います。

写真の権利の扱いを、契約で確認する。 撮った写真を、どの用途に、いつまで使えるか。二次利用の可否。契約の条項は専門家に確認します。

費用は、範囲を絞れば抑えられる。 半日で、顔写真と主要な場面だけ、のように絞ります。全部をプロに、は要りません。

プロは、「社内で撮れないもの」を撮ってもらう相手です。「全部」を頼む相手ではありません。

素材の管理

撮った素材を、次に使えるように管理します。

管理すること
保存場所共有のフォルダに一か所。個人のスマートフォンや個人のフォルダに置かない
整理の単位「撮影日」と「種類(オフィス・仕事の場面・顔写真・雰囲気)」でフォルダを分ける
同意の記録写っている社員の名前と、同意の書面の保存場所を、写真ごとに一覧で
使用の記録どの写真を、どの媒体・サイトに、いつから使っているか
退職時の処理退職者が写っている写真を一覧から特定し、掲載先から外す
更新の頻度年に一度、古くなった写真を撮り直す。オフィスや社員が変わったら、その都度
管理者一人決める。人事か、採用代行の担当者

管理が無いと、次に使うときに「あの写真はどこにあるか」「使ってよいか」で止まります。撮ることより、管理することが、素材を資産にします。

外注する場合の範囲

素材の問題を、採用代行に出す場合の範囲です。

出せる工程。 候補者が見たい素材の整理と撮るものの一覧、社内で撮る場合の撮り方の案内、同意の書式の案(専門家の確認を経て)、社員の話の聞き取りと文章化、役割の記述と一日の流れと図の作成、写真が無い状態での採用ページと求人票の初版、プロに頼む範囲の整理と依頼の一覧、素材の管理の型の作成と運用。

社内に残す判断。 何を見せるかの決定、社員の写真の公開の可否、同意の取得、プロへの依頼と費用、写真の権利の契約。

外注の効きどころ。 素材の問題は、「何を見せたいか」の整理と、「無くても進める」判断の問題です。担当者が整理し、文章と図で初版を作り、社内で撮れるものの一覧を渡せば、「素材が無いから作れない」は無くなります。同意と管理の型も、担当者が用意できます。

外注しても動かない場合。 社内が「プロの写真が揃ってから」を譲らない、社員が写真の公開を全員拒む、同意の書式を整えない。社内の判断で、代行を替えても直りません。

素材は、「何を見せたいか」が決まれば揃います。外注は、決めることと、無くても進めることを速くする手段です。

エラベルの見解

担当する側から見ると、素材の相談で最も多いのは、「素材集の写真を使っている」ことです。媒体の会社紹介に、明らかに自社ではない、きれいなオフィスと笑顔の人の写真。候補者は、素材集の写真だと分かります。「実態を隠している」と受け取り、応募の前に離れます。

素材集の写真を外して、社内でスマートフォンで撮った普段のオフィスと仕事の場面に替えると、応募の質が変わります。「きれいではないが、本当の場所」が、候補者の判断の材料になります。

発注側にできるのは、素材集の写真を今日外すことです。空白のほうが、素材集よりましです。空白は、社内で撮った写真で埋めます。

まとめ

よくある質問

スマートフォンで撮った写真では、見劣りしませんか

候補者が見たいのは「きれいな写真」ではなく「実態が分かる写真」です。プロの演出の写真より、社内で撮った普段のオフィスと仕事の場面のほうが、判断の材料になることがあります。明るい時間帯に、窓の近くで、普段どおりの場面を数枚撮って選べば、十分です。目立つ場所の一枚だけプロに頼む、という組み合わせもあります。

社員が写真に写ることを嫌がります

強要しません。顔を出さない撮り方(後ろ姿、手元、遠景)を用意し、顔を出してよい人だけ顔写真を撮ります。社員の話は、顔写真が無くても、名前(または仮名)と役割と具体的な話があれば素材になります。同意は書面で、用途を明示し、取り下げに応じる旨を書いておけば、応じる人は増えます。全員が拒む場合は、オフィスと仕事の場面(顔が写らない)と、文章と図で作ります。

素材が揃うまで、採用ページを作るのを待つべきですか

待ちません。役割の記述、社員の話(文章)、一日の流れ、図、選考の流れで、初版は作れます。写真は、社内で撮ったものから足し、プロの写真は揃ったら差し替えます。「素材が揃ってから」を待つと、半年、一年と止まります。その間の応募と辞退が、素材の無さより大きい損失です。