採用代行 / 採用の課題
口コミサイトの評価が低い|消そうとせず、書かれている中身を分けて、直せるものを直し、面接で先に話す
口コミサイトに、自社の評価が載っている。点数は低く、「残業が多い」「評価が不透明」「上司による」といった書き込みが並ぶ。候補者は面接の前に見ていて、面接で「口コミにこう書かれていますが」と聞かれる。辞退の理由に「口コミを見て」と言われたこともある。結論を先に書くと、口コミの評価は消せません。消そうとするより、書かれている中身を「事実で直せるもの」「過去のもの」「見方の違い」「事実でないもの」に分け、直せるものを直し、直したことと直せないことを面接で先に話します。口コミに書かれていることを、自社から先に話す会社は、候補者から信用されます。スカウトの場面での向き合い方は口コミを見られる前提の設計に、代行の対応が口コミに書かれる話は代行の対応が口コミに書かれるリスクにまとめています。
口コミの評価が低い会社で起きていること
口コミの評価が低い会社では、次のことが起きています。
| 起きていること | 背景 |
|---|---|
| 応募の前に離れている | 求人を見た候補者が会社名で検索し、口コミを見て、応募しない。応募の数からは見えない |
| 面接で口コミについて聞かれる | 候補者は見ている。聞かれたときに面接官が動揺する、否定する、で不信になる |
| 辞退の理由になる | 内定の後に口コミを見て(または家族が見て)、辞退。理由を「口コミ」と言う人と、言わない人がいる |
| 社内が口コミを見ていない | 責任者も人事も、自社の口コミを読んだことが無い。候補者だけが読んでいる |
| 「消したい」「書き込みをやめさせたい」に気持ちが向く | 消せないものに時間を使い、直せるものに手が回らない |
| 書き込みの中身を分けていない | 「残業が多い」と「上司が怒鳴る」と「三年前の話」が、同じ重さで扱われている |
| 面接官が、口コミの内容を知らない | 聞かれても答えられず、「そんなことはない」と否定して、候補者の信用を失う |
口コミの評価は、候補者の判断の材料の一つです。材料を消すことはできませんが、材料の読み方を変えることはできます。
書き込みの中身を分ける
最初に、自社の口コミを全部読み、中身を分けます。
| 分類 | 例 | 向き合い方 |
|---|---|---|
| 事実で、いまも続いていて、直せるもの | 「残業が多い」「評価の基準が分からない」「研修が無い」 | 直す。直したことを面接で話す |
| 事実だが、過去のもので、いまは変わっているもの | 「三年前の上司の話」「旧オフィスの話」「制度の変更前の話」 | 変わったことを、事実で面接で話す |
| 事実だが、直せないもの、または直さないと決めたもの | 「給与が業界の平均より低い」「裁量が少ない役割がある」 | 隠さず、そのうえで自社を選ぶ理由を話す |
| 見方の違い | 「裁量が大きすぎて放置される」と「裁量が大きくて成長できる」が同じ事実 | 「こういう人には合わない、こういう人には合う」を面接で話す |
| 事実でないもの | 書き込みの内容が、事実と異なる | 運営側への対応(後述)。面接では事実を話す |
| 個人への攻撃、私的な内容 | 特定の人への攻撃、私的な事情 | 運営側への対応。面接では触れない |
分けると、「全部が悪い」ではなく、「直せるものが三つ、過去のものが二つ、見方の違いが一つ」のように見えます。分けることが、対処の始まりです。
分ける作業は、責任者と人事と、現場の責任者で行います。現場の責任者は、「これは事実」「これは違う」を判断できます。
直せるものを直す
「事実で、いまも続いていて、直せるもの」は、直します。
口コミは、退職者と現職者の声。 書かれていることは、社内で言えなかった不満です。採用の問題である前に、組織の問題です。直せば、採用だけでなく、定着も変わります。
直す優先順位は、書き込みの多さと、直しやすさで。 多く書かれていて、直しやすいものから。「評価の基準が分からない」なら、基準を書面にして社員に共有する。「研修が無い」なら、最初の一か月の予定を作る。
直したことを、社内に伝える。 直しても、社員が知らなければ、口コミは変わりません。「こういう声があったので、こう変えた」と、社員に伝えます。
直したことを、記録する。 いつ、何を、どう変えたか。面接で話す材料になり、次の口コミの変化と照らし合わせられます。
直せないと決めたものは、決めた理由を持つ。 「給与の水準は、いまの事業の状況では上げられない」と決めたなら、その理由を持ちます。面接で聞かれたときに、隠さず話せます。
制度の変更は、規程と法令に沿う。 評価の制度、労働時間の管理、研修の制度の変更は、社内の規程と法令に沿い、専門家に確認します。
直すことは、時間がかかります。ただ、直し始めたことは、面接で話せます。「直しました」でなくても、「こういう声があり、こう変え始めています」は、候補者に伝わります。
直せないものへの向き合い方
直せないもの、過去のもの、見方の違いには、向き合い方があります。
過去のものは、変わった事実を話す。 「三年前にそういう状況がありました。その後、上司が替わり、制度がこう変わりました」。過去を否定せず、変わったことを事実で。
直せないものは、隠さず、選ぶ理由を添える。 「給与の水準は、同じ職種の他社より低い場合があります。そのうえで、役割の裁量と、この事業に関わる意味を重く見る方に来ていただいています」。隠すと、入社後に不信になります。
見方の違いは、「合う人・合わない人」で話す。 「裁量が大きい分、放置されていると感じる人もいます。自分で決めて進めたい人には合い、細かい指示が欲しい人には合いません」。候補者が自分で判断できる材料にします。
口コミの点数は、点数として認める。 「点数は低いです」と認めたうえで、中身の分類を話します。点数を否定すると、候補者は「見ていないのか」「隠しているのか」と感じます。
他社と比べない。 「他社も同じような口コミがある」は、候補者には言い訳に聞こえます。自社の話だけをします。
向き合い方の要点は、「否定しない」「隠さない」「変わったことと変わらないことを分けて話す」の三つです。
エラベルの見解
相談で最も多い失敗は、「口コミを消そうとして、運営側に削除を求め続け、半年何も変わらず、その間に直せるものを何も直さなかった」というものです。削除は、事実でない書き込みや規約に反するものには可能性がありますが、事実の書き込みは消えません。半年後、口コミは同じで、候補者の離れ方も同じでした。最初に中身を分けて、「評価の基準が分からない」を基準の書面化で直し、「研修が無い」を一か月の予定で直し、面接で「こういう声があったので、こう変えました」と話し始めたら、辞退が減りました。
見ていて差がつくのは、担当者が「自社の口コミを全部読んで、分類して持ってくる」かどうかです。「口コミは気にしなくてよい」と言う担当者と、「読んで分類しました。直せるものが三つ、過去のものが二つ。面接で先に話す文を作りました」と持ってくる担当者がいます。後者は、口コミを面接の材料に変えます。
発注側にできるのは、担当者に「口コミを消したい」ではなく、「口コミを分類して、直せるものと、面接で話す文を作ってほしい」と依頼することです。
面接で先に話す型
口コミについて、候補者に聞かれる前に、自社から話します。
| 場面 | 話す型 |
|---|---|
| 一次面接の冒頭か終盤 | 「口コミサイトをご覧になったかもしれません。点数は低いです。書かれていることについて、こちらからお話しします」 |
| 直したもの | 「〇〇という声があり、△△を変えました。変えた後、社内ではこう変わっています」 |
| 過去のもの | 「〇〇は三年前の状況です。その後、こう変わりました」 |
| 直せないもの | 「〇〇は、いまも変わっていません。そのうえで、この役割を選ぶ理由はこうだと考えています」 |
| 見方の違い | 「〇〇は、合う人と合わない人がいます。〇〇な方には合い、△△な方には合いません」 |
| 候補者への問い | 「口コミを見て、気になったことがあれば、聞いてください。事実のとおりお答えします」 |
| 面接官への準備 | 口コミの分類と、話す型を、面接官全員に書面で渡す。面接官が知らない状態を無くす |
先に話すと、候補者は「この会社は隠さない」と受け取ります。聞かれてから答えると、「聞かれたから答えた」になります。同じ内容でも、順番で信用が変わります。
面接官への準備が要点です。一人の面接官が「そんなことはない」と否定すれば、他の面接官が先に話した信用が消えます。
社員に書いてもらう是非
「社員に良い口コミを書いてもらえば、評価が上がる」という考えがあります。
強要や指示は、避ける。 「良いことを書いてください」と指示する形は、社員の不信と、書き込みの不自然さを生みます。口コミサイトの規約に反する場合もあり、発覚すれば会社の信用を失います。規約は各サイトの公式の案内で確認します。
「書いてもよい」と伝えることは、できる。 「口コミサイトに、率直な意見を書いてもらって構いません」と伝えるのは、指示ではありません。良いことも悪いことも、率直に。
率直な口コミが増えれば、偏りは減る。 退職者の不満だけが書かれている状態に、現職者の率直な声が加われば、全体の見え方は変わります。ただし、それを目的に誘導しない。
直したことを社内に伝えることが、先。 直したことを社員が知り、実感すれば、書き込みは自然に変わります。書いてもらうことより、直すことです。
書き込みの内容に、会社が関与しない。 内容を確認する、修正を求める、は避けます。
社員の口コミは、会社が操作するものではなく、会社が変わった結果として変わるものです。
口コミサイトの運営側への対応
事実でない書き込み、個人への攻撃、私的な内容には、運営側への対応があります。
各サイトの規約と、申し立ての仕組みを確認する。 サイトごとに、削除や修正の申し立ての仕組みと、対応の基準があります。公式の案内で確認します。
事実でないことを、事実で示す。 申し立てには、「事実と異なる」ことの根拠が要ります。感情ではなく、事実で。
個人への攻撃や、私的な内容は、規約に反することが多い。 特定の社員への攻撃、私的な事情の書き込みは、規約で禁止されていることがあります。
事実の書き込みは、消えない前提で。 「残業が多い」が事実なら、消えません。消そうとする時間を、直すことに使います。
法的な対応が要る場合は、専門家に相談する。 名誉を毀損する内容、営業を妨害する内容など、法的な対応の可能性がある場合は、専門家に相談します。
企業からの返信の機能があるサイトでは、返信を検討する。 一部のサイトには、企業が口コミに返信できる機能があります。返信する場合は、否定ではなく、「ご指摘の点は、こう変えました」の形で。仕組みは各サイトの公式の案内で確認します。
運営側への対応は、事実でないものと、規約に反するものに限ります。事実の書き込みへの対応は、直すことと、面接で話すことです。
外注する場合の範囲
口コミの問題を、採用代行に出す場合の範囲です。
出せる工程。 自社の口コミの読み込みと分類、直せるものの整理と優先順位の案、直したことの記録の型、面接で先に話す文の作成、面接官向けの書面、候補者からの質問への答えの型、辞退の理由の記録(口コミが理由かどうか)、運営側への申し立ての整理(規約の確認と事実の整理)、企業からの返信の文案。
社内に残す判断。 直すかどうかの決定、制度の変更、直せないと決める判断、運営側への申し立ての決定、法的な対応、社員への伝え方。
外注の効きどころ。 口コミの分類は、社内の人が読むと感情が入り、「全部がひどい」か「全部が言いがかり」になりがちです。外部の担当者が読んで分類すると、「直せるものが三つ」のように冷静に分けられます。面接で先に話す文と、面接官向けの書面は、担当者が作れます。
外注しても動かない場合。 責任者が「口コミは言いがかり」を譲らない、直せるものを直さない、面接官が書面を読まない。社内の判断で、代行を替えても直りません。
口コミは、消せないものです。外注は、消せないものを、面接の材料に変える手段です。
エラベルの見解
担当する側から見ると、口コミの相談で最も多いのは、「責任者が自社の口コミを読んでいない」ことです。「口コミが悪いらしい」と人事から聞いて、読まずに「消せないのか」と言う。読めば、書かれていることの大半が、社内で言われていた不満と同じだと分かります。
読んで、分類して、直せるものを直す。それを面接で先に話す。この流れを回した会社は、口コミの点数が変わる前に、辞退が減ります。候補者は、点数より、「この会社は口コミにどう向き合っているか」を見ています。
発注側にできるのは、責任者が自社の口コミを全部読むことです。読まずに対処はできません。
まとめ
- 口コミが低いと応募の前に離れる・面接で聞かれる・辞退の理由になる・社内が読んでいない・消したいに向く・中身を分けていない・面接官が知らない
- 中身を直せるもの・過去のもの・直せないもの・見方の違い・事実でないもの・個人への攻撃に分ける。責任者と人事と現場で
- 直せるものは多くて直しやすいものから・社内に伝える・記録する・直せないなら理由を持つ・制度の変更は専門家に確認
- 直せないものは過去は変わった事実で・直せないものは隠さず選ぶ理由を添えて・見方の違いは合う人合わない人で・点数は認める・他社と比べない
- 面接では先に話す・直したもの・過去のもの・直せないもの・見方の違い・候補者への問い・面接官全員に書面
- 社員には強要しない・率直に書いてよいと伝える・直すことが先・内容に関与しない
- 運営側には規約と仕組みを確認・事実で示す・攻撃と私的な内容は規約・事実は消えない前提・法的な対応は専門家・返信は否定でなく変えたことを
- 外注できるのは読み込みと分類・整理・記録の型・面接の文と書面・申し立ての整理・返信の文案。社内に残るのは直す決定・制度・申し立てと法的な対応・社員への伝え方
よくある質問
口コミを削除してもらうことは、できますか
事実でない書き込み、個人への攻撃、私的な内容、規約に反するものは、各サイトの申し立ての仕組みで対応できる可能性があります。事実の書き込み(「残業が多い」が事実の場合など)は、消えない前提で向き合います。申し立ての仕組みと基準は各サイトの公式の案内で確認し、法的な対応が要る場合は専門家に相談します。削除に時間を使うより、直せるものを直し、面接で先に話すほうが、採用への効果は早いです。
面接で口コミについて聞かれたら、どう答えればよいですか
否定せず、隠さず、分類して答えます。「点数は低いです」と認め、「〇〇は直しました」「△△は三年前の状況で、いまはこうです」「□□はいまも変わっておらず、そのうえで選ぶ理由はこうです」。聞かれる前に自社から話すほうが、信用されます。面接官全員に、分類と話す型を書面で渡し、一人が「そんなことはない」と否定する状態を無くします。
社員に良い口コミを書いてもらうのは、効果がありますか
強要や指示は避けます。社員の不信と書き込みの不自然さを生み、規約に反する場合もあります。「率直な意見を書いてもらって構わない」と伝えることはできますが、内容に会社が関与しません。効果があるのは、直せるものを直し、直したことを社員に伝えることです。社員が変化を実感すれば、書き込みは自然に変わります。書いてもらうことより、直すことが先です。