採用代行 / 採用の課題

採用広報のネタが尽きた|「新しいネタ」を探すのをやめて、五つの問いを社員と候補者に繰り返し、実態から拾う

公開 2026-09-13

採用広報を始めて半年。社員のインタビューを一通り出し、オフィスの紹介も、福利厚生の説明も出した。次に何を出せばよいか分からない。「面白い企画」を考えようとして、社内で企画会議をしても、続かない。担当者は「ネタが尽きた」と言い、更新が止まった。結論を先に書くと、採用広報のネタが尽きるのは、「新しいネタ」を「企画」で作ろうとしているからです。企画は、いつか尽きます。ネタの源を「企画」から「実態」に変え、五つの問いを社員と候補者に繰り返せば、ネタは尽きません。会社の日々の実態は、毎月変わり、毎月ネタになります。SNSの発信は採用SNSで何を発信すればよいかに、広報とスカウトの関係は採用広報とスカウトの連携にまとめています。

ネタが尽きる構造

採用広報のネタが尽きるのは、次の構造で起きます。

構造起きていること
「企画」でネタを作っている「社員インタビュー」「オフィス紹介」「福利厚生」を企画として出し切ると、次の企画が無い
「面白さ」を追っている「バズる」「目を引く」を目指し、候補者が知りたいことから離れる。面白い企画は、尽きる
一度出したものは「終わり」と思っている「社員インタビューはやった」で、次を探す。同じ社員の三か月後の話は、別のネタ
実態を見ていない会社の日々に、何が起きているかを見ていない。見れば、毎月ネタがある
候補者の質問を、ネタにしていない面接や面談で聞かれることが、そのままネタなのに、拾っていない
担当者が一人で考えている一人の頭からは、尽きる。社員から拾う仕組みが無い
一つの素材を、一つの投稿にしか使っていない社員の話を一本の記事にして終わり。分けて、切り口を変えて、複数にできる
「完成した記事」を目指している一本ごとに完成度を求め、作るのが重く、続かない

構造の大半は、「企画」で作ろうとしていることです。「実態」から拾えば、尽きません。

ネタの源を「企画」から「実態」に変える

ネタの源を、変えます。

企画の源。 「次に何を出すか」を、担当者や会議で考える。「社員インタビュー」「オフィス紹介」「制度の説明」「イベントの報告」。一通り出すと、尽きる。

実態の源。 会社の日々に起きていることを、見て、聞いて、拾う。「今週、〇〇の役割で決めたこと」「〇〇さんが最近困ったこと」「先月と今月で変わったこと」「面接で聞かれたこと」。毎月変わり、尽きない。

実態の源が尽きない理由。 会社は動いています。新しい案件、新しい判断、新しい困りごと、新しい入社、新しい変化。動いている限り、実態は毎月ネタになります。

実態の源の弱点。 「面白くない」と感じること。ただし、候補者が知りたいのは「面白さ」ではなく「この会社で働くと、どういう日々か」です。実態は、候補者にとって面白いです。

企画を捨てなくてよい。 実態を源にしながら、たまに企画(イベント、対談)を足す。主は実態、従は企画。

源を変える要点は、「担当者が考える」から「社員と候補者から拾う」に変えることです。

五つの問い

実態からネタを拾う、五つの問いです。社員に、月に一度、繰り返し聞きます。

問い拾えるネタ候補者が知りたいこと
一、今月、自分で決めたことは何ですか役割の中身、裁量の実態、判断の場面「この役割で、何を決められるか」
二、今月、困ったことと、どう乗り越えましたか仕事の実態、相談の相手、会社の支え方「困ったとき、どうなるか」
三、今月、誰と一緒に仕事をしましたか一緒に働く人、チームの関係、社内外の相手「誰と働くか」
四、入社したときと比べて、変わったことは何ですか成長の実感、会社の変化、役割の広がり「ここで、どう成長するか」
五、候補者に、一つだけ伝えるなら何ですか社員の本音、会社の実態、良いところと大変なところ「本当のところ、どうか」

五つの問いの要点は、「毎月、同じ問いで、違う答えが出る」ことです。同じ社員に、三か月後に同じ問いをすれば、別の答えが出ます。社員が十人いれば、月に五十の答えがあり、その中から数本を投稿にします。

答えは、「用意された美談」ではなく、「その月の実際」です。「特に無い」と言われたら、「先週は何をしていましたか」と一段掘ります。

月に一度の聞き取りの型

五つの問いを、月に一度、社員に聞く型です。

項目
相手毎月、二〜三人。部署と役割を変えて、一年で全員に一巡
時間一人十分。長くしない。社員の負担を最小に
対面かオンラインで、担当者が聞く。書いてもらわない
問い五つの問いを、順に。「特に無い」なら、「先週は」「昨日は」と一段掘る
記録担当者がメモ。録音する場合は本人の同意
投稿への文章化担当者が、聞いた内容を投稿や記事にまとめる。社員に書かせない
本人の確認公開の前に、本人が確認。名前と顔の公開は書面の同意。取り下げに応じる
素材の保管聞いた内容を、共有の場所に。使わなかった答えも、後で使える
頻度の調整二〜三人で足りなければ増やす。足りていれば減らす

聞き取りの要点は、「十分」と「書かせない」ことです。社員に「記事を書いてください」と頼むと、負担で断られ、書けても用意された美談になります。担当者が聞いて、まとめます。

同じ社員に、三か月後にまた聞きます。「前回、〇〇に困っていると言っていましたが、その後どうなりましたか」。続きが、ネタになります。

エラベルの見解

相談で最も多い失敗は、「採用広報の企画を、担当者が一人で考え続けて、半年で『社員インタビュー全員分、オフィス紹介、制度紹介、イベント報告』を出し切り、『もうネタが無い』で止まった」というものです。企画で作っていたので、尽きました。五つの問いを、月に一度、二〜三人の社員に十分ずつ聞く形に変えたら、毎月数本の投稿が「その月の実態」から作れ、一年続きました。同じ社員の三か月後の話が、別のネタになりました。企画ではなく、実態でした。

見ていて差がつくのは、担当者が「企画会議」ではなく「聞き取り」をするかどうかです。「次の企画を考えましょう」と会議を開く担当者と、「毎月、社員二〜三人に五つの問いを十分ずつ聞いて、その中から投稿を作ります。企画会議は要りません」と、聞き取りを回す担当者がいます。後者は、尽きません。

発注側にできるのは、担当者に「企画」ではなく「毎月の聞き取りの時間(社員二〜三人、十分ずつ)」を渡すことです。

候補者の質問からネタを拾う

社員だけでなく、候補者からもネタを拾います。

面接や面談で聞かれたことを、記録する。 「働き方は」「一緒に働く人は」「最初の三か月は何を」「残業は」「リモートは」「評価は」。面接官と担当者が、聞かれた質問を記録します。

よく聞かれる質問が、そのままネタ。 「最初の三か月に何をするか」がよく聞かれるなら、「〇〇の役割の、最初の三か月」を投稿にします。候補者が知りたいことに、直接答える。

辞退の理由からも拾う。 「思っていたのと違った」の中身が、「実態を伝えられていないこと」です。それを投稿にします。

入社した人の「入社前に知りたかったこと」を聞く。 入社一か月の人に、「入社前に、これを知っていればよかったと思うことは」。それが、次の候補者が知りたいことです。

候補者の質問への答えを、「よくある質問」として蓄積する。 一度答えたことを、投稿と採用サイトの両方に。次の候補者は、聞く前に分かります。

質問が減ったら、効いている印。 面接で「働き方は」と聞かれなくなったら、投稿で答えられている証拠です。

候補者の質問の要点は、「候補者が知りたいことは、候補者が教えてくれる」ことです。担当者が想像するより、確かです。

一つの素材を複数に展開する

一つの聞き取りから、複数のネタを作ります。

元の素材展開
社員一人の十分の聞き取り「今月決めたこと」で一本、「困ったこと」で一本、「一緒に働いた人」で一本。三本
一つの案件の話「案件の流れ」「判断の場面」「関わった人」「学んだこと」。切り口を変えて複数
一枚の写真「仕事の場面」の投稿、「一緒に働く人」の投稿、採用サイトの素材、求人票の写真
経営者の一つの話「なぜこの役割が要るか」「今年取り組むこと」「候補者への一言」。短く分けて複数
面接でよく聞かれる一つの質問投稿で答える、採用サイトの「よくある質問」に載せる、求人票に一行足す
入社した人の一か月の話「入社前に知りたかったこと」「最初の一週間」「最初の一か月」。時期ごとに
長い記事短い投稿に分ける。逆に、短い投稿を集めて一本の記事に

展開の要点は、「完成した一本」を作らないことです。十分の聞き取りから、短い投稿を三本。それを月に二〜三人分。それだけで、月に十本近くの投稿ができます。

一つの素材を「一回使ったら終わり」にせず、切り口を変え、媒体を変え、時期を変えて使います。

外注する場合の範囲

採用広報のネタが尽きた問題を、採用代行に出す場合の範囲です。

出せる工程。 ネタの源を「実態」に変える設計、五つの問いの型、月に一度の社員への聞き取り(二〜三人、十分ずつ)の実施、聞き取りの記録と投稿への文章化、本人の確認と同意の取得の進行(書式は専門家の確認を経て)、候補者の質問の記録の型と面接官への共有、質問からのネタの抽出、一つの素材の複数への展開、月の投稿の予定、素材の保管の仕組み、採用サイトとSNSと求人票への配分、三か月ごとの振り返り(続いているか、候補者の質問が減ったか)。

社内に残す判断。 公開する内容の承認、社員の同意の取得、経営者の言葉、公開の範囲(顧客や取引先の情報)、聞き取りに応じる社員の指名。

外注の効きどころ。 採用広報のネタは、「担当者が一人で企画を考える」形で尽きます。担当者が毎月の聞き取りを回し、実態から拾い、複数に展開すれば、社内の負担は「社員が十分答える」と「内容を承認する」だけになり、尽きません。担当者は複数の会社の採用広報を見ているので、「候補者が反応する切り口」の型を持ち込めます。

外注しても動かない場合。 社員が聞き取りに応じない、責任者が「面白い企画」を求め続ける、実態を良く見せることを譲らない。社内の判断で、代行を替えても直りません。

採用広報のネタは、実態から拾えば尽きません。外注は、拾う仕組みを回す手段です。

エラベルの見解

担当する側から見ると、ネタが尽きる相談で最も多いのは、「面白くないと出せない」と思っていることです。「今月決めたこと」「困ったこと」を聞いても、「地味で、投稿にならない」と判断して、出さない。

候補者が知りたいのは、地味な実態です。「この会社で働くと、どういう日々か」。派手な企画より、「〇〇さんが今月、△△を自分で決めた」のほうが、候補者は「自分もこういう役割を担うのか」と想像できます。地味な実態が、採用広報の本体です。

発注側にできるのは、「面白いか」ではなく「候補者が知りたいことか」で、出すかどうかを決めることです。

まとめ

よくある質問

社員のインタビューは、全員分やってしまいました

同じ社員に、三か月後にまた聞きます。「前回、〇〇に困っていると言っていましたが、その後どうなりましたか」「今月、自分で決めたことは」。五つの問いは、毎月同じ問いで違う答えが出ます。「社員インタビュー」を「一人一回の完成した記事」と捉えると尽きますが、「毎月十分の聞き取りから、その月の実態を短い投稿に」と捉えれば、尽きません。同じ社員の変化の続きが、候補者にとっては「ここで働くと、こう変わる」の材料です。

地味な内容で、投稿にならない気がします

候補者が知りたいのは、「この会社で働くと、どういう日々か」です。「〇〇さんが今月、△△を自分で決めた」「□□に困って、◇◇さんに相談して乗り越えた」は、地味ですが、候補者は「自分もこういう役割を担うのか」「困ったときはこうなるのか」と想像できます。派手な企画より、地味な実態のほうが、面接で「見ました」と言われます。「面白いか」ではなく「候補者が知りたいことか」で判断します。

担当者が一人で、聞き取りの時間も取れません

月に二〜三人、一人十分なら、月に三十分です。聞き取りを採用代行の担当者に出す形もあります。担当者が聞いて文章にし、社内は本人の確認と承認だけ。「企画を考える時間」より、「聞き取りの三十分」のほうが、はるかに少ない時間でネタが集まります。面接で聞かれた質問を面接官が一行記録する仕組みも、担当者の時間を使わずにネタを集めます。