採用代行 / 比較・選び方
採用代行の種類|フル代行・部分代行・アドバイザリー
採用代行と一口に言っても、任せる範囲によって性質がまったく違います。同じ言葉で呼ばれているのに、担う工程も費用の出方も、自社に求められる関与の度合いも変わります。だから「採用代行を使うべきか」ではなく「どの形が自社に合うか」で考えるほうが判断が進みます。この記事では三つの形に分けて整理します。
三つの形
| フル代行 | 部分代行 | アドバイザリー | |
|---|---|---|---|
| 担う範囲 | 母集団形成から選考支援まで | 特定の工程だけ | 設計と助言 |
| 実行 | 代行 | 代行 | 自社 |
| 自社の関与 | 判断と面接 | 依頼した工程以外すべて | 実行のすべて |
| 費用の性質 | 月額が中心、金額は大きい | 範囲に応じる | プロジェクトまたは期間 |
| 立ち上げ | 長い | 短い | 短い |
| 蓄積 | 代行側に溜まりやすい | 分散する | 自社に残る |
この三つは、費用の大小ではなく「実行を誰がやるか」で分かれています。フル代行と部分代行は実行を代行が担い、アドバイザリーは自社が担います。
そして、自社の関与はフル代行でもゼロにはなりません。合否の判断、面接、条件の提示は自社が持ちます。ここは形にかかわらず変わりません。切り分けは採用代行とはにまとめています。
フル代行が向く状況
採用の工程を広く任せる形です。要件の整理、媒体の選定と運用、スカウト、応募者対応、日程調整、書類の一次仕分け、レポート。
向くのは次の状況です。
- 社内に採用の専任がいない
- 募集職種が複数あり、継続的に採る
- 採用の設計から相談したい
- 社内に成果物を判断できる人がいない
注意する点は二つです。一つは、範囲が広いぶん立ち上げに時間がかかること。要件の共有から始めるので、成果が出るまでの期間が長くなります。
もう一つは、蓄積が代行側に溜まりやすいことです。判断も運用も外で行われるため、意識して設計しないと社内に何も残りません。残す方法は採用ノウハウを社内に残す契約の作り方にまとめています。
部分代行が向く状況
特定の工程だけを切り出す形です。スカウトの送信だけ、日程調整だけ、応募者対応だけ。
向くのは次の状況です。
- 社内に採用担当がいて、手だけが足りない
- 特定の工程に業務量が集中している
- 要件も母集団の作り方もすでに決まっている
- 小さく試してから広げたい
立ち上げが短く、費用も抑えられます。成果も測りやすい。判断が絡む工程を社内に残せるので、蓄積も残りやすくなります。
注意する点は、切り出した工程の前後との連携です。スカウトの送信だけを任せると、返信への対応や条件の見直しが分断されます。受け渡しの設計を決めておく必要があります。
エラベルの見解
三つのうちどれを選ぶかは、自社に何があって何がないかで決まります。手が足りないのか、設計ができないのか。この二つは別の不足です。
手が足りないだけなら、部分代行が噛み合います。要件も進め方も決まっているので、必要なのは処理量です。判断を社内に残したまま、量のある工程だけを外に出せます。
設計ができないなら、フル代行かアドバイザリーになります。ここで分かれるのは、実行の手が社内にあるかどうかです。設計してもらっても実行する人がいないなら、フル代行。実行する人はいるが方向が定まらないなら、アドバイザリー。
よくある失敗は、手が足りないだけの会社がフル代行を選ぶことです。すでに決まっていることを再確認する工程が入り、費用も期間も余分にかかります。逆に、設計ができない会社が部分代行を選ぶと、何を頼めばよいか分からないまま時間が過ぎます。
だから、見積もりを取る前に「自社に足りないのは手か、設計か」を確認してください。ここが決まれば、選ぶ形はほぼ決まります。
アドバイザリーが向く状況
設計と助言を受け、実行は自社が担う形です。診断、採用計画の設計、要件の整理、選考フローの組み立て。
向くのは次の状況です。
- 実行する人は社内にいるが、進め方が定まらない
- 採用がうまくいかない原因が特定できていない
- 社内の合意形成に第三者の視点が要る
- ノウハウを社内に残したい
成果物は納品物として残ります。期間にも区切りがあり、費用も読みやすい。
注意する点は、実行の担い手を同時に決めておくことです。設計はできても、実行する人がいなければ棚に残ります。扱いは採用コンサルティングとの違いにまとめています。
組み合わせと移行
三つは排他ではありません。実務では組み合わせや移行が起きます。
アドバイザリーからフル代行へ。設計を受けたが実行の手がない、と分かった場合。同じ相手が実行まで担うなら、意図が正確に伝わります。
フル代行から部分代行へ。社内に採用担当が入った、運用が固まってきた。範囲を絞って費用を下げる移行です。
部分代行を広げる。一工程で相性を見てから、範囲を広げる。最も無理のない進め方です。
部分代行から内製へ。運用が文書として残っていれば移行できます。手順は内製に戻すときの手順にまとめています。
移行を前提に契約を作っておくと、状況が変わったときに動けます。範囲の変更や稼働量の調整ができる条項を置いておきます。
呼び名に惑わされない
会社によって、これらの呼び方は違います。「フル代行」と書かれていても範囲が狭いことがあり、「部分代行」でも実質は広いことがあります。
確認するのは呼び名ではなく、工程の一覧です。
- 母集団形成(媒体運用、スカウト、紹介会社の管理)
- 応募者対応(事務連絡、書類の受付)
- 日程調整
- 書類の一次仕分け
- 選考の進行管理
- レポートと分析
- 要件の整理、選考設計
この七つのうち、どれが含まれるかを聞けば、呼び名にかかわらず範囲が分かります。見積もりの読み方は見積もりの読み方にまとめています。
エラベルの見解
形を選ぶときに、もう一つ考えてほしいのが「誰が担当するか」との関係です。
同じフル代行でも、設計から入れる担当者と、決まったことを回す担当者では結果が変わります。部分代行でも、量を出せる担当者と、判断を任せられる担当者は違います。
つまり、形を決めることと、担当者を確認することはセットです。フル代行を選んだのに、実際に入るのが処理型の担当者なら、設計は進みません。部分代行で量を求めているのに、提案ばかりが出てくる担当者だと噛み合いません。
だから、形を決めたらその形に合う経験を持つ人かを確認してください。フル代行なら要件の整理から担当した経験、部分代行ならその工程の処理量、アドバイザリーなら設計の実績。
会社の分類より、その人が何をやってきたかのほうが結果に効きます。エラベルが担当者を選べる形にしているのはこのためですが、この形を使うかどうかとは別に、確認する価値はあります。
まとめ
- 三つは費用の大小ではなく、実行を誰がやるかで分かれる
- フル代行は、専任がいない・複数職種・設計から相談したい場合に向く
- 部分代行は、手だけが足りない場合に向く。立ち上げが短く蓄積も残りやすい
- アドバイザリーは、実行する人が社内にいる場合に向く
- 選ぶ基準は「自社に足りないのは手か、設計か」
- 三つは排他ではない。組み合わせと移行を前提に契約を作る
- 呼び名ではなく、工程の一覧で範囲を確認する
- 形を決めることと、その形に合う担当者を確認することはセット
よくある質問
フル代行なら採用担当が不要になりますか
なりません。合否の判断、面接、条件の提示は自社が持ちます。あわせて、代行との定例会や確認への回答も発生します。フル代行でも社内の関与はゼロにならないので、その時間を見込んでおいてください。判断が遅れると、範囲を広く任せても採用は進みません。
部分代行から始めて広げられますか
最も無理のない進め方です。一工程で相性と質を見てから範囲を広げる。この場合、契約に範囲を変更できる条項があるかを確認しておいてください。あわせて、広げるときに稼働量と費用がどう変わるかも聞いておきます。
どの形が一番安く済みますか
範囲が狭いほど費用は下がりますが、社内で持つ工程が増えます。総額で比べるなら、社内の時間を金額に換算して足してください。手順は採用代行の費用の内訳にまとめています。範囲を狭めるときは、外した工程を誰が持つかを先に決めます。