シリーズAスタートアップが払える採用代行費用の目安|調達した資金の採用計画から逆算し、社内の採用担当と比べる
シリーズAの資金調達を終えたスタートアップは、調達した資金で事業を伸ばすために、短い期間で人を増やす段階に入ります。投資家に示した計画には、多くの場合、いつまでに何人を採るかが含まれています。採用が計画より遅れれば、事業の計画も遅れます。この段階で採用代行(RPO)にいくらまで払えるかは、ほかの会社の相場ではなく、自社の採用計画から決まります。結論から書くと、シリーズAの採用代行の費用は、調達した資金の使い道のうち採用計画の人数と時期から採用費の予算を逆算し、社内に採用担当を置く場合の費用と並べて決めると判断しやすくなります。
採用代行の料金は会社や業務の範囲によって大きく異なり、公的な統計もないため、この記事では相場の金額は扱いません。自社の計画から予算を出す手順を書きます。シリーズAで代行をどう使うかはシリーズAスタートアップの採用代行の使い方で書いています。
この段階で採用に割ける時間
シリーズAでは、採りたい人数が一気に増える一方で、採用を専任で担う人がまだいないことがよくあります。創業者や事業の責任者が、事業を伸ばす仕事と並行して、何人もの候補者と会うことになります。採用の件数が増えるほど、日程の調整や連絡、記録の作業が積み上がり、本来の仕事の時間を圧迫します。
この段階で採用代行に期待されるのは、件数が増えた作業を受け持ち、創業者や責任者が面接と判断に集中できるようにすることです。費用の予算も、この作業の量と、採用計画の人数から考えます。
採用計画から予算を逆算する
シリーズAの採用費の予算は、次の手順で出せます。
- 採用計画を職種ごとに並べる:次の資金調達までに、どの職種を何人、いつまでに採るかを並べる
- 職種ごとの採りにくさを分ける:エンジニアや経験のある営業の責任者など採りにくい職種と、比較的採りやすい職種に分ける
- 経路ごとの1人あたりの費用を見込む:人材紹介、スカウト、採用代行など、使う経路ごとに1人あたりの費用を見込む
- 合計して予算にする:職種ごとの人数 × 1人あたりの費用を合計し、調達した資金の使い道の中に置く
この計算をすると、採りにくい職種ほど1人あたりの費用が大きく、予算の多くを占めることが分かります。予算の中で計画の人数に届かないなら、経路の組み合わせを変えるか、計画の人数や時期を見直す必要があります。人材紹介を使う場合、職業安定法第32条の3により、有料職業紹介事業者の手数料は、厚生労働省令で定める種類・額か、届け出た手数料表に基づくものに限られています。採用者の年収に割合を掛ける形が多いため、採りにくい職種を紹介だけで採ると、予算を早く使い切ります。
エラベルの見解
シリーズAの会社からの相談で多い失敗は、採用計画の人数を満たすことを急ぎ、要件をゆるめて採ることです。投資家に示した計画に間に合わせようとすると、合うかどうかの見極めが甘くなり、入社後に立ち上がらない人や早く離れる人が出ます。そうなると、採用費に加えて、教える時間と、もう一度探す費用がかかります。
担当者を選ぶときは、人数を集める力だけでなく、職種ごとに「この段階で要る人」の像を責任者と一緒に言葉にし、その像に合う人を選べる人かどうかを見てください。計画の人数に少し届かなくても、合う人を採るほうが、次の資金調達までに事業を伸ばすうえでは近道になります。
社内に採用担当を置く場合と比べる
シリーズAでは、社内に最初の採用担当を置くか、採用代行に任せるかを考える時期でもあります。比べるときは、次の点を並べてください。
| 比べる点 | 社内に採用担当を置く | 採用代行に任せる |
|---|---|---|
| 費用 | 給与と社会保険料などの会社負担が毎月かかる | 任せる範囲と料金の形による |
| 立ち上がり | 採用担当を採るところから始まる | 契約後すぐに動ける |
| 社内に残るもの | 採用の型と候補者とのつながりが残る | 記録の残し方を決めないと残りにくい |
| 量の増減 | 人数の増減に合わせにくい | 範囲を広げたり狭めたりしやすい |
採用担当を採るにも時間がかかるため、まず採用代行で計画の採用を進めながら、記録と型を社内に残し、その間に社内の採用担当を探す、という組み合わせもあります。採用代行に任せる場合は、候補者の記録や面接の評価を社内の環境に残すことを契約で決めておいてください。
料金の形を選ぶ
シリーズAでは、採用が途切れなく続くようになるため、固定の月額の形が合い始めます。ただし、月額の形で複数の職種を任せる場合は、採りやすい職種の作業に担当者の時間がとられ、採りにくい職種が後回しになることがあります。職種ごとの優先順位と、月にどの職種にどれだけ時間を使うかを、契約の前に決めてください。採りにくい職種だけは、採用が決まったときに払う形で別に頼む、という組み合わせも考えられます。
エラベルの費用は、採用が決まったときに1名につき10万円(税別)です。採用が決まらなければ費用はかかりません。採りにくい職種を別に頼む場合などに、比べる選択肢の一つにしてください。
人数が増える段階で整える決まり
人数が増えるシリーズAでは、会社のルールの整備も採用と並行して進める必要があります。労働基準法第89条は、常時十人以上の労働者を使用する使用者に、就業規則を作成し、行政官庁に届け出ることを求めています。同法第90条は、就業規則の作成や変更について、労働者の過半数で組織する労働組合などの意見を聴かなければならないと定めています。採用が進んで十人を超える前に、準備を始めてください。
求人や労働条件の伝え方にも決まりがあります。労働基準法施行規則第5条は、労働契約を結ぶときに明示する事項として、就業の場所と従事すべき業務に関する事項を挙げ、そこに変更の範囲を含むとしています。職業安定法第5条の4は、労働者の募集を行う者や募集受託者などが広告などで募集に関する情報を提供するときに、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示をしてはならないと定めています。事業の変化が速い段階だからこそ、仕事の範囲が変わりうることを、求人と労働条件の明示の段階で正確に伝えてください。個別の判断は社会保険労務士・弁護士にご確認ください。
エラベルの見解
もう一つ見てほしいのは、シリーズAの採用費は、面接官の基準のばらつきで膨らむということです。採用の件数が増えると、創業者だけでなく、事業の責任者やエンジニアのリードも面接に出るようになります。面接官ごとに見ている点が違うと、合う人を落とし、合わない人を採ることが起き、採用の回数と費用が増えます。
採用代行に任せるときは、職種ごとに面接で見る点を一枚にまとめ、面接官の間でそろえてください。担当者はその一枚に沿って候補者に事前の案内をし、面接の記録をまとめます。基準をそろえることは、採用の速さと質の両方を上げ、予算の中で計画の人数に近づける手立てになります。
まとめ
- シリーズAの採用代行の費用は、採用計画の人数と時期から予算を逆算して決める
- 採りにくい職種ほど1人あたりの費用が大きく、予算の多くを占める
- 社内に採用担当を置く場合と、費用・立ち上がり・社内に残るものを並べて比べる
- 月額の形が合い始めるが、職種ごとの優先順位と時間の配分を契約前に決める
- 常時十人以上で就業規則の作成・届出が要るため、採用と並行して準備する
よくある質問
シリーズAの採用代行の費用の相場はいくらですか
採用代行の料金は、任せる業務の範囲や料金の形によって大きく異なり、公的な統計もないため、一律の相場はお伝えできません。採用計画から予算を逆算し、その範囲で同じ業務範囲の見積もりを比べてください。エラベルの場合は、採用が決まったときに1名10万円(税別)です。
最初の採用担当はいつ採るべきですか
採用の件数が途切れなく続き、創業者や責任者の時間が採用で大きく削られているなら、採る時期に来ています。採用担当を採るにも時間がかかるため、それまでの間は採用代行で計画の採用を進め、記録と型を社内に残しておくと、採用担当が入ったときに引き継ぎやすくなります。
採用計画に届かないときはどうすればよいですか
まず、職種ごとにどこで止まっているか(応募が少ないのか、選考で落ちているのか、内定後に辞退されているのか)を確かめてください。止まっている段階によって、経路を変える、面接の基準をそろえる、条件を見直すなど、打つ手が変わります。計画の人数や時期そのものの見直しも、選択肢に入れてください。
本記事は 2026-10-16 時点の公開情報にもとづいて作成しています。
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