採用代行 / シリーズAスタートアップ
シリーズAスタートアップが採用代行で失敗するパターン
ここでいうシリーズAスタートアップは、十数名から三十名ほどで、創業メンバー以外の「最初の十人」を初めて本格的に採る段階の会社です。専任の人事はおらず、創業者が求人票を書き、スカウトを打ち、面接をし、条件を決めています。事業は形になり始めたところで、要件は事業と一緒に動き、役割は固まっていません。知名度はなく、条件は現金が弱く、経路は創業者の知人とリファラルが中心で、投資家に出した採用の計画があり、採用が創業者の時間を食っています。この状態で採用代行を使うと、シード期にもシリーズB以降にも起きない失敗の形が出ます。結論を先に書くと、シリーズAの失敗は「創業者にしかできないことと、創業者でなくてよいことを分けずに、代行に出す」ことから起きます。要件は事業と一緒に動くのに固定して渡し、創業者の名前と熱量で動いていた経路を代行に丸ごと移し、口説きまで代行に出し、最初の十人なのに数を急ぎ、資金の波に合わない契約を結ぶ。この五つが重なると、代行は動いても返信が消え、来ても冷め、決まっても文化がぶれます。代行に出す前に、「要件を今の三か月で書き、変わる前提を伝える」「創業者の名前と言葉は残し、手を代行に出す」「口説きは創業者が持つ」「最初の十人は一人ずつ決める」「資金の波に合わせた契約の形にする」の五つを決めておけば、失敗の大半は避けられます。この記事では、五つのパターンを、症状・原因・先に打つ手の順に整理します。次の段階の失敗はシリーズB以降のスタートアップが採用代行で失敗するパターンに、スタートアップに噛み合う代行の条件はスタートアップに向く採用代行の条件に、代行の全体像は採用代行(RPO)とはにまとめています。
失敗のパターン一:役割が固まっていない人を「何でもできる人」で募集して、探せない
症状。創業者が「事業がまだ動くので、何でもできる人がほしい」と言い、求人票は「ビジネスサイド全般」「ゼロイチが好きな人」で埋まる。代行は誰を探せばよいか分からず、広く集めて、面接で創業者が「違う」と言う。来ても、入ってから役割が変わり、「聞いていた仕事と違う」で辞める。代行は「要件が決まらないと探せない」と言い、創業者は「決められないのが今の段階だ」と言う。
原因。シリーズAでは要件が事業と一緒に動くことは事実で、固定できないのが実態です。ただ、「固定できない」と「書けない」は違います。今の三か月でやってほしいことは書けるのに、「何でもできる人」で済ませると、代行は探す軸を持てません。
先に打つ手。要件を「半年後」ではなく「今の三か月でやってほしいこと三つ」で書き、「三か月後に変わる可能性がある」と候補者にも代行にも伝えます。変わる前提を隠さずに伝えると、変わることを面白がる人が残ります。三か月ごとに要件を書き直す場を創業者と代行で持ち、書き直したら求人票とスカウトの文面も直します。「何でもできる人」ではなく「今はこの三つ、変わることを一緒に楽しめる人」にします。要件の作り方は採用要件の定義は代行に出せるかに、要件が変わり続ける失敗は急成長フェーズの会社が採用代行で失敗するパターンに、ジョブディスクリプションはジョブディスクリプション作成は代行に出せるかに整理しています。
失敗のパターン二:創業者の名前と熱量で打っていたスカウトを代行に移して、返信が消える
症状。これまで創業者が自分の名前で、自分の言葉で、一通ずつ書いてスカウトを送り、返信が来ていた。時間がなくなり、代行に「同じように送ってほしい」と頼む。代行は創業者の名前を借りて、型の文面で送る。返信が消える。創業者は「代行の文面が響かない」と言い、代行は「知名度がないから返信が来ない」と言う。
原因。返信が来ていたのは、知名度ではなく、創業者本人が書いた言葉と熱量が候補者に伝わっていたからです。それを代行の型の文面に置き換えると、候補者には「代筆」と分かります。創業者の「名前」ではなく「言葉」が効いていたのに、名前だけを借りました。
先に打つ手。創業者の言葉を「型」として残します。「なぜこの事業をやっているか」「今、何が起きていて、なぜ人が要るか」「どんな人と働きたいか」を、創業者が一度だけ書き、それを文面の核にします。代行が持つのは、候補者の抽出(「誰に送るか」の基準は創業者)、核に候補者ごとの一文を足すこと、送信、追客、日程です。返信への最初の返事は創業者が短く返す形にすると、熱量が保たれます。返信率より、返信のうち面接に進んだ比率で見ます。スカウトの文面はスカウト文面の作成は代行に出せるかに、スカウトの送信はスカウトの送信は代行に出せるかに、知名度の問題は知名度がなくて応募が集まらないに書いています。
エラベルの見解
同じ料金・同じ業務範囲でも、シリーズAで結果が分かれるのは、担当者が「創業者にしかできないことを、創業者に残す設計」を作れるかどうかです。パターン一と二は、どちらも創業者が持っていたもの(事業と一緒に動く要件の感覚、自分の言葉の熱量)を、代行に丸ごと渡そうとして失われたことから起きています。相談で見ていると、うまくいく担当者は、契約の前に創業者に「今の三か月で、この人に何をしてほしいですか」「これまでのスカウトで、どの一文に返信が来ましたか」と聞き、創業者の言葉を核として残し、抽出と送信と追客と日程だけを引き取り、三か月ごとに要件を書き直す場を持っています。創業者の時間は、口説きと最終の面接と三か月ごとの書き直しだけになります。
契約の前の面談で「創業者の方のスカウトで、返信が来た文面を見せてください。その言葉を残します」と言う担当者と、「弊社の文面の型で送ります」と言う担当者では、返信のうち面接に進む比率が違います。エラベルでは、依頼側が担当者の経歴を見て選ぶ仕組みなので、創業者の言葉を残して手だけを引き取ってきた担当者を、最初から選べます。
失敗のパターン三:創業者しかできない口説きまで代行に出して、候補者が冷める
症状。創業者が忙しくなり、「事業の説明も、候補者の背中を押すのも、代行にやってほしい」と頼む。代行はカジュアル面談で事業を説明し、候補者を口説こうとするが、候補者は「創業者に会えないのか」と感じて冷める。面接に進んでも、創業者が最後に短く会うだけで、候補者は「この会社の熱量が分からない」と辞退する。
原因。シリーズAで候補者が入る理由は、事業と創業者です。知名度も条件も弱い段階で、候補者は「この人と働きたいか」で決めます。口説きを代行に出すと、候補者が最も見たいものが見えなくなります。代行は事業を説明できますが、創業者の代わりにはなれません。
先に打つ手。創業者が持つのは「口説き」と「最終の判断」だけに絞り、その二つは出しません。代行が持つのは、口説きの「前」(候補者の抽出、最初の接点、日程、事業の基本の説明の一枚、候補者の迷いの聞き取り)と「後」(条件の書面、内定の後の連絡、入社までの一覧)です。創業者の口説きの時間を週に固定し、代行がその枠に「口説く価値のある候補者」だけを入れます。カジュアル面談は代行が一次の接点として持ち、「創業者と話す価値がある」と判断した候補者を創業者の枠に入れる形にします。カジュアル面談はカジュアル面談は代行に出せるかに、条件の伝え方は条件提示・オファー面談は代行に出せるかに、内定辞退が続くときは内定辞退が続くときに見直す3点に整理しています。
失敗のパターン四:最初の十人の一人を、数を急いで妥協して文化がぶれる
症状。投資家に出した計画と事業の忙しさで「早く採らないと」となり、代行が集めた候補者のうち「悪くない」人を採る。入ってみると、初期のメンバーと働き方が合わず、小さい組織なので影響が全員に及ぶ。次に採る人の基準も「あの人と合う人」でずれ、最初の十人の文化が、創業者が思っていたものからぶれていく。
原因。最初の十人は、後から入る百人の「文化の定義」になります。一人の重みが後の段階より大きいのに、数を急ぐ判断は後の段階と同じ「枠を埋める」形になりがちです。代行は数を出すことはできても、「この一人でよいか」の重みは持てません。
先に打つ手。最初の十人は「一人ずつ決める」と、創業者と代行で最初に決めます。数の目標ではなく、「この一人が、次の十人の基準になってよいか」で判断します。見送りの理由を「なんとなく」で終わらせず、「何をした(しなかった)から」で残し、次の基準にします。初期のメンバーが候補者に会い、「一緒に働けそうか」を一言で言う工程を入れます。急ぐ場合は、正社員ではなく業務委託や副業で一緒に働いてから決める形も、この段階では現実的です。評価の言語化は評価基準が言語化できていないに、数を追って質が崩れる失敗は急成長フェーズの会社が採用代行で失敗するパターンに、業務委託からの採用は業務委託で入ってもらってから採用するに書いています。
失敗のパターン五:資金の状況で採用を止めても、契約だけが残る
症状。調達の後に代行を月額で契約したが、事業の数字と資金の状況で「今は採用を止める」となる。代行の契約は残り、動いていない月額を払う。再開しようとしたときには、代行の担当者が別の案件に移っていて、また最初からになる。創業者は「代行は無駄だった」と感じる。
原因。シリーズAの採用は、資金と事業の状況で止まったり動いたりします。後の段階の会社向けの月額の固定の契約は、この波に合いません。契約の形を最初に考えず、「月額いくら」で決めています。
先に打つ手。契約の前に、「採用を止めることがある」と代行に伝え、「候補者がいるときだけ動く」「期間を区切る」「止めるときと再開するときの手順」を契約に入れます。止めるときに、要件の紙、創業者の言葉の型、候補者の記録、スカウトの返信の傾向を、社内の共有の場所に残す形にしておき、再開のときは同じ担当者に戻ってもらえるかを聞きます。「動いていない月に払わない」形が取れない代行は、この段階には合いません。契約の形はスタートアップに向く採用代行の条件に、月額と成果報酬の違いは採用代行は月額型と成果報酬型のどちらが得かに、やめる判断は採用代行をやめる判断のタイミングに整理しています。
エラベルの見解
これをやる前に、先に決めておかないと効果が出ないことがあります。それは、代行と契約する前に、創業者が「自分にしかできないこと」を三つに絞ることです。「口説き」「最終の判断」「三か月ごとに要件を書き直すこと」の三つで、それ以外(抽出、送信、追客、日程、記録、事業の基本の説明、条件の書面、入社までの一覧)は代行に出せます。五つのパターンは、全部この線が引かれていないことから起きています。探せない失敗は要件の書き直しを創業者が持っておらず、返信が消える失敗は言葉まで渡し、冷める失敗は口説きまで渡し、ぶれる失敗は最終の判断を数に譲り、契約が残る失敗は資金の波を契約に入れていないからです。
線を引くのに要るのは、創業者の時間で一度だけ、半日です。「今の三か月でやってほしいこと三つ」「これまで返信が来たスカウトの一文」「口説きの枠を週にいつにするか」「最初の十人を一人ずつ決めると宣言すること」「止めるときと再開するときの手順」を決めれば、代行はその外側で動けます。エラベルでは、依頼側が担当者を選べるので、契約の前の面談で「創業者の方には、口説きと最終の判断と要件の書き直しだけ残しましょう」と言ってくる担当者を選べます。
まとめ
- シリーズAの失敗は、創業者にしかできないことと、創業者でなくてよいことを分けずに、代行に出すことから起きる
- パターン一は要件。「何でもできる人」ではなく「今の三か月でやってほしいこと三つ」で書き、変わる前提を伝え、三か月ごとに書き直す
- パターン二は言葉。創業者の言葉を型として残し、抽出と送信と追客と日程だけを代行に出す。返信への最初の返事は創業者が短く返す
- パターン三は口説き。口説きと最終の判断は創業者が持ち、代行はその前と後を持つ。創業者の枠に「口説く価値のある候補者」だけを入れる
- パターン四は一人の重み。最初の十人は一人ずつ決め、見送りの理由を行動で残して次の基準にする。急ぐなら業務委託や副業から
- パターン五は契約の形。資金の波を契約に入れ、止めるときに残すものと再開の手順を決める
よくある質問
創業者の時間を減らしたくて代行を入れるのに、口説きも要件の書き直しも残すのでは減りません
減るのは、口説きと最終と書き直し以外の全部です。創業者が今使っている採用の時間を書き出すと、多くは抽出、送信、返信への対応、日程の往復、事業の同じ説明の繰り返し、条件の書面、入社の手続きの案内で、口説きそのものは一部です。その一部だけを残し、しかも枠を週に固定して「口説く価値のある候補者」だけを入れる形にすると、創業者の採用の時間は減り、口説きの密度は上がります。人事が一人もいない会社の順番は従業員十名以下の会社の採用代行に、体制の作り方はシリーズAスタートアップの採用体制の作り方に整理しています。
条件が現金では弱く、株式報酬で語りたいのですが、代行は語れますか
代行は語らない形にします。株式報酬は制度の設計と税務の扱いが会社ごとに違い、面接で口頭で語ると候補者の期待とずれます。創業者が「事業と、この人と働きたい理由」で口説き、条件は書面で、株式報酬がある場合は専門家の確認を経た内容だけを条件提示の段階で伝えます。現金の給与の幅は、弱くても先に決めて代行に渡し、「幅の中でこの職種に何ができるか」を候補者に正直に伝えるほうが、辞退が減ります。株式報酬の設計と税務は専門家に確認してください。条件の伝え方は条件提示・オファー面談は代行に出せるかに、内定辞退の理由は内定辞退の理由を正しく集める方法に書いています。
投資家に出した人数に届きません。代行を増やせば届きますか
代行を増やしても、創業者の口説きの枠と最終の判断の時間は増えないので、届く数は創業者の枠で決まります。届かせるには、創業者の枠に入る候補者の質を上げる(抽出の基準と言葉の型を直す)か、最初の十人の一人ずつを決めた後の「次の十人」を、初期のメンバーが一次を持つ形に移して創業者の枠を空けるか、のどちらかです。人数の計画は「今の三か月の要件」に分けて、要件が書けた分から動かし、投資家には「どの枠が動いていて、どの枠は要件を作っている段階か」で説明します。急な増員への対応は急な増員要請に対応できないに、次の段階の体制はシリーズB以降のスタートアップの採用体制の作り方に、規模と代行の相性は会社規模と代行会社の相性に整理しています。