採用代行 / シリーズB以降のスタートアップ
シリーズB以降のスタートアップが採用代行で失敗するパターン
ここでいうシリーズB以降のスタートアップは、資金調達を経て事業を広げる段階に入り、採用を数十名から百名を超える規模へ一気に増やし、創業者が全員に会う形が限界になり、初めて採用チームを作り、職種がエンジニアとセールスとカスタマーサクセスとコーポレートに分かれ、リファラルだけでは足りなくなり、投資家に出した採用の計画がある会社です。この状態で採用代行を使うと、シード期にも急成長一般にも起きない失敗の形が出ます。結論を先に書くと、シリーズB以降の失敗は「創業者が全員に会って決めていた採用を、仕組みに移す途中で、代行だけが先に動く」ことから起きます。人数は調達の計画で決まっているが要件はなく、創業者の枠は限界なのに全員に会い続け、カルチャーは言葉になっておらず、条件の枠組みはなく、採用チームはまだ立ち上がっていません。この五つが重なると、代行は集めても創業者の枠で止まり、決まっても条件で社内がずれ、採用チームは代行なしで動けないまま育ちます。代行に出す前に、「人数を要件に変える」「創業者の枠を絞る」「カルチャーを見送りの言葉にする」「条件の枠組みを作る」「採用チームの立ち上げと代行の役割を分ける」の五つを決めておけば、失敗の大半は避けられます。この記事では、五つのパターンを、症状・原因・先に打つ手の順に整理します。急成長一般の失敗は急成長フェーズの会社が採用代行で失敗するパターンに、スタートアップに噛み合う代行の条件はスタートアップに向く採用代行の条件に、代行の全体像は採用代行(RPO)とはにまとめています。
失敗のパターン一:調達で決めた人数を代行の目標にして、要件のない枠まで募集する
症状。投資家に出した事業計画に「一年で何名」と書いてあり、その人数がそのまま代行の目標になる。職種ごとの要件は「エンジニア十名」「セールス五名」のような枠だけで、その人が半年後に何をするかは決まっていない。代行は枠を埋めるために集め、面接で事業側が「この人に何をしてもらうか分からない」と言い、決まらないか、決まっても入社後に仕事がない。
原因。調達の計画は、事業の成長を人数で表したもので、採用の要件ではありません。人数が先に決まり、要件が後から追いつかない状態で代行に人数を渡すと、代行は枠を埋める最短の行動を取ります。事業側の責任者は、初めて部下を採る人が多く、要件を言葉にした経験がありません。
先に打つ手。代行を入れる前に、計画の人数を「職種ごとに、半年後にやってほしいこと三つ」に変えます。三つが書けない枠は、まだ募集しません(「とりあえず枠」を作らない)。要件が書けた職種から順に代行に渡し、書けない職種は事業側の責任者と要件を作る場を先に持ちます。人数の計画と要件の紙を並べ、月に一度、経営陣で「計画のどの枠が要件になったか」を見ます。要件の作り方は採用要件の定義は代行に出せるかに、数を追って質が崩れる失敗は急成長フェーズの会社が採用代行で失敗するパターンに、採用計画は採用計画の設計は代行に出せるかに整理しています。
失敗のパターン二:創業者が全員に会う形を続けて、創業者の枠で止まる
症状。シード期から創業者が全員に会って決めてきた。人数が増えても「文化を守るために自分が会う」と続け、創業者の予定が採用で埋まるか、逆に取れずに候補者が待つ。代行は集めても創業者の枠に入れられず、候補者は待つ間に他社に決まる。創業者は事業の時間を失い、採用も止まる。
原因。創業者が全員に会う形は、少人数のときは正しく、文化を作ってきた形です。ただ、採用が数十名を超えると、面接は決まる人の数倍あり、創業者の枠に物理的に入りません。「文化を守る」と「全員に会う」が結びついていて、切り離す方法を持っていません。
先に打つ手。代行を入れる前に、創業者が会う候補者を「最終の面接だけ」「絞られた候補者だけ」「特定の職種(初めての役職、事業の中核)だけ」のどれかに絞ります。創業者が全員に会うことで守ってきたものを言葉にし(次のパターン)、それを一次の面接官に渡して、創業者以外でも見られる形にします。創業者の面接の枠を週に固定し、代行がその枠に絞られた候補者だけを入れます。面接官の増やし方は面接官が足りないに、最終の面接官の役割は急成長フェーズの会社の採用体制の作り方に、経営者の枠の固定は従業員百名規模の会社の採用体制の作り方に書いています。
エラベルの見解
同じ料金・同じ業務範囲でも、シリーズB以降で結果が分かれるのは、担当者が「創業者の頭の中を、創業者以外が使える言葉にする」ことを最初にやれるかどうかです。パターン一と二は、どちらも創業者が頭の中で持っていた「誰を採るか」が、人数が増えて創業者の手に負えなくなったのに、言葉になっていないことから起きています。相談で見ていると、うまくいく担当者は、契約の前に創業者と一度長い時間を取り、「これまで採ってうまくいった人と、うまくいかなかった人は、どこが違いましたか」「見送った人の、何が引っかかりましたか」を聞き出して、職種ごとの要件と、カルチャーの見送りの言葉にし、それを一次の面接官と代行が使える形で渡しています。創業者は最終だけに会えばよくなり、代行は集める基準を持てます。
契約の前の面談で「創業者の方が、これまで何を見て決めてきたかを聞かせてください。それを面接官に渡せる言葉にします」と言う担当者と、「計画の人数に合わせて集めます」と言う担当者では、半年後に創業者の時間と決まった数の両方が違います。エラベルでは、依頼側が担当者の経歴を見て選ぶ仕組みなので、創業者の頭の中を言葉にしてきた担当者を、最初から選べます。
失敗のパターン三:カルチャーフィットが言葉になっておらず、見送りの理由が代行に戻らない
症状。面接の見送りの理由が「なんとなく合わない」「うちっぽくない」で、代行に戻せない。代行は何を直せばよいか分からず、同じ層を集め続け、同じ理由で見送られる。面接官によって「合う」の判断がばらつき、一次を通った人が二次で「合わない」と言われる。代行は「要件どおりに集めている」と言い、社内は「代行は文化を分かっていない」と言う。
原因。カルチャーフィットは、創業者と初期のメンバーの間では言葉にしなくても共有されていましたが、面接官が増え、代行が入ると、共有されていない人が判断することになります。「合う」を言葉にする作業を、誰もしたことがありません。「文化」を定義しようとすると抽象的になり、使えません。
先に打つ手。「文化を定義する」のではなく、「見送りの理由を具体的な行動で書く」ことから始めます。これまで見送った人と、入って合わなかった人について、「何をした(しなかった)から合わないと感じたか」を三つから五つ書き出し、面接で確かめる質問に変えます。「うちっぽい」ではなく「決まっていないことを、自分で決めて進めた経験を話せるか」のような形にします。代行には、この言葉で見送りの理由を戻し、集める基準に反映してもらいます。評価の言語化は評価基準が言語化できていないに、面接官のばらつきは面接官によって評価がばらつくに、一次面接の切り分けは一次面接は代行に出せるかに整理しています。
失敗のパターン四:給与の枠組みがなく、候補者ごとに条件がばらつく
症状。等級や給与の枠組みがなく、条件は候補者ごとに創業者が決めている。代行は条件を語れず、候補者に「条件は面接で」としか言えない。急いで採るときに高く、余裕があるときに低くなり、入社後に社員同士で条件を知って不公平が露見する。採用チームが後から枠組みを作ろうとしても、既に入った人の条件がばらばらで整えられない。
原因。少人数のときは、創業者が一人ひとりの条件を決める形で回りました。人数が増え、同じ職種で複数を採るようになると、候補者ごとの判断は社内の不公平になります。枠組みを作る作業は、採用が増えてからでは遅く、増える前に要ります。
先に打つ手。代行を入れる前に、職種ごとに「現金の給与の幅」と「幅の中でどこに置くかの考え方」(経験、役割、市場)を決めます。細かい等級の制度は後でよく、幅と考え方があれば代行は条件を語れ、候補者ごとのばらつきが減ります。株式報酬がある場合は、制度の内容を面接で口頭で語らず、条件提示の段階で書面と専門家の確認を経た内容だけを伝えます。数値の相場は代行が調べられますが、「自社の幅」は経営陣が決めます。条件の伝え方は条件提示・オファー面談は代行に出せるかに、内定辞退が続くときは内定辞退が続くときに見直す3点に書いています。
失敗のパターン五:採用チームの立ち上げと代行の導入を同時にやって、初めての採用担当が代行に依存する
症状。初めての採用担当(社内から異動した人か、採ったばかりの人)を置くのと同時に代行を入れる。採用担当は自分の仕事の形を作る前に、代行の管理と創業者との調整と事業側との要件の話で埋まる。代行が運用を全部持つので、採用担当は「代行に聞かないと分からない」状態になり、半年後に代行なしで動けない。代行を止めると採用が止まる。
原因。採用チームの立ち上げと代行の導入は、目的が違います。立ち上げは社内に採用の力を作ること、代行は今の量を回すことです。同時にやると、量を回すほうが目に見えるので、立ち上げが後回しになり、採用担当は代行の管理者になります。初めての採用担当は、何を自分で持つべきかを知りません。
先に打つ手。代行を入れる前に、採用担当の「最初の半年の仕事」を決めます。「要件を事業側と作ること」「カルチャーの見送りの言葉を作ること」「型を代行から引き取ること」の三つに絞り、運用は代行に出し、代行の管理は週に一度の定例だけにします。代行には「半年後に、採用担当が自分でできるようになっていてほしいこと」を伝え、型を採用担当の場所に置いて更新する形にします。半年後に、運用の一部を社内に戻すか、代行を続けるかを採用担当が判断できる状態を目指します。人事担当そのものの採用は人事担当そのものが採用できないに、専任人事を守る考え方は従業員百名規模の会社の採用体制の作り方に、担当を育てる考え方は社内の採用担当を育てるに整理しています。
エラベルの見解
これをやる前に、先に決めておかないと効果が出ないことがあります。それは、代行と契約する前に、創業者が「計画の人数を職種ごとの要件に変える」「自分が会う候補者を絞る」「見送りの理由を行動の言葉にする」「現金の給与の幅を決める」「採用担当の最初の半年の仕事を決める」の五つを決めることです。五つのパターンは、全部この五つのどれかが空いていることから起きています。枠だけの失敗は要件がなく、止まる失敗は創業者の枠が絞られておらず、戻らない失敗は言葉がなく、ばらつく失敗は幅がなく、依存する失敗は採用担当の仕事が決まっていないからです。
五つを決めるのに要るのは、創業者の時間で一度だけ、半日です。調達の後で最も忙しい時期にこの半日を惜しんで「計画の人数を集めて」と頼むと、代行は枠を埋めに動いて創業者の枠で止まり、見送りの理由が戻らずに同じ層を集め、条件がばらついて社内がずれ、採用担当は代行の管理者になります。エラベルでは、依頼側が担当者を選べるので、契約の前の面談で「創業者の方がこれまで何を見て決めてきたかを、面接官に渡せる言葉にするところから始めましょう」と言ってくる担当者を選べます。
まとめ
- シリーズB以降の失敗は、創業者が全員に会って決めていた採用を仕組みに移す途中で、代行だけが先に動くことから起きる
- パターン一は人数と要件。調達の人数を「職種ごとに半年後にやってほしいこと三つ」に変え、三つが書けない枠は募集しない
- パターン二は創業者の枠。最終だけ、絞られた候補者だけ、特定の職種だけ、のどれかに絞り、週に固定する
- パターン三はカルチャーの言葉。文化を定義せず、見送った人と合わなかった人の行動を書き出して質問に変え、代行に戻す
- パターン四は条件の枠組み。職種ごとの現金の給与の幅と考え方を先に決める。株式報酬は書面と専門家の確認を経た内容だけ
- パターン五は採用チームの立ち上げ。採用担当の最初の半年を要件とカルチャーの言葉と型の引き取りに絞り、代行の管理は週に一度にする
よくある質問
投資家に出した人数を、下方修正するわけにはいきません
人数を変えるのではなく、人数を要件に変えます。「一年でエンジニア十名」を「この三つができる人を、この時期までに何名」に分けると、要件が書ける枠から動き出せ、書けない枠は事業側と要件を作る場を先に持ちます。要件のない枠を先に埋めると、入社後に仕事がなく、辞めて、計画の人数からまた減ります。計画と要件の紙を並べて月に一度見ると、投資家にも「どの枠が動いていて、どの枠は要件を作っている段階か」を説明できます。急な増員への対応は急な増員要請に対応できないに、急成長の順番は急成長フェーズの会社の採用代行に整理しています。
創業者が「自分が会わないと文化が薄まる」と言って、枠を絞ってくれません
文化を守ることと全員に会うことを切り離します。創業者が会うことで見てきたものを、見送りの理由の行動の言葉にして一次の面接官に渡すと、創業者以外でも同じ点を見られます。創業者には最終の面接と、初めての役職や事業の中核の職種を残し、「文化を見る役」を面接官に渡す形にします。切り離す前に、創業者と一次の面接官が同じ候補者を見て判断を並べる回を数回持つと、創業者は「自分でなくても見られる」と分かります。面接官の増やし方は面接官が足りないに、面接官のばらつきは面接官によって評価がばらつくに書いています。
リファラルで採ってきましたが、もう紹介が出ません
リファラルは少人数のときに最も効く経路で、人数が増えると社員の知人の範囲を使い切ります。枯れたのではなく、「頼み方」と「戻し方」が仕組みになっていないことが多く、誰に、どの職種を、どう頼み、紹介があったら何日で返し、決まらなかったらどう戻すかを型にすると、また動くことがあります。並行して、代行がスカウトと転職サイトを型の中で運用し、リファラルは急ぎでない職種と中核の職種に使う形にします。リファラルの広げ方はリファラル採用が広がらないに、社員の紹介の設計はリファラル採用の設計は代行に出せるかに、体制の作り方はシリーズB以降のスタートアップの採用体制の作り方に整理しています。