採用代行 / 採用データの分析

採用データの分析は代行に出せるか|任せる範囲の切り分け方

公開 2026-09-20

「採用の数字を分析して改善したいが、社内に数字を扱える人がいないので代行に出したい」という相談は、採用の費用が増えているのに何が効いているか分からない会社から来ます。出せます。ただ、「分析」を頼む前に、多くの会社では数字そのものが取れていません。応募・面接・内定・辞退の数が経路ごとに記録されておらず、日数も残っていない状態で分析を頼んでも、代行は何も出せません。外に出すなら、まず「数字を取る仕組み」から出し、分析はその後です。もう一つ、数字を見て何かを決めるのは会社であり、代行が「この経路を切るべき」と言っても、決めるのは会社です。結論を先に書くと、採用データの分析は、「何を数えるかの決定」「見る場を持つこと」「報告を受けての判断」「経路を切る・予算を動かすといった決定」「データの扱いの方針」は会社が持ち、「記録の項目と表の設計・日々の更新と辞退理由の分類・月に一度の集計と一枚の報告・止まっている段階の指摘・経路ごとの結果と日数の傾向・溜まってからの分析と提案」は代行に出せます。数字が取れていないときの始め方は採用の数字が取れていないときに、何を指標に置くかは採用KPIに何を置くべきかに書いていますので、ここでは「採用データの分析を工程に分けて出す」観点に絞ります。

「決めて見る」と「取って出す」を分ける

採用データの分析を工程に分けると、次のようになります。

一つ目は、何を数えるかを決めることです。最初は応募・面接・内定・辞退の四つを、経路ごとと日数で。それ以上は溜まってから。会社が決めます。案は外の人が出せます。

二つ目は、記録の項目と表を設計することです。ATSの項目か、一つの表の列か。経路、応募日、各段階の日付、結果、辞退の段階と理由。外の人ができます。

三つ目は、日々の更新と、辞退理由の分類です。その日に更新し、辞退があれば理由を聞いて分類して記録する。外の人ができます。

四つ目は、月に一度の集計と、一枚の報告です。段階ごとの人数、経路ごとの面接に進む数、承諾率、辞退の段階と理由、日数、先月との比較を一枚にし、「止まっている段階」を先に書く。外の人ができます。

五つ目は、見る場を持つことです。月に一度、経営者と責任者が一枚を見て、一つ決める。会社が持ちます。場の準備と進行の補助は外の人ができます。

六つ目は、報告を受けて判断し、決めることです。効いていない経路を切る、予算を動かす、選考の段階を変える、文面を直す。会社が決めます。判断の材料と選択肢は外の人が出せます。

七つ目は、変えたことを記録し、三か月で傾向を見ることです。「先月これを変えた。今月こう動いた」。外の人ができます。

八つ目は、溜まってからの分析と提案です。半年以上たって、経路ごとの決定率や入社後の定着との関係を見る。外の人ができ、提案を受けて決めるのは会社です。

八つのうち、一の決定、五の場、六の判断と決定、データの扱いの方針は会社が持ち、それ以外は外に出せます。

代行に出せる工程と出せない工程

工程会社が持つ代行に出せる
何を数えるか決める最初の四つと、溜まってから足すものの案
記録の項目と表の設計承認する項目、列、ATSの設定の案と反映
日々の更新と辞退理由の分類その日の更新、理由の聞き取りと分類
月に一度の集計と一枚の報告受け止める集計、一枚、止まっている段階の指摘、先月との比較
見る場月に一度、場を持つ場の準備、進行の補助
判断と決定決める材料と選択肢の整理
変えたことの記録と傾向変更の記録、三か月の傾向
溜まってからの分析と提案提案を受けて決める分析、提案
データの扱いの方針決める方針に沿った管理

表の要点は、「見る場」が会社の側にあることです。代行が一枚を作って送っても、誰も見なければ数字は判断に結びつきません。月に一度、経営者と責任者が一枚を見て、一つ決める場があって初めて、集計が意味を持ちます。

もう一つの要点は、「判断と決定」で代行が「材料と選択肢」を出すことです。「この経路は面接に進む数が少なく、費用が高い。切るか、文面を直して一か月見るか」と選択肢を出すのは代行、決めるのは会社です。代行が「切るべき」と決める形は、費用と経路の判断を外の人に委ねることになります。

エラベルの見解

相談で最も多い思い込みは、「分析を頼めば、何が悪いか分かる」というものです。実際には、分析の前に数字が取れていない会社がほとんどで、取れていても「見る場」が無く、月に一度の報告が誰にも読まれずに終わっています。ある会社では、代行に月次の分析レポートを頼んでいましたが、レポートは十数ページで、経営者は読まず、人事も「読んでも何を変えればよいか分からない」状態でした。担当者が入り直して、記録を応募・面接・内定・辞退の四つに絞り、報告を一枚にし、「止まっている段階」を最初の一行に書き、月に一度三十分の場で経営者と責任者が一つ決める形にしたところ、報告は読まれ、経路が一つ切られ、文面が一つ直り、翌月の面接に進む数が動きました。分析で効くのは、ページ数ではなく、「一枚で、止まっている段階が分かり、一つ決める場がある」ことです。

代行に出したほうがよい状況

次の状況では、採用データの分析を代行に出したほうが進みます。

一つ目は、数字が取れておらず、記録の仕組みから作る必要があるときです。項目と表の設計と日々の更新を外に出します。

二つ目は、数字はあるが、集計と報告に人事の時間が取れず、月次の報告が出ていないときです。集計と一枚を外に出します。

三つ目は、報告はあるが、ページが多く、経営者が読まず、判断に結びついていないときです。一枚の型と「止まっている段階」の指摘を外に出します。

四つ目は、辞退の理由が「一身上の都合」のまま記録され、直す先が分からないときです。理由の聞き取りと分類を外に出します。

五つ目は、半年以上の記録が溜まっていて、経路ごとの決定率や定着との関係を見たいが、分析する人がいないときです。分析と提案を外に出します。

代行に出さないほうがよい状況

逆に、次の状況では、採用データの分析を外に出しても進みません。

一つ目は、月に一度、数字を見て一つ決める場を持つ気が無いときです。集計と報告を外に出しても、見なければ変わりません。先に場を決めます。

二つ目は、経路を切る・予算を動かすといった判断を、代行に委ねようとしているときです。判断は会社が持ちます。委ねると、費用の責任が曖昧になります。

三つ目は、応募が月に数件で、数字で判断するほどの量が無いときです。数が少ないうちは、一件ごとに見たほうが早い。分析より、一件ごとの記録から始めます。

四つ目は、候補者の情報(応募者の経歴、辞退の理由、評価)を外の人に渡すことについて、方針が無いときです。扱いの決まりと契約が先です。法令に関わる部分は専門家にご確認ください。

担当者の選び方

採用データの分析を任せる担当者は、次の点で選びます。

一つ目は、「分析」の前に「取る仕組み」を作った経験があるかです。項目を最小に絞り、その日に更新される表を設計できる人。

二つ目は、報告を一枚にまとめ、「止まっている段階」を最初に書けるかです。ページを増やす人ではなく、減らせる人。

三つ目は、判断を会社に残し、「材料と選択肢」で渡せるかです。「切るべき」ではなく「切るか、直して一か月見るか」と出せる人。

四つ目は、辞退の理由を候補者から丁寧に聞き取り、分類できるかです。

五つ目は、溜まってからの分析を、会社の判断に使える形で提案できるかです。統計の手法より、「何を変えればどう動くか」を言える人。担当者の経歴の見方は担当者の経歴の見方に書いています。

出す前に用意しておくもの

採用データの分析を代行に出す前に、次を用意しておくと、最初の一週間が速くなります。

一つ目は、月に一度、数字を見て一つ決める場の合意です。誰が出て、何分で、いつ。

二つ目は、判断は会社が持つことの確認です。経路を切る、予算を動かす、段階を変える、は会社が決め、代行は材料を出す。

三つ目は、いまある記録の在り処です。ATS、スプレッドシート、メール、媒体の管理画面。どこに何があるか。

四つ目は、候補者の情報の扱いの方針と、代行との契約です。閲覧の範囲、集計に使う範囲、報告に個人が特定できる情報を入れないこと。法令に関わる部分は専門家にご確認ください。

五つ目は、いま感じている「困っていること」です。「応募が少ない」「辞退が多い」「費用が増えている」。数字を取る前の仮説として、担当者に渡します。

六つ目は、経路ごとの費用です。媒体の料金、紹介の手数料、スカウトの費用。数字と費用を並べて初めて、経路の判断ができます。

エラベルの見解

担当する側から見ると、採用データの分析で最も効くのは、「数える項目を四つに絞る」ことと、「報告の最初の一行に止まっている段階を書く」ことの二つです。前者で記録が続き、後者で報告が読まれます。項目が多いと更新されず、報告が長いと読まれない。分析の質は、その後の話です。エラベルでは、採用データの分析を任せる案件で担当者を紹介するとき、最初の一週間で見る場の合意と判断は会社が持つことを確認し、記録の在り処を棚卸しし、項目を四つに絞った表を設計し、最初の一枚を作るところまでをお願いしています。何を数えるかの決定、見る場、判断と決定、データの扱いの方針は会社の役割であり、担当者は取って、まとめて、材料を出す役割に徹してもらっています。分析は記録が半年溜まってから、会社の判断に使える形で提案してもらいます。

まとめ

よくある質問

どんな分析ができますか

記録が溜まる前は、分析ではなく「どこで止まっているか」を読むだけです。段階ごとの通過率、経路ごとの面接に進む数、辞退の段階と理由、日数。半年以上溜まると、経路ごとの決定率と費用の関係、辞退の理由と段階の傾向、面接官ごとの通過率の違い、入社後の定着と経路や選考の関係、が見えてきます。統計の手法より、「何を変えればどう動くか」が言える形で出します。

他社の数字と比べられますか

比べないことをお勧めします。職種、地域、規模、経路で数字は大きく変わり、他社の平均と比べても判断には使えません。比べるのは、自社の先月と今月、変える前と変えた後です。「他社より低い」ではなく「先月より止まっている段階が動いたか」を見ます。

記録を代行に任せると、契約が終わったときに困りませんか

記録は会社のもので、代行が持って帰るものではありません。契約の時点で、記録の置き場所(会社のATSか、会社のスプレッドシートか)、契約終了時に返す形、権限の削除を決めておきます。代行の端末や個人のファイルに記録が残らない形にします。返してもらうものの考え方は契約終了時に返してもらうデータに書いています。