採用代行 / 採用の課題

採用の数字が取れていない|「分析」を目指さず、応募・面接・内定・辞退の四つを経路と日数で数えることから始める

公開 2026-09-13

経営者に「採用はどうなっている」と聞かれて、「頑張っています」としか言えない。応募が何件来て、面接が何件で、内定が何件で、辞退が何件か。どの経路から来て、何日かかっているか。数字が無い。数字が無いので、媒体を足すか切るか、要件を変えるか、判断が感覚になる。結論を先に書くと、採用の数字は、「分析」を目指すと大きくなり、始まりません。最初に取るのは四つ、応募・面接・内定・辞退の数を、経路ごとと日数で数えるだけです。四つが毎月取れれば、判断は感覚から記録に変わり、経営者にも説明できます。分析は、四つが半年溜まってからです。応募者の表の作り方は応募者管理がスプレッドシートのままに、経営者への報告は経営者に採用の状況が伝わらないにまとめています。

数字が取れていない構造

採用の数字が取れていないのは、次の構造で起きます。

構造起きていること
記録する場所が無い応募者の表が無い、または媒体ごと・人ごとに分かれている。数えられない
記録する項目が決まっていない経路、日付、段階、結果を記録していない。後から数えようとしても、無い
「分析」を目指して、始まらない「採用のダッシュボードを作ろう」と大きく考え、項目が増え、着手できない
数字を見る場が無い取っても、誰も見ない。見なければ、取る意味が無くなり、取らなくなる
判断が、数字と結びついていない「媒体を足す」「要件を変える」を、数字ではなく感覚で決めている
数字を取る担当がいない「人事が取る」と言うが、人事は応募の対応で手一杯
経営者が数字を求めていない「採れたか採れていないか」だけを聞き、途中の数字を問わない

数字が無いことの問題は、「判断が感覚になる」ことです。感覚の判断は、当たることもありますが、外れたときに理由が分からず、次に活かせません。

最初に取る四つの数字

最初に取るのは、四つです。

数字何を数えるか何のために
応募応募が来た数。経路ごと、求人ごと経路が効いているか。求人票が届いているか
面接書類を通って面接に進んだ数。段階ごと応募の質(要件に合う人が来ているか)。書類の判断の速さ
内定内定を出した数。承諾した数面接の質。内定の承諾率
辞退各段階で辞退した数と、理由どの段階で、なぜ離れているか

四つを、「経路ごと」と「日数」で数えます。

経路ごと。 媒体A、媒体B、紹介会社、社員の紹介、直接。経路ごとに応募・面接・内定・辞退を並べれば、「どの経路から、面接に進む人が来ているか」が見えます。

日数。 応募から受付の返信まで、書類の判断まで、面接まで、内定まで。日数が、「待たせていないか」の指標です。

四つと経路と日数で、「どこで止まっているか」「どの経路が効いているか」「速さは足りているか」が分かります。それ以上の数字は、四つが溜まってからです。

数字を取る仕組み

四つを、毎月取れる仕組みです。

応募者の表に、必要な列を持つ。 応募日、経路、求人、段階、各段階の日付、結果、辞退の理由。表の列があれば、数えるだけです。列の型は応募者管理がスプレッドシートのままに書いています。

表を、その日に更新する。 応募が来た日、判定が出た日、連絡した日。更新されていない表からは、正しい数字は出ません。

月に一度、決まった日に数える。 「毎月一日に、前月の分を数える」。担当者を決め、カレンダーに入れます。

数える形を、一枚の型にする。 経路×段階の表と、日数の平均と最長。毎月同じ形で出せば、比べられます。

辞退の理由を、欠かさず聞いて記録する。 辞退の連絡があったら、「差し支えなければ理由を」。「条件」「他社」「対応」「役割」のような分類で記録します。分類が無いと、集計できません。

ATSを使っているなら、集計の機能で出す。 手で数えなくても出せることがあります。機能はATSの公式の案内で確認します。ただし、表の更新が正しくなければ、ATSの集計も正しくありません。

取れない数字は、無理に取らない。 「求人票の閲覧数」「スカウトの開封率」など、媒体によっては取れないものがあります。取れるものだけ取ります。

仕組みの要点は、「表の更新」と「月に一度の定例」です。この二つが無いと、数字は取れません。

数字の読み方

四つの数字を、どう読むかです。

見るもの読み方
経路ごとの応募多い経路が良い経路ではない。面接に進む数で見る
経路ごとの面接に進む率応募のうち面接に進んだ割合。率が低い経路は、要件に合わない人が来ている。求人票か経路の見直し
段階ごとの通過書類で落ちる、一次で落ちる、最終で落ちる。どこで落ちているかで、直す先が変わる
内定の承諾率内定を出したうち承諾した割合。低ければ、条件・速さ・訴求の問題
辞退の段階と理由書類の後に辞退(対応の速さ)、面接の後に辞退(面接の印象)、内定の後に辞退(条件・他社)。理由の内訳で直す先が分かる
日数応募から返信、判断、面接、内定まで。三日、三日、一週間、三週間が目安。超えていれば、遅い
月ごとの変化先月と比べて、増えたか減ったか。変えたこと(求人票、媒体、速さ)の効果が見える

読み方の要点は、「数字そのもの」ではなく、「どこで止まっているか」を読むことです。応募が少ないのか、面接に進まないのか、内定を辞退されるのか。止まっている段階が、直す先です。

一般の相場や他社の数字と比べません。自社の先月と比べます。数字を資料に載せる場合は、自社の記録の数字だけを使います。

エラベルの見解

相談で最も多い失敗は、「採用のダッシュボードを作ろうと、二十項目の指標を設計し、半年経っても一つも取れていなかった」というものです。項目が多く、記録の列が無く、更新する人がいなかった。応募・面接・内定・辞退の四つを、経路と日数で、月に一度数える形に戻したら、翌月から数字が出て、「紹介会社Aからは面接に進む人がいない」「内定後の辞退の理由の大半が条件」が見え、判断が変わりました。四つで足ります。

見ていて差がつくのは、担当者が「毎月一日に、四つの数字を一枚で出す」を定例にするかどうかです。「数字はATSで見られます」と言うだけの担当者と、「毎月一日に、経路×段階の表と日数の一枚を出して、止まっている段階と直す先を添えます」と、定例にする担当者がいます。後者がいれば、数字は判断に使われます。

発注側にできるのは、担当者に「毎月一日に四つの数字を一枚で」を依頼し、その一枚を責任者が見る場を作ることです。

経営者への出し方

四つの数字を、経営者にどう出すかです。

一枚に収める。 経路×段階の表、日数、止まっている段階、直す先、決めてほしいこと。一枚で。

数字だけでなく、読み方を添える。 「応募二十件」ではなく、「応募二十件、先月の十件から増加。ただし面接に進んだのは二件で、要件に合わない応募が多い。求人票の要件の書き方を見直す」。

止まっている段階を、先に言う。 「いま止まっているのは、内定後の辞退です。三件中二件が条件を理由に辞退」。経営者が判断すべき場所が、先に分かります。

先月との比較を、欠かさず入れる。 「先月からこう変わった。変えたことは〇〇」。変化が見えれば、経営者は「効いている・いない」を判断できます。

決めてほしいことを、数字に結びつける。 「内定後の辞退の理由が条件なので、年収の上限を見直すかどうかを決めてほしい」。数字が根拠になります。

取れない数字は、取れないと言う。 「求人票の閲覧数は、この媒体では取れません」。無理に推測の数字を出さない。

経営者への報告の型は経営者に採用の状況が伝わらないに書いています。四つの数字が、その報告の土台です。

数字で判断を変える運用

数字を取る目的は、判断を変えることです。運用です。

月に一度、数字を見て、一つ変える。 「紹介会社Aからは面接に進む人がいないので、求人の説明をやり直す」「書類の判断が五日かかっているので、三日に」。一つずつ。

変えたことを、記録する。 「〇月に、求人票の要件を変えた」。翌月の数字と照らせば、効果が分かります。

三か月、同じ形で数字を取る。 一か月では、たまたまの変動が大きい。三か月で傾向を見ます。

効いていない経路を、切る判断の材料にする。 「三か月、面接に進む人がゼロ」なら、切る候補。棚卸しは媒体を増やしすぎて管理できないに書いています。

辞退の理由の内訳で、直す先を決める。 「対応」が多ければ速さと丁寧さ、「条件」が多ければ年収と見せ方、「役割」が多ければ求人票と面接での説明。

数字が良くなったら、何が効いたかを記録する。 「求人票の一行目を変えたら、面接に進む率が上がった」。次の求人に使えます。

半年溜まったら、分析を足す。 経路ごとの費用と内定の数、面接官ごとの通過率、段階間の一致。四つの数字が半年溜まれば、分析の材料になります。

運用の要点は、「一つ変える→翌月見る→記録する」の繰り返しです。数字を取るだけで、変えなければ、意味がありません。

外注する場合の範囲

採用の数字が取れていない問題を、採用代行に出す場合の範囲です。

出せる工程。 応募者の表の列の設計(数字が取れる形に)、表の毎日の更新、辞退の理由の聞き取りと分類の記録、月に一度の集計(経路×段階、日数)、一枚の作成(読み方、止まっている段階、直す先、決めてほしいこと)、責任者への報告の場の準備、変えたことの記録、三か月の傾向の整理、半年後の分析(経路ごとの費用対効果、面接官ごとの通過率など)。

社内に残す判断。 何を数えるかの決定、数字を見る場の設定、数字に基づく判断(媒体を切る、要件を変える、条件を見直す)、経営者への報告の受け止め。

外注の効きどころ。 数字が取れていない会社は、「表の更新」と「月に一度の集計」をする人がいません。担当者が表を毎日更新し、辞退の理由を聞き、月に一度一枚を出せば、数字は定例で出ます。担当者は複数の会社の数字を見ているので、「この段階で止まっているなら、直す先はここ」の見立ても持ち込めます。ただし、他社の数字を自社の判断の根拠にはしません。

外注しても動かない場合。 責任者が一枚を見ない、数字を見ても判断を変えない、面接官が判定を出さず表が更新できない。社内の判断で、代行を替えても直りません。

数字は、四つを毎月取れば、判断が変わります。外注は、取る人と出す定例を置く手段です。

エラベルの見解

担当する側から見ると、数字の相談で最も多いのは、「数字を取っているが、見ていない」ことです。表はあり、月に一度集計もしている。ただ、集計した一枚を、誰も見る場が無い。人事のフォルダに溜まっているだけ。

数字を取る目的は、判断を変えることです。見る場(月に一度、責任者と三十分)が無ければ、取る意味がありません。場を作り、「今月は何を一つ変えるか」を決める。それで、数字は動き始めます。

発注側にできるのは、「数字を取ってほしい」に加えて、「毎月見る場を作る」ことです。場が無い数字は、取っても変わりません。

まとめ

よくある質問

採用のKPIを、何にすればよいですか

最初は、応募・面接・内定・辞退の四つを、経路ごとと日数で数えることから始めます。「KPI」として目標の数字を置く前に、実際の数字が取れている状態を作ります。四つが半年溜まれば、「面接に進む率をこのくらいに」「内定の承諾率をこのくらいに」と、自社の記録を元に目標を置けます。一般の相場を目標にすると、自社の実態と合いません。KPIの合意の仕方はKPIの合意のしかたに書いています。

数字を取る時間がありません

応募者の表を、その日に更新する運用があれば、月に一度の集計は一時間で済みます。表が無い、または更新されていないなら、集計に時間がかかるのではなく、集計する元が無い状態です。先に表を一つにして、列を決め、更新の担当を置きます。更新の担当と集計を、採用代行の担当者に出す形もあります。「取る時間が無い」のではなく、「取る仕組みが無い」ことが多いです。

数字を経営者に出しても、反応がありません

数字だけを出していないかを確認します。「応募二十件、面接二件、内定ゼロ」だけでは、経営者は判断できません。「止まっているのは書類から面接の段階で、要件に合わない応募が多い。求人票の要件を変える。決めてほしいのは、要件の〇〇を歓迎に下げてよいか」と、読み方と直す先と決めてほしいことを添えます。数字は、判断の材料として出します。材料が無い数字は、読み流されます。