採用代行 / 外国人採用の実務

外国人採用の実務の進め方|自社でやる場合の手順

公開 2026-09-20

外国人採用を自社で進めようとして、「まず外国人向けの媒体に求人を出す」から始めると、役割が曖昧なまま在留資格の確認ができず、言語の要件が「日本語ができる人」で面接で確かめられず、応募があっても在留資格の手続きの期間を見込んでおらず入社が遅れ、採用しても受け入れの型が無くて本人が生活の手続きで困り、部署は「どう接すればよいか分からない」で距離を置き、半年で辞めます。外国人採用で最初にやるべきは、媒体を探すことではなく、「採る役割を一枚にして専門家に確認してもらう」ことと、「受け入れの型を採用の前に作る」ことです。結論を先に書くと、進め方は、採る役割を一枚にする→在留資格について相談する専門家を決めて役割を確認してもらう→言語の要件を場面で書く→経路を決めて求人票を作る→面接の観点に言語の水準と就労の意向を足す→受け入れの型に生活の支援と社内の理解を足す→受け入れ部署に事前に説明する→在留資格の期限と受け入れの記録を続ける、の八つの手順です。代行に出す場合の切り分けは外国人採用の実務は代行に出せるかに、踏み出せないときの整理は外国人採用に踏み出せないときに書いていますので、ここでは自社で進める手順に絞ります。この記事は一般的な整理で、在留資格・雇用・面接で聞いてはいけない事項など法令に関わる部分は、個別に専門家にご確認ください。

手順の全体

手順やること誰が頻度
採る役割を一枚にする責任者と人事募集ごと
専門家を決めて役割を確認してもらう人事(確認は専門家)募集ごと
言語の要件を場面で書く人事と現場募集ごと
経路を決めて求人票を作る人事募集ごと
面接の観点に言語の水準と就労の意向を足す人事と面接官最初に一度
受け入れの型に生活の支援と社内の理解を足す人事最初に一度
受け入れ部署に事前に説明する責任者と人事採用ごと
在留資格の期限と受け入れの記録を続ける人事入社後、継続

手順の要点は、六と七が「採用の前」にあることです。多くの会社は採用が決まってから受け入れを考え、間に合いません。

手順一:採る役割を一枚にする

日本人の採用と同じく、「何を決める、誰と、どこまで、最初の三か月、詰まるもの、どう評価されるか」の一枚を作ります。役割の中身によって該当する在留資格が変わるため、この一枚が手順二の確認の材料になります。作り方はジョブディスクリプション作成の進め方に書いています。

止まりやすいのは、「外国人なら誰でも」で役割が無いときです。役割が無いと、在留資格の確認も言語の要件も作れません。

手順二:専門家を決めて役割を確認してもらう

在留資格について相談する専門家(行政書士、弁護士など)を決め、手順一の一枚を渡して、「この役割で採用する場合、どの在留資格が関わり、会社は何を用意し、手続きにどのくらいの期間がかかるか」を確認してもらいます。会社は独自に判断しません。確認の結果と、手続きの期間を記録し、採用の期間に織り込みます。

専門家に確認すること記録すること
この役割で関わる在留資格確認日、専門家、結果
会社が用意する書類や条件一覧
手続きにかかる期間の目安採用の期間に織り込む
候補者の現在の在留資格をどう確認するか確認の方法と段階
面接で聞いてよい範囲と聞き方面接官に渡す一覧

止まりやすいのは、「知り合いの会社がこうやっていた」で進めるときです。役割と候補者の状況で変わるので、自社の役割で専門家に確認します。法令は変わるので、募集のたびに確認します。個別の判断は専門家にご確認ください。

手順三:言語の要件を場面で書く

現場に、「誰と、どの言語で、読む・書く・話す・聞くのどれを、どの場面で」を聞き、要件を場面で書きます。「日本語ができる人」ではなく、「顧客との商談は日本語で話す。社内のやり取りは日本語の口頭と簡単な文書。技術文書は英語でよい」のように。入社後に伸ばせる部分は要件から外します。

場面言語読む・書く・話す・聞く要件にするか
顧客との商談日本語話す・聞く要件
社内の口頭のやり取り日本語話す・聞く要件
社内の文書日本語読む・書く(簡単なもの)要件(入社後に伸ばす前提)
技術文書英語読む・書く要件にしない

止まりやすいのは、「完璧な日本語」を要件にするときです。役割に必要な水準を超えて候補者を絞ります。

エラベルの見解

これをやる前に、先に手順一の役割の一枚を作っておかないと、手順二の専門家への確認は「役割による」で終わります。相談で多いのは、「専門家に相談したが、はっきりした答えが得られなかった」というご相談です。聞くと、相談の内容が「外国人を採用したい」で、役割が「営業のような仕事」でした。役割が曖昧なので、専門家は一般論しか言えません。役割を一枚にして、「既存顧客への提案を自分で決める営業。顧客との商談は日本語」と渡してからは、専門家の確認が具体になり、会社が用意するものと手続きの期間が分かりました。専門家への相談は、役割が具体で初めて役に立ちます。エラベルで外国人採用の実務を担当する人には、専門家に相談する前に、役割の一枚を作ってもらっています。

手順四:経路を決めて求人票を作る

経路は、外国人採用に特化した媒体や紹介会社、留学生向けの経路(学校の窓口、留学生向けのイベント)、社員の紹介、一般の媒体とスカウト(国籍で絞らず、言語の要件を場面で書く)があります。最初は一つか二つに絞ります。求人票には、役割、言語の要件(場面で)、受け入れの支援(会社が何をするか)、在留資格に関する会社の対応(専門家に確認した範囲で)を書きます。

止まりやすいのは、求人票に「外国人歓迎」とだけ書いて、言語の要件も支援も書かないときです。候補者は「自分が対象か」を判断できません。求人票の作り方は求人原稿の作成の進め方に書いています。

手順五:面接の観点に言語の水準と就労の意向を足す

日本人と同じ観点に、三つを足します。言語の水準は、手順三の場面を面接で再現して確かめます(商談が要件なら、面接で商談の場面を話してもらう)。就労の意向は、どのくらいの期間、日本で働くことを考えているか。文化への対応は、日本の職場の習慣について本人がどう考えているか。聞いてはいけない事項と聞き方は、手順二で専門家に確認した一覧に沿います。

止まりやすいのは、言語の水準を「日本語能力の資格」だけで判断するときです。資格と場面での水準は一致しないことがあります。面接で場面を再現します。

手順六:受け入れの型に生活の支援と社内の理解を足す

日本人と同じオンボーディングの型(到達点、教える人、上司面談、質問の窓口)に、次を足します。生活の支援(住居、銀行口座、役所の手続き、通信の契約の案内)、言語の支援(社内の文書の読み方、分からない言葉を聞ける相手)、社内の理解(受け入れ部署への説明)、相談の窓口(上司以外に一人)、在留資格の更新期限の管理。支援の範囲は会社が決めます。オンボーディングの型は入社後のオンボーディングの進め方に書いています。

足すもの誰がいつ
生活の支援の案内の一覧人事入社前
言語の支援(聞ける相手)教える人か同僚入社日から
相談の窓口上司以外の一人入社日から
在留資格の更新期限の記録人事入社時

止まりやすいのは、「本人が自分でやるだろう」で生活の支援を省くときです。役所や銀行の手続きは日本人でも迷います。案内の一覧を渡すだけで、本人の負担は大きく減ります。

手順七:受け入れ部署に事前に説明する

入社の前に、受け入れ部署に、なぜ採用したか、役割、言語の要件と入社後に伸ばす部分、会社が行う支援、部署にお願いすること(分からない言葉を聞かれたら答える、文化や習慣の違いを否定しない、困っていそうなら相談の窓口に伝える)を説明します。

止まりやすいのは、部署に説明せず、入社日に「今日から外国籍の方が入ります」となるときです。部署は距離を置き、本人は孤立します。

手順八:在留資格の期限と受け入れの記録を続ける

入社後、在留資格の期限を記録し、更新の時期の数か月前に本人と会社が動けるように知らせます。更新の手続きは本人と専門家が行います。受け入れの記録(面談、困ったこと、支援したこと、定着)も続け、次の採用の型に反映します。

止まりやすいのは、期限を誰も管理せず、直前に慌てるときです。入社時に期限を記録し、予定に入れておきます。個別の手続きは専門家にご確認ください。

外の人に頼む場合の境目

八つの手順のうち、一の役割の決定、二の専門家の決定(確認は専門家)、三の要件の決定、五の判定、六の支援の範囲の決定、七の説明そのものは会社が持ちます。一の一枚の作成、二の段取りと記録、三の場面で書く作業、四の経路の整理と求人票、五の観点の設計、六の型と案内の一覧、七の説明資料、八の記録と期限の管理は、外の人に出せます。切り分けの詳しい話は外国人採用の実務は代行に出せるかに書いています。

外に出す判断の目安は、「採る決定と支援の範囲は決めたが、専門家への段取りと要件の設計と受け入れの型に人事の時間が取れない」ときです。在留資格の判断を外の人に委ねる形にはしません。

エラベルの見解

担当する側から見ると、外国人採用の実務で会社ごとに差がつくのは、手順七の「受け入れ部署に事前に説明しているか」です。在留資格の確認と言語の要件は、専門家と型があれば揃います。しかし、部署に説明していない会社では、本人がどれだけ優秀でも、部署が距離を置き、分からない言葉を聞けず、孤立して辞めます。説明している会社では、部署が「聞かれたら答える」「困っていそうなら伝える」を分かっているので、本人は聞け、続きます。エラベルでは、外国人採用の実務を担当する人に、最初の一週間で役割の一枚を会社と作り、専門家への相談の段取りを決め、言語の要件を現場に聞いて場面で書き、受け入れの型と部署への説明資料を作るところまでをお願いしています。ここまでできると、担当者は経路と求人票と面接の観点と記録を回し、会社は決めることと判定と部署への説明だけになります。在留資格と法令に関わる判断は、専門家に確認する線引きを守ってもらっています。

まとめ

よくある質問

在留資格の手続きにどのくらいかかりますか

役割、候補者の現在の状況、手続きの種類で変わり、一つの期間では言えません。手順二で専門家に確認し、その期間を採用の期間に織り込みます。内定から入社までの期間が日本人より長くなることを、候補者にも受け入れ部署にも先に伝えておきます。個別の見込みは専門家にご確認ください。

社内に英語を話せる人がいません

言語の要件を場面で書くと、多くの役割では「社内は日本語」が要件になり、社内の英語は不要です。要件を満たす候補者は日本語で仕事ができるので、社内に英語を話せる人がいなくても進みます。足すのは、「分からない言葉を聞ける相手」と「簡単な日本語で説明する意識」で、英語ではありません。

一人目の外国人採用で気をつけることは何ですか

一人目は、本人にとっても部署にとっても初めてなので、受け入れの型と部署への説明を特に丁寧にします。相談の窓口を上司以外に置き、入社後の面談を新規の入社者より少し多めにし、困ったことを早く拾います。一人目が続けば、二人目からは本人が「先輩」として支えになります。一人目の受け入れの記録を、次の型に反映します。