採用代行 / ジョブディスクリプション作成
ジョブディスクリプション作成の進め方|自社でやる場合の手順
ジョブディスクリプションを自社で作ろうとして、「業務の一覧を書き出して文書にする」から始めると、箇条書きが二十行になり、その役割が「何を決めてよいか」「誰と最も話すか」「どこまでやったら渡すか」は書かれず、求人票は箇条書きのまま、面接官は「うちの仕事は違う」と使わず、作った文書は共有の場所で古くなります。ジョブディスクリプションで最初にやるべきは、業務を書き出すことではなく、責任者と現場の担当者に「何を決める役割か」を聞き、ずれを見せ、会社が寄せ方を決めることです。それができれば、一枚は二時間で書け、その日から求人票と面接に使えます。結論を先に書くと、進め方は、対象の職種と決める人を決める→責任者に六つの問いで三十分聞く→現場の担当者に同じ問いで三十分聞く→ずれを並べて責任者が寄せ方を決める→六項目の一枚に書いて両方に確認する→求人票と面接の観点と評価の到達点に展開する→日付を入れて共有の場所に置く→募集のたびと入社三か月後に更新する、の八つの手順です。代行に出す場合の切り分けはジョブディスクリプション作成は代行に出せるかに、一枚で書き始める考え方はジョブディスクリプションがないときに書いていますので、ここでは自社で進める手順に絞ります。
手順の全体
| 手順 | やること | 誰が | 頻度 |
|---|---|---|---|
| 一 | 対象の職種と決める人を決める | 人事と経営者 | 最初に一度 |
| 二 | 責任者に六つの問いで三十分聞く | 人事 | 職種ごと |
| 三 | 現場の担当者に同じ問いで三十分聞く | 人事 | 職種ごと |
| 四 | ずれを並べて責任者が寄せ方を決める | 人事が並べ、責任者が決める | 職種ごと |
| 五 | 六項目の一枚に書いて両方に確認する | 人事 | 職種ごと |
| 六 | 求人票と面接の観点と評価の到達点に展開する | 人事 | 職種ごと |
| 七 | 日付を入れて共有の場所に置く | 人事 | 職種ごと |
| 八 | 募集のたびと入社三か月後に更新する | 人事 | 募集ごと、三か月後、年に一度 |
手順の要点は、二と三が「両方に同じ問いで聞く」ことです。多くの会社は責任者だけに聞くか、担当者に書かせるかのどちらかで、ずれが見えません。
手順一:対象の職種と決める人を決める
全職種を一度に作らず、募集が近い職種から一つずつ。責任者と担当者のずれが出たときに誰が決めるかを先に決めます。責任者本人が決めるのが基本で、責任者が決められない場合はその上の人。「完璧な文書」ではなく「六項目の一枚」で始めることも、ここで合意します。
止まりやすいのは、全職種を一度に作ろうとして、何か月もかかるときです。一職種を二時間で作り、使いながら直す。次の職種は募集が近づいたときに作ります。
手順二:責任者に六つの問いで三十分聞く
責任者に、次の六つを聞きます。答えが「調整」「推進」「サポート」のような抽象語なら、「誰と何を決めることですか」と一段掘ります。
| 問い | 聞き方 | 一枚のどこに入るか |
|---|---|---|
| 何を決めてよいか | 「この役割の人が、上司に聞かずに決めてよいことは」 | 何を決める |
| 誰と最も話すか | 「一週間で最も長く話す相手は」 | 誰と |
| どこまでやったら渡すか | 「この役割の仕事は、どの時点で次の人に渡りますか」 | どこまで |
| 最初の三か月で何ができていればよいか | 「三か月たって、これができていれば安心という状態は」 | 最初の三か月 |
| 詰まるものは何か | 「この役割で、いつも回らなくなるのは何ですか」 | 詰まるもの |
| 良くやったと思うのはどういうときか | 「この役割の人を『良くやった』と思うのは、どういう場面ですか」 | どう評価されるか |
止まりやすいのは、責任者が「業務の一覧」を話し始めるときです。一覧は聞かず、六つの問いに戻します。
手順三:現場の担当者に同じ問いで三十分聞く
いまその役割をやっている人に、同じ六つを「実際にやっていること」として聞きます。「実際に、上司に聞かずに決めていることは」「実際に、一週間で最も話す相手は」。責任者の答えは見せずに聞きます。
止まりやすいのは、担当者が「責任者が言うとおりです」と合わせるときです。「理想ではなく、先週実際にやったことで」と聞きます。
エラベルの見解
これをやる前に、先に手順一の「決める人」を決めておかないと、手順四のずれは宙に浮きます。相談で多いのは、「責任者と担当者に聞いてずれは見えたが、そのまま止まっている」というご相談です。聞くと、責任者は「提案まで決めさせたい」、担当者は「実際は承認が要る」で、どちらに寄せるかを誰も決めず、一枚は両論併記の曖昧なものになっていました。決める人を責任者の上の経営者にして、「これから採る人には提案まで決めさせる。承認の流れを変える」と決めてもらってから、一枚が一つの像になり、求人票と面接に使えるようになりました。ずれは見せるだけでは価値がなく、決めて初めて一枚になります。エラベルでジョブディスクリプションの作成を担当する人には、聞き取りの前に、決める人を会社と決めてもらっています。
手順四:ずれを並べて責任者が寄せ方を決める
責任者の答えと担当者の答えを、六つの問いごとに並べます。ずれている項目について、「これから採る人にはどうしてほしいか」を責任者(決める人)が決めます。寄せ方によって、求人票と面接がどう変わるかを添えると決めやすくなります。
| 問い | 責任者 | 担当者 | 寄せ方の選択肢 |
|---|---|---|---|
| 何を決めてよいか | 提案まで決めてよい | 実際は上司の承認が要る | 決めさせる(承認の流れを変える)/承認ありと書く |
| 誰と最も話すか | 顧客 | 社内の技術部門 | 顧客と書く(技術との調整は減らす)/両方と書く |
止まりやすいのは、「両方書いておく」で曖昧にするときです。一枚は一つの像にします。
手順五:六項目の一枚に書いて両方に確認する
決まった内容を、六項目の一枚に書きます。何を決める、誰と、どこまで、最初の三か月、詰まるもの、どう評価されるか。一項目は二、三行。一枚を超えたら削ります。書いたら責任者と担当者の両方に見せ、「これで採用してよいか」「これで実態と合うか」を確認します。
| 項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 何を決める | 既存顧客への提案の中身と価格の範囲を、上司に聞かずに決める |
| 誰と | 担当顧客の窓口と、週に数回。社内では技術部門の担当者と |
| どこまで | 受注までを担当し、納品は技術部門に渡す |
| 最初の三か月 | 担当顧客を引き継ぎ、一人で提案を出せる |
| 詰まるもの | 技術部門との納期のすり合わせ |
| どう評価されるか | 担当顧客の継続と、提案の通過率 |
止まりやすいのは、一枚に業務の一覧を足したくなるときです。一覧は求人票の補足に回し、一枚は六項目にとどめます。
手順六:求人票と面接の観点と評価の到達点に展開する
一枚から、三つに展開します。求人票には「役割・最初の三か月・必須・成果」の四項目を。面接には、「何を決める」と「詰まるもの」から観点と質問を。評価には、「どう評価されるか」を到達点として。展開して初めて、一枚が採用に効きます。
| 展開先 | 一枚のどこから | 何にする |
|---|---|---|
| 求人票 | 何を決める、最初の三か月、どう評価されるか | 役割の一文、三か月の到達点、成果の説明 |
| 面接の観点 | 何を決める、詰まるもの | 「提案を自分で決めた経験」「納期のすり合わせをどう乗り切ったか」 |
| 評価の到達点 | どう評価されるか、最初の三か月 | 三か月と一年の到達点 |
止まりやすいのは、一枚を作って共有して終わるときです。展開しないと、求人票も面接も変わりません。求人票の作り方は求人原稿の作成の進め方に、面接の観点は一次面接の進め方に書いています。
手順七:日付を入れて共有の場所に置く
一枚に作成日と決めた人を入れ、共有の場所(採用の資料と同じ場所)に置きます。求人票と面接の一枚から、ジョブディスクリプションの一枚へたどれるようにします。
止まりやすいのは、個人のフォルダに置かれて、担当が替わると見つからなくなるときです。共有の場所を一つ決めます。
手順八:募集のたびと入社三か月後に更新する
募集のたびに一枚を見直し、組織や事業が変わったら直し、入社した人の三か月後に「一枚と実態が合っていたか」を本人と上司に聞いて直します。年に一度、全職種を見ます。直すたびに日付と理由を入れ、一枚を保ちます。
止まりやすいのは、作ったまま二年たって、役割が変わっているのに一枚が古いままのときです。入社三か月後の確認を予定に入れておくと、更新が自然に回ります。
外の人に頼む場合の境目
八つの手順のうち、一の決める人の決定、四の寄せ方の決定、五の承認、六の評価の到達点の決定、八の見直しの判断は会社が持ちます。二と三の聞き取り、四のずれの整理と選択肢、五の文書化と確認の進行、六の展開、七の置き場所の整理、八の更新の運用は、外の人に出せます。切り分けの詳しい話はジョブディスクリプション作成は代行に出せるかに書いています。
外に出す判断の目安は、「責任者は時間を取り、ずれは決めるが、聞き取りと文書化と展開に人事の時間が取れない」ときです。責任者が時間を取らないまま外に出しても、聞き出せません。
エラベルの見解
担当する側から見ると、ジョブディスクリプションで会社ごとに差がつくのは、手順八の「入社三か月後に一枚と実態を突き合わせているか」です。一枚は、聞き取りをすれば誰でも作れます。しかし、作ったまま更新しない会社では、二年後には一枚が実態と違い、求人票と面接がまた人それぞれに戻ります。入社三か月後に本人と上司に「一枚と違ったことは」と聞いている会社では、一枚が実態に合い続け、次の募集でそのまま使えます。エラベルでは、ジョブディスクリプションの作成を担当する人に、最初の一週間で対象の職種と決める人を会社と確認し、責任者と担当者に三十分ずつ聞き、ずれを整理して寄せ方の選択肢を出し、決まった後に一枚を書いて両方に確認し、求人票の四項目と面接の観点に展開するところまでをお願いしています。ここまでできると、担当者は募集のたびと三か月後の更新を回し、会社は決めることと承認だけになります。
まとめ
- ジョブディスクリプションは「業務の一覧を書き出す」ではなく、責任者と現場に「何を決める役割か」を聞くところから始める
- 手順は対象と決める人→責任者に六つの問い→担当者に同じ問い→ずれを並べて決める→一枚に書いて両方に確認→求人票と面接と評価に展開→日付を入れて共有→募集のたびと三か月後に更新の八つ
- 六つの問いは何を決める・誰と・どこまで・最初の三か月・詰まるもの・どう評価されるか。抽象語は一段掘る
- ずれは「両方書く」で曖昧にせず、決める人が一つに寄せる
- 一枚を作って終わりにせず、求人票・面接の観点・評価の到達点に展開する
- 入社三か月後に本人と上司に「一枚と違ったことは」と聞いて直す
よくある質問
一職種に二時間で本当に書けますか
責任者三十分、担当者三十分、ずれの整理と決定に三十分、一枚に書いて確認に三十分で、二時間です。六項目に絞り、業務の一覧を書かないことが条件です。最初の一職種は慣れずに長くなることがありますが、二職種目からは二時間で収まります。完璧を目指さず、使いながら直します。
同じ職種でも、部署や拠点で役割が違います
一枚は「役割」ごとに作ります。同じ「営業」でも、新規と既存で「何を決める」「誰と」が違えば、二枚です。ただし、募集単位で作るので、募集が「営業(既存)」なら、その一枚だけを作ります。全部の組み合わせを先に作る必要はありません。
責任者が「言葉にできない」「見て覚えてもらう」と言います
六つの問いを、「先週実際にあった場面」で聞きます。「先週、この役割の人が上司に聞かずに決めたことは」「先週、最も長く話していた相手は」。理想を聞くと言葉にならず、先週の事実を聞くと出てきます。それでも出ない場合は、「いま一番できている人が三か月目にできていたこと」を聞き、それを到達点にします。