採用代行 / 求人原稿の作成
求人原稿の作成の進め方|自社でやる場合の手順
求人原稿を自社で書こうとして、媒体の入力画面を開いていきなり書き始めると、「業務内容:営業業務全般」「求める人物像:明るく前向きな方」「当社の魅力:風通しの良い社風、成長できる環境」で埋まります。書いた本人は「悪いことは書いていない」と思いますが、応募者は「日々何をするか」「誰の下で働くか」「条件の数字」「なぜ採るか」を見ていて、それが無い原稿は判断できずに飛ばされます。求人原稿で最初にやるべきは書き始めることではなく、「なぜ採るか」を一文にして、現場に日々の中身を聞くことです。結論を先に書くと、進め方は、なぜ採るかを一文にする→現場に日々の中身の割合を聞く→条件の数字を揃える→上司の言葉を一つもらう→要件の言葉のまま書く→外す言葉を削る→現場と経営者が実態と照らして読む→反応を見て直す、の八つの手順で、順番を守ると、原稿が「良い会社」の言葉から「応募者が判断できる材料」に変わります。代行に出す場合の切り分けは求人原稿の作成は代行に出せるかに、何年も更新していない場合は求人原稿を何年も更新していないときに書いていますので、ここでは自社で進める手順に絞ります。
手順の全体
| 手順 | やること | 誰が | 使う質問 |
|---|---|---|---|
| 一 | なぜ採るかを一文にする | 経営者 | 「誰が、何に、困っているか」 |
| 二 | 現場に日々の中身の割合を聞く | 人事(いなければ経営者) | 「先週の五日間、何に何割の時間を使ったか」 |
| 三 | 条件の数字を揃える | 人事と経営者 | 給与の範囲・時間・休日・勤務地・在宅・残業の実態 |
| 四 | 上司の言葉を一つもらう | 人事 | 「入った人に最初の一か月でこうしてもらう、を一言で」 |
| 五 | 要件の言葉のまま書く | 人事 | 「応募者が読んで、自分に合うか判断できるか」 |
| 六 | 外す言葉を削る | 人事 | 「この言葉は、この層に何を伝えているか」 |
| 七 | 現場と経営者が実態と照らして読む | 現場と経営者 | 「ここは実態と違う、はどこか」 |
| 八 | 反応を見て直す | 人事 | 応募の数・書類で残る率・面接での「聞いていたのと違う」 |
手順の要点は、一から四が「材料を集める」で、五と六が「書く」、七と八が「確かめて直す」であることです。書く前に材料を集めると、書く時間は短く済みます。
手順一:なぜ採るかを一文にする
「営業を募集」ではなく、「前任者の退職で既存顧客の担当が空いており、引き継いで対応してくださる方を探しています」のように、誰が何に困っていて、入った人に何をしてほしいかを一文にします。
この一文があると、原稿の冒頭に置くだけで、応募者は「この会社は採る理由が具体だ」と読み、信用します。無いと、「営業業務全般」から始まり、他の求人と区別がつきません。
止まりやすいのは、「困ること」を書くと会社が弱く見える気がするときです。実際は逆で、「前任者の退職で」「事業が伸びて対応が回らず」は、応募者にとって「入ったら何をするか」が見える情報です。隠すと、「なぜ採るのか分からない求人」になります。
手順二:現場に日々の中身の割合を聞く
現場の人に、「先週の五日間、何に何割の時間を使ったか」を聞きます。「既存顧客の対応が七割、新規の電話が二割、社内の報告が一割」のように、割合で出してもらいます。
割合を原稿に書くと、応募者は「自分に合うか」を判断できます。「営業業務全般」では、新規開拓が九割の会社と既存対応が九割の会社の区別がつかず、合わない人が応募して、面接で「聞いていたのと違う」になります。
止まりやすいのは、現場が「いろいろやっている」と答えるときです。この場合は、「先週の月曜は何をしたか」「火曜は」と一日ずつ聞きます。五日分を並べると、割合が出ます。
手順三:条件の数字を揃える
給与の範囲、勤務時間、休日、勤務地、在宅の可否と頻度、残業の実態を、数字で揃えます。「応相談」「規定による」にしない。
止まりやすいのは、給与の範囲を出せないときです。理由は二つあり、「社内の給与との整合」なら範囲を広めに出し、「決裁が取れていない」なら先に取ります。範囲を出すと、合わない人が応募しなくなるだけで、合う人は減りません。
もう一つ止まりやすいのは、残業の実態を書きたくないときです。書かないと、面接で聞かれて答えることになり、そこで辞退されます。実態を書き、多いなら「繁忙期の〇月と〇月は増える」のように時期を添えます。給与と労働時間と休日の表記には決まりがあります。書く前に、専門家にご確認ください。
手順四:上司の言葉を一つもらう
入った人の上司になる人に、「最初の一か月でこうしてもらう、を一言で」と聞き、原稿にその言葉のまま入れます。「最初の一か月は私と同行して、既存の顧客を一緒に回ります」「分からないことは横で一緒に出ます」。
上司の言葉があると、応募者に「誰の下で働くか」が見えます。人事が書いた「先輩がサポートします」より、上司本人の一言のほうが伝わります。
止まりやすいのは、上司が「特に無い」と答えるときです。この場合は、「前に入った人で、続いた人は最初の一か月に何をしていたか」を聞きます。そこから一言が出ます。
エラベルの見解
相談で多いのは、「求人原稿を自分で書いたが、応募が来ない」というご相談です。原稿を見ると、「営業業務全般」「明るく前向きな方」「風通しの良い社風」で、なぜ採るかも、中身の割合も、条件の数字も、上司の言葉も無く、書いた人事の方は「何を書けばよいか分からなかった」と言っていました。手順一から四の材料を集めてもらい、それを並べただけの原稿に差し替えたところ、応募の数は変わりませんでしたが、書類で残る率と面接に来る率が上がりました。
見ていて差がつくのは、「書く前に材料を集めているか」です。原稿が書けない人事の方は、書く力が無いのではなく、材料が無いまま書こうとしています。エラベルでは、自社で原稿を書きたい会社に、まず手順一から四の材料を一枚に集めてもらい、それを並べるところから始めてもらっています。
手順五:要件の言葉のまま書く
材料が揃ったら、書きます。書き方の要点は、要件の言葉を抽象にしないことです。
| 抽象な書き方 | 要件の言葉のまま |
|---|---|
| 営業経験 | 既存の顧客を引き継いで対応した経験 |
| ITスキル | 複数の画面を見ながら会話の内容を入力する |
| マネジメント経験 | 三名から五名の部下の目標を決めて面談した経験 |
| コミュニケーション能力 | (書かない。面接で確かめる) |
| 未経験歓迎 | 最初の二週間はメールだけを担当し、電話は上司が横について出ます |
原稿の順番は、「なぜ採るか」→「日々の中身の割合」→「上司の言葉」→「条件の数字」→「要件」です。会社の紹介は最後か、無くてもよい。応募者は会社の歴史より、入ったら何をするかを先に見ます。
止まりやすいのは、「要件の言葉のまま書くと、応募が減る気がする」ときです。減るのは合わない人の応募で、合う人は「自分向けだ」と読んで増えます。応募の数ではなく、書類で残る率を見ます。
手順六:外す言葉を削る
書いた原稿から、次の言葉を探して、削るか置き換えます。
「風通しの良い社風」「アットホームな職場」「成長できる環境」「裁量が大きい」「やりがいのある仕事」「明るく前向きな方」「即戦力」「未経験歓迎」「幅広く経験できる」。
削る理由は、これらが「何も伝えていない」か「層に合わない」からです。「風通しの良い社風」は、上司の言葉に置き換えます。「成長できる環境」は、「最初の一か月はこうする、三か月でこうなる」に置き換えます。「即戦力」は経験者向けの原稿から、「未経験歓迎」は経験者向けの原稿から、それぞれ削ります。
止まりやすいのは、経営者が「うちの魅力はアットホームなところだ」と譲らないときです。この場合は、「アットホーム」の中身を聞きます。「上司が毎日声をかける」「困ったら誰でも手伝う」なら、その中身を書きます。中身を書けば、「アットホーム」の言葉は要りません。
手順七:現場と経営者が実態と照らして読む
書いた原稿を、現場の人と経営者が読み、「ここは実態と違う」を言います。三十分。
「残業は月に〇時間程度」「在宅は週に二日」「クレームは少ない」「最初の一か月は同行」が、本当かどうか。書いた人事が良かれと思って実態より良く書いた箇所は、ここで直します。
止まりやすいのは、現場が「忙しいから読めない」と言うときです。原稿を印刷して、「違うところに線を引くだけ」と頼みます。十分で済みます。この工程を省くと、面接で「聞いていたのと違う」が起き、面接の時間が無駄になります。
手順八:反応を見て直す
原稿を出して数週間で、次を見ます。
一つ目は、応募の数と、書類で残る率です。応募が来ないなら、条件の数字か、なぜ採るかの一文が弱い。応募は来るが書類で九割落としているなら、要件の言葉が抽象で、合わない人を呼んでいます。
二つ目は、面接で「聞いていたのと違う」と言われた点です。原稿と実態がずれています。手順七で見落とした箇所なので、原稿を直します。
三つ目は、入った人が続いたかです。三か月後に、「原稿に書いてあったことと違ったことはあるか」を本人に聞きます。次の原稿の材料になります。
直す頻度は、応募が止まったときと、入った人の三か月後の二つを目安にします。何年も更新しない原稿は、実態とずれていきます。応募が来ない原因の分解は応募が来ないときに、質が合わない場合は応募は来るが質が合わないときに書いています。
外の人に頼む場合の境目
八つの手順を自社でやるとき、止まりやすいのは手順二と六です。現場に聞き取る時間が無い、または現場が人事に本音を言わない。自社の言葉を客観的に削れない。この場合は、手順二の聞き取りと手順五・六の書く工程を外の人に頼む選択があります。外の人は現場から本音を聞き取り、自社の言葉を客観的に削れます。
手順一と三と七の「なぜ採るか」「条件の数字」「実態との照らし合わせ」は、外に出せません。会社にしかない情報と判断です。切り分けの詳細は求人原稿の作成は代行に出せるかに書いています。
エラベルの見解
担当する側から見ると、求人原稿で最も効くのは、手順二の「日々の中身の割合」と手順四の「上司の言葉」です。この二つがある原稿は、書き方が拙くても、応募者が「入ったら何をするか」「誰の下で働くか」を判断でき、面接での「聞いていたのと違う」が減ります。逆に、この二つが無い原稿は、どれだけ整えても判断できず、飛ばされます。
エラベルでは、自社で原稿を書きたい会社には、手順一から四の材料を一枚に集めることだけを先にやってもらい、書く工程で止まったときに担当者が入る形をお勧めしています。給与と労働時間と休日の表記は、専門家にご確認いただくようお伝えしています。
まとめ
- 求人原稿はいきなり書き始めない。「なぜ採るか」を一文にして、現場に日々の中身を聞くことから始める
- 手順はなぜ採るかを一文に→中身の割合を聞く→条件の数字を揃える→上司の言葉を一つ→要件の言葉のまま書く→外す言葉を削る→実態と照らして読む→反応を見て直すの八つ
- 一から四が材料、五と六が書く、七と八が確かめて直す。材料があれば書く時間は短い
- 「困ること」を書くと会社が弱く見えるのではなく、入ったら何をするかが見える
- 条件の数字は「応相談」にしない。範囲を出すと合わない人の応募が減るだけ
- 外す言葉は「風通し」「アットホーム」「成長できる」「裁量」「即戦力」「未経験歓迎」。中身に置き換える
- 現場と経営者が実態と照らして読む工程を省かない。省くと面接で「聞いていたのと違う」が起きる
- 止まりやすいのは手順二と六。そこだけ外の人に頼む選択がある。「なぜ採るか」「条件の数字」「実態との照らし合わせ」は外に出せない
よくある質問
専任の人事がいないので、経営者が書くことになります
手順は同じで、経営者が手順二で現場に聞き、四で上司(自分か現場の責任者)の言葉を出し、五と六で書きます。経営者が書く場合に止まりやすいのは手順六の「外す言葉を削る」で、自社の言葉は自分では削れません。書いた原稿を、社外の人(取引先、知人、担当者)に一度読んでもらい、「何をする仕事か分かったか」を聞くと、削るべき言葉が見えます。
媒体の入力欄が決まっていて、手順どおりの順番で書けません
入力欄の順番は媒体が決めますが、各欄に何を入れるかは会社が決めます。「業務内容」の欄に「なぜ採るか」の一文と「中身の割合」を入れ、「求める人物像」の欄に要件の言葉と上司の言葉を入れ、「当社の魅力」の欄に「最初の一か月はこうする」を入れます。「当社の魅力」に「風通しの良い社風」を入れる必要はありません。欄の名前に引きずられず、材料を入れる場所として使います。
原稿を書き直したら、応募が減りました
減ったのが「合わない人の応募」なら、書類で残る率と面接に来る率が上がっているはずで、それなら書き直しは成功です。書類で残る率も下がっているなら、条件の数字か要件の言葉が厳しすぎるか、なぜ採るかの一文が弱いので、手順八でその箇所を直します。応募の数だけを見て「減った」と判断せず、書類で残る率と面接に来る率を一緒に見ます。