採用代行 / 入社後のオンボーディング

入社後のオンボーディングの進め方|自社でやる場合の手順

公開 2026-09-20

入社後のオンボーディングを自社で進めようとして、「初日に研修をして、あとは配属先に任せる」から始めると、配属先では教える人が決まっておらず、上司との面談は「落ち着いたら」で後回しになり、新しい人は誰に聞けばよいか分からず抱え込み、三か月目に「思っていた会社と違う」と辞めます。オンボーディングで最初にやるべきは、研修の内容を作ることではなく、「三か月後に何ができるようになっていればよいか」と「それを誰がいつ教えるか」を決めることです。到達点と教える人が決まれば、研修も面談も窓口も、その到達点に向けた段取りになります。結論を先に書くと、進め方は、入社から三か月の到達点を決める→配属先で教える人と時間を決める→教える内容の一覧と順番を作る→上司面談の日程を入社前に押さえる→初日から一週間の準備の一覧を作る→質問の窓口を決める→つまずきの兆しと対応を決める→記録の表を作り、月に一度、定着とつまずきを見る、の八つの手順で、順番を守ると、部署によって定着が違う状態が減り、辞める前に手が打てます。代行に出す場合の切り分けは入社後のオンボーディングは代行に出せるかに書いていますので、ここでは自社で進める手順に絞ります。

手順の全体

手順やること誰が頻度
入社から三か月の到達点を決める上司職種ごとに一度
配属先で教える人と時間を決める上司入社者ごと
教える内容の一覧と順番を作る上司と教える人職種ごとに一度
上司面談の日程を入社前に押さえる人事入社者ごと
初日から一週間の準備の一覧を作る人事最初に一度
質問の窓口を決める人事最初に一度
つまずきの兆しと対応を決める人事と上司最初に一度
記録の表を作り、定着とつまずきを見る人事月に一度

手順の要点は、一から三が配属先の仕事で、四以降が人事の段取りであることです。多くの会社は五だけをやっていて、一から三が配属先に「任せた」まま決まっていません。

手順一:入社から三か月の到達点を決める

職種ごとに、一週目、一か月目、三か月目に「何を知っていて、何ができていればよいか」を決めます。到達点が無いと、教える内容が決まらず、面談で「どう?」「まあまあです」で終わります。

時期知っていることできること話した人
一週目事業の全体、チームの人、日々の流れ、社内の道具道具が使える。一日の流れが分かる上司、同僚全員
一か月目担当業務の中身、判断の基準、誰に何を聞くか定型の業務を一人でできる上司、関わる他部署の人
三か月目業務の背景、顧客や関係者、社内の暗黙の決まり担当を持って回せる。困ったときに聞ける上司、経営者

止まりやすいのは、上司が「仕事は見て覚えるもの」と到達点を言葉にしないときです。この場合は、「いま一番できている同僚が、入社三か月でできていたこと」を聞き、それを到達点にします。

手順二:配属先で教える人と時間を決める

新しい人に仕事を教える人を一人決め、その人の時間を確保します。「同僚の〇〇が最初の一か月、日に三十分」のように、人と時間を具体にします。教える人は上司でなくてよく、むしろ同僚のほうが聞きやすいことが多い。上司は面談を持ちます。

止まりやすいのは、「みんなで教える」で誰も教えないときです。一人に決めます。教える人の負担が大きければ、期間を分けて二人にします。

手順三:教える内容の一覧と順番を作る

手順一の到達点に向けて、教える内容を一覧にし、誰がいつ教えるかを表にします。教える人が「何を教えたか」を印で残せる形にすると、抜けが見えます。

内容誰がいつまでに教えた
社内の道具の使い方同僚一週目
担当業務の定型の流れ教える人二週目
判断の基準と、迷ったときに聞く人教える人と上司一か月目
顧客や関係者の背景上司二か月目

止まりやすいのは、教える内容が教える人の頭の中にあり、一覧にならないときです。教える人に「新しい人が最初の一か月で困ることは何か」を聞いて、それを一覧の出発点にします。

エラベルの見解

これをやる前に、先に手順二の「教える人と時間」を決めておかないと、手順三の一覧は使われません。相談で多いのは、「教える内容の一覧を作ったのに、教えられていない項目が残る」というご相談です。聞くと、一覧には内容と期限が書いてあるものの、「誰が」が空欄で、上司は「誰かが教えているはず」と思っていました。教える人を一人に決め、一覧の「誰が」を埋め、教える人が印を付ける形にしてからは、教えられていない項目が見えるようになり、上司が面談で拾えるようになりました。一覧は、教える人が決まって初めて動きます。エラベルでオンボーディングの段取りを担当する人には、一覧を作る前に、教える人と時間を配属先と決めてもらっています。

手順四:上司面談の日程を入社前に押さえる

上司と新しい人の一対一の面談を、一週目・一か月目・三か月目に三十分ずつ、入社前に日程を入れておきます。入社後に「落ち着いたら」で入れようとすると、入りません。面談で聞くことは、「できるようになったこと」「まだ困っていること」「誰に聞けばよいか分からなかったこと」の三つです。

止まりやすいのは、上司が忙しくて面談を動かし、そのまま消えるときです。動かすのは構いませんが、消さない。人事が日程を管理し、消えそうなら再設定します。

手順五:初日から一週間の準備の一覧を作る

備品、アカウント、席、書類、初日の案内、社内への紹介、一週目の予定表を一覧にし、誰がいつまでに用意するかを決めます。初日に何もできない状態は、新しい人に「歓迎されていない」と受け止められます。

準備誰がいつまでに
備品と席総務入社の前日
アカウントと道具情報システムか人事入社の前日
書類と手続き人事初日
初日の案内と社内への紹介人事と上司初日
一週目の予定表(誰と話すか、何を教わるか)人事と教える人入社の前日

手順六:質問の窓口を決める

新しい人が「誰に聞けばよいか分からない質問」を受ける窓口を、上司以外に一人決めます。教える人でも、人事でも、隣の部署の先輩でも構いません。窓口は答えを全部持つのではなく、答える人に取り次ぎ、「この質問は〇〇さん」と伝えます。数か月で新しい人が自分で聞けるようになれば、窓口は要らなくなります。

止まりやすいのは、窓口が上司だけで、新しい人が遠慮して聞けないときです。上司以外に置きます。

手順七:つまずきの兆しと対応を決める

辞める前には兆しが出ます。兆しの観点と、見えたときの対応を決めておきます。

兆し対応
質問が減った教える人か窓口から「困っていることはないか」と声をかける
面談で話さなくなった上司が面談の時間を増やす。人事が別に話す
遅刻や欠勤が出た上司が理由を聞く。仕事の量と中身を見直す
同僚との接点が少ない同僚との昼食や小さな共同作業を入れる
教える内容の進みが遅い教える人の時間が取れているかを上司が確認する

止まりやすいのは、兆しを見ても「本人の問題」で片づけるときです。同じ時期に同じ部署でつまずく人が続くなら、構造の問題です。

手順八:記録の表を作り、月に一度、定着とつまずきを見る

入社者ごとに、入社日、部署、教える人、面談の実施日、教える内容の進み、兆しと対応、三か月目の到達度、結果(在籍か退職か)、退職なら時期と理由を一行で残します。月に一度、「どの時期に、どの部署で、どんな兆しの後で辞めているか」を見ます。

止まりやすいのは、退職の理由が「一身上の都合」のまま記録されているときです。退職の申し出があったら、時期と理由を丁寧に聞き取り、表に残します。営業の早期退職の見方は営業がすぐ辞めてしまうときに、新卒は新卒が定着しないときに書いています。

外の人に頼む場合の境目

八つの手順のうち、一の到達点、二の教える人、三で教えること、四で話すこと、七の対応の判断は会社が持ちます。三の一覧の作成、四の日程の管理、五の準備の段取り、六の窓口、七の兆しの記録、八の表と見方の整理は、外の人に出せます。切り分けの詳しい話は入社後のオンボーディングは代行に出せるかに書いています。

外に出す判断の目安は、「教える人と上司の枠は決まっているが、段取りと記録が回っていない」ときです。教える人がいないまま外に出しても、新しい人は育ちません。

エラベルの見解

担当する側から見ると、オンボーディングで会社ごとに差がつくのは、手順四の「上司面談の日程が入社前に入っているか」です。教える人が決まり、一覧があっても、上司との一対一が無い会社では、新しい人は「上司が自分をどう見ているか分からない」まま三か月を過ごし、不安が言葉にならないまま辞めます。日程が入社前に入っている会社では、面談は動いても消えず、一か月目の面談で困っていることが言葉になり、対応できます。エラベルでは、オンボーディングの段取りを担当する人に、最初の一週間で到達点と教える人を配属先と確認し、上司面談の三回分を入社前に押さえ、教える内容の表と質問の窓口と記録の表を作るところまでをお願いしています。ここまでできると、担当者は兆しを拾って上司に渡すだけで、対応は上司と教える人が動く形になります。

まとめ

よくある質問

教える人の負担が大きく、本人の仕事が回りません

教える期間を分けて二人にする、教える内容のうち文書化できる部分を先に文書にして自習に回す、教える時間を「日に三十分」から「週に三回、各一時間」のようにまとめる、の順で考えます。教える人の負担を上司が把握していないことが多いので、手順三の表で「誰が何をいつ教えるか」を上司が見える形にし、教える時間を教える人の業務として扱います。

中途入社の経験者にも、同じ手順が必要ですか

経験者は業務の中身を教える時間は短くて済みますが、「この会社での判断の基準」「誰に何を聞くか」「暗黙の決まり」は経験者でも知りません。到達点の「知っていること」の部分は経験者にも要り、「できること」の部分は短くします。経験者ほど「分かっているはず」で放置され、聞けずに辞めることがあります。上司面談と窓口は、経験者にも置きます。

リモートで入社する人のオンボーディングはどうすればよいですか

顔を合わせないぶん、手順二の教える人、手順四の面談、手順六の窓口を、出社の場合より意識して置きます。「困ったら聞いて」は、リモートでは聞けません。教える人との定例の時間を毎日決める、面談の回数を増やす、同僚との小さな接点(朝の短い雑談など)を予定に入れる、といった形で、接点を予定として作ります。