採用代行 / 入社後のオンボーディング

入社後のオンボーディングは代行に出せるか|任せる範囲の切り分け方

公開 2026-09-20

「採用は決まるのに、入社後に早く辞めてしまう。オンボーディングまで代行に出せますか」という相談は、採用の後半を外に出している会社から来ます。出せる部分はあります。ただ、新しい人が辞める理由の多くは「仕事を教えてもらえない」「上司と話す機会が無い」「誰に聞けばよいか分からない」で、これは上司と同僚の時間の問題であり、外の人が代わりに教えたり関係を作ったりすることはできません。外に出せるのは、上司と同僚がそれをできるように、計画を作り、段取りを回し、つまずきを早く見つける部分です。結論を先に書くと、入社後のオンボーディングは、「仕事を教えること」「上司の面談で話すこと」「配属と役割の決定」「評価」「つまずきへの対応の判断」は会社が持ち、「入社から数か月までの計画の設計・初日から一週間の準備と手続きの管理・定期面談の日程調整と記録・新しい人からの質問の受付と取り次ぎ・つまずきの兆しの記録と共有・定着の記録と計画の見直しの提案」は代行に出せます。営業が早く辞めるときの見方は営業がすぐ辞めてしまうときに、新卒の定着は新卒が定着しないときに書いていますので、ここでは「オンボーディングを工程に分けて出す」観点に絞ります。

「設計して回す」と「教えて関係を作る」を分ける

入社後のオンボーディングを工程に分けると、次のようになります。

一つ目は、入社から数か月までの計画を設計することです。初日、一週目、一か月目、三か月目に、何を知り、何ができるようになり、誰と話すか。案は外の人が出せ、決めるのは会社です。

二つ目は、初日から一週間の準備と手続きです。備品、アカウント、席、書類、初日の案内、社内の紹介。外の人ができます。

三つ目は、仕事を教えることです。業務の中身、進め方、判断の基準、社内の暗黙の決まり。上司と同僚が行います。外の人は、教える内容の一覧と、誰がいつ教えるかの表を作れます。

四つ目は、定期面談です。上司が一週目、一か月目、三か月目に新しい人と話す。話すのは上司で、日程の調整と記録の様式と記録の保管は外の人ができます。

五つ目は、新しい人からの質問を受けて、答える人に取り次ぐことです。「誰に聞けばよいか分からない」を無くす窓口。外の人ができ、答えるのは社内の人です。

六つ目は、つまずきの兆しを読み、記録し、上司に共有することです。質問が減った、面談で話さなくなった、遅刻や欠勤が出た、同僚との接点が少ない。外の人ができ、対応の判断は上司です。

七つ目は、配属と役割の決定と評価です。会社が決めます。

八つ目は、定着の記録と、計画の見直しの提案です。「一か月目でつまずく人が多い」「教える人が固定されていない部署で辞める」を示す。外の人ができ、見直しの判断は会社です。

八つのうち、三の教えること、四の話すこと、七、六と八の判断は会社が持ち、それ以外は外に出せます。

代行に出せる工程と出せない工程

工程会社が持つ代行に出せる
計画の設計決める初日・一週目・一か月目・三か月目に何を知り何ができ誰と話すかの案
初日から一週間の準備と手続き備品、アカウント、書類、初日の案内、社内の紹介の段取り
仕事を教える上司と同僚が教える教える内容の一覧、誰がいつ教えるかの表、進捗の確認
定期面談上司が話す日程の調整、記録の様式、記録の保管
質問の受付と取り次ぎ答える窓口を持ち、答える人に取り次ぎ、答えを返す
つまずきの兆しの記録と共有対応を判断する兆しの記録、上司への共有
配属・役割・評価決める
定着の記録と計画の見直し見直しを判断する定着の記録、つまずく時期と部署の分析、見直しの提案

表の要点は、「仕事を教える」が会社の側にあることです。代行が業務を教える形は、業務の中身を代行が知らないので成立しません。代行が持てるのは、「何を、誰が、いつ教えるか」の表を作り、教えられていない項目を見つけて上司に戻すことです。

もう一つの要点は、「質問の受付と取り次ぎ」です。新しい人が辞める理由の一つは「誰に聞けばよいか分からず、聞けないまま抱えた」ことです。上司は忙しく、同僚は自分の仕事があり、新しい人は遠慮します。外の人が窓口になって取り次ぐと、聞けないまま抱える時間が減ります。

エラベルの見解

相談で最も多い思い込みは、「オンボーディングは研修を用意すれば済む」というものです。実際には、研修で会社の説明を受けても、配属先で仕事を教える人がおらず、上司と話す機会が無ければ、新しい人は一か月で「この会社では育ててもらえない」と感じます。ある会社では、入社初日に一日の研修があり、その後は配属先に任せていて、三か月以内に辞める人が続いていました。辞めた人に聞くと、「聞きたいことがあっても、誰に聞けばよいか分からなかった」「上司と一対一で話したのは入社日だけ」でした。担当者が入って、一週目・一か月目・三か月目の上司面談の日程を担当者が先に押さえ、教える内容の一覧を配属先と作って誰がいつ教えるかを表にし、質問の窓口を担当者が持つ形にしたところ、上司の負担は面談の時間だけになり、三か月以内の退職が減りました。オンボーディングで足りないのは研修ではなく、上司と同僚が教える時間と、それを段取りする人です。

代行に出したほうがよい状況

次の状況では、オンボーディングの設計と段取りを代行に出したほうが進みます。

一つ目は、入社後の計画が無く、配属先に任せきりで、部署によって定着が違うときです。計画の設計を外に出し、部署が違っても同じ骨組みで回る形にします。

二つ目は、初日の準備(備品、アカウント、席)が間に合わず、新しい人が初日に何もできないことがあるときです。準備の段取りを外に出します。

三つ目は、上司との定期面談が「忙しくて後回し」になっているときです。日程の調整を外に出し、面談の枠を先に押さえます。

四つ目は、新しい人が質問できずに抱えていて、後から分かることが多いときです。質問の窓口を外に出します。

五つ目は、早期退職が続いているのに、いつ・なぜ辞めるかが記録されていないときです。定着の記録と兆しの記録を外に出し、つまずく時期と部署を見えるようにします。

代行に出さないほうがよい状況

逆に、次の状況では、オンボーディングを外に出しても進みません。

一つ目は、配属先に仕事を教える人がいないときです。段取りを外に出しても、教える人がいなければ新しい人は育ちません。先に、教える人と時間を配属先で確保します。

二つ目は、上司が面談の時間を取らないときです。日程を押さえても上司が来なければ意味がありません。上司に「一週目・一か月目・三か月目に三十分」を先に合意してもらいます。

三つ目は、早期退職の原因が、仕事の中身や条件が採用時の説明と違うことにあるときです。オンボーディングでは解決せず、採用時の説明を直します。

四つ目は、新しい人の情報(評価、面談の記録、勤怠)を外の人に渡すことについて、決まりが無いときです。入社後の情報は従業員の情報で、扱いの決まりと契約が先です。法令に関わる部分は専門家にご確認ください。

担当者の選び方

オンボーディングの設計と段取りを任せる担当者は、次の点で選びます。

一つ目は、入社から数か月の計画を「何を知り、何ができ、誰と話すか」で設計した経験があるかです。研修の一覧ではなく、配属先での立ち上がりの設計ができる人。

二つ目は、教える内容の一覧を配属先と一緒に作れるかです。業務を知らなくても、「新しい人が最初の一か月で困ることは何か」を上司と同僚から聞き出して表にできる人。

三つ目は、新しい人が話しやすい窓口になれるかです。上司でも同僚でもない立場で、遠慮せずに聞ける相手になれる人。

四つ目は、つまずきの兆しを読んで、上司に伝えられるかです。「質問が減った」「面談で話さなくなった」を記録し、「この人は上司との接点を足したほうがよい」と言える人。

五つ目は、定着の記録から、つまずく時期と部署を示せるかです。担当者の経歴の見方は担当者の経歴の見方に書いています。

出す前に用意しておくもの

オンボーディングの設計と段取りを代行に出す前に、次を用意しておくと、最初の一週間が速くなります。

一つ目は、配属先で仕事を教える人と、その人の時間です。「同僚の〇〇が最初の一か月、日に三十分」のように決めます。

二つ目は、上司の定期面談の枠です。一週目・一か月目・三か月目に三十分ずつ。

三つ目は、初日から一週間に必要な準備の一覧です。備品、アカウント、席、書類、社内の紹介。誰が用意するかも決めます。

四つ目は、新しい人の情報の扱いの決まりと、代行との契約です。面談の記録、評価、勤怠を代行が扱う範囲。法令に関わる部分は専門家にご確認ください。

五つ目は、名乗り方です。代行が新しい人の窓口になるとき、人事の担当として名乗るのか、外部の担当であることを伝えるのか。新しい人は社員なので、後で分かったときの受け止めも考えて決めます。

六つ目は、これまでの入社者の記録と、辞めた人の時期と理由です。あれば、担当者は「どの時期に、どの部署で、なぜ辞めていたか」を最初に読み、計画に反映できます。

エラベルの見解

担当する側から見ると、オンボーディングで最も効くのは、「上司面談の日程を入社前に押さえる」ことと、「新しい人が質問できる窓口を上司以外に置く」ことの二つです。前者で上司との接点が「後回し」にならず、後者で聞けないまま抱える時間が減ります。上司は忙しく、面談は後回しになりがちですが、入社前に三回分の日程が入っていれば、動かすことはあっても消えることは少なくなります。エラベルでは、オンボーディングの段取りを任せる案件で担当者を紹介するとき、最初の一週間で教える人と上司の枠を配属先と確認し、初日から一週間の準備の一覧を作り、教える内容の表を配属先と作り、質問の窓口と記録の様式を決めるところまでをお願いしています。仕事を教えることと面談で話すことは上司と同僚の役割であり、担当者はそれが起きるように段取りする役割に徹してもらっています。

まとめ

よくある質問

代行の担当者に業務を教えてもらうことはできませんか

業務の中身は会社の人しか知らないので、代行が教えることはできません。代行が持てるのは、「何を、誰が、いつ教えるか」の表を配属先と作り、教えられていない項目を見つけて上司に戻すことです。教える人の時間が取れないなら、教える内容を絞る、教える人を複数に分ける、教える内容を文書化して自習できる部分を増やす、の順で考えます。

新しい人の窓口を外の人が持つと、社員との関係が薄くなりませんか

窓口は「誰に聞けばよいか分からない質問」を受けて、社内の答える人に取り次ぐ役割で、答えるのは社内の人です。取り次ぐたびに「この質問は〇〇さんに聞くとよい」と伝えるので、新しい人は社内の誰に聞けばよいかを覚えていき、窓口は数か月で要らなくなります。窓口が答えを全部持つ形にはしません。

三か月を過ぎても定着に不安があります

三か月目の面談で、上司と新しい人の両方から「できるようになったこと」「まだ困っていること」を聞き、計画を延ばすか、役割を調整するかを会社が判断します。定着の記録を見て、同じ時期に同じ部署でつまずく人が続くなら、その部署の教える人と時間を見直します。個人の問題にする前に、構造を見ます。