採用代行 / 採用広報・オウンドメディア

採用広報・オウンドメディアは代行に出せるか|任せる範囲の切り分け方

公開 2026-09-20

「採用広報をやりたいが、社内に書ける人がいないので代行に出したい」という相談は、スカウトや媒体で候補者が「会社名で検索した先」を整えたい会社から来ます。出せます。ただ、採用広報で候補者に届くのは「社員が自分の言葉で語ったこと」であり、外の人が会社を代わりに語る記事は、きれいでも候補者には届きません。外の人が持てるのは、社員から聞き出し、文章にし、出し続ける部分です。結論を先に書くと、採用広報・オウンドメディアは、「何を伝え何を伝えないかの決定」「社員が自分の言葉で語ること」「公開の承認」「会社としての表現の判断」は会社が持ち、「候補者が知りたいことの整理と企画・社員への取材と原稿化・記事や投稿の制作と公開の運用・採用サイトやSNSの更新・閲覧と応募への影響の記録」は代行に出せます。何を発信すればよいかは採用SNSで何を発信すればよいかに、ネタが尽きたときは採用広報のネタが尽きたときに書いていますので、ここでは「採用広報を工程に分けて出す」観点に絞ります。

「語る」と「出す」を分ける

採用広報を工程に分けると、次のようになります。

一つ目は、候補者に何を伝え、何を伝えないかを決めることです。事業の中身、日々の仕事、チームの人、良いところと大変なところ、選考の流れ。伝えない情報(顧客名、未公開の事業、社内の数字)も決める。会社が決めます。案は外の人が出せます。

二つ目は、候補者が知りたいことを整理し、企画にすることです。「どんな人が働いているか」「一日はどう流れるか」「何が大変か」「なぜこの会社を選んだか」「選考で何を見るか」。外の人ができます。

三つ目は、社員に取材し、聞き出すことです。社員が自分の言葉で語る。語るのは社員で、聞き出して整理するのは外の人ができます。

四つ目は、原稿にし、記事や投稿の形にすることです。外の人ができます。社員の言葉を残し、外の人の言葉に置き換えない。

五つ目は、公開の承認です。会社として出してよいか、事実に誤りが無いか、伝えない情報が混ざっていないか。会社が承認します。

六つ目は、公開と更新の運用です。採用サイト、オウンドメディア、SNS、媒体の企業ページ。出す日を決めて出し続ける。外の人ができます。

七つ目は、閲覧と応募への影響を記録することです。どの記事が読まれ、スカウトの返信や応募のときに候補者が「読みました」と言った記事はどれか。外の人ができます。

八つ目は、会社としての表現の判断です。トーン、写真の使い方、社名やロゴの扱い、社員の顔出しの可否。会社が決めます。

八つのうち、一の決定、三の語ること、五の承認、八の判断は会社が持ち、それ以外は外に出せます。

代行に出せる工程と出せない工程

工程会社が持つ代行に出せる
何を伝え何を伝えないか決める候補者が知りたいことから見た、伝えるべきことの案
企画候補者が知りたい五つの問いに沿った企画の一覧
社員への取材社員が語る質問の設計、聞き出し、録音と整理
原稿化と制作社員の言葉を残した原稿、写真の手配、記事や投稿の形にする
公開の承認承認する事実の確認、伝えない情報の混入の確認
公開と更新の運用出す日の計画、公開、採用サイトとSNSの更新
閲覧と応募への影響の記録続けるかを判断する閲覧の記録、候補者が言及した記事の記録
会社としての表現の判断決めるトーンや写真の案

表の要点は、「社員への取材」で語るのが社員であることです。代行が会社の説明を書く記事は、会社案内の言い換えになり、候補者が知りたい「働いている人はどんな人か」に答えません。代行が持つのは、社員が語れるように質問を設計し、語ったことを整理して原稿にする部分です。

もう一つの要点は、「閲覧と応募への影響の記録」です。採用広報は「出したが効いているか分からない」で止まりがちです。どの記事が読まれ、スカウトの返信や面接で候補者が「読みました」と言った記事はどれかを記録すると、続けるか、何を増やすかを会社が判断できます。広報とスカウトの関係は採用広報とスカウトの連携に書いています。

エラベルの見解

相談で最も多い思い込みは、「採用広報は文章が上手い人に任せれば良いものができる」というものです。実際には、文章の上手さより、社員から「本当の話」を聞き出せているかで、候補者への届き方が変わります。ある会社では、外部のライターに採用記事を書いてもらっていましたが、記事は会社の説明と社員の「やりがいがあります」で埋まり、候補者から「読みました」と言われることはありませんでした。担当者が入って、企画を「一日の流れ」「一番大変だったこと」「なぜ辞めなかったか」の三つに絞り、社員への取材で「その日、何時に何をしていましたか」と場面を聞く形にし、社員の言葉をそのまま原稿にしたところ、スカウトの返信で「記事の〇〇さんの話を読んで」と書いてくる候補者が出るようになりました。採用広報で届くのは、きれいな文章ではなく、社員の言葉で語られた場面です。代行の役割は、それを聞き出して出し続けることです。

代行に出したほうがよい状況

次の状況では、採用広報を代行に出したほうが進みます。

一つ目は、伝えたいことは決まっているが、取材と原稿化に社内の時間が取れず、出せていないときです。取材と制作を外に出すと、出し続けられます。

二つ目は、記事を出しているが、会社の説明ばかりで社員の話が無いときです。企画と取材の設計を外に出し、社員の言葉で語る形に変えます。

三つ目は、採用サイトやSNSの更新が止まっていて、候補者が検索した先が古いままのときです。更新の運用を外に出します。検索された先の整え方は採用サイトへの導線に書いています。

四つ目は、出したものが効いているか分からず、続けるかどうか判断できないときです。閲覧と応募への影響の記録を外に出します。

五つ目は、ネタが尽きたと感じているときです。候補者が知りたい問いを社員と候補者に繰り返す企画の型を外に出します。

代行に出さないほうがよい状況

逆に、次の状況では、採用広報を外に出しても進みません。

一つ目は、社員が取材に応じる時間を取れないときです。語る人がいなければ、外の人は会社の説明しか書けません。先に、取材に応じる社員と時間を確保します。

二つ目は、何を伝え、何を伝えないかが決まっておらず、公開の承認が毎回長引くときです。承認に一か月かかると、出し続けられません。先に伝える範囲と承認の期限を決めます。

三つ目は、採用広報で解決しない問題(条件が市場と合わない、選考が遅い)を、広報で解決しようとしているときです。広報は「知ってもらう」ためのもので、辞退の原因が条件や速さなら、そちらを先に直します。

四つ目は、社員の顔出しや名前の扱い、写真の使い方について、会社の方針が無いときです。公開してから「やはり顔は出したくない」となると、記事を下げることになります。先に方針を決めます。個人情報に関わる部分は専門家にご確認ください。

担当者の選び方

採用広報を任せる担当者は、次の点で選びます。

一つ目は、社員から場面を聞き出す取材ができるかです。「やりがいは何ですか」ではなく、「その日、何時に何をしていましたか」「一番きつかった日のことを教えてください」と聞ける人。

二つ目は、社員の言葉を残して原稿にできるかです。きれいに書き換える人ではなく、話し言葉の癖を残して読ませる人。

三つ目は、出し続ける運用を回せるかです。月に何本、いつ出すかの計画を立て、取材の日程を押さえ、承認を取り、公開する型を持っている人。

四つ目は、閲覧と応募への影響を記録して、会社に「何が効いたか」を戻せるかです。

五つ目は、伝えない情報を混ぜない慎重さがあるかです。顧客名、未公開の事業、社内の数字を原稿に入れない人。担当者の経歴の見方は担当者の経歴の見方に書いています。

出す前に用意しておくもの

採用広報を代行に出す前に、次を用意しておくと、最初の一週間が速くなります。

一つ目は、何を伝え、何を伝えないかの決定です。伝えない情報の一覧(顧客名、未公開の事業、社内の数字、社員の個人的な事情)を先に作ります。

二つ目は、取材に応じる社員と、その時間です。職種ごとに一人か二人、一回あたり一時間程度。

三つ目は、公開の承認をする人と、期限です。「原稿を受けて三営業日以内に承認する」のように決めます。

四つ目は、社員の顔出し・名前・写真の扱いの方針です。本名か、名字だけか、仮名か。顔写真を出すか。社員本人の同意の取り方。個人情報に関わる部分は専門家にご確認ください。

五つ目は、出す場所です。採用サイト、オウンドメディア、SNS、媒体の企業ページのどこに出すか。無ければ、まず一つに絞ります。

六つ目は、これまでに出したものと、その閲覧の記録です。あれば、担当者は「何が読まれていたか」を最初に読めます。

エラベルの見解

担当する側から見ると、採用広報で最も効くのは、「企画を候補者の問いから作る」ことと、「月に何本と決めて出し続ける」ことの二つです。前者で記事が会社の説明にならず、後者で採用サイトが「更新の止まった場所」にならなくなります。採用広報は一本の良い記事より、続いていることのほうが候補者に信頼されます。エラベルでは、採用広報を任せる案件で担当者を紹介するとき、最初の一週間で伝える範囲と伝えない情報を会社と確認し、取材に応じる社員と承認の期限を決め、候補者の問いに沿った企画の一覧を作り、最初の一本の取材を設定するところまでをお願いしています。何を伝えるかの決定、社員が語ること、公開の承認は会社の役割であり、担当者はそれが起きるように段取りして、聞き出して、書いて、出す役割に徹してもらっています。

まとめ

よくある質問

社員が「話すことが無い」と言います

「話すことが無い」のは、「やりがいは」「魅力は」と抽象的に聞かれたときです。「先週の火曜日、何時に出社して最初に何をしましたか」「入社して一番きつかった日のことを教えてください」と場面を聞くと、話は出てきます。取材の質問を場面で設計するのが担当者の役割で、社員に準備を求める必要はありません。ネタの作り方は採用広報のネタが尽きたときに書いています。

代行が書いた記事だと、候補者に分かってしまいませんか

社員の言葉を残した原稿なら、誰が書き起こしたかは候補者には関係ありません。分かってしまうのは、社員の話が無く、会社の説明を外の人がきれいに書いた記事です。取材の設計と、社員の言葉を残す原稿化ができる担当者を選べば、「代行が書いた」ことは問題になりません。記名の扱い(編集部名か、担当者名か)は会社が決めます。

動画も作ったほうがよいですか

文章と写真で伝わらないもの(職場の空気、人の話し方)があるなら動画は効きますが、制作と更新の負担は文章より大きく、続かなければ古い動画が残ります。まず文章で出し続ける型を作り、それが回ってから動画を考えます。判断の仕方は動画を採用に使うべきかに書いています。