採用代行 / 採用広報・オウンドメディア
採用広報・オウンドメディアの進め方|自社でやる場合の手順
採用広報を自社で進めようとして、「まず記事を一本書いてみる」から始めると、書けるのは会社の説明で、社員の話は「やりがいがあります」で終わり、二本目は忙しくて書けず、採用サイトには半年前の記事が一本だけ残り、候補者が検索した先は「更新の止まった場所」になります。採用広報で最初にやるべきは、一本書くことではなく、「何を伝えるか」「誰が語るか」「月に何本出すか」を決めて、出し続けられる型を作ることです。型があれば、一本の質より続いていることが候補者に伝わります。結論を先に書くと、進め方は、伝えることと伝えないことを決める→出す場所を一つに絞る→候補者の五つの問いから企画の一覧を作る→取材に応じる社員と承認する人と期限を決める→場面を聞く取材の型を作る→社員の言葉を残す原稿の型を作る→月に何本と決めて公開の予定表を作る→記録の表を作り、月に一度、閲覧と候補者の言及を見る、の八つの手順です。代行に出す場合の切り分けは採用広報・オウンドメディアは代行に出せるかに、何を発信するかは採用SNSで何を発信すればよいかに書いていますので、ここでは自社で進める手順に絞ります。
手順の全体
| 手順 | やること | 誰が | 頻度 |
|---|---|---|---|
| 一 | 伝えることと伝えないことを決める | 経営者と人事 | 最初に一度 |
| 二 | 出す場所を一つに絞る | 人事 | 最初に一度 |
| 三 | 候補者の五つの問いから企画の一覧を作る | 人事 | 最初に一度、四半期に追加 |
| 四 | 取材に応じる社員と承認する人と期限を決める | 責任者 | 最初に一度 |
| 五 | 場面を聞く取材の型を作る | 人事 | 最初に一度 |
| 六 | 社員の言葉を残す原稿の型を作る | 人事 | 最初に一度 |
| 七 | 月に何本と決めて公開の予定表を作る | 人事 | 月に一度 |
| 八 | 記録の表を作り、閲覧と候補者の言及を見る | 人事 | 月に一度 |
手順の要点は、一から六が「型」で、七と八が「回す」ことです。多くの会社は型が無いまま一本書いて、二本目が続きません。
手順一:伝えることと伝えないことを決める
候補者に伝えることと、伝えない情報を決めます。伝えることは、事業の中身、日々の仕事、チームの人、良いところと大変なところ、選考で見ること。伝えない情報は、顧客名、未公開の事業、社内の数字、社員の個人的な事情、他社への言及。伝えない一覧を先に作ると、承認が速くなります。
| 伝えること | 伝えないこと |
|---|---|
| 日々の仕事の中身と割合 | 顧客名、案件の詳細 |
| チームの人と話し方 | 社員の個人的な事情 |
| 大変なところと、それでも続ける理由 | 社内の数字(売上、人数の細かい内訳) |
| 選考で何を見るか | 未公開の事業、他社への言及 |
止まりやすいのは、「大変なところ」を伝えることに経営者が反対するときです。良いところだけの記事は候補者に見抜かれ、入社後の「聞いていた話と違う」につながります。大変なところを先に言った記事のほうが、信頼されます。
手順二:出す場所を一つに絞る
採用サイト、オウンドメディア、SNS、媒体の企業ページのうち、最初は一つに絞ります。複数に出すと更新が追いつかず、古い場所が残ります。候補者がスカウトや媒体の後に会社名で検索して最初に見る場所(多くは採用サイトか、媒体の企業ページ)を選びます。
止まりやすいのは、「SNSも同時に」と手を広げるときです。SNSは頻度が要り、止まると目立ちます。採用サイトの記事が月に数本回ってから、SNSはその記事の案内から始めます。
手順三:候補者の五つの問いから企画の一覧を作る
候補者が知りたいことは、「どんな人が働いているか」「一日はどう流れるか」「何が大変か」「なぜこの会社を選び、なぜ続けているか」「選考で何を見るか」の五つに集まります。この五つを職種と社員に掛けて、企画の一覧を作ります。
| 問い | 企画の例 |
|---|---|
| どんな人が働いているか | 営業の〇〇の場合:前職と、入った理由と、いまの役割 |
| 一日はどう流れるか | エンジニアの火曜日:出社から退社まで何時に何を |
| 何が大変か | 入社三か月で一番きつかった日のこと |
| なぜ続けているか | 辞めようと思った時期と、辞めなかった理由 |
| 選考で何を見るか | 面接官が一次で聞くこと、なぜそれを聞くか |
止まりやすいのは、「会社の魅力」のような企画にするときです。魅力は候補者が判断するもので、会社が語ると宣伝になります。場面を出す企画にします。ネタの作り方は採用広報のネタが尽きたときに書いています。
エラベルの見解
これをやる前に、先に手順一の「伝えないこと」を決めておかないと、手順三の企画は承認で止まります。相談で多いのは、「記事を作ったのに、承認で何度も差し戻されて出せない」というご相談です。聞くと、伝えない情報の一覧が無く、原稿が上がるたびに「この顧客名は出せない」「この数字は困る」と差し戻され、社員は取材に応じるのが嫌になっていました。伝えない一覧を先に作り、取材の前に社員にも渡し、承認は「一覧に触れていないか」だけを見る形にしたところ、承認は数日で通るようになり、出し続けられるようになりました。採用広報が止まるのは書けないからではなく、承認の基準が無いからです。エラベルで採用広報を担当する人には、企画を作る前に、伝えない一覧を会社と作ってもらっています。
手順四:取材に応じる社員と承認する人と期限を決める
職種ごとに、取材に応じる社員を一人か二人決め、一回あたり一時間程度の時間を確保します。承認する人を一人決め、「原稿を受けて三営業日以内」のように期限を決めます。社員の顔出し・名前・写真の扱いも、ここで方針を決め、社員本人の同意を取ります。個人情報に関わる部分は専門家にご確認ください。
止まりやすいのは、承認する人が複数いて、それぞれが直すときです。承認は一人にし、見るのは「事実の誤りと、伝えない一覧に触れていないか」だけにします。文章の好みは直しません。
手順五:場面を聞く取材の型を作る
取材の質問を、場面を聞く形で固定します。「やりがいは何ですか」ではなく、「先週の火曜日、何時に出社して最初に何をしましたか」「入社して一番きつかった日のことを教えてください」「辞めようと思ったことはありますか。そのとき何があって、なぜ残りましたか」。質問は五つ程度で、答えに合わせて深掘りします。録音して、あとで書き起こします。
止まりやすいのは、社員が「良いことを言おう」と構えるときです。取材の最初に「良いことを言う場ではなく、実際にあったことを聞く場です」と伝え、伝えない一覧を渡して「これ以外は何を話しても大丈夫」と安心してもらいます。
手順六:社員の言葉を残す原稿の型を作る
原稿は、社員の話し言葉を残します。きれいに書き換えると、どの会社の記事も同じになります。型は、「冒頭に一番具体的な場面を置く→社員の言葉で語りを進める→最後に候補者への一言」の順で、見出しは社員の言葉から取ります。長さは読み切れる程度にし、写真は社員本人か職場の実際の様子にします。
| 原稿の型 | 書き方 |
|---|---|
| 冒頭 | 取材で出た一番具体的な場面を、社員の言葉で |
| 本文 | 質問の順ではなく、話の流れで。話し言葉の癖を残す |
| 見出し | 社員の言葉から抜く |
| 最後 | 候補者への一言。「こういう人と働きたい」を社員の言葉で |
止まりやすいのは、書く人が「文章として整えたい」と言い換えるときです。整えるのは誤字と冗長な部分だけにし、言葉は残します。
手順七:月に何本と決めて公開の予定表を作る
月に何本出すかを決め(最初は月に一本か二本)、企画の一覧から次の三か月分を予定表に入れます。取材の日程、原稿の締め切り、承認の期限、公開日を一本ごとに決めます。
| 企画 | 取材日 | 原稿締切 | 承認期限 | 公開日 |
|---|---|---|---|---|
| 営業の〇〇の一日 | 第一週 | 第二週 | 第三週 | 月末 |
| 一次面接で聞くこと | 第三週 | 第四週 | 翌月第一週 | 翌月中旬 |
止まりやすいのは、本数を多く決めて続かないときです。月に一本でも、一年続けば十二本になり、採用サイトは「更新されている場所」になります。多く出して止まるより、少なく続けます。
手順八:記録の表を作り、月に一度、閲覧と候補者の言及を見る
記事ごとに、公開日、企画の種類、閲覧の数、スカウトの返信や面接で候補者が「読みました」と言った回数を記録します。月に一度、どの企画が読まれ、どの記事が候補者の口から出るかを見て、次の企画に反映します。
止まりやすいのは、閲覧の数だけを見て「少ない」で止めるときです。採用広報の閲覧は多くなくてよく、候補者が検索した先で読まれて、面接で「読みました」と言われることが目的です。面接で「何か読みましたか」と聞く一言を面接官に頼み、記録に入れます。
外の人に頼む場合の境目
八つの手順のうち、一の決定、四の社員と承認者の決定、五で語ること、六の承認は会社が持ちます。二の案、三の企画の一覧、五の取材の設計と実施、六の原稿化、七の予定表と公開、八の記録は、外の人に出せます。切り分けの詳しい話は採用広報・オウンドメディアは代行に出せるかに書いています。
外に出す判断の目安は、「伝えることと社員と承認者は決まっているが、取材と原稿化と出し続ける運用に時間が取れない」ときです。社員が取材に応じられないまま外に出しても、会社の説明しか書けません。
エラベルの見解
担当する側から見ると、採用広報で会社ごとに差がつくのは、手順七の「月に何本と決めて予定表にしているか」です。企画も取材の型も原稿の型も、一本目を出すときには揃います。差がつくのは、二本目以降が予定表に入っているかどうかです。予定表がある会社では、取材の日程が先に押さえられ、社員の忙しさで流れても翌週に動くだけで消えません。予定表が無い会社では、一本目の後に「次はいつにしましょうか」で止まり、半年後に古い記事が一本だけ残ります。エラベルでは、採用広報を担当する人に、最初の一週間で伝えない一覧と企画の一覧を会社と作り、取材に応じる社員と承認の期限を決め、三か月分の予定表を入れるところまでをお願いしています。ここまでできると、担当者は予定表に沿って取材と原稿化と公開を回し、会社は承認と月に一度の確認だけになります。
まとめ
- 採用広報は「まず一本書く」ではなく、出し続けられる型を作るところから始める
- 手順は伝えることと伝えないこと→出す場所を一つに→候補者の五つの問いから企画→社員と承認者と期限→場面を聞く取材の型→社員の言葉を残す原稿の型→月に何本と予定表→記録と月に一度の確認の八つ
- 伝えない一覧を先に作る。承認はそれに触れていないかだけを見る
- 企画は「会社の魅力」ではなく場面。取材は「やりがいは」ではなく「その日何時に何を」
- 原稿は社員の話し言葉を残す。整えるのは誤字と冗長だけ
- 月に一本でも続ける。閲覧の数より、面接で「読みました」と言われることを見る
よくある質問
社内に書ける人がいません
書く力より、聞き出す型と原稿の型のほうが効きます。手順五の質問で場面を聞き、録音を書き起こして、話の流れに並べ替え、誤字と冗長な部分だけを直せば、社員の言葉で語られた記事になります。それでも時間が取れないなら、取材と原稿化だけを外に出し、伝えることと社員と承認は会社が持ちます。
社員が顔や名前を出したくないと言います
出さなくても構いません。名字だけ、仮名、職種名だけ、写真は職場の様子だけ、といった形でも、場面が具体なら候補者には届きます。方針を手順四で決め、社員本人の同意を取り、同意の範囲を記録に残します。後から「やはり下げたい」となったときの手順も決めておきます。個人情報に関わる部分は専門家にご確認ください。
記事を出しても応募が増えません
採用広報は応募を直接増やすものではなく、スカウトや媒体で会社を知った候補者が「検索した先」で読み、返信や応募の判断を後押しするものです。効いているかは、閲覧の数ではなく、スカウトの返信や面接で候補者が記事に言及するかで見ます。言及が無いなら、企画が会社の説明に寄っていないか、検索した先に記事が出る導線があるかを確かめます。導線の整え方は採用サイトへの導線に、スカウトとの関係は採用広報とスカウトの連携に書いています。