採用広報とスカウトの連携|広報は「検索された先」を作り、スカウトは「検索させる」
採用広報のチームが記事を書き、SNSを運用し、イベントを開いている。一方で、スカウトは代行の担当者が別に動かしている。両者が連携していないと、広報の記事はスカウトの文面に使われず、スカウトで分かった候補者の関心は広報に反映されません。結論を先に書くと、広報は「候補者が検索した先」を作り、スカウトは「候補者に検索させる」役割です。両者が同じ役割の記述と同じ言葉づかいで動き、広報の内容をスカウトの文面と返信に使い、スカウトで分かった候補者の関心を広報に戻す、という往復を作ってください。採用サイトへの導線は採用サイトへの導線に、口コミへの対処は口コミを見られる前提の設計にまとめています。
別々に動かすと何が起きるか
広報とスカウトが連携していないと、次のことが起きます。
広報の内容が、スカウトで使われない。 現場の人のインタビュー記事、働き方の紹介、事業の解説。せっかく作った内容が、スカウトの文面や返信のやり取りで候補者に届いていない。
スカウトの文面と、広報のトーンがずれる。 文面は落ち着いた言葉、広報は「熱い」「アットホーム」。候補者が検索して広報を見ると、同じ会社に見えません。
広報が、候補者の関心と合っていない。 広報は「会社が伝えたいこと」を書きがちです。スカウトの返信のやり取りで分かる「候補者が知りたいこと」が、広報に反映されていません。
同じ人に、両方から届く。 広報のイベントに来た人に、スカウトの文面が届く。あるいはその逆。連携が無いと、候補者から見て「社内で情報が共有されていない会社」に見えます。
効果が測れない。 広報の記事を見た候補者が、スカウトに返信したのか。スカウトで接点を持った候補者が、広報のイベントに来たのか。どちらも分からないまま、それぞれの効果を別々に測っています。
役割分担:広報は「検索された先」、スカウトは「検索させる」
候補者の動きに沿って、役割を分けます。
スカウトは、候補者に「この会社を調べよう」と思わせる。 文面の一段落目で役割と「なぜあなたに」を伝え、候補者の関心を作る。関心を持った候補者は、会社名で検索します。
広報は、検索された先で「文面の続き」を見せる。 採用サイト、記事、SNS、イベントの記録。候補者が検索した先に、文面で触れた役割・人・働き方の裏付けがある。
スカウトは、広報の内容を返信のやり取りで渡す。 関心が確認できた候補者に、「〇〇の記事で、一緒に働く人の話を」と、広報の内容を補足として使う。
広報は、スカウトで分かった候補者の関心を反映する。 返信のやり取りで繰り返し出る質問、面談で毎回聞かれること、辞退の理由。それに答える内容を、広報が作る。
この分担で、広報は「誰に読まれるか分からない発信」から「スカウトの候補者が検索した先で読む内容」になり、スカウトは「文面だけで伝える」から「広報の内容を土台にして伝える」になります。
広報がスカウトに効く形
広報の内容が、スカウトの文面と返信で使えるようにします。
役割ごとの記事。 「〇〇職の一日」「〇〇を決める役割の人が語る」。文面の一段落目で書いた役割の裏付けになります。汎用の会社紹介より、役割に絞った記事のほうが、スカウトで使えます。
一緒に働く人のインタビュー。 面談者や、隣に座る人の言葉。文面で「〇〇と直接決める」と書いたとき、その人の記事があれば、候補者は役割を想像できます。
働き方の実態。 在宅と出社の実際、時間の使い方、休暇の取り方。文面で触れた働き方の裏付け。
いま詰まっていることの記事。 事業のどこに課題があり、どんな人を求めているか。文面の「なぜあなたに」につながります。
候補者の質問への回答。 面談で毎回聞かれること、返信のやり取りで出る質問。記事にしておけば、返信で「この記事で」と渡せます。
言葉づかいの統一。 広報の記事のトーンを、スカウトの文面のルールと揃える。文面のトーンをどう指定するかで作った文面のルールを、広報にも渡します。
広報の内容を一覧にして担当者に渡せば、担当者は候補者の関心に合わせて選んで使えます。
スカウトが広報に効く形
スカウトの運用で分かることを、広報に戻します。
候補者の質問。 返信のやり取りで繰り返し出る質問は、候補者が知りたいことです。広報が答えを作れば、次の候補者の質問が減ります。
辞退の理由。 「役割が分かりにくい」「働き方の情報が無い」「会社の方向が見えない」。辞退の理由は、広報で補うべき内容を示しています。
返信率の高い訴求。 文面のどの一段落目に返信が多いか。候補者に響いた訴求は、広報の切り口にもなります。
候補者の層の情報。 どんな経歴の人が返信し、どんな人が面談に進むか。広報が「誰に向けて書くか」を決める材料になります。
「話と違う」の内容。 面談で「聞いていた話と違う」と言われた点。広報の内容が実態と離れているなら、直す材料です。
担当者がレポートで集めている情報を、広報担当にも共有する形にします。レポートに入れてもらう項目で書いた「候補者の声」が、そのまま広報の材料です。
エラベルの見解
相談で最も多い失敗は、「広報の記事が、スカウトの担当者に知らされていない」というものです。現場の人のインタビュー記事が採用サイトに載っているのに、担当者はそれを知らず、文面で役割を一から説明している。候補者が検索して記事を見つけ、「文面に書いてあったことと、記事の内容が違う」となる。担当者が記事を知っていれば、文面で記事に触れ、内容を揃えられました。
見ていて差がつくのは、担当者が「広報の内容を一覧でください」と最初に言うかどうかです。採用サイトの記事、SNSの投稿、イベントの記録。それらを読んでから文面を書く担当者は、広報と揃った文面を書き、返信で記事を使います。読まない担当者は、広報と切り離された文面を送ります。
発注側にできるのは、広報の内容を一覧にして担当者に渡し、新しい記事が出たら担当者に知らせることです。担当者は、候補者の関心に合わせて記事を使えます。
担当者と広報担当の連携の型
連携を仕組みにするには、次の型を作ります。
広報の内容の一覧を、担当者と共有する。 記事、SNS、イベント、動画。役割ごと・テーマごとに分類し、担当者が候補者の関心に合わせて選べる形にします。新しい内容が出たら、一覧を更新して知らせます。
候補者の声を、広報担当と共有する。 担当者のレポートの「候補者の声」を、広報担当にも渡します。月に一度、広報担当が読む形にします。
文面のルールを、広報にも渡す。 言葉づかい、段落の構成、使わない言葉。広報の記事も同じルールで書けば、候補者が見る内容のトーンが揃います。
四半期に一度、担当者と広報担当が話す。 候補者の関心の変化、次に作る広報の内容、スカウトで使いたい記事。三十分で足ります。
役割の記述を、一つの場所で管理する。 求人票、採用サイトの募集ページ、広報の記事、スカウトの文面。役割の記述が別々に書かれると、ずれます。求人票の現在の版を一つの場所に置き、全部がそこから反映する形にします。
広報担当がいない小さな会社では、採用担当が広報の役割を兼ねます。その場合も、担当者との共有の型は同じです。
効果の見方
連携を始めたら、効果を数字で見ます。
返信のやり取りで広報の内容を渡した候補者の、面談設定率。 渡さない候補者と比べて、上がっているか。
「話と違う」の割合。 広報の内容を見た候補者で、面談での「聞いていた話と違う」が減っているか。
候補者の質問の変化。 広報で答えを作った質問が、返信のやり取りで減っているか。
採用サイトへの流入と、スカウトの送信の関係。 送信を増やした時期に、採用サイトの閲覧が増えているか。候補者が検索して見に来ている証拠になります。
辞退理由の変化。 広報で補った内容に関する辞退が減っているか。
三か月ほど運用して、連携の効果を見ます。効果が見えれば、広報担当にとっても「スカウトの候補者に読まれる」という手応えになります。
エラベルの見解
担当する側から見ると、広報との連携で最も困るのは「広報が『会社が伝えたいこと』だけを書いていて、候補者が知りたいことが無い」ことです。理念、歴史、代表のメッセージ。候補者が検索して見ても、「自分の役割は何か」「誰と働くのか」「働き方はどうか」が分からない。担当者は、文面で全部を補うことになり、文面が長くなります。
候補者が知りたいことは、担当者が返信のやり取りで毎日聞いています。それを広報に戻せば、広報は候補者に読まれる内容を作れます。
発注側にできるのは、担当者の「候補者の声」を広報担当に届ける経路を作ることです。月に一度、レポートの該当部分を広報担当に転送するだけで足ります。広報が候補者の関心に合えば、スカウトの返信率と面談設定率は上がります。
まとめ
- 別々に動かすと広報が使われず・トーンがずれ・候補者の関心と合わず・同じ人に両方から届き・効果が測れない
- 役割分担はスカウトが検索させ、広報が検索された先を作る。スカウトは広報の内容を返信で渡し、広報はスカウトで分かった関心を反映する
- 広報がスカウトに効く形は役割ごとの記事・一緒に働く人のインタビュー・働き方の実態・いま詰まっていること・質問への回答・言葉づかいの統一
- スカウトが広報に効く形は候補者の質問・辞退の理由・返信率の高い訴求・候補者の層・「話と違う」の内容
- 連携の型は広報の一覧を担当者に・候補者の声を広報担当に・文面のルールを広報にも・四半期に一度話す・役割の記述を一つの場所で
- 効果は面談設定率・「話と違う」の割合・質問の変化・採用サイトの流入・辞退理由の変化で見る
- 広報担当がいなくても、共有の型は同じ
よくある質問
採用広報のチームが無く、記事も書いていません
広報の内容が無くても、スカウトは動かせます。ただし、候補者が検索した先に何も無いと、返信率は下がります。まず、採用サイトに役割ごとの募集ページと、一緒に働く人のページを一つずつ作ってください。担当者が集めた候補者の質問に答える形で書けば、候補者に読まれる内容になります。
広報の記事のトーンが、スカウトの文面と合いません
どちらが会社の実態に近いかで決め、揃えてください。文面のルール(言葉づかい、段落の構成、使わない言葉)を広報にも渡し、次の記事から同じルールで書いてもらいます。既存の記事は、候補者が見に行くもの(役割ごと、一緒に働く人)から順に直します。
広報担当が、スカウトの担当者と話す時間を取れません
月に一度、担当者のレポートの「候補者の声」を広報担当に転送するだけで、連携の最初の形になります。広報担当は、それを読んで次の記事の切り口を決められます。四半期に一度の三十分の会話は、その後で構いません。転送の経路を作ることが、最初の一歩です。
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