スカウト代行 / スカウト運用
送信量を増やすか質を上げるか|「どちらか」で決めず、「返信率」「面談以降の落ち」「母集団の残り」「担当者の稼働」の四つを見て、いま動かすべきほうを決める
スカウトの成果が足りない。送信量を増やすべきか、一通の質を上げるべきか。増やせば担当者の稼働が足りず、文面が雑になる。質を上げれば一通に時間がかかり、通数が減る。「量より質」とも「まず量」とも言われ、どちらが正しいのかが分からない。結論を先に書くと、量か質かは、「どちらか」で決めません。「返信率」「面談以降の落ち」「母集団の残り」「担当者の稼働」の四つを見て、いま動かすべきほうを決めます。返信率が低く母集団が残っているなら質、返信率は十分で母集団が残っていて稼働に余裕があるなら量、面談以降で落ちているなら量でも質でもなく対象、が基本の判断です。状態は変わるので、月ごとに判断し直します。送信量が計画に届かないときは送信数が計画に届かないに、質を言葉にする方法は来る候補者の質が合わないにまとめています。
二択で止まる構造
量か質かで止まるのは、次の構造で起きます。
| 構造 | 起きていること |
|---|---|
| 一般論で決めようとしている | 「量より質」「まず量」のどちらかを信じ、自社の状態を見ていない |
| 量と質の定義が無い | 「量」が通数か母集団か、「質」が文面か対象か、混ざっている |
| 判断の材料が無い | 返信率、面談以降の落ち、母集団の残り、稼働、のどれも記録に無い |
| 量と質を対立させている | 「量を増やすと質が落ちる」の前提で、両立の設計を考えていない |
| 一度決めたら変えない | 三か月前に「質」と決めたまま、状態が変わっても続けている |
| 担当者の稼働を見ていない | 「増やして」と言うが、担当者の稼働の上限を知らない |
| 面談以降を見ていない | 返信率だけで判断し、面談以降で落ちていることに気づかない |
構造の大半は、「自社の状態を見る材料が無い」ことです。材料があれば、判断は難しくありません。
量と質の定義
「量」と「質」を、それぞれ二つに分けて定義します。混ざると判断できません。
| 言葉 | 意味 | 動かす方法 |
|---|---|---|
| 量(通数) | 一定の期間に送る通数 | 稼働を増やす、型の比率を上げる、送信の作業を効率化する |
| 量(母集団) | 送れる候補者の数 | 検索の言葉、読み替え、隣の職種、媒体を広げる。母集団が小さすぎるときの広げ方 |
| 質(文面) | 一通の文面の、自分宛てと分かる度合い、役割の見せ方、次の一歩の軽さ | 一段落目の個別化、材料、長さ、CTA。スカウト本文の構成 |
| 質(対象) | 送る相手が要件と合っている度合い | 絞りと順番の基準。母集団が広すぎるときの絞り方 |
定義の要点は、「質には文面と対象の二つがある」ことです。「質を上げる」で文面だけを直しても、対象がずれていれば面談以降で落ちます。「量を増やす」で通数だけを増やしても、母集団が尽きれば増やせません。四つのどれを動かすかを、材料で決めます。
四つの判断の材料
量か質かを決める材料は、四つです。全部、送信ログから出ます。
| 材料 | 見るもの | 示すこと |
|---|---|---|
| 返信率 | 送った通数に対する返信の割合。前向きの返信の割合 | 低ければ文面か対象の問題。十分なら量を増やす余地 |
| 面談以降の落ち | 返信から面談、面談から応募、応募から内定の各段の落ち | 返信は来るが面談以降で落ちるなら、対象の質の問題。文面でも通数でもない |
| 母集団の残り | 保存した検索で、まだ送っていない候補者の数 | 残りが少なければ通数は増やせず、母集団を広げるか質を上げる。残りが多ければ通数を増やせる |
| 担当者の稼働 | 一通にかける時間と、週の送信に使える時間 | 稼働に余裕が無ければ通数は増やせず、質を上げるなら型の比率を変える |
材料の要点は、「返信率だけで決めない」ことです。返信率が十分でも、面談以降で落ちていれば、量を増やしても面談の担当者が疲弊するだけです。四つを並べて見ます。指標の見方はスカウト運用で見るべき指標に書いています。
状態ごとの判断
四つの材料の組み合わせで、いま動かすべきほうを決めます。
| 状態 | 動かすもの | 理由 |
|---|---|---|
| 返信率が低い、母集団は残っている | 質(文面) | 送る相手はいるが、届いていない。一段落目と材料を直す |
| 返信率が低い、面談に至った人の層がずれている | 質(対象) | 文面ではなく、送る相手がずれている。絞りと順番を直す |
| 返信率は十分、面談以降も落ちていない、母集団が残っている、稼働に余裕 | 量(通数) | 今の文面と対象で増やせば、成果は増える |
| 返信率は十分、母集団が残り少ない | 量(母集団) | 通数は増やせない。検索の言葉と隣の職種と媒体で広げる |
| 返信率は十分、面談以降で落ちている | 質(対象) | 返信は来るが、要件と合わない人が来ている。絞りを直す。通数を増やしても落ちが増えるだけ |
| 返信率は十分、稼働に余裕が無い | 量(通数)を型の比率で | 個別化の範囲を一段落目に絞り、型の比率を上げて、同じ稼働で通数を増やす |
| 返信ゼロが続く | どちらでもなく、手前を見る | 届いているか、対象が合っているか。返信ゼロが続くときに疑う順番 |
判断の要点は、「面談以降で落ちているときは、量でも文面でもなく対象」ということです。ここを見ずに量を増やすと、面談の担当者が疲弊し、「スカウトの候補者は質が低い」と社内で言われ、運用そのものが止まります。
エラベルの見解
相談で最も多い失敗は、「返信率が上がらないので『質を上げる』と決め、担当者が一通に三十分かけて全文を個別化し、通数が三分の一になったが、返信率は変わらなかった」というものです。文面の質を上げたが、対象がずれていました。返信が来ていた人の層を見ると、要件から遠い人が多く、面談に至っていませんでした。文面の個別化を一段落目に戻し、絞りと順番の基準を作り直し、通数を元に戻したら、返信率は同じでも、面談に至る数が増えました。「質」は文面ではなく、対象でした。
見ていて差がつくのは、担当者が「量と質を両方見て、月ごとに動かすほうを変える」かです。「うちは質重視です」と固定する担当者と、「今月は母集団が残っているので通数を増やし、来月は残りが減るので言葉を広げます」と月ごとに動かす担当者がいます。後者の運用は、状態に合わせて成果が出続けます。
発注側にできるのは、月に一度、四つの材料を担当者と見て、「来月は何を動かすか」を一つ決めることです。
量と質を両立させる設計
量と質を対立させないための設計です。どちらかを上げると、もう片方が下がる、を避けます。
| 設計 | 内容 |
|---|---|
| 個別化の範囲を固定する | 一段落目だけ個別、あとは型。一通の時間が読めるので、通数と質を同時に保てる。テンプレートと個別文の比率 |
| 順位で深さを変える | 順番の上位には個別化を深く、下位には型を中心に。稼働を上位に集める |
| 型を役割ごとに整える | 役割ごとの型があれば、担当者は一段落目だけ書けばよい。型の質が全体の質を決める |
| 対象の絞りを先に決める | 絞りが決まっていれば、送る相手を選ぶ時間が減り、その分を文面に回せる |
| 稼働の配分を決める | 週の稼働を、送信、返信の対応、追客、検証に配分する。送信だけに使わない |
| 母集団を広げる作業を月次に入れる | 通数を増やす前に、送れる相手が残っているかを月次で見て、減っていれば広げる |
| 面談以降の記録を社内が出す | 対象の質を判断する材料は、面談以降の記録。社内から出ないと、対象が直せない |
設計の要点は、「個別化の範囲を固定する」ことです。範囲が固定されれば、一通の時間が読め、通数と質の両方を計画できます。範囲が担当者の裁量だと、時間がかかる日と雑な日ができます。
切り替えの運用
量と質のどちらを動かすかを、月ごとに判断し直す運用です。
| タイミング | 内容 |
|---|---|
| 月初 | 前月の四つの材料を見て、今月動かすものを一つ決める(通数・母集団・文面・対象のどれか) |
| 月中 | 動かしたものの効果を、対応する指標で見る。通数なら送信数と返信数、文面なら返信率、対象なら面談以降 |
| 月末 | 効果を記録し、翌月の材料にする。動かしたものを「型にした結論」として残す |
| 状態が急に変わったとき | 母集団が尽きた、稼働が減った、面談の担当者が替わった。月を待たずに判断し直す |
| 一つずつ | 一か月に動かすのは一つ。通数と文面を同時に動かすと、何が効いたか分からない。スカウト文面のABテストのやり方 |
運用の要点は、「一か月に一つ」です。量と質を同時に動かすと、成果が変わっても理由が分かりません。一つ動かして、見て、次へ。この繰り返しで、自社の状態に合った運用になります。
外注する場合の範囲
量と質の判断を、スカウト代行に出す場合の範囲です。
出せる工程。 四つの材料の記録と月次の集計、状態の判断と「今月動かすもの」の提案、通数を増やす場合の稼働の配分と型の比率の調整、母集団を広げる作業、文面の質を上げる作業(一段落目、材料、型の改善)、対象の質を上げる作業(絞りと順番の基準の見直し)、月中の効果の確認、月末の記録と型にした結論、状態の急な変化の報告。
社内に残す判断。 面談以降の記録の提供(対象の質を判断する材料)、「今月動かすもの」の承認、通数を増やす場合の費用や稼働の承認、対象の絞りの基準の承認(要件の定義)、面談の担当者の稼働の上限の共有。
外注の効きどころ。 量と質の判断は、「四つの材料を持ち、月ごとに一つ動かし、効果を見て、次を決める」運用で、社内では「量より質」の一般論で固定するか、「増やして」と稼働を見ずに言うかになりやすい工程です。担当者が材料を集計し、状態を判断し、動かすものを提案し、一つずつ実施すれば、状態に合った運用になります。担当者は複数の会社で量と質の切り替えを見ているので、「この状態ならまず対象」「この稼働なら型の比率をここまで」を持ち込めます。ただし、面談以降の記録と、承認は、社内でしか出せません。
外注しても動かない場合。 面談以降の記録を社内が出さない(対象の質が判断できない)、「量も質も両方上げて」と同時に求める、稼働の上限を無視して通数を求める、月ごとの判断を承認せず固定する。社内の判断で、代行を替えても直りません。
量か質かは、四つの材料で状態を見て、月ごとに一つ動かせば、迷わず決められます。外注は、材料の集計と判断の提案と一つずつの実施を担う手段です。
エラベルの見解
担当する側から見ると、量と質の相談で最も多いのは、「面談以降の記録が無いので、対象の質が判断できない」ことです。返信率と通数は代行が記録している。ただ、面談に来た人がどうだったか、応募に進んだか、内定が出たかは、社内で起きるので、記録が無い。結果、「返信は来ている」で終わり、量を増やす判断になり、面談の担当者が「合わない人ばかり」と疲弊します。
面談以降の記録は、月に数行です。面談の日、応募の有無、内定の有無、辞退の理由。それだけで、対象の質が判断でき、量を増やしてよいかが決まります。
発注側にできるのは、面談以降の記録を書く人を名前で決め、担当者が見られる場所に置くことです。
まとめ
- 止まるのは一般論で決める・定義が無い・材料が無い・対立させる・一度決めたら変えない・稼働を見ない・面談以降を見ない構造
- 定義は量(通数・母集団)・質(文面・対象)の四つ。どれを動かすかを分ける
- 材料は返信率・面談以降の落ち・母集団の残り・担当者の稼働の四つ。返信率だけで決めない
- 判断は返信率が低く母集団が残る→文面・層がずれる→対象・十分で残りがあり余裕→通数・残りが少ない→母集団・面談以降で落ちる→対象・余裕が無い→型の比率・ゼロが続く→手前
- 両立の設計は個別化の範囲の固定・順位で深さ・役割ごとの型・絞りを先に・稼働の配分・母集団を月次で・面談以降の記録
- 切り替えは月初に一つ決める・月中に効果を見る・月末に記録・急な変化は月を待たない・一か月に一つ
- 外注できるのは材料の記録と集計・判断と提案・稼働の配分・母集団を広げる・文面の質・対象の質・効果の確認・記録・報告。社内に残るのは面談以降の記録・承認・費用と稼働の承認・基準の承認・面談の担当者の上限
よくある質問
「まず量を送って、データを集めてから質を上げる」という進め方は正しいですか
母集団が十分にあり、対象の絞りが決まっていて、面談の担当者の稼働に余裕があるなら、最初の一か月は通数を出して材料を集める進め方は成り立ちます。ただし、対象の絞りが無いまま量を送ると、面談以降で落ち、面談の担当者が疲弊し、材料も「ずれた対象の返信率」になります。「まず量」の前に、絞りの基準だけは決めます。始め方の順番はスカウトを始めて最初の三十日に書いています。
代行の担当者が「通数を増やすには追加の稼働が要る」と言います
担当者の稼働の上限を超えて通数を求めているということです。選択肢は三つあります。個別化の範囲を一段落目に絞って型の比率を上げ、同じ稼働で通数を増やす。稼働を追加して費用を増やす。通数ではなく、対象の質か母集団を動かす。四つの材料を見て、通数を増やすことが本当に今の状態で効くのかを先に確認します。効かないなら、追加の稼働は無駄です。体制の考え方は何名体制で回すかに書いています。
質を上げても返信率が変わりません
「質」として文面を直したなら、対象がずれている可能性があります。返信が来ている人の層と、面談に至った人の層を見て、要件と合っているかを確認します。合っていなければ、文面ではなく絞りと順番を直します。合っているのに返信率が変わらないなら、文面の直した箇所が効く箇所ではなかった可能性があり、一箇所ずつ変えて比べます。返信ゼロなら、文面の手前(届いているか、対象)を先に見ます。切り分けは返信ゼロが続くときに疑う順番とスカウトの返信が来ない原因の切り分けに書いています。