スカウト代行 / スカウト運用

テンプレートと個別文の比率|「何割」で決めず、「型にする段」と「個別にする段」を分け、相手の層で個別の深さを変える

公開 2026-09-13

スカウトの文面を、どのくらいテンプレートにして、どのくらい個別に書けばよいか。「テンプレート七割、個別三割」と聞いたことがあるが、「どの七割」なのかが分からない。全文の七割を型にして三割を書き換えるのか、十通のうち七通を型で送るのか。結論を先に書くと、テンプレートと個別文の比率は、「何割」では決まりません。文面を「段」で分け、「型にする段」と「個別にする段」を決めます。二〜四段落目(役割、会社、次の一歩)は型、一段落目(なぜあなたに)と件名の経歴の部分は個別。この分け方は全員に共通で、「個別にする段の深さ」を相手の層で変えます。結果として、文面の中で型が占める割合は、相手によって変わります。パーソナライズの範囲はパーソナライズはどこまでやるべきかに、型と個別の考え方は文面の標準化と属人化の間にまとめています。

比率で迷う構造

テンプレートと個別文の比率で迷うのは、次の構造で起きます。

構造起きていること
「何割」で考えている「七割テンプレート」の「七割」が、文字数なのか、段なのか、通数なのか、決まっていない
段で分けていない文面を一つの塊として、「どのくらい書き換えるか」で考えている
テンプレートの中身が、個別にすべき部分を含んでいる一段落目まで型にしていて、「ご経歴を拝見して」が定型
個別の部分が、型にすべき部分を含んでいる会社の説明を一人ずつ書き直していて、時間が消える
相手の層で変えていない動いていない幹部にも、動いている若手にも、同じ比率
テンプレートが古い一年前の型を使い続け、役割も会社の段階も変わっているのに、そのまま
担当者ごとに比率が違うある担当者は全部型、別の担当者は全部個別。比べられない
「テンプレート=手抜き」と思っている型を使うことに後ろめたさがあり、全文を書き直して時間が消える

構造の大半は、「何割」で考えていることです。「段」で考えれば、決まります。

比率ではなく段で分ける考え方

「何割」ではなく、「どの段を型にし、どの段を個別にするか」で考えます。

型か個別か理由文面に占める割合の目安
件名型+個別(経歴の部分)型は共通、経歴の部分は相手ごと
一段落目個別「自分宛て」が決まる段。定型にすると一斉送信に見える二〜三割
二段落目型(役割ごと)役割の中身は相手で変わらない三割ほど
三段落目型(役割ごと)会社の事実は相手で変わらない二〜三割
四段落目次の一歩は相手で変わらない一〜二割

段で分けると、「文面の中で型が占める割合」は、結果として六〜七割ほどになります。ただし、これは「結果」で、「目標」ではありません。「七割を型に」と決めて書くのではなく、「二〜四段落目を型に、一段落目を個別に」と決めて書くと、結果として七割ほどが型になります。

段で分ける要点は、「個別にする段が、『自分宛て』に効く段だけ」であることです。効かない段を個別にしても、時間が消えるだけです。

テンプレートにする段の作り方

二〜四段落目の型を、役割ごとに作ります。

二段落目(役割)の型。 「何を決める役割か」「誰と働くか」「どこまで任されるか」「なぜ今」の四つを、三〜四文で。役割の記述(ジョブディスクリプションがない)から。役割が変われば、型も変わる。

三段落目(会社)の型。 「会社の段階」「この役割の位置」「一緒に働く人」「働き方の実態」を、二〜四文で。会社の事実から。会社の段階が変われば、型も変わる。

四段落目(次の一歩)の型。 「まず話を聞く場」「返信のしやすさ」「送り主の名前と肩書」「断りやすさ」を、二〜三文で。全役割で共通にできる。

件名の型。 「〇〇のご経験を、△△の役割で」の形を、三〜四つ。「〇〇」が相手ごとに変わる。スカウトの件名の作り方

型の数。 役割ごとに、二〜三段落目の型を一つ。四段落目と件名の型は共通。役割が五つなら、型は五つ。

型の管理。 共有の場所に、役割ごとに。作った日、直した日、直した理由を記録。

型の言葉。 「弊社」「貴殿」のような硬い言葉を使わない。人が書いた文に見える言葉で。型でも、人が書いた文に。

型の作り方の要点は、「役割ごとに一つ、事実から作り、日付を入れる」ことです。型は「使い回すもの」ですが、「古くなるもの」でもあります。

個別にする段の深さ

一段落目(と件名の経歴の部分)の「個別」には、深さがあります。深さの段階はパーソナライズはどこまでやるべきかに書いた四段階です。

深さ中身一段落目が文面に占める割合
段階一経歴の一つに触れ、役割との対応を一文二割ほど
段階二経歴の中身に触れる二〜三割
段階三経歴と自社の課題の対応を具体的に三割ほど
段階四相手の発信や実績に触れ、経営者の言葉で三〜四割(二〜三段落目も一部書き換えることがある)

深さを上げると、一段落目が長くなり、文面の中で個別の割合が上がります。段階一なら型が八割、段階四なら型が六割、のように。

これが、「比率は相手で変わる」の意味です。「七割テンプレート」は、段階一〜二の相手に送るときの結果で、幹部に段階四で送るときは、型の割合が下がります。

深さの要点は、「相手の価値と競合の多さで決める」ことです。全員に段階一だと経験の深い人に薄く見え、全員に段階四だと送れません。

エラベルの見解

相談で最も多い失敗は、「『テンプレート七割』と決めて、一段落目まで型にし、最後の一文だけ『〇〇さんのご活躍を期待しています』と個別にした」というものです。型にした段が「自分宛て」に効く段で、個別にした部分は効かない部分でした。返信は来ませんでした。段で分け直し、一段落目を個別、二〜四段落目を型にしたら、文面の中の型の割合は同じ七割ほどでも、返信が変わりました。「何割」ではなく「どの段」でした。

見ていて差がつくのは、担当者が「段」で話すかどうかです。「テンプレートは七割にします」と割合で言う担当者と、「一段落目は個別、二〜四段落目は役割ごとの型にします。個別の深さは相手で変えます」と、段で言う担当者がいます。後者は、効く部分に時間を使います。

発注側にできるのは、担当者に「何割」ではなく「どの段を型に、どの段を個別に」を聞くことです。

相手の層ごとの配分

相手の層ごとに、個別の深さと、送る数の配分を決めます。

相手の層個別の深さ型の割合(結果)一日に送れる数の目安向いている場面
動いていて、要件との合いが明確段階一八割ほど多い応募の数を確保したい役割
動いていない、経験の深い人段階二七割ほど経験者を採りたい役割
競合が多い専門職段階三六〜七割少ない競合との取り合いになる役割
幹部、経営幹部段階四六割以下ごく少ない幹部の採用。幹部・役員クラスへのアプローチ
未経験、隣の職種段階二(隣の経験がどう活きるかを書く)七割ほど未経験歓迎求人のスカウト
過去の応募者、退職者段階二(前回の経緯に触れる)七割ほど過去の応募者への再アプローチ
再送(返信が無かった相手)段階一(短く)八割以上多い一度目より短く

配分の要点は、「役割と相手の層で、深さと数を決める」ことです。一つの役割の中でも、相手の層が違えば深さが違います。

一日に使える時間が決まっていれば、「深さを上げて数を減らす」か「深さを下げて数を増やす」かの判断になります。判断の基準は、「その役割で、どちらが返信と面談につながるか」で、記録で決めます。

テンプレートが劣化する兆候

型は、使い続けると劣化します。兆候です。

兆候原因直し方
返信で「一斉送信ですか」と聞かれる一段落目まで型になっている、または一段落目の個別が薄い一段落目の深さを上げる
型の内容が、いまの役割や会社の段階と違う型が古い。役割の記述や会社の事実が変わった型を役割の記述と会社の事実から作り直す
面談で「文面と違う」と言われる型の内容が、実態とずれた実態に合わせて型を直す
同じ型で返信率が下がってきた同じ層の候補者に、同じ型が繰り返し届いている(他社も似た型を使っている)型の言い回しを変える。二〜三段落目の順番を変える
担当者が型を「そのまま送る」ようになった一段落目を書く時間が無く、型だけで送っている送信数の評価を返信数に。一段落目を書く時間を確保
型が長くなっている「これも足そう」で、型に情報が増えた四つの判断に要らないものを削る。スカウト文面の長さはどれくらいが適切か
型に硬い言葉が増えている社内の確認を経るたびに、「弊社」「貴殿」が足された人が書いた文に戻す

劣化の要点は、「型は三か月に一度、役割の記述と会社の事実に照らして直す」ことです。作ったまま一年使う型は、劣化します。

比率を見直す運用

段の分け方と深さの配分を、見直す運用です。

項目運用
型の見直し三か月に一度。役割の記述と会社の事実に照らす。返信率の変化も見る
深さの基準の見直し月に一度。深さの段階ごとの返信率と、送れた数を見て、配分を直す
一段落目の記録送った一段落目と、返信の有無を記録。効いた一段落目の型(書き方の型)を蓄積
相手の層の見直し役割ごとに、送る相手の層と深さの対応を見直す。「この層は段階二で足りる」「この層は段階三が要る」
担当者間の統一段の分け方と深さの基準を共有。担当者ごとにばらばらにしない
劣化の兆候の確認月に一度、兆候の表で確認
新しい役割の型新しい求人が出たら、役割の記述から型を作る。古い役割の型を流用しない
記録の型役割、相手の層、深さの段階、送信数、返信数、面談に進んだ数。月次

運用の要点は、「型は三か月、深さは毎月」です。型は事実に照らして、深さは記録に照らして、見直します。

外注する場合の範囲

テンプレートと個別文の比率の問題を、スカウト代行に出す場合の範囲です。

出せる工程。 文面の段での分け方の整理、役割ごとの二〜四段落目の型の作成(役割の記述と会社の事実から)、件名の型の作成、深さの段階の基準の設計、相手の層ごとの深さと数の配分の案、一段落目を書く作業(深さに応じて)、型の三か月ごとの見直し、深さの配分の月次の見直し、一段落目の記録と効いた書き方の蓄積、劣化の兆候の確認、担当者間の統一、記録の型。

社内に残す判断。 役割の記述と会社の事実の確定、深さの基準の承認、相手の層ごとの配分の承認(「この役割は深さを上げて数を減らす」など)、型の承認、評価の軸(送信数か返信数か)の決定。

外注の効きどころ。 比率の問題は、「段で分ける」と「深さを相手で変える」の設計と、「一段落目を書く時間」の確保で決まります。担当者が段で分け、型を整え、深さの基準を作り、一段落目を書けば、社内は役割の事実と承認に集中できます。担当者は複数の会社のスカウトを見ているので、「この層はこの深さで返信が来る」の型を持ち込めます。ただし、型の元になる役割の記述と会社の事実は、社内から正確に渡します。

外注しても動かない場合。 社内が「テンプレート七割」の割合で管理することを譲らない、一段落目まで型にすることを求める、型の見直しを認めない。社内の判断で、代行を替えても直りません。

比率は、段で分けて、深さを相手で変えれば、決まります。外注は、段の設計と、一段落目を書く時間を担う手段です。

エラベルの見解

担当する側から見ると、比率の相談で最も多いのは、「型を作ったまま、一年使っている」ことです。役割は変わり、会社の段階も変わり、一緒に働く人も変わったのに、型はそのまま。面談で「文面と違う」と言われ、辞退される。

型は、使い回すものであると同時に、古くなるものです。三か月に一度、役割の記述と会社の事実に照らして直す。それだけで、型の劣化は防げます。「型を作った」で終わりにしないことです。

発注側にできるのは、型に「作った日」と「次に見直す日」を入れ、三か月ごとに担当者と照らすことです。

まとめ

よくある質問

「テンプレート七割、個別三割」は、目安として正しいですか

「七割」を目標にして書くと、どの七割を型にするかで間違えます(一段落目まで型にして、効かない部分を個別にする)。「段」で分けて、一段落目を個別、二〜四段落目を型にすると、結果として型の割合は六〜七割ほどになります。目標ではなく結果です。個別の深さを相手で変えれば、幹部には型の割合が下がり、動いている若手には上がります。「何割」ではなく、「どの段」と「どの深さ」で決めます。

型を使うのは、手抜きに見えませんか

二〜四段落目(役割、会社、次の一歩)は、相手で変わらない事実なので、型にすることは手抜きではありません。手抜きに見えるのは、一段落目(なぜあなたに)まで型にしたときです。一段落目に「経歴の具体的な一つと役割との対応」が個別に書かれていれば、二〜四段落目が型でも、候補者は「自分宛て」と受け取ります。型を使って一段落目に時間を集中することが、手抜きの逆です。型の言葉は、「弊社」「貴殿」のような硬い言葉を避け、人が書いた文にします。

担当者によって、型の使い方がばらばらです

段の分け方(一段落目は個別、二〜四段落目は型)と、深さの基準(相手の層ごとに段階一〜四)を書面にして、担当者全員に共有します。型は共有の場所に置き、日付と見直しの記録を付けます。担当者ごとの返信率を、深さの段階ごとに記録して比べれば、「この担当者は一段落目が薄い」「この担当者は全文を書き直して数が少ない」が見え、基準に合わせて直せます。ばらばらのままだと、何が効いているかが分かりません。