スカウト代行 / スカウト運用
テンプレートと個別文の比率|「何割」で決めず、「型にする段」と「個別にする段」を分け、相手の層で個別の深さを変える
スカウトの文面を、どのくらいテンプレートにして、どのくらい個別に書けばよいか。「テンプレート七割、個別三割」と聞いたことがあるが、「どの七割」なのかが分からない。全文の七割を型にして三割を書き換えるのか、十通のうち七通を型で送るのか。結論を先に書くと、テンプレートと個別文の比率は、「何割」では決まりません。文面を「段」で分け、「型にする段」と「個別にする段」を決めます。二〜四段落目(役割、会社、次の一歩)は型、一段落目(なぜあなたに)と件名の経歴の部分は個別。この分け方は全員に共通で、「個別にする段の深さ」を相手の層で変えます。結果として、文面の中で型が占める割合は、相手によって変わります。パーソナライズの範囲はパーソナライズはどこまでやるべきかに、型と個別の考え方は文面の標準化と属人化の間にまとめています。
比率で迷う構造
テンプレートと個別文の比率で迷うのは、次の構造で起きます。
| 構造 | 起きていること |
|---|---|
| 「何割」で考えている | 「七割テンプレート」の「七割」が、文字数なのか、段なのか、通数なのか、決まっていない |
| 段で分けていない | 文面を一つの塊として、「どのくらい書き換えるか」で考えている |
| テンプレートの中身が、個別にすべき部分を含んでいる | 一段落目まで型にしていて、「ご経歴を拝見して」が定型 |
| 個別の部分が、型にすべき部分を含んでいる | 会社の説明を一人ずつ書き直していて、時間が消える |
| 相手の層で変えていない | 動いていない幹部にも、動いている若手にも、同じ比率 |
| テンプレートが古い | 一年前の型を使い続け、役割も会社の段階も変わっているのに、そのまま |
| 担当者ごとに比率が違う | ある担当者は全部型、別の担当者は全部個別。比べられない |
| 「テンプレート=手抜き」と思っている | 型を使うことに後ろめたさがあり、全文を書き直して時間が消える |
構造の大半は、「何割」で考えていることです。「段」で考えれば、決まります。
比率ではなく段で分ける考え方
「何割」ではなく、「どの段を型にし、どの段を個別にするか」で考えます。
| 段 | 型か個別か | 理由 | 文面に占める割合の目安 |
|---|---|---|---|
| 件名 | 型+個別(経歴の部分) | 型は共通、経歴の部分は相手ごと | — |
| 一段落目 | 個別 | 「自分宛て」が決まる段。定型にすると一斉送信に見える | 二〜三割 |
| 二段落目 | 型(役割ごと) | 役割の中身は相手で変わらない | 三割ほど |
| 三段落目 | 型(役割ごと) | 会社の事実は相手で変わらない | 二〜三割 |
| 四段落目 | 型 | 次の一歩は相手で変わらない | 一〜二割 |
段で分けると、「文面の中で型が占める割合」は、結果として六〜七割ほどになります。ただし、これは「結果」で、「目標」ではありません。「七割を型に」と決めて書くのではなく、「二〜四段落目を型に、一段落目を個別に」と決めて書くと、結果として七割ほどが型になります。
段で分ける要点は、「個別にする段が、『自分宛て』に効く段だけ」であることです。効かない段を個別にしても、時間が消えるだけです。
テンプレートにする段の作り方
二〜四段落目の型を、役割ごとに作ります。
二段落目(役割)の型。 「何を決める役割か」「誰と働くか」「どこまで任されるか」「なぜ今」の四つを、三〜四文で。役割の記述(ジョブディスクリプションがない)から。役割が変われば、型も変わる。
三段落目(会社)の型。 「会社の段階」「この役割の位置」「一緒に働く人」「働き方の実態」を、二〜四文で。会社の事実から。会社の段階が変われば、型も変わる。
四段落目(次の一歩)の型。 「まず話を聞く場」「返信のしやすさ」「送り主の名前と肩書」「断りやすさ」を、二〜三文で。全役割で共通にできる。
件名の型。 「〇〇のご経験を、△△の役割で」の形を、三〜四つ。「〇〇」が相手ごとに変わる。スカウトの件名の作り方。
型の数。 役割ごとに、二〜三段落目の型を一つ。四段落目と件名の型は共通。役割が五つなら、型は五つ。
型の管理。 共有の場所に、役割ごとに。作った日、直した日、直した理由を記録。
型の言葉。 「弊社」「貴殿」のような硬い言葉を使わない。人が書いた文に見える言葉で。型でも、人が書いた文に。
型の作り方の要点は、「役割ごとに一つ、事実から作り、日付を入れる」ことです。型は「使い回すもの」ですが、「古くなるもの」でもあります。
個別にする段の深さ
一段落目(と件名の経歴の部分)の「個別」には、深さがあります。深さの段階はパーソナライズはどこまでやるべきかに書いた四段階です。
| 深さ | 中身 | 一段落目が文面に占める割合 |
|---|---|---|
| 段階一 | 経歴の一つに触れ、役割との対応を一文 | 二割ほど |
| 段階二 | 経歴の中身に触れる | 二〜三割 |
| 段階三 | 経歴と自社の課題の対応を具体的に | 三割ほど |
| 段階四 | 相手の発信や実績に触れ、経営者の言葉で | 三〜四割(二〜三段落目も一部書き換えることがある) |
深さを上げると、一段落目が長くなり、文面の中で個別の割合が上がります。段階一なら型が八割、段階四なら型が六割、のように。
これが、「比率は相手で変わる」の意味です。「七割テンプレート」は、段階一〜二の相手に送るときの結果で、幹部に段階四で送るときは、型の割合が下がります。
深さの要点は、「相手の価値と競合の多さで決める」ことです。全員に段階一だと経験の深い人に薄く見え、全員に段階四だと送れません。
エラベルの見解
相談で最も多い失敗は、「『テンプレート七割』と決めて、一段落目まで型にし、最後の一文だけ『〇〇さんのご活躍を期待しています』と個別にした」というものです。型にした段が「自分宛て」に効く段で、個別にした部分は効かない部分でした。返信は来ませんでした。段で分け直し、一段落目を個別、二〜四段落目を型にしたら、文面の中の型の割合は同じ七割ほどでも、返信が変わりました。「何割」ではなく「どの段」でした。
見ていて差がつくのは、担当者が「段」で話すかどうかです。「テンプレートは七割にします」と割合で言う担当者と、「一段落目は個別、二〜四段落目は役割ごとの型にします。個別の深さは相手で変えます」と、段で言う担当者がいます。後者は、効く部分に時間を使います。
発注側にできるのは、担当者に「何割」ではなく「どの段を型に、どの段を個別に」を聞くことです。
相手の層ごとの配分
相手の層ごとに、個別の深さと、送る数の配分を決めます。
| 相手の層 | 個別の深さ | 型の割合(結果) | 一日に送れる数の目安 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|---|
| 動いていて、要件との合いが明確 | 段階一 | 八割ほど | 多い | 応募の数を確保したい役割 |
| 動いていない、経験の深い人 | 段階二 | 七割ほど | 中 | 経験者を採りたい役割 |
| 競合が多い専門職 | 段階三 | 六〜七割 | 少ない | 競合との取り合いになる役割 |
| 幹部、経営幹部 | 段階四 | 六割以下 | ごく少ない | 幹部の採用。幹部・役員クラスへのアプローチ |
| 未経験、隣の職種 | 段階二(隣の経験がどう活きるかを書く) | 七割ほど | 中 | 未経験歓迎求人のスカウト |
| 過去の応募者、退職者 | 段階二(前回の経緯に触れる) | 七割ほど | 中 | 過去の応募者への再アプローチ |
| 再送(返信が無かった相手) | 段階一(短く) | 八割以上 | 多い | 一度目より短く |
配分の要点は、「役割と相手の層で、深さと数を決める」ことです。一つの役割の中でも、相手の層が違えば深さが違います。
一日に使える時間が決まっていれば、「深さを上げて数を減らす」か「深さを下げて数を増やす」かの判断になります。判断の基準は、「その役割で、どちらが返信と面談につながるか」で、記録で決めます。
テンプレートが劣化する兆候
型は、使い続けると劣化します。兆候です。
| 兆候 | 原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 返信で「一斉送信ですか」と聞かれる | 一段落目まで型になっている、または一段落目の個別が薄い | 一段落目の深さを上げる |
| 型の内容が、いまの役割や会社の段階と違う | 型が古い。役割の記述や会社の事実が変わった | 型を役割の記述と会社の事実から作り直す |
| 面談で「文面と違う」と言われる | 型の内容が、実態とずれた | 実態に合わせて型を直す |
| 同じ型で返信率が下がってきた | 同じ層の候補者に、同じ型が繰り返し届いている(他社も似た型を使っている) | 型の言い回しを変える。二〜三段落目の順番を変える |
| 担当者が型を「そのまま送る」ようになった | 一段落目を書く時間が無く、型だけで送っている | 送信数の評価を返信数に。一段落目を書く時間を確保 |
| 型が長くなっている | 「これも足そう」で、型に情報が増えた | 四つの判断に要らないものを削る。スカウト文面の長さはどれくらいが適切か |
| 型に硬い言葉が増えている | 社内の確認を経るたびに、「弊社」「貴殿」が足された | 人が書いた文に戻す |
劣化の要点は、「型は三か月に一度、役割の記述と会社の事実に照らして直す」ことです。作ったまま一年使う型は、劣化します。
比率を見直す運用
段の分け方と深さの配分を、見直す運用です。
| 項目 | 運用 |
|---|---|
| 型の見直し | 三か月に一度。役割の記述と会社の事実に照らす。返信率の変化も見る |
| 深さの基準の見直し | 月に一度。深さの段階ごとの返信率と、送れた数を見て、配分を直す |
| 一段落目の記録 | 送った一段落目と、返信の有無を記録。効いた一段落目の型(書き方の型)を蓄積 |
| 相手の層の見直し | 役割ごとに、送る相手の層と深さの対応を見直す。「この層は段階二で足りる」「この層は段階三が要る」 |
| 担当者間の統一 | 段の分け方と深さの基準を共有。担当者ごとにばらばらにしない |
| 劣化の兆候の確認 | 月に一度、兆候の表で確認 |
| 新しい役割の型 | 新しい求人が出たら、役割の記述から型を作る。古い役割の型を流用しない |
| 記録の型 | 役割、相手の層、深さの段階、送信数、返信数、面談に進んだ数。月次 |
運用の要点は、「型は三か月、深さは毎月」です。型は事実に照らして、深さは記録に照らして、見直します。
外注する場合の範囲
テンプレートと個別文の比率の問題を、スカウト代行に出す場合の範囲です。
出せる工程。 文面の段での分け方の整理、役割ごとの二〜四段落目の型の作成(役割の記述と会社の事実から)、件名の型の作成、深さの段階の基準の設計、相手の層ごとの深さと数の配分の案、一段落目を書く作業(深さに応じて)、型の三か月ごとの見直し、深さの配分の月次の見直し、一段落目の記録と効いた書き方の蓄積、劣化の兆候の確認、担当者間の統一、記録の型。
社内に残す判断。 役割の記述と会社の事実の確定、深さの基準の承認、相手の層ごとの配分の承認(「この役割は深さを上げて数を減らす」など)、型の承認、評価の軸(送信数か返信数か)の決定。
外注の効きどころ。 比率の問題は、「段で分ける」と「深さを相手で変える」の設計と、「一段落目を書く時間」の確保で決まります。担当者が段で分け、型を整え、深さの基準を作り、一段落目を書けば、社内は役割の事実と承認に集中できます。担当者は複数の会社のスカウトを見ているので、「この層はこの深さで返信が来る」の型を持ち込めます。ただし、型の元になる役割の記述と会社の事実は、社内から正確に渡します。
外注しても動かない場合。 社内が「テンプレート七割」の割合で管理することを譲らない、一段落目まで型にすることを求める、型の見直しを認めない。社内の判断で、代行を替えても直りません。
比率は、段で分けて、深さを相手で変えれば、決まります。外注は、段の設計と、一段落目を書く時間を担う手段です。
エラベルの見解
担当する側から見ると、比率の相談で最も多いのは、「型を作ったまま、一年使っている」ことです。役割は変わり、会社の段階も変わり、一緒に働く人も変わったのに、型はそのまま。面談で「文面と違う」と言われ、辞退される。
型は、使い回すものであると同時に、古くなるものです。三か月に一度、役割の記述と会社の事実に照らして直す。それだけで、型の劣化は防げます。「型を作った」で終わりにしないことです。
発注側にできるのは、型に「作った日」と「次に見直す日」を入れ、三か月ごとに担当者と照らすことです。
まとめ
- 迷うのは何割で考える・段で分けない・型が個別にすべき部分を含む・個別が型にすべき部分を含む・層で変えない・型が古い・担当者ごとに違う・型を手抜きと思う構造
- 段で分ける。件名は型+個別・一段落目は個別・二〜四段落目は役割ごとの型。型の割合は結果として六〜七割ほどで、目標ではない
- 型は二段落目(決める・誰と・どこまで・なぜ今)・三段落目(段階・位置・人・実態)・四段落目(次の一歩、共通)・件名(三〜四)を役割ごとに、事実から、日付を入れて
- 個別の深さは経歴の一つ・経歴の中身・課題との対応・発信や実績の四段階。深さで型の割合が変わる。相手の価値と競合で選ぶ
- 層ごとの配分は動いていて合いが明確なら段階一で多く・動いていない経験者は段階二・競合の多い専門職は段階三・幹部は段階四でごく少なく・未経験と過去の応募者は段階二・再送は段階一で短く
- 劣化の兆候は一斉送信ですかと聞かれる・役割や段階と違う・文面と違うと言われる・返信率が下がる・型だけで送る・長くなる・硬い言葉。三か月に一度、事実に照らす
- 運用は型は三か月・深さは毎月・一段落目の記録・層の見直し・担当者間の統一・兆候の確認・新しい役割は新しい型・記録の型
- 外注できるのは段の整理・型の作成・深さの基準・配分の案・一段落目を書く・見直し・記録と蓄積・兆候の確認・統一。社内に残るのは役割と会社の事実・基準と配分と型の承認・評価の軸
よくある質問
「テンプレート七割、個別三割」は、目安として正しいですか
「七割」を目標にして書くと、どの七割を型にするかで間違えます(一段落目まで型にして、効かない部分を個別にする)。「段」で分けて、一段落目を個別、二〜四段落目を型にすると、結果として型の割合は六〜七割ほどになります。目標ではなく結果です。個別の深さを相手で変えれば、幹部には型の割合が下がり、動いている若手には上がります。「何割」ではなく、「どの段」と「どの深さ」で決めます。
型を使うのは、手抜きに見えませんか
二〜四段落目(役割、会社、次の一歩)は、相手で変わらない事実なので、型にすることは手抜きではありません。手抜きに見えるのは、一段落目(なぜあなたに)まで型にしたときです。一段落目に「経歴の具体的な一つと役割との対応」が個別に書かれていれば、二〜四段落目が型でも、候補者は「自分宛て」と受け取ります。型を使って一段落目に時間を集中することが、手抜きの逆です。型の言葉は、「弊社」「貴殿」のような硬い言葉を避け、人が書いた文にします。
担当者によって、型の使い方がばらばらです
段の分け方(一段落目は個別、二〜四段落目は型)と、深さの基準(相手の層ごとに段階一〜四)を書面にして、担当者全員に共有します。型は共有の場所に置き、日付と見直しの記録を付けます。担当者ごとの返信率を、深さの段階ごとに記録して比べれば、「この担当者は一段落目が薄い」「この担当者は全文を書き直して数が少ない」が見え、基準に合わせて直せます。ばらばらのままだと、何が効いているかが分かりません。