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年収提示に関わるとき|人事の副業で、条件の話に「触れない・整える・伝える」の三段階があり、副業の人は整えるまで

公開 2026-09-16

選考が進むと、年収や条件の話が出てきます。候補者は希望の年収を持っていて、依頼側は提示できる額を持っていて、その間を調整する場面がある。人事の経験がある副業の人は、この調整に慣れているので、依頼側から「候補者と話しておいて」と頼まれることがあります。ただ、副業の人が提示額を決めたり、候補者と交渉したりすると、その言葉は会社の約束になり、候補者と企業の間に立つ形になります。結論を先に書くと、年収や条件への関わり方は「触れない」「整える」「伝える」の三段階に分かれ、副業の人は「整える」(候補者の希望の記録と、依頼側が提示額を決めるための材料の整理)まで関わり、提示額の決定と候補者への提示・交渉は依頼側が行うのが線です。会社の代表として話す責任は会社の代表として話す責任に、合否の線は合否判断に関わってよいかにまとめています。この記事は一般的な整理で、条件の提示に関わる法令や慣行は専門家にご確認ください。

三段階の線

年収・条件への関わり方を三段階に分け、副業の人がどこまで関わるかを整理します。

段階内容副業の人依頼側
触れない候補者から条件を聞かれても答えない。自分から条件を持ち出さない基本の姿勢
整える候補者の希望を記録する。依頼側が提示額を決めるための材料(希望額、現年収の申告、市場の傾向を一般論で)を整理するここまで材料を受け取る
伝える提示額を決める。候補者に提示する。候補者の反応を受けて調整する関わらない依頼側の担当か判断する人

三段階の要点は、「整えると伝えるの間に線がある」ことです。候補者の希望を聞いて記録し、依頼側に渡すまでは、事務の範囲です。提示額を決め、候補者に伝え、交渉するのは、会社の判断と約束の範囲で、副業の人が関わると責任と立場の問題が生じます。

関わってよい部分の中身

「整える」の中身を、具体的に整理します。

作業内容注意
候補者の希望の記録応募時や面接で候補者が申告した希望年収、現在の年収(申告があれば)、譲れない条件事実として記録。評価や意見を添えない
依頼側の提示の枠の確認依頼側が募集時に決めている年収の幅、条件の枠。候補者に見せる情報ではなく、社内の枠として副業の人が枠を決めない。依頼側から聞く
希望と枠の対応の整理「候補者の希望は枠の中」「上限を超えている」「枠の中だが条件に違いがある」を、依頼側に一覧で対応の整理まで。「この額で」とは書かない
市場の傾向の一般論「この職種・経験で、この地域の一般的な水準はこのくらいの傾向」を、出典を明示できる範囲で特定の数値で断定しない。依頼側の判断材料の一つとして
提示のタイミングの整理「候補者は他社の選考も進んでいる」など、提示の時期に関わる事実事実として
提示後の候補者の反応の記録依頼側が提示したあとの候補者の返事を記録副業の人が交渉しない。記録だけ

中身の要点は、「対応の整理まで。『この額で』とは書かない」ことです。「候補者の希望は枠の上限に近い」までは整理で、「上限で提示すべき」は判断です。判断は依頼側です。

エラベルの見解

登録の相談で多いのは、「候補者から希望年収を聞かれたときに、『そのくらいなら大丈夫だと思います』と言ってしまい、依頼側の提示額が下で、候補者が辞退した」という話です。副業の人は、依頼側の枠を知っていたので、候補者の希望が枠の中だと分かり、安心させるつもりで答えた。ただ、その一言は候補者にとって会社の約束で、提示額が下だったとき、候補者は「話が違う」と感じました。悪気は無く、線を越えています。

見ていて差がつくのは、「候補者に条件を聞かれたときの返し方を、決めているか」です。「ご希望は承りました。条件については、面接の際に担当からお伝えします」と、希望を受け取ることと、条件を伝えることを分ける。候補者は「希望は聞いてもらえた。条件は後で」と受け取ります。エラベルの登録でも、条件の話で問題が起きていない人は、この返し方を持っていて、希望を記録する役と、提示する役が分かれています。

候補者から条件を聞かれたときの返し方

候補者からの条件の質問は、場面ごとに返し方が変わります。番号付きで整理します。

  1. スカウトの返信で「年収はどのくらいですか」。 「募集要項に記載の範囲でご検討いただき、詳細は選考の中で担当からお伝えします。ご希望があれば、お聞かせください」。募集要項に幅があればそれを示し、無ければ「担当から」。
  2. 一次対応で「希望年収を伝えたい」。 「承りました。記録し、担当に共有します」。希望を受け取る。評価や見込みは言わない。
  3. 面接の記録役として同席中に、候補者が条件を聞いた。 同席の担当が答える。担当がいなければ、「条件は次の面接で担当からお伝えします」。
  4. 「私の希望は通りそうですか」。 「判断は会社が行いますので、私からはお答えできません。ご希望は伝えています」。見込みを言わない。
  5. 「他社からこの額で提示があるが、御社は」。 「承りました。担当に共有します」。競合の情報を記録し、依頼側に渡す。副業の人が対抗しない。
  6. 提示後に「もう少し上がらないか」。 「担当にお伝えします」。交渉しない。依頼側が判断し、依頼側が返す。
  7. 「あなた個人の感覚で、この額は妥当ですか」。 「私は選考の窓口で、条件についての意見をお伝えする立場にありません」。
  8. 候補者が条件で迷っている。 「ご不明な点があれば、面接で担当に直接お聞きいただけるようにします」。候補者の質問を面接に持ち込む。

返し方の要点は、「希望は受け取る、条件は伝えない、見込みは言わない」の三つです。受け取ることは事務で、伝えることと見込みは判断です。

依頼側に提示額の整理を出す型

「整える」の成果物として、依頼側に出す整理の型を示します。

項目書くこと
候補者の希望申告された希望年収、現年収(申告があれば)、譲れない条件「希望は〇〇の幅。現年収は申告なし。リモート週二日が条件」
依頼側の枠募集時に決めた幅と条件「募集の幅は〇〇。リモートは制度あり」
対応希望と枠の関係「希望は枠の上限付近。条件は制度の範囲内」
市場の傾向一般論として、出典を示せる範囲で「この職種・経験年数の一般的な傾向は、公開されている統計では〇〇の幅とされる」
他社の状況候補者が申告した他社の選考・提示の事実「他社から提示あり、額は申告なし」
判断をお願いする点依頼側に決めてほしいこと「提示額と、提示の時期のご判断をお願いします」

整理の要点は、「判断をお願いする点」で終わることです。「この額で提示することを推奨します」とは書きません。年収の提示は、合否以上に会社の判断そのもので、推奨の段階も置かないほうが安全です。市場の傾向を書く場合は、特定の数値で断定せず、出典を示せる公開情報の範囲にとどめ、依頼側の判断の一材料と位置づけます。

年収の話で起きる失敗

年収・条件の話で起きやすい失敗を整理します。

失敗起きる構造直し方
「そのくらいなら大丈夫」と言う枠を知っている希望は受け取る。見込みは言わない
募集要項に無い幅を候補者に言う依頼側から聞いた枠を伝える募集要項に書かれた範囲だけ。無ければ「担当から」
候補者の希望に対して自分の意見を言う「少し高いですね」意見を言わない。記録する
提示額を推奨する判断の材料を出すつもり対応の整理まで。「この額で」は書かない
候補者と交渉する依頼側に頼まれる交渉しない。候補者の返事を記録し、依頼側が返す
他社の提示に対抗する言葉を言う候補者を逃したくない記録して依頼側に。対抗は依頼側の判断
市場の相場を特定の数値で断定する経験で分かる一般論として、出典を示せる範囲で。断定しない
現年収を候補者に無理に聞く提示の材料にしたい申告があれば記録。無ければ聞かない。聞き方は依頼側の方針と法令に従い、迷えば専門家に
提示後の候補者の反応を、自分の判断で依頼側に伝えない「たぶん受ける」と思う反応をそのまま記録し、依頼側に渡す
条件の話が範囲に無いのに関わる頼まれたから書面の範囲を確認。整えるまでを範囲に入れるなら書面に

失敗の要点は、「枠を知っているから答えてしまう」という点です。副業の人は依頼側の枠を知っていることが多く、候補者の希望が枠の中かどうかが分かります。分かっていても、言わない。伝えるのは依頼側です。

エラベルの見解

担当する側として登録した人の話を聞くと、条件の話で続いている人は、「候補者の希望を、正確に、評価を添えずに依頼側に渡す」ことに徹しています。希望額、譲れない条件、他社の状況、提示後の反応。事実を記録し、依頼側に渡す。依頼側から見ると、判断の材料が整っていて、判断しやすく、候補者から見ると、希望を聞いてもらえて、条件は会社から伝わる。副業の人が間に立って交渉するより、依頼側が直接提示するほうが、候補者との関係も明確です。

依頼側から見ると、条件の提示を外部の人に任せることは、会社の約束を外部に委ねることで、後で違えば会社の信用に関わります。エラベルは、企業と担当者の間に立つ窓口として、担当者にお願いする業務では、条件の提示と交渉を依頼側に残す形をお伝えしています。年収の話は、合否以上に会社の判断そのものなので、「整える」までに線を引いていただくことをお勧めしています。条件の提示に関わる法令や慣行は、専門家にご確認ください。

まとめ

よくある質問

依頼側から「候補者と年収の話をまとめておいて」と言われました

「候補者のご希望と、他社の状況は記録して整理します。提示額のご判断と、候補者への提示は御社からお願いします。私が候補者に額を伝えると、会社の約束になり、後で違ったときに御社の信用に関わります」と伝えます。依頼側が「時間が無い」と言うなら、整理を一枚にして「判断をお願いする点」を明確にし、依頼側の判断が数分で済む形にします。それでも「まとめて」と言われるなら、条件の提示を含む範囲はお受けしていないと、範囲の話に戻します。

候補者の希望が、依頼側の枠を大きく超えています。候補者に早めに伝えたほうが親切ではないですか

親切に見えますが、副業の人が「枠を超えている」と伝えることは、会社の条件を副業の人が伝える形になります。依頼側の枠は、社内の情報であり、候補者に見せる情報ではありません。希望を記録し、依頼側に「希望は枠を大きく超えています。選考を進めるか、早めに条件をお伝えするか、ご判断ください」と整理して渡します。早めに伝えるかどうかは依頼側の判断で、伝えるなら依頼側から伝えます。候補者の時間を無駄にしない配慮は、依頼側に判断を早く促すことで果たします。

市場の相場を、依頼側から聞かれました。人事の経験から答えてよいですか

一般論として、出典を示せる公開情報の範囲で答えます。「公開されている統計では、この職種・経験年数の傾向は〇〇の幅とされているようです。個別の候補者の妥当な額は、御社の枠と候補者の希望で判断してください」。自分の経験からの感覚を「相場は〇〇です」と断定して伝えると、依頼側はそれを根拠に提示額を決め、結果が合わなかったときに副業の人の情報が問われます。傾向は一般論として、判断は依頼側、と分けます。統計の出典が示せない場合は、答えないことも選択肢です。