人事副業 / 案件獲得
勉強会・イベントからの接点|人事の副業で、一度きりの出会いを「後日の相談」につなげる準備と動き方
人事や採用をテーマにした勉強会、セミナー、交流会は、探せばいくらでもあります。副業を始めたい人にとって、経営者や人事担当と直接会える機会に見えますが、参加してみると名刺を交換して終わり、何もつながらないことがほとんどです。継続的に通うコミュニティと違い、勉強会やイベントは一度きりの出会いが多く、その場で案件が決まることはまずありません。結論を先に書くと、勉強会・イベントは、案件を取りに行く場ではなく「後日の相談につながる接点を作る場」で、名乗る一言・聞く姿勢・後日の連絡の型を準備しておくと、一度きりの出会いが相談に変わります。準備が無いと、出会いは名刺の山になって終わります。継続的な場の考え方は人事コミュニティの活かし方に、案件の経路の全体像は副業案件の探し方にまとめています。
場の種類と、起きること
勉強会やイベントと呼ばれるものは、性質で分かれます。どこに出るかで、接点の作りやすさが違います。
| 種類 | 集まる人 | 起きること | 接点の作りやすさ |
|---|---|---|---|
| 人事・採用の勉強会 | 各社の人事担当。登壇者は実務者か支援者 | 型や事例の共有。質疑 | 質問や感想から話が始めやすい |
| 経営者向けのセミナー | 経営者、幹部。採用は複数テーマの一つ | 講演を聞く。懇親会がある場合も | 経営者に会えるが、営業に見えやすい |
| 交流会・懇親会 | 業種を問わず | 名刺交換が中心 | 数は多いが、深い話になりにくい |
| 特定テーマの小規模な会 | スカウト、新卒、労務など | 少人数で深い話 | 受けたい業務と同じテーマなら最も接点が作りやすい |
| 媒体やツールの主催イベント | ユーザー企業の人事、主催者 | 活用事例の共有 | その媒体を使う会社が集まる。業務が絞られている |
| オンラインの勉強会 | 広く | 講演と質疑。懇親は少ない | 質問で覚えられる。後日の連絡が要る |
種類の要点は、「受けたい業務と同じテーマの、小規模な会が、最も接点になる」ことです。人数の多い交流会は、名刺は増えますが、何の人かは伝わりません。少人数で、受けたい業務のテーマなら、型の話ができ、覚えられます。
参加前に準備すること
勉強会やイベントで接点を作るには、当日より、参加前の準備で決まります。準備するのは三つです。
| 準備 | 内容 | 無いと |
|---|---|---|
| 名乗る一言 | 「〇〇(一つの業務)をやっています。副業でも受けています」を、十秒で言える形に | 「人事をやっています」で終わり、何の人か伝わらない |
| 聞く問い | 相手の採用の状況を聞く問いを二つか三つ。「いま採用で一番時間を取られているのは何ですか」など | 自分の話ばかりになり、相手の困りごとが分からない |
| 後日の連絡の型 | 会った翌日に送る連絡の文面。会で話した内容への一言と、役に立ちそうな型を一つ | 名刺交換で終わる |
| 出さない線 | 本業の社名の扱い、支援先や候補者の話はしない | 会話の流れで社内情報を出してしまう |
| 本業の規定 | 副業の可否と、外で副業と名乗ってよいか | 名乗った瞬間に規定に触れる |
| 案内の置き場 | プロフィールや型を書いた記事のリンク。聞かれたときに渡せる形 | 後日に自分を思い出してもらう材料が無い |
準備の要点は、「名乗る一言に、副業で受けていることを入れるかどうかを、先に決める」ことです。入れると、その場で頼める人だと伝わりますが、営業に見えることもあります。相手が経営者の場なら、名乗りには入れず、相手の困りごとを聞いてから、後日の連絡で伝える形のほうが、受け取られやすいことがあります。本業の規定で副業の公言に制限があるなら、その範囲に従ってください。
エラベルの見解
相談で多いのは、「勉強会には出ているが、名刺が増えるだけで、何にもならない」という声です。話を聞くと、当日は講演を聞いて、懇親会で数人と名刺を交換して、翌日には相手の顔も話した内容も思い出せない。相手も同じで、名刺の山の中の一枚になっています。準備が無い参加は、参加していないのと変わりません。
見ていて差がつくのは、「翌日に連絡しているか」です。会で話した内容に触れて、「あのとき話していたスカウトの返信率の件、文面を四つに分ける型を使っています。よければ書いたものをお送りします」と一通送る。それだけで、名刺の山から一人だけ浮き上がります。相手が困っているなら、そこから相談が始まります。エラベルの登録でも、範囲と時間を一行で書ける人は案件の連絡が早いのですが、勉強会でも同じで、名乗る一言と翌日の一通が用意できている人に、接点は残ります。
当日の動き方と、後日のつなぎ方
準備ができたら、当日と翌日以降の動きを番号付きで整理します。
- 講演や質疑では、一つ質問する。 受けたい業務に関わる質問を、自分の型に触れながら。「スカウトの文面を四つに分けて運用していますが、登壇者の方は冒頭をどう変えていますか」のように。会場の人に、何の人か伝わります。
- 懇親会では、数より深さ。 多くの人と名刺を交換するより、二人か三人と、採用の状況を聞く。準備した問いを使う。
- 相手の困りごとを聞いたら、型で一つ答える。 売り込みはしない。答えたあとに「副業で受けています」とは続けない。
- 聞かれたら、名乗る一言と案内の置き場を渡す。 聞かれていないのに渡さない。
- 出さない線を守る。 本業の採用計画、支援先の話、候補者の話は、会話の流れでも出さない。
- 翌日に、一通送る。 会で話した内容への一言と、役に立ちそうな型を一つ。案内は文末に短く。
- 返信が無くても、追わない。 一通で反応が無ければ、その相手とは接点が残らなかったと考える。数か月後に別の機会があれば、また一通。
- 相談が来たら、面談に切り替える。 メッセージで条件を詰めず、面談で四つの条件(型・成果物・期間・判断)を確かめる。面談で聞かれることを参照。
動き方の要点は、「一と六で、何の人かを二度伝える」ことです。当日の質問で会場に伝え、翌日の一通で相手に伝える。二度伝わると、相手は「スカウトの人」として思い出せます。名刺交換だけでは、一度も伝わりません。
名刺配りと売り込みの失敗
勉強会やイベントで起きる失敗は、コミュニティと同じく「営業に見える」ことと、「準備が無い」ことに分かれます。
| 失敗 | 起きる構造 | 直し方 |
|---|---|---|
| 名刺を配って回る | 数を集めれば案件が来ると思う | 二人か三人と深く。翌日の一通が送れる相手だけ |
| 名乗りで経歴を長く話す | 自分を知ってほしい | 一つの業務を十秒で |
| 相手の話を聞かずに売り込む | 案件が欲しい | 問いを二つか三つ用意し、聞く側に回る |
| 経営者だけに近づく | 案件に近いと思う | 誰にでも同じ態度で。営業だと見抜かれる |
| 翌日に連絡しない | 面倒。何を書けばよいか分からない | 型を一つ添える文面を、参加前に用意 |
| 翌日の連絡が売り込みになる | 「ぜひご相談ください」だけ送る | 会で話した内容と、役に立つ型を先に。案内は文末に短く |
| 返信が無いのに追う | 一件でも取りたい | 一通で終える。追うと営業に見える |
| 会話の流れで社内情報を出す | 話が弾んで、本業の採用計画や候補者の話をしてしまう | 出さない線を参加前に決める |
| 一度出て終わる | 手応えが無くてやめる | 同じテーマの会に数回出る。覚えられるのは二回目以降 |
失敗の要点は、「勉強会は、案件を取る場ではなく、翌日の一通を送れる相手を見つける場」と割り切ることです。当日に取ろうとすると、営業に見えます。翌日の一通を送れる相手が一人見つかれば、その回は成功です。
相談が来たときの受け方
勉強会やイベントで会った人からの相談は、相手が自分のことを断片的にしか知らない状態で始まります。受け方の注意を整理します。
| 注意 | 内容 |
|---|---|
| 相手は一言と一通しか知らない | 最初の面談で、受ける範囲を含むことと含まないことで伝え直す |
| 相手の状況が読めない | 人事の有無、判断する人、困っている中身、時間と期間、支払いの仕組みを面談で聞く |
| 期待がずれていることがある | 会で話した型と、頼みたいことが違うことがある。面談で戻す |
| 仲介がいない | 契約・請求・範囲の線引きを自分で回す。企業から直接受けるには |
| 書面で条件を決める | 範囲・時間・期間・報酬・締め日と支払日・秘密保持。案件の範囲の決め方 |
| 本業との関係を確認 | 相手が本業の取引先や競合でないか。本業と利益相反になる案件 |
| 断るときは範囲か時間の違いで | 相手の良し悪しにしない。次の機会に会うこともある |
受け方の要点は、「会で話したことと、受ける範囲を、面談でそろえる」ことです。会で型を話すと、相手はその型の周辺全部を頼めると思うことがあります。含まないことを最初に言えば、範囲は守られます。
エラベルの見解
担当する側として登録した人の話を聞くと、勉強会から相談が来ている人は、勉強会を「案件の場」ではなく「翌日の一通の相手を探す場」として使っています。当日は聞く側に回り、二人か三人と深く話し、翌日に型を添えた一通を送る。反応があった相手とだけ、話を続ける。この型を持っている人は、年に数回の参加でも、相談につながっています。
勉強会からの相談は、出会いから相談まで、数か月から年単位の間が空くことがあります。会ったときは困っていなかった相手が、あとで困ったときに思い出す、という形です。その間、案件が無い状態が続くと、当日の動きが売り込みに寄っていきます。エラベルは、範囲と時間を書いた登録に、条件が合う案件のときだけご連絡する窓口なので、案件の経路は登録先で持ち、勉強会は接点を作る場として続けると、当日に取りに行かなくて済みます。名乗る一言に入れる範囲と、登録に書く範囲を同じにしておけば、どちらから来ても同じ自分で受けられます。
まとめ
- 勉強会・イベントは案件を取る場ではなく、後日の相談につながる接点を作る場
- 種類は人事の勉強会・経営者向けセミナー・交流会・特定テーマの小規模な会・媒体主催・オンライン。受けたい業務と同じテーマの小規模な会が最も接点になる
- 準備は名乗る一言・聞く問い・後日の連絡の型・出さない線・本業の規定・案内の置き場。副業と名乗るかを先に決める
- 当日は一つ質問・数より深さ・型で答える・聞かれたら渡す。翌日に型を添えた一通。追わない
- 失敗は名刺配り・長い名乗り・売り込み・経営者だけ・翌日に連絡しない・追う・社内情報・一度で終わる
- 相談が来たら会で話したことと受ける範囲を面談でそろえ、仲介がいないので書面と請求は自分で
よくある質問
名刺に副業のことを書いたほうがよいですか
本業の名刺に副業のことを書くのは、本業の規定に触れる可能性があるので避けます。副業用の名刺を別に持つかは、本業の規定と、副業と名乗ってよい状況かで決めてください。名刺より、名乗る一言と翌日の一通のほうが、接点としては残ります。副業用の名刺を作るなら、一つの業務と連絡の方法だけの簡素なもので足ります。本名で活動するかに、名前の出し方の観点があります。
登壇する機会があれば、受けたほうがよいですか
受けたい業務の型を話せる場なら、接点としては大きい機会です。登壇すると、会場の全員に何の人かが伝わり、あとから連絡が来ることがあります。ただし、登壇の内容は本業の規定と出さない線の内側にとどめ、支援先や候補者の話はしません。登壇のあとに来る相談も、面談で範囲をそろえ、書面で条件を決める手順は同じです。登壇の準備に時間がかかるので、本業と副業の時間の枠に収まるかを先に見てください。
オンラインの勉強会では、接点は作れませんか
対面より作りにくいですが、作れます。質疑で一つ質問すると、名前と何の人かが参加者に伝わります。懇親の時間が無い場合は、登壇者や質問で気になった参加者に、翌日に一通送る形になります。オンラインでは名刺交換が無いぶん、連絡の手段(主催者経由、SNS、参加者リストなど)を当日のうちに確認しておきます。連絡の手段が無ければ、接点は残りません。