人事副業 / 案件獲得
合否判断に関わってよいか|人事の副業で、「材料を出す」と「決める」の間に引く線と、関わり方の段階
書類の一次絞りをしていると、「この人は通す」「この人は見送る」を自分が決めているように感じます。面接の記録を取っていると、「この人は合う」「合わない」が自分の中に生まれます。依頼側から「あなたの判断で進めて」と言われれば、決めてよいと思えます。ただ、合否の判断そのものを副業の人が持つと、判断の責任が副業の人に移り、依頼側は自社の判断の根拠を失い、候補者から見ても「誰が決めたのか」が不透明になります。結論を先に書くと、合否への関わり方は「記録」「整理」「推奨」「確定」の四段階に分かれ、副業の人は推奨まで関わり、確定は依頼側に残すのが線です。推奨と確定の間に一段あるだけで、判断の責任は依頼側に残り、副業の人は判断の材料を最も厚く出す役になれます。判断の線全般は踏み込みすぎない線引きに、面接での役割は面接代行を受けるときの注意にまとめています。
四段階の関わり方
合否への関わり方を四段階に分け、それぞれ何をするか、誰がするかを整理します。
| 段階 | 内容 | 誰がするか | 出てくるもの |
|---|---|---|---|
| 一 記録 | 書類の内容、面接の発言を、事実として型に沿って書く | 副業の人 | 事実の記録 |
| 二 整理 | 記録を、依頼側の要件(見る点)ごとに、三段階と理由で並べる | 副業の人 | 要件に対応した整理 |
| 三 推奨 | 整理をもとに、「通過推奨」「要判断」「見送り推奨」の三つに分ける。理由を添える | 副業の人 | 推奨と理由 |
| 四 確定 | 推奨を見て、通す・見送るを決める | 依頼側(担当、面接官、判断する人) | 合否 |
四段階の要点は、「三の推奨は、判断ではなく提案」ということです。「通過推奨」は「通します」ではなく「通すことを推奨します。理由はこうです」。依頼側が推奨と違う判断をしてもよい。この一段の違いが、責任の所在を分けます。
なぜ確定を依頼側に残すのか
副業の人が確定まで担うと何が起きるかを、三つの側から整理します。
| 側 | 副業の人が確定すると | 依頼側が確定すると |
|---|---|---|
| 依頼側 | 自社の採用の判断を外部に委ねた形になる。判断の根拠を社内で説明できない。結果が悪いと副業の人に責任を向ける | 判断の根拠が社内にある。結果の責任を自社で持てる。副業の人の推奨を材料として使える |
| 副業の人 | 判断の責任を負う。結果が合わないと評価が下がる。範囲が判断まで広がり、時間と単価が崩れる | 材料の質で評価される。判断の結果には責任を負わない。範囲が守られる |
| 候補者 | 誰が決めたのか不透明。外部の人が決めていたと知れば不信 | 会社が決めたと分かる。透明 |
理由の要点は、「依頼側にとっても、副業の人が確定するのは不利」ということです。依頼側は、任せたつもりで、自社の判断の根拠を失っています。「あなたの判断で」と言う依頼側に、確定を返すことは、依頼側を守ることでもあります。
エラベルの見解
登録の相談で多いのは、「依頼側から『任せる』と言われて一次の合否を決めていたら、採用した人が合わず、『あなたが通した人だ』と言われた」という話です。副業の人は、任されたから決めた。依頼側は、任せたつもりで、結果が悪いと副業の人の責任にした。どちらも悪気は無く、確定を誰が持つかを決めていなかったことが原因です。
見ていて差がつくのは、「推奨と確定の間の一段を、依頼側に理解してもらっているか」です。「私は通過推奨・要判断・見送り推奨の三つに分けて理由を添えます。確定は御社でお願いします。通過推奨と見送り推奨は確認だけで済むように整理するので、御社の負担は小さいです」。この説明があると、依頼側は「確認するだけ」と受け入れ、確定を持ちます。エラベルの登録でも、選考に深く関わりながら続いている人は、推奨まで、と線を引き、依頼側の確認の一段を設けています。
確定を求められたときの返し方
依頼側から「あなたが決めてよい」と言われたときの返し方を、番号付きで整理します。
- 任されたことへの礼を一言。 「信頼していただいてありがとうございます」。
- 確定を依頼側に残す理由を、依頼側の側から言う。 「合否を私が決めると、御社の採用の判断が外部にある形になり、社内で根拠を説明しにくくなります。結果が合わなかったときにも、御社が判断の根拠を持てません」。
- 自分の関わりを、推奨までと示す。 「私は三つに分けて理由を添えます。確定は御社のどなたかにお願いします」。
- 依頼側の負担を小さくする形を提案する。 「通過推奨と見送り推奨は、御社は確認だけで済むように整理します。要判断だけ、御社の判断をお願いします」。
- 確定者を一人決めてもらう。 担当か、面接官か、判断する人か。「どなたが確定されますか」。
- 確定の返事の目安を決める。 「〇営業日以内にご確認いただけると、候補者への連絡が遅れません」。
- 書面に、四段階の分担を書く。 「記録・整理・推奨は副業の人、確定は〇〇」。
- それでも「決めてほしい」なら、判断を含む範囲はお受けしていないと伝える。 丸投げ案件をどう扱うか
返し方の要点は、「四で、依頼側の負担が小さいことを示す」ことです。依頼側が確定を副業の人に渡したいのは、判断の手間を減らしたいからです。確認だけで済む形にすれば、依頼側は確定を持てます。
段階ごとの記録の残し方
四段階のそれぞれで、何を記録として残すかを整理します。記録は、判断の責任の所在を示すものになります。
| 段階 | 残すもの | 置き場 |
|---|---|---|
| 記録 | 書類の内容と面接の発言を、事実として。所感は別欄 | 依頼側の環境の中(応募者管理の仕組み、共有フォルダ) |
| 整理 | 見る点ごとの三段階と理由 | 同上 |
| 推奨 | 三分類と理由。「推奨」であることを明記 | 同上 |
| 確定 | 誰が、いつ、何と決めたか。推奨と違う判断なら、その旨 | 同上。依頼側が書く。副業の人は「確定をお願いします」の依頼と、確定の返事を記録 |
記録の要点は、「確定の記録を、依頼側が書く」ことです。副業の人が「〇〇さんが通過と決めた」と書くのではなく、依頼側が自分で「通過」と書く。依頼側の環境の中の表に、確定の欄を設け、依頼側が埋める形にします。情報の取り扱いと端末の分離を参照してください。
関わりすぎる失敗
合否に関わりすぎる失敗を整理します。
| 失敗 | 起きる構造 | 直し方 |
|---|---|---|
| 「任せる」と言われて確定する | 任されたと思う | 推奨まで。確定者を決めてもらう |
| 推奨を「通します」と書く | 言葉が判断になっている | 「通過を推奨します。理由は」 |
| 所感で推奨を決める | 印象が強い | 型に沿った整理から推奨を出す |
| 要判断を自分で決める | 判断する人が忙しい | 上げる。決めない |
| 確定の記録を自分が書く | 依頼側が書かない | 依頼側の環境に確定の欄を設け、依頼側が埋める |
| 確定の返事が来ないので進める | 候補者を待たせたくない | 期限付きで確定を求める。来なければ「確定待ち」と記録し、候補者には「結果は〇日以内に」 |
| 推奨と違う判断に異を唱える | 自分の推奨が正しいと思う | 確定は依頼側。推奨と違う判断も記録に残すだけ |
| 見送り推奨の候補者について、候補者に自分の判断を伝える | 候補者に納得してほしい | 結果の連絡は依頼側の判断のあと、依頼側の方針で |
| 結果が悪いと「自分の推奨のせい」と抱え込む | 責任感 | 推奨は材料。確定は依頼側。区切りで型を直す |
| 書面に分担が無い | 面談で決めなかった | 初回打ち合わせで四段階を書面に |
失敗の要点は、「推奨と違う判断に異を唱えない」ことも含む点です。副業の人の推奨が正しくても、確定は依頼側の判断です。異を唱えると、確定を副業の人が握っている形に戻ります。推奨と違う判断は、記録に残すだけにします。
エラベルの見解
担当する側として登録した人の話を聞くと、選考に深く関わりながら続いている人は、「自分の推奨が通るかどうか」に関心を持っていません。型に沿って記録し、整理し、推奨を出し、確定は依頼側。推奨と違う判断が出ても、記録に残して次に進む。区切りで、推奨と確定のずれを見て、型を直す。この距離感があると、判断の責任は依頼側に残り、副業の人は「材料の質」で評価されます。
依頼側から見ると、副業の人が合否を確定することは、短期的には楽でも、自社の採用の判断が外にある形になり、後で困ります。エラベルは、企業と担当者の間に立つ窓口として、選考に関わる案件では、担当者の役割を推奨までとし、確定は依頼側に残す形をお伝えしています。推奨と確定の間の一段を設けることが、依頼側と担当者の両方を守ります。
まとめ
- 合否への関わり方は記録・整理・推奨・確定の四段階。副業の人は推奨まで、確定は依頼側
- 推奨は判断ではなく提案。「通過を推奨します。理由は」。依頼側が推奨と違う判断をしてもよい
- 副業の人が確定すると依頼側は判断の根拠を失い、副業の人は責任を負い、候補者には不透明。依頼側にとっても不利
- 確定を求められたら理由を依頼側の側から言い、推奨までと示し、確認だけで済む形を提案し、確定者と返事の目安を決め、書面に
- 記録は確定の欄を依頼側が埋める。副業の人は確定の依頼と返事を記録
- 推奨と違う判断に異を唱えない。記録に残し、区切りで型を直す
よくある質問
一次絞りで「見送り推奨」にした候補者を、依頼側が確認せずに全員見送りにしています
確認の形になっていない状態です。「見送り推奨は確認だけで済むように整理しています」と伝えていても、確認自体が行われていなければ、実質的に副業の人が確定していることになります。「見送り推奨の中に、要件の一部が高い候補者が〇名います。念のためご確認ください」と、確認を促す形で送ります。それでも確認されないなら、区切りで「確定の確認が行われていないので、判断の責任が私に寄っています。確認の時間をいただくか、確定者を変えていただけますか」と伝えます。確認が無い推奨は、確定と同じです。
推奨と違う判断が続いて、自分の推奨に意味が無いように感じます
推奨と確定がずれることは、型の精度を上げる材料です。区切りで、推奨と確定を並べ、どこがずれているかを依頼側と見ます。依頼側の見る点が型に無ければ、型に足す。依頼側の基準が型より厳しければ、三段階の基準を直す。ずれが縮まれば、推奨の意味は上がります。ずれが縮まらず、依頼側が型と無関係に判断しているなら、型を依頼側の判断に合わせるか、推奨の段階を省いて整理までにするかを、区切りで相談します。推奨に意味を持たせるのは、型の調整です。
候補者から「誰が合否を決めているのか」と聞かれました
「選考の判断は会社が行っています」と答えます。副業の人が推奨まで関わっていることは、候補者に伝える必要はありません。候補者にとって重要なのは、会社が判断していることであって、社内の分担ではありません。もし副業の人が確定まで担っていたら、この質問に正直に答えられず、答えれば候補者は不信を持ちます。確定を依頼側に残していれば、「会社が判断しています」と、事実として答えられます。