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追加業務の見積もり|「小さいから無償」の線を先に決め、超えたら工程と時間で出す

公開 2026-09-12

契約の範囲外の業務を頼まれた。「追加でお見積もりします」と返したいが、小さな頼まれごとにまで見積もりを出すと、依頼側との関係が疲れる。かといって、全部を無償で受けると、報酬は下がる。結論を先に書くと、無償で受ける線を、契約の時点で自分で決めておき、線を超えた追加は、単発か継続かを分けて、工程と時間で見積もってください。線があれば、小さい追加はその場で受け、大きい追加は見積もりに回せます。範囲外の依頼への対処は範囲外の依頼が増えたときに、見積もりの型は見積もりの出し方にまとめています。この記事では、金額の数値は扱いません。

全部見積もる・全部無償の問題

追加の業務への対応を、両極端にすると、問題が起きます。

全部を見積もる。 五分の作業にも見積もりを出す。依頼側は「細かい」「一緒に仕事をしにくい」と感じ、関係が疲れる。受ける側も、見積もりの手間で稼働が消える。

全部を無償にする。 「これくらいなら」で全部受ける。合計で契約の何割にもなり、時給が下がる。依頼側は無償が当然と思い、次も頼む。

どちらも、「線が無い」ことから起きます。線があれば、線の内側はその場で受け、外側は見積もりに回す。依頼側にも「この人は、ここまでは受けてくれて、ここからは見積もりが要る」が伝わります。

無償で受ける線の決め方

無償で受ける線は、次の考え方で決めます。

時間で線を引く。 「一回あたり〇分以内で、月に合計〇時間まで」。この範囲は、契約の稼働の一部として受ける。超えたら見積もり。

種類で線を引く。 「契約の工程に付随する小さな調整(文面の一部の修正、日程の再調整、質問への短い回答)は範囲内。新しい工程(面談の同席、求人票の作成)は範囲外」。

頻度で線を引く。 「単発なら受ける。繰り返すなら見積もり」。同じ追加が二回来たら、三回目から見積もり。

契約の稼働に対する割合で。 「契約の稼働の一割までは、調整の余地として含む」。超えたら見積もり。

線は、自分の中で決めておき、契約時に依頼側に伝えます。「小さな調整は含んでいます。新しい工程や、繰り返す追加は、お見積もりします」。伝えておけば、依頼側は「見積もりが要るかどうか」を自分で判断できます。

線は、自分の稼働と時給で決めます。稼働に余裕があれば線を広く、無ければ狭く。

単発と継続を分ける

線を超えた追加は、単発か継続かで、見積もりの形が変わります。

単発。 一回限りの追加。「今回だけ、求人票を一つ作ってほしい」「今月だけ、送信を増やしてほしい」。成果物ごと、または時間分で、一回の見積もり。既存の契約は変えない。

継続。 毎月続く追加。「今後は返信対応もお願いしたい」「レポートを週次にしてほしい」。既存の契約の範囲に入れ、月額と稼働の上限を見直す。契約の変更。

単発が繰り返されたら、継続。 「今回だけ」が三回続いたら、継続として契約に入れる。単発の見積もりを繰り返すより、契約に入れたほうが、双方の手間が減る。

継続を、まず単発で試す。 「今後は」と言われても、最初の一か月は単発の見積もりで受け、実際の稼働を見てから、契約に入れる。見積もりの精度が上がる。

分ける基準は、「来月も続くか」です。依頼側に「これは今回だけですか、今後も続きますか」と聞けば、分かります。

追加の見積もりの型

追加の見積もりは、見積もりの出し方の型を、追加の分だけに絞った形です。

項目内容
追加の内容何を(工程で)
単発か継続か今回だけ/今後毎月
時間単発なら合計、継続なら月あたり
報酬単発なら一回分、継続なら月額の増分
既存の契約との関係既存の稼働の上限に収まるか、超えるか。超えるなら上限をどう変えるか
開始の時期いつから
含まないこと追加の中でも、含まない部分

一枚の半分で足ります。メールの本文でも構いません。

継続の場合は、既存の契約の「業務範囲」「稼働の上限」「報酬」を更新する形にし、更新後の書面を双方で保管します。

既存の契約との関係

追加の業務は、既存の契約に影響します。影響を見積もりに入れます。

稼働の上限に収まるか。 既存の稼働の上限に余裕があれば、追加は上限の中で。余裕が無ければ、上限を上げる(報酬も)か、既存の工程を減らす。

既存の工程の質が落ちないか。 追加を受けて、既存の工程(文面の個別化、返信対応の速さ)が薄くなるなら、追加は受けない。依頼側にも、「追加を受けると、既存の〇〇が薄くなります」と伝える。

時間帯が合うか。 追加の業務が、平日日中の対応を要するなら、固定できる時間帯と合うか。

報酬の形が合うか。 既存が月額で、追加が成果物なら、別の形で。混ぜると、月額の中身が曖昧になる。

判断か作業か。 追加が「判断」(対象の条件を決める、通す基準を決める)なら、見積もりではなく、戻す。判断は依頼側のもの。

既存の契約への影響を示せば、依頼側は「追加すると、何が変わるか」を理解し、追加するかどうかを判断できます。

エラベルの見解

相談で最も多い失敗は、「小さい追加を無償で受け続けて、大きい追加が来たときに、見積もりを出しにくくなった」というものです。文面の修正も、日程の再調整も、質問への回答も、全部無償。ある日「求人票も作ってほしい」と来て、見積もりを出そうとすると、依頼側は「今まで無償だったのに」と言う。線が最初から無かったので、大きい追加も無償の延長に見えました。

見ていて差がつくのは、受ける側が「線」を契約時に伝えているかどうかです。線を伝えていない人は、全部が無償の延長になります。「小さな調整は含みます。新しい工程は見積もります」と伝えている人は、大きい追加が来たときに、自然に見積もりに移れます。

受ける側にできるのは、契約時に線を一言伝えることです。「小さな調整は含んでいます」の一言が、大きい追加の見積もりの根拠になります。

提示の仕方

追加の見積もりを依頼側に出すときの、伝え方です。

依頼を受け止めてから。 「承知しました。追加の業務なので、お見積もりをお出しします」。依頼を否定しない。

単発か継続かを、先に聞く。 「今回だけですか、今後も続きますか」。答えで、見積もりの形が変わる。

既存の契約への影響を、添える。 「追加すると、既存の稼働の上限を超えるので、上限を〇時間に上げるか、既存の〇〇を減らすか、ご相談させてください」。

選択肢を出す。 「追加で受ける」「範囲を調整して受ける」「御社で担う」。依頼側が選べる形。

「無償で」と言われたら、線を示す。 「小さな調整は含んでいますが、これは新しい工程なので、お見積もりが要ります」。線を根拠に。

急ぎなら、優先順位を聞く。 「急ぎで対応する場合、既存の〇〇を後ろにしてよいですか」。

提示の要は、「追加は、範囲と報酬を合わせる話であって、断りではない」と伝えることです。

追加が繰り返されるときの契約への反映

追加の見積もりが、月に何度も出るようになったら、契約そのものを見直します。

追加の記録を、一覧にする。 何を、いつ、単発か継続か、いくらで。三か月分。

繰り返している追加を、契約の範囲に入れる。 毎月来る追加は、範囲に入れ、月額と稼働の上限を見直す。単発の見積もりを繰り返すより、双方の手間が減る。

線を、見直す。 無償の線が狭すぎて、見積もりが多すぎるなら、線を広げて月額に含める。広すぎて無償が多すぎるなら、狭める。

更新の節目で、反映する。 契約更新のされ方の一か月前に、追加の一覧を示し、範囲と報酬を置き直す。

追加が減らないなら、依頼側の体制を見る。 追加が続くのは、依頼側の側で、契約時に想定していなかった業務が発生し続けているから。依頼側の体制(担当者の稼働、決める人)に原因があるなら、そこを話す。

追加の見積もりは、一時的な対応で、繰り返すなら契約に反映するのが本筋です。

エラベルの見解

担当する側から見ると、追加の業務で最も困るのは「追加を受けたことで、既存の工程の質が落ち、その落ちた質を責められる」ことです。求人票の作成を追加で受け、その時間で文面の個別化が薄くなり、返信率が落ちる。依頼側は「返信率が落ちた」と言うが、追加を頼んだのは依頼側。追加の見積もりで、「既存の〇〇が薄くなります」と伝えていれば、依頼側は追加と質のどちらを取るかを判断できました。

追加の見積もりは、報酬のためだけでなく、既存の工程の質を守るためでもあります。「追加すると、何が変わるか」を示すことが、見積もりの役割です。

受ける側にできるのは、追加の見積もりに「既存の契約との関係」を入れることです。稼働の上限、既存の工程の質、時間帯。追加が既存に影響するなら、それを示したうえで、依頼側に選んでもらいます。

まとめ

よくある質問

小さな追加にまで見積もりを出すのは、細かすぎませんか

線を決めて、線の内側はその場で受けてください。「一回〇分以内、月に合計〇時間まで、契約の工程に付随する調整」は無償で受け、超えたら見積もり。線を契約時に伝えておけば、依頼側も「見積もりが要るか」を判断でき、細かいとは思われません。線が無いと、全部を見積もるか全部を無償にするかになります。

「今回だけ無償で」と言われました

線の内側なら受けます。線の外側なら、「今回は単発でお見積もりします。小さな調整は含んでいますが、これは新しい工程なので」と、線を示します。「今回だけ」が繰り返されることが多いので、一度無償で受けると、次も無償が前提になります。

追加を受けたら、既存の業務の質が落ちました

追加の見積もりに、既存の契約との関係(稼働の上限、既存の工程の質への影響)を入れていなかった可能性があります。いまからでも、「追加を受けたことで、既存の〇〇に使える時間がこれだけ減っています」と依頼側に示し、追加を戻すか、稼働の上限を上げるか、既存の工程を絞るかを選んでもらってください。