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超過稼働の扱い|「上限を超えたら止める」を先に決めておけば、超過はもめない
契約は週に五時間。今週は、返信が多く、日程調整が重なり、八時間働いた。三時間の超過分は、どうなるのか。契約に書いていなければ、たいてい無償です。「今月だけ」が毎月になり、時給は下がり続けます。結論を先に書くと、超過稼働は、起きてから扱いを決めるのではなく、契約の時点で「上限」「超えそうなときの手続き」「超過分の扱い」「繰り越し」の四つを決めておいてください。決まっていれば、超過はもめごとではなく、手続きになります。稼働の記録は稼働時間の管理と申告に、最低保証の話は最低保証を付けてもらえるかにまとめています。
超過が起きる理由
超過稼働は、次の理由で起きます。
返信対応の波。 スカウトの返信は、こちらの都合に関係なく来ます。返信が多い週は、返信対応の時間が増えます。
日程調整の往復。 依頼側の面談枠が無く、候補日の往復が増える。依頼側の体制が原因の超過です。
「ついでに」の積み重ね。 契約に無い業務が少しずつ増え、合計で上限を超える。
急ぎの依頼。 「今日中に」「今週中に」で、稼働の上限を超えて対応する。
立ち上げの見積もり不足。 最初の月は、対象と文面を整える時間が要り、見積もりを超える。
自分の見積もりの甘さ。 工程ごとの時間を少なく見積もっていた。
理由によって、扱いが変わります。依頼側の体制が原因なら、依頼側に改善を求めます。「ついでに」なら、範囲の見直しです。自分の見積もりの甘さなら、次の見積もりで直します。理由を分けずに「超過した」とだけ言うと、依頼側は「時間の管理ができていない」と受け取ります。
契約で決めておく四つ
超過稼働は、契約の時点で次の四つを決めておきます。
一.稼働の上限。 週または月の上限時間。「週五時間まで」「月二十時間まで」。上限が無いと、超過という概念がありません。
二.超えそうなときの手続き。 上限に近づいたら、依頼側に連絡し、超えるかどうかを依頼側が判断する。「上限の八割に達したら連絡し、超える場合は依頼側の承認を得る」。受ける側が勝手に超えない、依頼側が知らずに超えさせない、の両方を防ぎます。
三.超過分の扱い。 承認を得て超えた分は、時給で追加請求するか、翌月の稼働から差し引くか、無償か。無償は避けます。時給型なら実働分の請求、月額型なら追加の時給か翌月の調整。
四.繰り越し。 上限に満たなかった月の分を、翌月に繰り越せるか。繰り越せるなら、超過と相殺できます。繰り越せないなら、月ごとに独立。
四つが契約にあれば、超過が起きたときに、「手続きどおりに」で済みます。無ければ、超過のたびに交渉になり、たいてい無償に落ち着きます。
契約の個別の条項については、専門家にご確認ください。
超過しそうなときの動き
上限に近づいたら、超える前に動きます。
上限の八割で、依頼側に連絡する。 「今月の稼働が上限の八割に達しました。残りの二割で、〇〇と〇〇を予定しています」。依頼側は、残りで何をするかを知り、優先順位を決められます。
超える見込みなら、選択肢を出す。 「このまま進めると、〇時間超過します。超過して進めるか(追加の時給で)、〇〇を翌月に回すか、御社で〇〇を担っていただくか」。依頼側が選びます。
依頼側が判断しないなら、止める。 「超えてよい」と言われなければ、上限で止めます。返信対応のように止められない業務は、「上限に達したので、翌月まで返信対応は御社で」と伝えます。止めることに抵抗があるかもしれませんが、無償で超過するより、依頼側にとっても分かりやすい。
急ぎの依頼は、優先順位を聞く。 「急ぎで〇〇を」と言われたら、「上限の中で、〇〇より優先しますか」と聞きます。優先するなら、〇〇を遅らせる合意を取ります。
記録を残す。 連絡した日時、依頼側の返答、超えた時間。後で「聞いていない」とならないように。
超えそうなときに連絡するのは、依頼側への配慮でもあります。依頼側は、受ける側の稼働が上限に近いことを知りません。知らせれば、依頼側は業務の優先順位を決められます。
超過してしまった後の扱い
連絡する前に超えてしまった、あるいは連絡したが返答が無いまま超えた。その場合の扱いです。
まず、記録を見せる。 「今月は〇時間の超過でした。内訳は〇〇」。工程ごとの内訳と、理由。依頼側の体制が原因なら、それも。
契約の扱いに沿って請求する。 契約に「超過分は時給で」とあれば、請求します。「承認を得て」とあって承認が無い場合は、今回は請求せず、次回から手続きを守ることを伝えます。
契約に無い場合は、今回は無償にし、次回から決める。 「今回は契約に無かったので請求しませんが、来月から上限と超過の扱いを決めさせてください」。今回を無償にする代わりに、次回からの手続きを得ます。
依頼側の原因なら、改善を求める。 「面談枠が無く、日程の往復で超過しました。面談枠を先に押さえていただければ、超過は減ります」。超過の請求より、原因の改善のほうが、長期的には効きます。
自分の原因なら、次の見積もりで直す。 見積もりの甘さで超えたなら、依頼側に請求せず、次の見積もりを直します。
繰り返すなら、契約を見直す。 毎月超過するなら、上限が実態に合っていません。上限を上げるか、範囲を絞るか、報酬を見直すか。値上げを申し出るタイミングで書いた節目に、見直しを申し出ます。
超過してしまった後に、黙って無償で済ませ続けることは、避けます。一度は仕方なくても、二度目からは手続きを作ります。
エラベルの見解
相談で最も多い失敗は、「超過分は、今月だけと思って無償にした。それが半年続いた」というものです。最初の月、返信が多くて三時間超えた。「今月は仕方ない」と無償にした。翌月も、翌々月も。依頼側は、超過していることすら知らず、「週五時間で回っている」と思っている。半年後に「超過している」と言うと、「なぜ今まで言わなかったのか」と返される。最初の月に「上限に達しました」と連絡していれば、依頼側は超過を知り、扱いを決められました。
見ていて差がつくのは、受ける側が「上限の八割で連絡する」を習慣にしているかどうかです。黙って超過する人と、超える前に連絡して依頼側に判断させる人がいます。後者は、依頼側から「時間の管理ができている人」と見られ、超過は手続きとして扱われます。
受ける側にできるのは、超過を「自分が我慢すること」ではなく「依頼側が判断すること」と位置づけることです。超えるかどうかは、依頼側が決める。受ける側は、超えそうなことを知らせる。この分担が、超過をもめごとにしません。
超過を減らす運用
超過そのものを減らす運用があります。
返信対応の時間を、見積もりに厚く置く。 返信対応は波があり、見積もりを超えやすい工程です。平均ではなく、多い週を想定して置きます。
「ついでに」を持ち帰る。 契約に無い業務は、その場で受けず、範囲の確認をしてから。安請け合いを避けるで書いた手順です。
依頼側の体制を整えてもらう。 面談枠を先に押さえる、承認を速くする。依頼側の体制が整えば、日程の往復と待ち時間が減り、超過が減ります。
工程を効率化する。 文面の型を整える、対象の基準を書面にする、返信の一次対応を定型にする。同じ工程にかかる時間を減らします。
週ごとに稼働を見る。 月末に超過に気づくのではなく、週ごとに記録を見て、上限に近づいていないかを確認します。
繁忙期を事前に伝える。 依頼側の採用が集中する時期は、返信も面談も増えます。事前に「この時期は超過しやすいので、上限を一時的に上げるか、範囲を絞るか」を決めておきます。
超過を減らす運用は、自分の稼働の管理であると同時に、依頼側の体制の改善でもあります。
上限が無い契約を提案されたら
「稼働は自由に、成果報酬で」「時間は気にせず、必要なだけ」という契約を提案されることがあります。上限が無い契約は、超過という概念が無く、際限なく働くことになります。
上限を入れる交渉をする。 「週〇時間を目安に、超える場合はご相談します」。成果報酬でも、稼働の上限は入れられます。
上限が入らないなら、自分で決めて伝える。 「週〇時間を上限として稼働します。超える場合は事前にご連絡します」。契約に無くても、自分の運用として伝えておけば、超えそうなときに連絡する根拠になります。
「必要なだけ」の中身を聞く。 依頼側が想定している稼働を聞きます。「必要なだけ」が週に数時間の想定なら、それを上限にします。十数時間の想定なら、報酬と合っているかを確認します。
受けない判断も。 上限が入らず、依頼側の想定も曖昧なら、受けないほうが安全です。上限の無い契約は、受ける側がリスクを全部負う形です。
上限は、依頼側を縛るものではなく、お互いの期待を揃えるものです。「時間は気にせず」は、依頼側の善意であっても、受ける側には上限の無い義務になります。
エラベルの見解
担当する側から見ると、超過で最も困るのは「依頼側が、超過していることを知らない」ことです。受ける側が黙って超過し、依頼側は「上限内で回っている」と思っている。依頼側は、超過の原因が自分の側(面談枠が無い、承認が遅い)にあることにも気づかない。受ける側が消耗して辞めたとき、依頼側は「なぜ」と驚く。
超過を知らせることは、依頼側にとっても情報です。「面談枠が無いせいで、受ける側の稼働が超過している」と分かれば、依頼側は面談枠を空けます。知らされなければ、何も変わりません。
受ける側にできるのは、超過を隠さず、上限の八割で知らせ、原因を添えることです。依頼側は、知らされて初めて動けます。
まとめ
- 超過の理由は返信の波・日程の往復・「ついでに」・急ぎ・立ち上げ・見積もりの甘さ。理由で扱いが違う
- 契約で上限・超えそうなときの手続き・超過分の扱い・繰り越しの四つを決める。無償は避ける
- 超えそうなら八割で連絡し・選択肢を出し・判断が無ければ止め・急ぎは優先順位を聞き・記録を残す
- 超えてしまったら記録を見せ・契約に沿って請求し・契約に無ければ今回は無償で次回から決め・依頼側の原因なら改善を求め・自分の原因なら次の見積もりで直し・繰り返すなら契約を見直す
- 超過を減らすには返信対応を厚く見積もり・「ついでに」を持ち帰り・依頼側の体制を整え・工程を効率化し・週ごとに見て・繁忙期を事前に
- 上限が無い契約は上限を入れる交渉をし・入らなければ自分で決めて伝え・「必要なだけ」の中身を聞き・受けない判断も
- 超過は自分が我慢することではなく依頼側が判断すること
よくある質問
超過分を請求すると、依頼側との関係が悪くなりませんか
契約に超過の扱いがあり、超える前に連絡して承認を得ていれば、請求は手続きです。悪くなるのは、黙って超過し、後からまとめて請求したときです。超える前に「上限に達しました。超えて進めますか」と聞き、依頼側が「進めて」と言った分を請求する。この形なら、依頼側も納得します。
返信対応は止められないので、上限で止めるのが難しいです
返信対応は、上限に達したら「翌月まで返信の一次対応は御社で」と伝えるか、超過を承認してもらって続けるか、のどちらかです。止められないからと黙って続けると、無償の超過になります。返信対応の時間は、見積もりの段階で多い週を想定して厚く置き、上限に入れておきます。
依頼側から「時間は気にせず、必要なだけやってほしい」と言われました
上限を入れる交渉をしてください。「週〇時間を目安に、超える場合はご相談します」。依頼側の善意であっても、上限が無い契約は、受ける側にとって際限のない義務になります。入らなければ、自分で上限を決めて依頼側に伝え、超えそうなときに連絡する根拠にします。