人事副業 / 単価・契約・税務
契約更新のされ方|更新は「されるもの」ではなく、一か月前に自分から切り出すもの
契約の終了日が近づいている。依頼側からは何も言われない。「更新されるのだろうか」と待っていると、終了日の直前に「同じ条件で更新で」と言われ、範囲も報酬も見直せないまま、次の期間が始まる。人事の副業で、更新を「されるもの」と考えていると、こうなります。結論を先に書くと、更新は、依頼側を待つものではなく、終了の一か月前に受ける側から切り出すものです。実績と見直しの案を添えて切り出せば、更新は「条件を置き直す節目」になります。契約期間の考え方は契約期間の目安に、値上げの切り出しは値上げを申し出るタイミングにまとめています。契約の個別の条項については、専門家にご確認ください。
更新の三つの形
契約の更新には、三つの形があります。契約時に、どの形かを確認します。
自動更新。 終了日までにどちらかが終了を申し出なければ、同じ条件で更新される。安定するが、条件の見直しの機会が無いまま続きやすい。
都度更新。 終了日に、改めて契約を結ぶ。条件を見直す機会が毎回あるが、更新されるかどうかが毎回問われる。
見直し付きの自動更新。 自動更新だが、更新の一か月前に、範囲と報酬を見直す機会を設ける。安定と見直しの両方を取る形。
三つのうち、受ける側にとって最も良いのは、見直し付きの自動更新です。契約時に「自動更新とし、更新の一か月前に条件を見直す機会を設ける」と入れておきます。
自動更新だけの契約では、受ける側が自分から見直しを切り出さない限り、同じ条件が続きます。都度更新では、更新の一か月前に受ける側から動かないと、直前に「続けますか」と聞かれ、条件の話をする時間がありません。
更新の一か月前に、受ける側からやること
更新の一か月前に、受ける側から動きます。依頼側を待ちません。
一.実績を整理する。 契約期間の稼働(工程ごと)、成果(段階ごとの数字)、変えたことと結果。稼働時間の管理と申告の記録があれば、そこから作れます。
二.見直しの案を作る。 範囲、報酬、稼働、期間の四つ。実績をもとに、どこを変えるか。変えない項目も、「このまま」と明示。
三.書面で切り出す。 「契約の更新にあたって、実績と、次の期間の条件のご相談をさせてください」。実績の一枚と、見直しの案を添えて。
四.依頼側の意向を聞く。 依頼側が更新を考えているか、条件をどう見ているか、次の期間の採用計画はどうか。
五.合意して、書面にする。 更新後の条件を、契約書か、メールでの合意で書面に。口頭の「同じ条件で」を、書面にしないまま続けない。
一か月前に動けば、依頼側は社内で検討する時間を持て、受ける側は条件を置き直す時間を持てます。直前では、どちらも無理です。
更新時に見直す四つ
更新時に見直すのは、次の四つです。
一.範囲。 契約時の工程と、実際に担っている工程。広がっていれば、契約に入れるか、戻すか。「ついでに」が積み重なった分を、ここで整理します。
二.報酬。 実際の稼働と成果に対して、報酬は見合っているか。時給が下限を上回っているか。広がった範囲に対する報酬。値上げを申し出るタイミングで書いた根拠の作り方で。
三.稼働。 契約時の稼働の上限と、実際の稼働。超過が常態なら、上限を上げるか、範囲を絞るか。本業の状況で、稼働を減らす必要があれば、ここで。
四.期間。 次の期間の長さ。三か月で始めていたなら、合っていれば半年か一年に。まだ不確かなら、また三か月。
四つを、実績をもとに置き直します。「同じ条件で」は、四つのどれも見直さないという判断で、それを選ぶなら意図して選びます。
更新の場での伝え方
更新の見直しを依頼側に伝えるとき、次の順で。
実績から。 「この期間、こういう稼働で、こういう成果でした」。数字で。依頼側が、受ける側の働きを改めて見る機会になります。
依頼側にとっての価値を、言葉にする。 「対象の基準と文面のルールが整い、返信率がこう改善しました。これが次の期間の土台になります」。受ける側の働きが、依頼側の運用にどう組み込まれているか。
見直しの案を、四つの項目で。 「範囲はこう、報酬はこう、稼働はこう、期間はこう」。変える項目と変えない項目を、両方明示。
選択肢を出す。 「報酬を見直すか、範囲を契約時に戻すか」。依頼側が選べる形。
続けたい意思を添える。 「引き続き担いたいので、続けられる形にしたい」。更新の話は、関係を続けるための話です。
期限を決める。 「〇日までにお返事をいただければ」。終了日を過ぎてから返事が来る、を防ぎます。
伝え方は、「更新してほしい」ではなく「次の期間の条件を相談したい」です。更新は前提で、条件を置き直す。この位置づけなら、依頼側も応じやすい。
エラベルの見解
相談で最も多い失敗は、「更新を依頼側任せにして、直前に『同じ条件で』と言われ、そのまま続けた」というものです。範囲は広がり、稼働は超過し、時給は下がっているのに、更新の直前に切り出す時間が無く、「まあいいか」で続ける。次の更新でも同じことが起き、一年後には最初の条件で倍の業務を担っている。一か月前に自分から動いていれば、条件を置き直せました。
見ていて差がつくのは、受ける側が「更新の一か月前」を予定に入れているかどうかです。終了日を意識せず、依頼側の連絡を待つ人と、一か月前に実績と案を持って自分から切り出す人がいます。後者は、更新のたびに条件を良くしていきます。
受ける側にできるのは、契約時に、終了日の一か月前を「更新の見直し」として予定に入れることです。そこが来たら、依頼側を待たずに動く。それだけで、更新は「されるもの」から「自分で決めるもの」になります。
更新されないときのサインと対応
更新されない可能性は、事前にサインが出ることが多い。
サイン。 定例会が減る、依頼側の担当者の反応が鈍い、依頼側の採用計画が縮小した、成果が出ていない、依頼側から範囲の縮小の話が出る、後任や内製の話が出る。
サインが出たら、早めに聞く。 「次の期間の採用計画は、どうなりそうですか」。更新の一か月前より早く、二か月前に聞きます。
更新されない場合の準備。 引き継ぎの記録を整える、成果物と記録を渡す形にする、次の案件を探し始める。一つの案件に依存している場合、更新されないと収入が止まります。複数案件を掛け持ちできるかで書いた考え方が、ここで効きます。
更新されない理由を聞く。 予算か、成果か、体制の変更か、受ける側への不満か。理由が分かれば、次の案件に活かせます。不満なら、率直に聞き、次に直します。
丁寧に終える。 引き継ぎの期間を取り、記録を渡し、進行中の候補者の対応を整理し、感謝を伝える。更新されなくても、関係は残します。半年後に、また声がかかることがあります。
更新されないことは、失敗ではありません。依頼側の事情で決まることも多い。丁寧に終えて、次に向かいます。
更新を機に、自分から終える判断
更新の節目は、受ける側が終える判断をする機会でもあります。
終える判断の材料。 時給が下限を下回ったまま、見直しが通らない。依頼側の体制が整わず、成果が出ない状態が続いている。本業の状況が変わり、稼働を確保できない。業務の内容が、自分の経験や希望と合わない。依頼側との関係が、消耗になっている。
終えるなら、更新の一か月前に伝える。 「次の期間は更新せず、〇月末で終了したい」。理由を率直に、短く。引き継ぎの形を添えて。
引き継ぎを整える。 文面のルール、対象の基準、記録、進行中の候補者。次の担当者(社内か、別の副業者か)が困らない形で。
関係を残す。 終える理由が依頼側への不満であっても、伝え方は丁寧に。「条件が合わなくなった」で足ります。
次の案件に活かす。 なぜ合わなかったか。契約の条件か、依頼側の体制か、業務の内容か。次の案件を選ぶときの基準になります。
更新の節目で終える判断ができれば、合わない案件を惰性で続けることが無くなります。
エラベルの見解
担当する側から見ると、更新で最も困るのは「依頼側が、更新の意思を直前まで示さない」ことです。終了日の一週間前に「更新で」と言われる。あるいは、終了日を過ぎても何も言われず、稼働だけ続いている。受ける側は、次の期間の予定も、条件の見直しも、できません。
依頼側にとって、更新は「そのまま続く」ものと考えられていることが多い。受ける側から、一か月前に切り出すことで、依頼側も「更新は条件を見直す節目だ」と認識します。
受ける側にできるのは、更新の一か月前に自分から動くことを、契約時に依頼側に伝えておくことです。「更新の一か月前に、実績と次の条件のご相談をさせてください」。それが契約の一部になっていれば、依頼側も準備します。
まとめ
- 更新の形は自動・都度・見直し付きの自動。契約時に見直し付きの自動更新を入れる
- 更新の一か月前に、受ける側から実績の整理→見直しの案→書面で切り出し→依頼側の意向→合意を書面に
- 見直すのは範囲・報酬・稼働・期間の四つ。「同じ条件で」は意図して選ぶ
- 伝え方は実績から→依頼側にとっての価値→四つの案→選択肢→続けたい意思→期限。「更新してほしい」ではなく「条件を相談したい」
- 更新されないサインが出たら二か月前に聞き・準備し・理由を聞き・丁寧に終える
- 更新の節目は自分から終える判断の機会でもある。一か月前に伝え、引き継ぎを整え、関係を残す
- 契約時に更新の一か月前を予定に入れ、依頼側にも伝えておく
よくある質問
依頼側から更新の話が来ないので、こちらから聞くのが気まずいです
更新の一か月前に、「契約の更新にあたって、実績と次の期間の条件のご相談をさせてください」と、実績の一枚を添えて切り出してください。「更新してもらえますか」ではなく「条件を相談したい」の形なら、気まずさはありません。依頼側も、更新を意識する機会になります。
「同じ条件で更新」と言われました。そのまま受けてよいですか
範囲・報酬・稼働・期間の四つを、実績と照らしてください。範囲が広がっていない、稼働が超過していない、時給が下限を上回っている、期間も合っているなら、同じ条件で構いません。どれかがずれているなら、「同じ条件」ではなく、その項目の見直しを提案します。「同じ条件で」を意図して選ぶのはよいですが、見直さずに流すのは避けます。
更新されませんでした。次の案件を探すのが不安です
更新されない理由を聞き、次に活かしてください。予算や体制の変更なら、受ける側の問題ではありません。引き継ぎを丁寧にして、関係を残せば、また声がかかることがあります。一つの案件に依存しないために、次からは複数の案件を持つか、案件の窓口に登録しておく形を検討してください。