組織開発担当の副業単価の目安と案件の見つけ方|見立て・対話の場・変化の確認を段階で値付けし、社員の声の扱いを先に決める
組織開発の担当として職場の関係づくりや変化の支援をしてきた人は、組織の状態を見立て、対話の場をつくり、変化が起きているかを確かめてきた経験を持っています。部署の間の連携がうまくいかない会社や、急に人が増えて職場の関係がぎくしゃくしている会社にとって、この経験は役に立ちます。ただ、組織開発の仕事は成果が数字で見えにくく、単価の根拠を示しにくいという悩みがあります。結論から書くと、組織開発担当の副業単価は、組織の見立て・対話の場づくり・変化の確認を段階に分けて値付けし、社員の声の扱いを先に決めて受けると、依頼先にも説明しやすくなります。
人事の副業の単価には公的な統計がなく、案件の範囲や依頼先で大きく変わるため、この記事では金額の相場は書きません。自分の単価を組み立てる手順と、案件の見つけ方を書きます。組織開発担当の経験の何が売れるかは組織開発担当が副業でできることで詳しく書いています。
段階に分けて値付けする
組織開発の仕事は、次のような段階に分けると、何に時間がかかるかが見えやすくなります。
| 段階 | やること | 時間が増える条件 |
|---|---|---|
| 見立て | サーベイの結果や聞き取りから、組織の状態と課題を整理する | 部署が多い、材料が少ない |
| 対話の場づくり | 部署の中や部署の間で話し合う場を設計し、進める | 参加者が多い、関係がこじれている |
| 変化の確認 | 一定の期間の後に、変化が起きているかを確かめる | 確かめる方法を新しくつくる |
見立ての段階を独立した成果物として受けると、依頼先は対話の場づくりに進むかどうかを判断でき、受ける側も次の段階の見積もりを正確に出せます。サーベイを設計するところから受ける場合の考え方は組織サーベイの設計の副業単価でも書いています。
段階ごとに単価を組み立て、成果は約束しない
単価は、段階ごとに時間を見積もって組み立てます。時間単価の考え方は本業の年収と副業単価の関係で書いています。
- 見立てを一括で見積もる:聞き取りの人数と時間、材料の読み込み、まとめの時間
- 対話の場づくりを回数で見積もる:一回あたりの設計・進行・振り返りの時間 × 回数
- 変化の確認を見積もる:確かめる方法の準備と、結果のまとめの時間
組織の状態は、事業の状況や人の入れ替わりなど、組織開発の外にあることにも大きく左右されます。副業の立場で「職場の関係がよくなる」といった成果を約束するのは無理があります。約束するのは、見立て・対話の場・変化の確認という作業の範囲とし、何を見て変化を確かめるかを依頼先と一緒に決めておいてください。
エラベルの見解
組織開発の副業でよくある失敗は、見立てを飛ばして、流行りの手法をそのまま持ち込むことです。対話の場をつくっても、組織の課題が評価の仕組みや上司の関わり方にあるなら、話し合うだけでは変わりません。依頼先からは「話し合いはしたが、何も変わらない」と受け止められます。
担当する側から見ると、価値があるのは、見立ての段階で課題の中心を見極め、どの手立てが合うかを依頼先と一緒に選べることです。見立てにこそ経験が生きます。見立てを成果物として切り出し、時間をかけて見積もることが、組織開発の価値を伝える近道です。
社員の声の扱いを先に決める
組織開発の仕事では、サーベイの回答や聞き取りを通じて、社員の本音に触れます。扱い方を誤ると、社員の信頼を失い、組織の状態をかえって悪くします。
個人情報の保護に関する法律第17条は、個人情報を取り扱うに当たって利用目的をできる限り特定しなければならないと定め、第18条は、本人の同意を得ないで、その利用目的の達成に必要な範囲を超えて取り扱ってはならないと定めています。第27条は、一定の場合を除き、あらかじめ本人の同意を得ないで個人データを第三者に提供してはならないと定めています。聞き取りの最初に、何のために聞くのか、誰にどの形で伝えるのかを本人に伝え、報告では誰が言ったかが分からない形にまとめてください。
また、依頼先の会社が行うストレスチェックの結果とは区別して扱う必要があります。労働安全衛生法第66条の10は、事業者に、医師等による心理的な負担の程度を把握するための検査を行うことを求め、その結果の扱いには決まりがあります。組織開発のサーベイとストレスチェックを混ぜて扱わないよう、依頼先と確かめてください。個別の判断は弁護士などの専門家にご確認ください。
案件の見つけ方と、受けるときの条件
組織開発担当の経験を活かせる案件は、次のような場所で見つけやすくなります。
- 急に人が増えた成長中の会社:部署の間の連携や、新しく入った人と古くからいる人の関係に課題がある会社
- 組織の再編や統合をした会社:違う文化の組織を一つにまとめる必要がある会社
- 人事の副業の仲介サービス:組織開発の経験と得意な手法を登録しておく
業務委託で受ける場合は、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス法)第3条が、業務委託事業者に、給付の内容、報酬の額、支払期日などを書面または電磁的方法で直ちに明示することを求めています。段階ごとの作業の範囲と報酬、社員の声の扱いの決まりも、書面で確かめてください。
本業に勤めながら副業をする場合は、厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が示すとおり、まず勤め先の副業・兼業に関するルールを確認し、秘密保持義務や競業避止義務を意識してください。20万円を超える副収入がある場合は、確定申告が必要です。個別の判断は弁護士・税理士にご確認ください。
エラベルの見解
もう一つ見てほしいのは、組織開発の課題は、採用の入口とつながっていることが多いということです。新しく入った人がなじめない、部署によって人の考え方が大きく違う、といった課題の背景には、採用のときに会社や仕事についてどう伝えたかが関わっていることがあります。
見立ての中で、採用のときに伝えている内容と、入社後の実際の違いにも目を向けてください。採用の伝え方の見直しまで提案できる組織開発の担当者は、依頼先にとって代わりがききにくく、単価の根拠も示しやすくなります。
まとめ
- 組織開発担当の副業単価は、見立て・対話の場づくり・変化の確認の段階に分けて値付けする
- 見立てを独立した成果物にすると、次の段階の見積もりが正確になる
- 組織の状態の変化は約束せず、作業の範囲と、変化を確かめる物差しを約束する
- 社員の声は利用目的の範囲で扱い、誰が言ったかが分からない形で報告する
- ストレスチェックの結果とは区別して扱い、採用の入口とのつながりにも目を向ける
よくある質問
組織開発担当の副業単価の相場はいくらですか
案件の範囲や依頼先によって大きく異なり、公的な統計もないため、一律の相場はお伝えできません。見立て・対話の場・変化の確認の段階ごとに時間を見積もり、自分の時間単価を掛けて単価の根拠をつくってください。
成果をどう示せばよいですか
成果を数字で約束するのではなく、最初に決めた物差し(サーベイの設問、参加者の声、部署の間のやりとりの変化など)で、変化を確かめて報告してください。変わったことと変わらなかったことの両方を示すと、次の手立てを依頼先と一緒に考えられます。
聞き取りで経営者に伝えにくい声を聞いたらどうすればよいですか
誰が言ったかが分からない形にまとめ、複数の声として伝えてください。伝える前に、どの範囲まで伝えるかを本人に確かめることも大切です。判断に迷う場合は、専門家にご相談ください。
- e-Gov法令検索「個人情報の保護に関する法律」(第17条・第18条・第27条)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」(第66条の10)
- e-Gov法令検索「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(第3条)
- 厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(令和4年7月改定)
本記事は 2026-10-16 時点の公開情報にもとづいて作成しています。
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