人材紹介のキャリアアドバイザーの副業単価の目安と案件の見つけ方|候補者と向き合ってきた経験を企業側の採用の作業に置き換え、紹介にあたる仕事とは線を引く
人材紹介会社でキャリアアドバイザーとして求職者と向き合ってきた人は、面談で経歴と希望を聞き出し、転職の意向の強さを見極め、内定から入社までの気持ちの揺れに付き合ってきた経験を持っています。この経験は、候補者の気持ちが分からずに辞退が続いている会社や、面談の進め方に慣れていない会社にとって役に立ちます。ただし、人材紹介の仕事をしてきた人が副業をするときは、自分が「紹介」をしていないかに注意が要ります。結論から書くと、キャリアアドバイザーの副業単価は、候補者と向き合ってきた経験を、企業側の採用の作業に置き換えて値付けし、有料職業紹介の許可が要る仕事とは線を引いて受けることが前提になります。
人事の副業の単価には公的な統計がなく、案件の範囲や依頼先で大きく変わるため、この記事では金額の相場は書きません。自分の単価を組み立てる手順と、案件の見つけ方を書きます。キャリアアドバイザーの経験の何が売れるかは人材紹介のキャリアアドバイザーが副業でできることで詳しく書いています。
紹介にあたる仕事との線引き
まず、線引きを確かめておきます。職業安定法第4条は、職業紹介を、求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあっせんすることと定めています。同法第30条は、有料の職業紹介事業を行おうとする者は、厚生労働大臣の許可を受けなければならないと定めています。
副業で、知り合いの求職者を報酬を受けて会社に引き合わせるような形は、職業紹介にあたるおそれがあります。副業として受けるのは、依頼先の会社の採用の作業(候補者との面談の進め方の設計、辞退を防ぐ連絡の仕組みなど)に絞り、求職者を探して引き合わせる仕事は受けないでください。どこまでが受けられる範囲かは事案によって判断が分かれるため、判断に迷う場合は労働局や弁護士に確かめてください。
企業側の作業に置き換えて値付けする
キャリアアドバイザーの経験は、企業側の採用の作業に置き換えると、値付けしやすくなります。
| キャリアアドバイザーとしての経験 | 企業側の採用で切り出せる作業 | 時間が増える条件 |
|---|---|---|
| 面談で経歴と希望を聞き出してきた | カジュアル面談の進め方の設計と、面談の代行 | 面談の数が多い |
| 転職の意向の強さを見極めてきた | 選考の途中で候補者の意向を確かめる手順 | 選考の段階が多い |
| 内定から入社までの揺れに付き合ってきた | 内定の後の連絡と面談で、辞退を防ぐ仕組み | 内定者が多い |
| 求人票を候補者の目線で読んできた | 候補者に伝わる求人票への書き直し | 職種が多い |
作業ごとに時間を見積もり、自分の時間単価を掛けます。時間単価の考え方は本業の年収と副業単価の関係で書いています。面談の代行のように量で時間が変わる作業は、月の件数の目安を決め、目安を超えたときの扱いも決めておいてください。
エラベルの見解
キャリアアドバイザーの副業でよくある失敗は、候補者に「良いことだけ」を伝える癖を、企業側の仕事に持ち込むことです。紹介の仕事では、候補者の背中を押すことが成果につながります。けれども企業側の採用では、入社後のずれを防ぐために、仕事の厳しい面も含めて伝えることが求められます。
担当する側から見ると、価値があるのは、候補者の本音を聞き出す力を、企業と候補者の両方にとって納得のいく判断に使えることです。候補者の不安を聞き取り、依頼先に伝えて、伝え方や条件を見直す。この橋渡しを成果物として示せる人は、依頼先から頼られます。
本業との競業と、求職者の情報の扱い
人材紹介会社に勤めながら副業をする場合は、本業との関係にとくに注意が要ります。厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」は、労働者は副業・兼業を希望する場合にも、まず自身が勤めている企業の副業・兼業に関するルールを確認する必要があるとし、職務専念義務、秘密保持義務、競業避止義務を意識することが必要であるとしています。本業の紹介会社の取引先の採用を手伝うことは、競業にあたるおそれがあります。
求職者の情報の扱いも、厳しく線を引いてください。職業安定法第5条の5は、職業紹介事業者や求人者、募集受託者などに、業務の目的の達成に必要な範囲内で、目的を明らかにして求職者等の個人情報を集め、その目的の範囲内で保管・使用することを求めています。本業で知った求職者の情報を、副業で使うことはしないでください。個別の判断は弁護士にご確認ください。
案件の見つけ方と、受けるときの条件
キャリアアドバイザーの経験を活かせる案件は、次のような場所で見つけやすくなります。
- 内定の辞退が多い会社:候補者の気持ちが分からず、内定を出しても辞退される会社
- カジュアル面談を始めたい会社:面談の進め方に慣れていない会社
- 人事の副業の仲介サービス:面談や辞退を防ぐ仕組みづくりの経験を登録しておく
業務委託で受ける場合は、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス法)第3条が、業務委託事業者に、給付の内容、報酬の額、支払期日などを書面または電磁的方法で直ちに明示することを求めています。受ける作業の範囲に、求職者を探して引き合わせる仕事が含まれていないことも、契約のときに確かめてください。20万円を超える副収入がある場合は、確定申告が必要です。個別の判断は弁護士・税理士にご確認ください。
エラベルの見解
もう一つ見てほしいのは、キャリアアドバイザーの経験は、内定の辞退を減らす仕組みで成果を示しやすいということです。内定の後、候補者は複数の会社を比べて迷います。この時期の連絡が途切れたり、不安に答えられなかったりすると、辞退につながります。
内定から入社までに、誰がいつ候補者と話し、何を確かめるかを手順にまとめて渡してください。辞退の数が減れば、その数字が成果になります。候補者の揺れを知っている人ならではの成果物です。
まとめ
- キャリアアドバイザーの副業単価は、候補者と向き合ってきた経験を企業側の採用の作業に置き換えて値付けする
- 求職者を探して引き合わせる仕事は、有料職業紹介の許可が要るおそれがあるため受けない
- 面談の代行など量で変わる作業は、月の件数の目安と超えたときの扱いを決める
- 本業の取引先の採用を手伝うことは避け、本業で知った求職者の情報は使わない
- 内定の辞退を減らす仕組みで、成果を数字で示す
よくある質問
キャリアアドバイザーの副業単価の相場はいくらですか
案件の範囲や依頼先によって大きく異なり、公的な統計もないため、一律の相場はお伝えできません。作業ごとに時間を見積もり、自分の時間単価を掛けて単価の根拠をつくってください。
知り合いの転職希望者を会社に紹介してもよいですか
報酬を受けて求職者を会社に引き合わせる形は、職業紹介にあたるおそれがあり、有料職業紹介の許可が要ることがあります。判断に迷う場合は、労働局や弁護士に確かめてください。
本業の紹介会社に副業を届け出る必要はありますか
本業の会社の就業規則や労働契約によります。人材紹介の仕事と近い副業は、競業や秘密保持の点で問題になりやすいため、本業のルールを確かめ、届け出や許可の手続きがあれば従ってください。
- e-Gov法令検索「職業安定法」(第4条・第5条の5・第30条)
- e-Gov法令検索「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(第3条)
- 厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(令和4年7月改定)
本記事は 2026-10-16 時点の公開情報にもとづいて作成しています。
この記事のタグ
関連記事
- 人材紹介のキャリアアドバイザーが副業でできること|経験の棚卸しと売り方|CAの経験は「候補者と向き合い、転職の理由を聞き、企業と合わせ、辞退の本音を知っている」型で売れる。候補者との面談の設計と実施、辞退の理由の聞き取り、候補者の目線での求人票と面接の改善、内定から入社までの繋ぎの四つ。「候補者の側にいました」ではなく、「候補者が何で決め、何で離れるかを、企業側で使う」と売る 人材紹介のキャリアアドバイザー(CA)の経験で人事の副業を始める人向けに、売れる経験の棚卸し(面談の技法・転職の理由の型・辞退の本音・企業と候補者の合わせ方・内定の繋ぎ)、売りにくい点(候補者の味方の立場・RAとの分業の穴・候補者の情報の線)とその扱い、入りやすい案件の探し方、単価の考え方、順番を整理しました。 人事副業人材紹介のキャリアアドバイザー
- 人材紹介のリクルーティングアドバイザーの副業単価の目安と案件の見つけ方|企業の要件を引き出す力を採用設計の成果物にし、紹介にあたる仕事とは線を引く 人材紹介会社でリクルーティングアドバイザーとして企業の採用を支えてきた人が副業を始めるとき、単価をどう決め、案件をどう見つけるか。求人の要件を引き出し、条件を調整してきた経験を採用設計の成果物にする方法、単価の組み立て方、案件の見つけ方、有料職業紹介の許可が要る仕事との線引き、紹介手数料の仕組みの説明、本業との競業の注意点を整理しました。 人事副業人材紹介のリクルーティングアドバイザー
- ヘッドハンターの副業単価の目安と案件の見つけ方|幹部の要件定義と探し方の設計を成果物にし、紹介にあたる仕事とは線を引く ヘッドハンターとして経営幹部や専門職を探してきた人が副業を始めるとき、単価をどう決め、案件をどう見つけるか。幹部の要件を経営者から引き出し、探し方を設計してきた経験を成果物にする方法、単価の組み立て方、案件の見つけ方、有料職業紹介の許可が要る仕事との線引き、候補者の情報と前職の秘密の扱い、本業との競業の注意点を整理しました。 人事副業ヘッドハンター
- 人材紹介のリクルーティングアドバイザーが副業でできること|経験の棚卸しと売り方|RAの経験は「企業の要件を聞き、求人を作り、決まらない理由を企業側に返す」型で売れる。要件の言語化と求人の設計、決まらない理由の切り分け、面接と条件の設計への助言、複数の企業を見た型の四つ。「紹介会社にいました」ではなく、「企業側の担当者として、決まらない理由を直す」と売る 人材紹介のリクルーティングアドバイザー(RA)の経験で人事の副業を始める人向けに、売れる経験の棚卸し(要件の言語化・求人の設計・決まらない理由の切り分け・面接と条件への助言・多数の企業の型)、売りにくい点(紹介と担当者の立場・CAとの分業の穴・候補者の情報の線)とその扱い、入りやすい案件の探し方、単価の考え方、順番を整理しました。 人事副業人材紹介のリクルーティングアドバイザー
「経歴別の人事副業」の他の記事
- 人材派遣のコーディネーターが副業でできること|経験の棚卸しと売り方|派遣のコーディネーターの経験は「要件の聞き取りと、人と仕事の合わせ方と、就業後の面談」で売れる。依頼側の要件の言語化、候補者と業務の適性の合わせ方、入社後の定着の面談、多数の候補者の同時進行の四つ。派遣の形は持ち込まず、「要件を聞き、合わせ、定着させる型」を直接採用に転用して売る人材派遣のコーディネーター
- 人材派遣のコーディネーターの副業単価の目安と案件の見つけ方|短い期間で人と仕事を合わせてきた経験を採用の作業にし、派遣にあたる仕事とは線を引く人材派遣のコーディネーター
- 人事コンサルタントが副業でできること|経験の棚卸しと売り方|人事コンサルタントの経験は「採用の課題を構造化し、打ち手を設計する」工程で売れる。ただし副業の依頼側が求めるのは提案書ではなく「手が動くところまで」。設計と実行を分けず、「設計し、最初の一巡を一緒に回す」形で売る。コンサルの型をそのまま持ち込むと、費用と工数で合わない人事コンサルタント
- 人事コンサルタントの副業単価の目安と案件の見つけ方|大きな案件の型を小さい会社の規模に直し、成果物の範囲を細かく区切って値付けする人事コンサルタント
- 人事企画が副業でできること|経験の棚卸しと売り方|人事企画の経験は「人事の課題を数字と構造で捉え、制度と計画に落とし、経営に通してきた」型で売れる。売れるのは、採用の数字の見える化、採用計画と人員計画の設計、採用の条件の枠組みづくり、経営への報告の型の四つ。「企画をしていました」ではなく、「採用を、経営が判断できる数字と計画の形にする」と売る人事企画
- 人事企画の副業単価の目安と案件の見つけ方|評価・報酬・等級の設計を段階に分けて値付けし、規程の作成とは線を引く人事企画