スタートアップの人事の副業単価の目安と案件の見つけ方|「最初の一つをつくる」作業で値付けし、資格の要る業務と分けて受ける

経歴別の人事副業スタートアップの人事 更新日 2026-10-16

スタートアップで人事をしてきた人は、何もない状態から、最初の採用、最初の雇用の書面、最初の評価の仕組みをつくってきた経験を持っています。人事がまだいない創業期の会社にとって、この経験は何よりも頼りになります。一方で、何でも一人でやってきた人ほど、副業で何を売ればよいのか、いくらにすればよいのかに迷います。結論から書くと、スタートアップの人事の副業単価は、「人事がいない会社で最初の一つをつくる」作業を成果物ごとに値付けし、社会保険労務士の資格が要る業務とは分けて受けると、無理のない金額になります。

人事の副業の単価には公的な統計がなく、案件の範囲や依頼先の段階で大きく変わるため、この記事では金額の相場は書きません。自分の単価を組み立てる手順と、案件の見つけ方を書きます。スタートアップの人事の経験の何が売れるかはスタートアップの人事が副業でできることで詳しく書いています。

値付けにつながる作業

スタートアップの人事の経験は、人事がいない会社の「最初の一つ」をつくる作業に置き換えると、値付けしやすくなります。

スタートアップでの経験副業で切り出せる作業時間が増える条件
何もない状態で、最初に何をやるかを決めてきた人事がいない会社で、最初にそろえる仕組みの優先順位を決める創業者の考えが定まっていない
創業者と直接やりとりしてきた創業者の「欲しい人」を言葉にし、求人と面接の基準にする創業者が複数いて意見が違う
媒体も予算もない中で、紹介や自分で探して採ってきた予算が少ない会社の人の集め方の設計(紹介・スカウト・知人のつながり)採る職種が多い
採用と労務と制度を一人で持ってきた一人目の人事を採るまでの、作業の手順と分担の整理社内に引き継ぐ人がいない

依頼先は、人事の専門家がいない創業期の会社が多く、「何から始めればよいか」を教えてほしいと考えています。成果物は、最初の三か月で使える手順や書式にまとめると喜ばれます。

成果物ごとに単価を組み立てる

スタートアップの依頼先は、資金に限りがあり、何に払うかをはっきりさせたいと考えています。単価は、成果物ごとに時間を見積もって組み立てると説明しやすくなります。

  1. 成果物を決める:求める人の像と面接の基準、求人の文面、紹介の仕組み、最初の三か月の採用の手順など
  2. 成果物ごとに時間を見積もる:創業者からの聞き取り、たたき台づくり、修正、引き継ぎに分けて時間を出す
  3. 自分の時間単価を掛ける:時間 × 時間単価 で成果物ごとの単価を出す
  4. 段階的に提示する:最初は一つか二つの成果物から受け、次の成果物は結果を見て相談する

時間単価の考え方は本業の年収と副業単価の関係で書いています。スタートアップの依頼先は、方針が速く変わることがあります。成果物を小さく分けて受けておくと、方針が変わったときも、受けた範囲の分だけ報酬を受け取り、次の作業を見直せます。

エラベルの見解

スタートアップの人事の副業でよくある失敗は、「何でもやります」と受けて、範囲のない仕事を抱えることです。スタートアップで何でも一人でやってきた人ほど、依頼先の困りごとに次々と応えてしまいます。範囲が決まっていないと、どこまでやれば報酬に見合うのかが分からなくなり、時間単価が下がります。

担当する側から見ると、創業期の会社に価値を出せるのは、「今やるべきこと」と「まだやらなくてよいこと」を分けて示せることです。たとえば、評価制度より先に、求める人の像と面接の基準をそろえる、というように優先順位を示し、その一つを成果物として受けてください。範囲を区切ることは、依頼先の限られた資金を守ることにもつながります。

資格の要る業務と分けて受ける

スタートアップの依頼先からは、採用だけでなく、雇用の手続きや社内の決まりづくりも頼まれることがあります。ここで気をつけたいのが、社会保険労務士の資格が要る業務です。社会保険労務士法第27条は、社会保険労務士または社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、同法第2条第1項第1号から第2号までに掲げる事務を業として行ってはならないと定めています。第2条第1項第1号は労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成、第2号は労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成などです。

社会保険や雇用保険の届出の書類を作成する、労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類を作成する、といった作業は、資格がなければ報酬を得て受けることができません。就業規則の作成などがこれにあたるかを含め、受けてよい範囲は社会保険労務士に確かめてください。副業の担当者としては、採用の仕組みづくりや、社内の誰が何をするかの整理を受け、手続きや書類の作成は社会保険労務士に頼むよう依頼先に案内する形が無理がありません。

案件の見つけ方と、受けるときの条件

スタートアップの人事の経験を活かせる案件は、次のような場所で見つけやすくなります。

業務委託で受ける場合は、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス法)第3条が、業務委託事業者に、給付の内容、報酬の額、支払期日などを書面または電磁的方法で直ちに明示することを求めています。同法第4条は、従業員を使用する特定業務委託事業者の報酬の支払期日を、給付を受領した日から起算して六十日の期間内で定めなければならないとしています。創業期の会社は契約の手続きに慣れていないこともあるため、成果物と報酬、支払日を書面などで確かめてから始めてください。

本業に勤めながら副業をする場合は、厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が示すとおり、まず勤め先の副業・兼業に関するルールを確認し、秘密保持義務や競業避止義務を意識してください。20万円を超える副収入がある場合は、確定申告が必要です。個別の判断は弁護士・税理士にご確認ください。

エラベルの見解

もう一つ見てほしいのは、創業期の会社の案件は、一人目の人事を採るところまで見届けると、次につながりやすいということです。副業の担当者がいつまでも人事の役を担い続けるより、社内に一人目の人事を迎え、その人に引き継ぐところまでを目標にしたほうが、依頼先の成長に合っています。

一人目の人事の採用を手伝い、つくった手順や書式を引き継げば、依頼先からは「会社の人事の土台をつくってくれた人」として評価されます。その評価は、創業者のつながりを通じて、次の創業期の会社の案件につながります。引き継ぎまでを成果物に入れて見積もってください。

まとめ

よくある質問

スタートアップの人事の副業単価の相場はいくらですか

案件の範囲や依頼先の段階によって大きく異なり、公的な統計もないため、一律の相場はお伝えできません。成果物ごとに時間を見積もり、自分の時間単価を掛けて単価の根拠をつくってください。

就業規則づくりを頼まれたらどうすればよいですか

就業規則の作成などが社会保険労務士の業務にあたるかを含め、受けてよい範囲を社会保険労務士に確かめてください。副業の担当者としては、社内の働き方の実態の整理や、決めるべき論点の洗い出しを手伝い、作成は社会保険労務士に頼むよう案内する形が考えられます。

ストックオプションで報酬を受け取ってもよいですか

報酬の形は依頼先との契約で決まりますが、現金以外で受け取る場合は、税金の扱いや、受け取れる条件が複雑になります。契約の前に、税理士や弁護士に相談してください。

出典

本記事は 2026-10-16 時点の公開情報にもとづいて作成しています。

この記事のタグ

関連記事

「経歴別の人事副業」の他の記事

「経歴別の人事副業」の記事一覧を見る →