採用代行 / 採用の課題

大学との関係をどう作るか|「求人票を送る」だけをやめて、窓口・研究室・学生・卒業生の四つの接点を、年単位で育てる

公開 2026-09-13

新卒を採りたい。大学に求人票を送ったが、反応が無い。大学のキャリアの窓口に電話したが、「求人票をお送りください」で終わった。知名度の無い会社の求人票は、大学に届いても、学生の目に入らない。「大学との関係」が要ると聞くが、何をどうすればよいか分からない。結論を先に書くと、大学との関係は、「求人票を送る」では作れません。大学の中には、キャリアの窓口、研究室と教員、学生、卒業生の四つの接点があり、それぞれに関係の作り方があります。四つを、一年目は一つの大学の一つの接点から始め、年単位で育てます。数か月で結果を求めると、続きません。インターンの設計はインターンをどう設計するかに、新卒の定着は新卒が定着しないにまとめています。大学との連携の仕組みや、採用活動の時期に関する扱いは、各大学の案内と公的機関の案内で確認します。

大学との関係ができない構造

大学との関係ができないのは、次の構造で起きます。

構造起きていること
「求人票を送る」だけ大学に求人票を送り、待つ。大学には多数の求人票が届き、知名度の無い会社の求人票は埋もれる
窓口との関係が「事務」窓口に「求人票を出します」と連絡するだけ。窓口の人が、自社を知らない
接点が一つしか無い窓口だけ。研究室、学生、卒業生の接点を使っていない
一度に多くの大学に薄く数十の大学に求人票を送り、どことも関係ができない
数か月で結果を求める「今年、この大学から採りたい」で、関係が無いまま焦る
自社に、その大学の卒業生がいることを知らない社内に卒業生がいて、接点になれるのに、使っていない
大学に「何を提供できるか」が無い「学生を紹介してほしい」だけで、大学や学生にとっての価値が無い
担当が決まっていない「人事が手が空いたら」で、続かない

構造の大半は、「求人票を送って待つ」ことです。関係は、接点を作り、年単位で育てるものです。

大学の中の四つの接点

大学には、四つの接点があります。

接点誰か何ができるか関係の作り方
一、キャリアの窓口学生の就職を支援する部署の職員求人票の掲示、学生への紹介、学内のイベントへの参加、相談会社と役割を直接説明する。学生にとっての価値を伝える。定期的に顔を出す
二、研究室と教員自社の事業に関わる分野の研究室と教員研究室の学生への紹介、共同の取り組み、教員からの推薦事業と研究の接点を見つけ、教員に会う。学生に「仕事の実態」を話す機会を作る
三、学生在学中の学生、学生団体、サークルインターン、説明会、勉強会、学生からの声学生にとって価値のある場(仕事の実態、業界の話)を提供する
四、卒業生自社にいる、その大学の卒業生窓口や研究室への橋渡し、学生への話、大学の中での信用社内の卒業生を把握し、大学との接点の担当にする

四つの接点は、それぞれ独立して作れます。窓口との関係が無くても、卒業生から研究室につながることがあります。学生との接点(インターン)から、窓口が自社を知ることもあります。

最初は、四つのうち、最も作りやすい一つから始めます。社内に卒業生がいれば、四から。事業に関わる研究室があれば、二から。無ければ、一から。

最初の一年でやること

大学との関係は、年単位です。最初の一年でやることです。

時期やること
最初の三か月対象の大学を一つか二つに絞る(自社の事業と役割に合う学部や学科がある、社内に卒業生がいる、地域が近い)。社内の卒業生を把握する。自社が大学と学生に「何を提供できるか」を決める
次の三か月最も作りやすい接点から、最初の関係を作る。窓口なら直接会いに行く。研究室なら教員に会う。卒業生なら橋渡しを頼む
次の三か月学生との最初の接点を持つ。小さなインターン、仕事の実態を話す会、研究室での話。学生の声を聞く
最後の三か月一年の振り返り。どの接点が動いたか、学生の反応はどうか、次の年に何を続けるか

最初の一年の要点は、「一つか二つの大学に絞る」ことと「採用の結果を求めない」ことです。一年目は、関係を作る年です。採用は、二年目、三年目から。

一年目に「採れなかった」で止めると、関係は消えます。

窓口との関係の作り方

キャリアの窓口との関係は、「事務」から「顔の見える関係」に変えます。

直接、会いに行く。 求人票を送るだけでなく、窓口の職員に会い、会社と役割を説明する。「この役割で、こういう学生に来てほしい」「入社後はこう育てる」。

学生にとっての価値を、伝える。 「学生を紹介してほしい」ではなく、「学生に、この業界と仕事の実態を伝えられる」「小さなインターンで、仕事を体験してもらえる」。窓口は、学生にとって価値のある会社を紹介したい。

窓口が求める情報を、渡す。 求人票、会社の説明、役割の記述、育成の型、卒業生の在籍(同意のうえで)。窓口が学生に説明できる材料。

学内のイベントに、参加する。 窓口が開く企業説明の場、業界の研究の場。仕組みは各大学の案内で確認。

定期的に、顔を出す。 年に数回、窓口に連絡し、近況を伝える。求人票を出すときだけ連絡する会社は、覚えられない。

入社した学生の、その後を伝える。 「〇〇さんが、入社してこう活躍している」。本人の同意のうえで。窓口にとって、「紹介してよかった」の材料。

窓口の担当者が替わったら、関係を作り直す。 大学の職員は異動する。前任者との関係は、引き継がれていないことが多い。

窓口との関係の要点は、「学生にとっての価値を、顔の見える形で伝える」ことです。

エラベルの見解

相談で最も多い失敗は、「数十の大学に求人票を送り、一年待ったが、どこからも学生が来なかった」というものです。求人票を送っただけで、接点も、価値の提示も、卒業生の活用も無かった。対象を、社内に卒業生がいる一つの大学に絞り、卒業生に橋渡しを頼んで窓口に会い、「仕事の実態を話す会」を小さく開き、二年目に研究室の教員につながり、三年目に最初の新卒が入りました。数十の大学に薄くより、一つの大学に三年でした。

見ていて差がつくのは、担当者が「年単位」で設計するかどうかです。「大学に求人票を送りましょう」と言う担当者と、「大学との関係は年単位です。一つか二つに絞り、社内の卒業生から接点を作り、一年目は関係、二年目から採用を目指しましょう」と、時間の軸で設計する担当者がいます。後者は、続きます。

発注側にできるのは、大学との関係を「今年の採用の手段」ではなく「数年の投資」として位置づけることです。

研究室や教員との関係

事業に関わる分野の研究室や教員との関係です。

自社の事業と、研究の接点を見つける。 「自社の事業が、この分野の研究と関わる」。関わりが無い研究室に行っても、関係はできません。

教員に、会う。 学会、公開の講演、卒業生の紹介、窓口からの紹介。「自社の事業と、先生の研究の接点で、学生に仕事の実態を話す機会をいただけないか」。

学生に「仕事の実態」を話す機会を作る。 研究室のゼミや勉強会で、社員が「この分野の研究が、実務でどう使われているか」を話す。学生にとって、研究と仕事のつながりが見える。

共同の取り組みを、検討する。 研究室との共同の課題、データの提供、インターンの受け入れ。仕組みと契約は、大学の案内と専門家で確認。

教員からの推薦を、押しつけない。 「学生を推薦してほしい」は、関係ができてから。最初は、学生に価値を提供することから。

卒業生が研究室の出身なら、橋渡しに。 社内の卒業生が、その研究室の出身なら、最も強い接点。

研究室との関係は、教員が異動すれば変わる。 一つの研究室に頼らず、複数の接点を持つ。

研究室との関係の要点は、「事業と研究の接点」と「学生への価値の提供」です。接点が無い、価値が無い関係は、できません。

学生との接点

学生との直接の接点です。学生にとって価値のある場を提供します。

接点中身注意
小さなインターン一日〜数日。仕事の体験と社員との対話。インターンをどう設計するか選考との関係と学生の扱いは、公的機関の案内と専門家で確認
仕事の実態を話す会業界と仕事の実態を、社員が話す。学内か、オンラインか、自社で会社の説明ではなく、仕事と業界の話
学生団体やサークルとの接点事業に関わる活動をしている学生団体。勉強会への協力、場の提供採用の場にしない。関係を作る場
卒業生と学生の対話社内の卒業生が、後輩の学生と話す。「この大学から入社して、どうか」卒業生の同意と、時間の調整
学生からの声を聞く「会社をどう見ているか」「何を知りたいか」。採用の改善の材料聞いた声を、実際に反映する
学生の相談に応じる就職の相談、業界の相談。採用に関係なく応じる「相談に乗ってくれた会社」が、信用になる

学生との接点の要点は、「採用の場にしない」ことです。「来てほしい」を前に出すと、学生は身構えます。「仕事と業界の実態を伝える」「相談に応じる」が前で、採用は結果としてついてきます。

学生との接点の時期や形には、公的機関の案内があります。確認して従います。

卒業生の活かし方

社内にいる、その大学の卒業生は、最も強い接点です。

社内の卒業生を、把握する。 どの大学、どの学部、どの研究室の出身か。本人の同意のうえで、大学との接点の担当を頼めるか。

橋渡しを頼む。 窓口、研究室、学生団体への最初の連絡を、卒業生から。「卒業生の〇〇です。自社がこういう会を開くので」。知らない会社からの連絡より、届きます。

学生と話してもらう。 「この大学から入社して、どうか」を、卒業生が後輩に話す。学生にとって、最も信用できる話。

大学のイベントに、卒業生が出る。 窓口が開く企業説明の場に、卒業生が社員として出る。

卒業生の負担を、調整する。 大学との接点は、本業の上に乗る。時間の分、業務を調整する。責任者が認める。

卒業生が一人だけなら、その人に頼りすぎない。 異動や退職で接点が消える。複数の接点を並行して作る。

卒業生がいない大学は、他の接点から。 卒業生がいないなら、窓口か研究室か学生から。時間はかかる。

卒業生の要点は、「最も強い接点だが、負担を調整し、頼りすぎない」ことです。

外注する場合の範囲

大学との関係を、採用代行に出す場合の範囲です。

出せる工程。 対象の大学の絞り込み(事業と役割との対応、社内の卒業生、地域)、社内の卒業生の把握(同意のうえで)、自社が提供できる価値の整理、四つの接点の中で最初に作る接点の選定、窓口に渡す材料の作成(会社の説明、役割の記述、育成の型)、窓口への連絡と訪問の設定と同席、研究室と教員の候補の整理と接点の設計、学生との接点の設計と運営(小さなインターン、仕事の実態を話す会)、卒業生への依頼の整理と負担の調整の提案、学生の声の記録、年間の計画の一枚と振り返り、公的機関の案内の確認。

社内に残す判断。 対象の大学の決定、大学との関係に投資する判断(年単位)、卒業生への依頼と負担の調整、教員や窓口との関係の主体(社員が顔を出す)、学生に提供する価値の内容、公開する内容の承認。

外注の効きどころ。 大学との関係は、「求人票を送って待つ」で止まり、「年単位で接点を育てる」に手が回らない領域です。担当者が対象を絞り、接点を設計し、材料を作り、訪問や会の運営を回せば、社内は「顔を出す」「卒業生が話す」に集中できます。担当者は複数の会社の大学との関係を見ているので、「この規模の会社は、この接点から」の型を持ち込めます。ただし、関係の主体は社内の人(社員、卒業生、経営者)で、担当者は代わりにはなれません。

外注しても動かない場合。 対象を数十の大学から絞らない、年単位の投資を認めない、社員が顔を出さない、卒業生の負担を調整しない。社内の判断で、代行を替えても直りません。

大学との関係は、接点を年単位で育てれば、できます。外注は、接点の設計と運営を持ち込む手段です。

エラベルの見解

担当する側から見ると、大学との関係の相談で最も多いのは、「大学や学生に、何を提供できるかが無い」ことです。「学生を紹介してほしい」だけで、大学の窓口にも研究室にも学生にも、来てもらう価値が無い。窓口は、学生にとって価値のある会社を紹介したいので、価値の無い会社は紹介されません。

「業界と仕事の実態を、学生に伝えられる」「小さなインターンで体験してもらえる」「就職の相談に応じられる」。提供できる価値を先に決めれば、窓口も研究室も学生も、応じます。

発注側にできるのは、「学生を紹介してほしい」の前に、「自社が大学と学生に提供できる価値は何か」を一つ決めることです。

まとめ

よくある質問

求人票を送っても、大学から反応がありません

大学には多数の求人票が届き、知名度の無い会社の求人票は埋もれます。求人票を送るだけでなく、窓口に直接会い、「学生にとっての価値」(業界と仕事の実態を伝えられる、小さなインターンで体験してもらえる)を伝え、材料(会社の説明、役割の記述、育成の型)を渡します。社内にその大学の卒業生がいれば、橋渡しを頼みます。一つか二つの大学に絞り、年単位で関係を育てます。数十の大学に求人票を送って待つ形では、どことも関係はできません。

今年中に、大学から新卒を採りたいです

関係が無い状態からの一年目は、関係を作る年で、採用の結果は二年目、三年目からです。今年の採用は、大学との関係以外の経路(新卒の媒体、紹介、インターンの募集の仕組みなど。仕組みは各サービスの公式の案内で)で進め、並行して、来年以降のために一つか二つの大学との接点を作り始めます。「今年の採用の手段」として大学との関係を見ると、関係ができる前に「採れなかった」で止めることになります。

社内に、対象の大学の卒業生がいません

卒業生がいない大学は、窓口か研究室か学生からの接点になり、時間がかかります。事業と研究の接点がある研究室があれば、教員に会うことから。無ければ、窓口に直接会い、学生にとっての価値を伝えることから。または、対象の大学を「社内に卒業生がいる大学」に変える選択肢もあります。卒業生がいる大学は、最初の接点が作りやすく、一年目の動きが早くなります。