採用代行 / 採用の課題
大学との関係をどう作るか|「求人票を送る」だけをやめて、窓口・研究室・学生・卒業生の四つの接点を、年単位で育てる
新卒を採りたい。大学に求人票を送ったが、反応が無い。大学のキャリアの窓口に電話したが、「求人票をお送りください」で終わった。知名度の無い会社の求人票は、大学に届いても、学生の目に入らない。「大学との関係」が要ると聞くが、何をどうすればよいか分からない。結論を先に書くと、大学との関係は、「求人票を送る」では作れません。大学の中には、キャリアの窓口、研究室と教員、学生、卒業生の四つの接点があり、それぞれに関係の作り方があります。四つを、一年目は一つの大学の一つの接点から始め、年単位で育てます。数か月で結果を求めると、続きません。インターンの設計はインターンをどう設計するかに、新卒の定着は新卒が定着しないにまとめています。大学との連携の仕組みや、採用活動の時期に関する扱いは、各大学の案内と公的機関の案内で確認します。
大学との関係ができない構造
大学との関係ができないのは、次の構造で起きます。
| 構造 | 起きていること |
|---|---|
| 「求人票を送る」だけ | 大学に求人票を送り、待つ。大学には多数の求人票が届き、知名度の無い会社の求人票は埋もれる |
| 窓口との関係が「事務」 | 窓口に「求人票を出します」と連絡するだけ。窓口の人が、自社を知らない |
| 接点が一つしか無い | 窓口だけ。研究室、学生、卒業生の接点を使っていない |
| 一度に多くの大学に薄く | 数十の大学に求人票を送り、どことも関係ができない |
| 数か月で結果を求める | 「今年、この大学から採りたい」で、関係が無いまま焦る |
| 自社に、その大学の卒業生がいることを知らない | 社内に卒業生がいて、接点になれるのに、使っていない |
| 大学に「何を提供できるか」が無い | 「学生を紹介してほしい」だけで、大学や学生にとっての価値が無い |
| 担当が決まっていない | 「人事が手が空いたら」で、続かない |
構造の大半は、「求人票を送って待つ」ことです。関係は、接点を作り、年単位で育てるものです。
大学の中の四つの接点
大学には、四つの接点があります。
| 接点 | 誰か | 何ができるか | 関係の作り方 |
|---|---|---|---|
| 一、キャリアの窓口 | 学生の就職を支援する部署の職員 | 求人票の掲示、学生への紹介、学内のイベントへの参加、相談 | 会社と役割を直接説明する。学生にとっての価値を伝える。定期的に顔を出す |
| 二、研究室と教員 | 自社の事業に関わる分野の研究室と教員 | 研究室の学生への紹介、共同の取り組み、教員からの推薦 | 事業と研究の接点を見つけ、教員に会う。学生に「仕事の実態」を話す機会を作る |
| 三、学生 | 在学中の学生、学生団体、サークル | インターン、説明会、勉強会、学生からの声 | 学生にとって価値のある場(仕事の実態、業界の話)を提供する |
| 四、卒業生 | 自社にいる、その大学の卒業生 | 窓口や研究室への橋渡し、学生への話、大学の中での信用 | 社内の卒業生を把握し、大学との接点の担当にする |
四つの接点は、それぞれ独立して作れます。窓口との関係が無くても、卒業生から研究室につながることがあります。学生との接点(インターン)から、窓口が自社を知ることもあります。
最初は、四つのうち、最も作りやすい一つから始めます。社内に卒業生がいれば、四から。事業に関わる研究室があれば、二から。無ければ、一から。
最初の一年でやること
大学との関係は、年単位です。最初の一年でやることです。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 最初の三か月 | 対象の大学を一つか二つに絞る(自社の事業と役割に合う学部や学科がある、社内に卒業生がいる、地域が近い)。社内の卒業生を把握する。自社が大学と学生に「何を提供できるか」を決める |
| 次の三か月 | 最も作りやすい接点から、最初の関係を作る。窓口なら直接会いに行く。研究室なら教員に会う。卒業生なら橋渡しを頼む |
| 次の三か月 | 学生との最初の接点を持つ。小さなインターン、仕事の実態を話す会、研究室での話。学生の声を聞く |
| 最後の三か月 | 一年の振り返り。どの接点が動いたか、学生の反応はどうか、次の年に何を続けるか |
最初の一年の要点は、「一つか二つの大学に絞る」ことと「採用の結果を求めない」ことです。一年目は、関係を作る年です。採用は、二年目、三年目から。
一年目に「採れなかった」で止めると、関係は消えます。
窓口との関係の作り方
キャリアの窓口との関係は、「事務」から「顔の見える関係」に変えます。
直接、会いに行く。 求人票を送るだけでなく、窓口の職員に会い、会社と役割を説明する。「この役割で、こういう学生に来てほしい」「入社後はこう育てる」。
学生にとっての価値を、伝える。 「学生を紹介してほしい」ではなく、「学生に、この業界と仕事の実態を伝えられる」「小さなインターンで、仕事を体験してもらえる」。窓口は、学生にとって価値のある会社を紹介したい。
窓口が求める情報を、渡す。 求人票、会社の説明、役割の記述、育成の型、卒業生の在籍(同意のうえで)。窓口が学生に説明できる材料。
学内のイベントに、参加する。 窓口が開く企業説明の場、業界の研究の場。仕組みは各大学の案内で確認。
定期的に、顔を出す。 年に数回、窓口に連絡し、近況を伝える。求人票を出すときだけ連絡する会社は、覚えられない。
入社した学生の、その後を伝える。 「〇〇さんが、入社してこう活躍している」。本人の同意のうえで。窓口にとって、「紹介してよかった」の材料。
窓口の担当者が替わったら、関係を作り直す。 大学の職員は異動する。前任者との関係は、引き継がれていないことが多い。
窓口との関係の要点は、「学生にとっての価値を、顔の見える形で伝える」ことです。
エラベルの見解
相談で最も多い失敗は、「数十の大学に求人票を送り、一年待ったが、どこからも学生が来なかった」というものです。求人票を送っただけで、接点も、価値の提示も、卒業生の活用も無かった。対象を、社内に卒業生がいる一つの大学に絞り、卒業生に橋渡しを頼んで窓口に会い、「仕事の実態を話す会」を小さく開き、二年目に研究室の教員につながり、三年目に最初の新卒が入りました。数十の大学に薄くより、一つの大学に三年でした。
見ていて差がつくのは、担当者が「年単位」で設計するかどうかです。「大学に求人票を送りましょう」と言う担当者と、「大学との関係は年単位です。一つか二つに絞り、社内の卒業生から接点を作り、一年目は関係、二年目から採用を目指しましょう」と、時間の軸で設計する担当者がいます。後者は、続きます。
発注側にできるのは、大学との関係を「今年の採用の手段」ではなく「数年の投資」として位置づけることです。
研究室や教員との関係
事業に関わる分野の研究室や教員との関係です。
自社の事業と、研究の接点を見つける。 「自社の事業が、この分野の研究と関わる」。関わりが無い研究室に行っても、関係はできません。
教員に、会う。 学会、公開の講演、卒業生の紹介、窓口からの紹介。「自社の事業と、先生の研究の接点で、学生に仕事の実態を話す機会をいただけないか」。
学生に「仕事の実態」を話す機会を作る。 研究室のゼミや勉強会で、社員が「この分野の研究が、実務でどう使われているか」を話す。学生にとって、研究と仕事のつながりが見える。
共同の取り組みを、検討する。 研究室との共同の課題、データの提供、インターンの受け入れ。仕組みと契約は、大学の案内と専門家で確認。
教員からの推薦を、押しつけない。 「学生を推薦してほしい」は、関係ができてから。最初は、学生に価値を提供することから。
卒業生が研究室の出身なら、橋渡しに。 社内の卒業生が、その研究室の出身なら、最も強い接点。
研究室との関係は、教員が異動すれば変わる。 一つの研究室に頼らず、複数の接点を持つ。
研究室との関係の要点は、「事業と研究の接点」と「学生への価値の提供」です。接点が無い、価値が無い関係は、できません。
学生との接点
学生との直接の接点です。学生にとって価値のある場を提供します。
| 接点 | 中身 | 注意 |
|---|---|---|
| 小さなインターン | 一日〜数日。仕事の体験と社員との対話。インターンをどう設計するか | 選考との関係と学生の扱いは、公的機関の案内と専門家で確認 |
| 仕事の実態を話す会 | 業界と仕事の実態を、社員が話す。学内か、オンラインか、自社で | 会社の説明ではなく、仕事と業界の話 |
| 学生団体やサークルとの接点 | 事業に関わる活動をしている学生団体。勉強会への協力、場の提供 | 採用の場にしない。関係を作る場 |
| 卒業生と学生の対話 | 社内の卒業生が、後輩の学生と話す。「この大学から入社して、どうか」 | 卒業生の同意と、時間の調整 |
| 学生からの声を聞く | 「会社をどう見ているか」「何を知りたいか」。採用の改善の材料 | 聞いた声を、実際に反映する |
| 学生の相談に応じる | 就職の相談、業界の相談。採用に関係なく応じる | 「相談に乗ってくれた会社」が、信用になる |
学生との接点の要点は、「採用の場にしない」ことです。「来てほしい」を前に出すと、学生は身構えます。「仕事と業界の実態を伝える」「相談に応じる」が前で、採用は結果としてついてきます。
学生との接点の時期や形には、公的機関の案内があります。確認して従います。
卒業生の活かし方
社内にいる、その大学の卒業生は、最も強い接点です。
社内の卒業生を、把握する。 どの大学、どの学部、どの研究室の出身か。本人の同意のうえで、大学との接点の担当を頼めるか。
橋渡しを頼む。 窓口、研究室、学生団体への最初の連絡を、卒業生から。「卒業生の〇〇です。自社がこういう会を開くので」。知らない会社からの連絡より、届きます。
学生と話してもらう。 「この大学から入社して、どうか」を、卒業生が後輩に話す。学生にとって、最も信用できる話。
大学のイベントに、卒業生が出る。 窓口が開く企業説明の場に、卒業生が社員として出る。
卒業生の負担を、調整する。 大学との接点は、本業の上に乗る。時間の分、業務を調整する。責任者が認める。
卒業生が一人だけなら、その人に頼りすぎない。 異動や退職で接点が消える。複数の接点を並行して作る。
卒業生がいない大学は、他の接点から。 卒業生がいないなら、窓口か研究室か学生から。時間はかかる。
卒業生の要点は、「最も強い接点だが、負担を調整し、頼りすぎない」ことです。
外注する場合の範囲
大学との関係を、採用代行に出す場合の範囲です。
出せる工程。 対象の大学の絞り込み(事業と役割との対応、社内の卒業生、地域)、社内の卒業生の把握(同意のうえで)、自社が提供できる価値の整理、四つの接点の中で最初に作る接点の選定、窓口に渡す材料の作成(会社の説明、役割の記述、育成の型)、窓口への連絡と訪問の設定と同席、研究室と教員の候補の整理と接点の設計、学生との接点の設計と運営(小さなインターン、仕事の実態を話す会)、卒業生への依頼の整理と負担の調整の提案、学生の声の記録、年間の計画の一枚と振り返り、公的機関の案内の確認。
社内に残す判断。 対象の大学の決定、大学との関係に投資する判断(年単位)、卒業生への依頼と負担の調整、教員や窓口との関係の主体(社員が顔を出す)、学生に提供する価値の内容、公開する内容の承認。
外注の効きどころ。 大学との関係は、「求人票を送って待つ」で止まり、「年単位で接点を育てる」に手が回らない領域です。担当者が対象を絞り、接点を設計し、材料を作り、訪問や会の運営を回せば、社内は「顔を出す」「卒業生が話す」に集中できます。担当者は複数の会社の大学との関係を見ているので、「この規模の会社は、この接点から」の型を持ち込めます。ただし、関係の主体は社内の人(社員、卒業生、経営者)で、担当者は代わりにはなれません。
外注しても動かない場合。 対象を数十の大学から絞らない、年単位の投資を認めない、社員が顔を出さない、卒業生の負担を調整しない。社内の判断で、代行を替えても直りません。
大学との関係は、接点を年単位で育てれば、できます。外注は、接点の設計と運営を持ち込む手段です。
エラベルの見解
担当する側から見ると、大学との関係の相談で最も多いのは、「大学や学生に、何を提供できるかが無い」ことです。「学生を紹介してほしい」だけで、大学の窓口にも研究室にも学生にも、来てもらう価値が無い。窓口は、学生にとって価値のある会社を紹介したいので、価値の無い会社は紹介されません。
「業界と仕事の実態を、学生に伝えられる」「小さなインターンで体験してもらえる」「就職の相談に応じられる」。提供できる価値を先に決めれば、窓口も研究室も学生も、応じます。
発注側にできるのは、「学生を紹介してほしい」の前に、「自社が大学と学生に提供できる価値は何か」を一つ決めることです。
まとめ
- 関係ができないのは求人票を送るだけ・窓口が事務・接点が一つ・多くの大学に薄く・数か月で求める・卒業生を知らない・提供できる価値が無い・担当が無い構造
- 四つの接点はキャリアの窓口・研究室と教員・学生・卒業生。作りやすい一つから
- 最初の一年は三か月で大学を絞り卒業生を把握し価値を決める・三か月で最初の接点・三か月で学生との接点・三か月で振り返り。採用の結果は二年目から
- 窓口とは直接会う・学生にとっての価値を伝える・材料を渡す・学内のイベント・定期的に顔を出す・入社した学生のその後・担当者が替わったら作り直す
- 研究室とは事業と研究の接点・教員に会う・学生に仕事の実態を話す・共同の取り組み・推薦を押しつけない・卒業生の橋渡し・複数の接点
- 学生とは小さなインターン・仕事の実態を話す会・学生団体・卒業生との対話・声を聞く・相談に応じる。採用の場にしない。時期と形は公的機関の案内で
- 卒業生は把握・橋渡し・学生と話す・イベントに出る・負担を調整・頼りすぎない・いなければ他の接点から
- 外注できるのは絞り込み・把握・価値の整理・接点の選定・材料・訪問の設定と同席・研究室の整理・学生との接点の設計と運営・卒業生への依頼の整理・記録・計画と振り返り。社内に残るのは大学の決定・投資の判断・依頼と調整・関係の主体・価値の内容・承認
よくある質問
求人票を送っても、大学から反応がありません
大学には多数の求人票が届き、知名度の無い会社の求人票は埋もれます。求人票を送るだけでなく、窓口に直接会い、「学生にとっての価値」(業界と仕事の実態を伝えられる、小さなインターンで体験してもらえる)を伝え、材料(会社の説明、役割の記述、育成の型)を渡します。社内にその大学の卒業生がいれば、橋渡しを頼みます。一つか二つの大学に絞り、年単位で関係を育てます。数十の大学に求人票を送って待つ形では、どことも関係はできません。
今年中に、大学から新卒を採りたいです
関係が無い状態からの一年目は、関係を作る年で、採用の結果は二年目、三年目からです。今年の採用は、大学との関係以外の経路(新卒の媒体、紹介、インターンの募集の仕組みなど。仕組みは各サービスの公式の案内で)で進め、並行して、来年以降のために一つか二つの大学との接点を作り始めます。「今年の採用の手段」として大学との関係を見ると、関係ができる前に「採れなかった」で止めることになります。
社内に、対象の大学の卒業生がいません
卒業生がいない大学は、窓口か研究室か学生からの接点になり、時間がかかります。事業と研究の接点がある研究室があれば、教員に会うことから。無ければ、窓口に直接会い、学生にとっての価値を伝えることから。または、対象の大学を「社内に卒業生がいる大学」に変える選択肢もあります。卒業生がいる大学は、最初の接点が作りやすく、一年目の動きが早くなります。