採用代行 / 採用の課題
新卒と中途のどちらに投資すべきか|「どちらか」ではなく、役割・時間・育てる体制・費用の四つで、配分を決める
採用の予算と人事の時間は限られている。新卒に使うか、中途に使うか。新卒は育つまで時間がかかるが、自社の型で育てられる。中途は即戦力だが、費用が高く、合わないこともある。経営者は「新卒で組織を作りたい」と言い、現場は「今すぐ動ける中途を」と言う。「どちらか」で議論が止まっている。結論を先に書くと、新卒と中途は、「どちらか」で選ぶものではなく、「配分」で決めるものです。配分は、「どの役割が要るか」「いつまでに要るか」「育てる体制があるか」「費用と時間をどう使えるか」の四つの軸で決まります。四つを並べれば、「この役割は中途、この役割は新卒、今年は中途に寄せて、来年から新卒を始める」のように、配分が見えます。新卒の定着は新卒が定着しないに、新卒と中途を同じ代行に任せるかは新卒と中途を同じ代行に任せるかにまとめています。
決められない構造
新卒と中途のどちらに投資するかを決められないのは、次の構造で起きます。
| 構造 | 起きていること |
|---|---|
| 「どちらか」で考えている | 配分ではなく、二択で議論している。二択には答えが無い |
| 役割を分けていない | 「人が要る」の一言で、新卒に合う役割と中途に合う役割を分けていない |
| 時間の軸が無い | 「いつまでに要るか」が無く、新卒の育つ時間と中途の採用の期間を比べていない |
| 育てる体制の有無を見ていない | 新卒を育てる型と教える人が無いのに、「新卒で組織を作りたい」と言う |
| 費用の全体を見ていない | 中途の「一人あたりの費用」と、新卒の「育つまでの人件費と育成の費用」を、同じ土俵で比べていない |
| 経営者と現場の見ている時点が違う | 経営者は数年後の組織、現場は今月の業務。時点が違えば答えが違う |
| 一度決めたら変えられないと思っている | 「新卒に決めたら中途は無し」のように固定して考え、決められない |
決められない構造の大半は、「二択」と「役割を分けていない」ことです。配分と役割で考えれば、決まります。
新卒と中途の違いの整理
配分を決める前に、新卒と中途の違いを整理します。一般的な傾向であり、自社の記録で確かめます。
| 項目 | 新卒 | 中途 |
|---|---|---|
| 戦力になるまでの時間 | 育てる型に乗せて、数か月から年の単位 | 役割と経験が合えば、数週間から数か月 |
| 育てる体制の必要 | 必須。型、教える人、時間 | 受け入れの型は要るが、育てる体制は新卒ほどではない |
| 自社の型への適応 | 他社の型を持たない分、自社の型に馴染みやすい | 他社の型を持っている。合う場合と、ずれる場合がある |
| 採用の時期 | 学校の年度に合わせた時期。年に一度の集中 | 通年。要るときに |
| 採用の期間 | 説明会から内定まで長い。年単位の計画 | 応募から入社まで、職種によるが月単位 |
| 費用の形 | 採用の費用に加え、育つまでの人件費と育成の費用 | 採用の費用(紹介の手数料、媒体、代行など)。育つまでの費用は小さい |
| 定着の傾向 | 受け入れと育成が合えば長く続くが、合わなければ早期に辞める | 役割と実態が合えば続くが、合わなければ早期に辞める |
| 同期の存在 | 複数を同時に採れば、同期がいる。一人だと孤立 | 同期はいない |
| 組織への影響 | 年齢構成の若返り、自社の型の継承 | 新しいやり方、経験の持ち込み |
| 向いている役割 | これから専門を積む役割、自社の型で育てる役割 | 経験が要る役割、今すぐ要る役割、社内に無い専門 |
違いの要点は、「時間」と「育てる体制」と「費用の形」です。この三つで、どちらが合うかが役割ごとに変わります。
配分を決める四つの軸
新卒と中途の配分を、四つの軸で決めます。
軸一:どの役割が要るか。 要る役割を書き出し、役割ごとに「これから専門を積む役割」(新卒に合う)か「経験が要る役割」(中途に合う)かを分けます。役割の記述(ジョブディスクリプションがない)があれば、分けやすいです。
軸二:いつまでに要るか。 役割ごとに、「いつまでに戦力が要るか」。半年以内なら中途、二〜三年後でよいなら新卒の選択肢があります。
軸三:育てる体制があるか。 新卒を育てる型(未経験採用に踏み切るか迷っているの型と同じ)、教える人、教える時間。無ければ、新卒は採っても育たず、辞めます。体制を作ってから新卒を始めるか、中途に寄せるか。
軸四:費用と時間をどう使えるか。 採用の予算、人事の時間、現場の時間。新卒は年単位の計画と育成の時間、中途は要るときの採用の費用。自社の記録で、新卒一人が育つまでの費用と、中途一人の採用の費用を並べます。数字は自社の記録から。
四つの軸で、役割ごとに「新卒か中途か」が決まり、全体の配分が見えます。
| 役割の性質 | 時間 | 育てる体制 | 配分 |
|---|---|---|---|
| 専門を積む役割 | 二〜三年後でよい | ある | 新卒 |
| 専門を積む役割 | 二〜三年後でよい | 無い | 体制を作ってから新卒。それまでは第二新卒や未経験の中途 |
| 経験が要る役割 | 半年以内 | — | 中途 |
| 社内に無い専門 | — | — | 中途(経験者) |
| 今すぐ要るが、将来は内部で育てたい | 半年以内 | これから作る | 今年は中途、来年から新卒を始めて、将来は内部で |
配分の要点は、「役割ごとに決める」ことです。会社全体で「新卒か中途か」ではなく、「この役割は新卒、この役割は中途」。
配分の型
配分の型を、会社の段階ごとに整理します。一般的な傾向であり、自社の四つの軸で決めます。
| 段階 | 配分の傾向 | 理由 |
|---|---|---|
| 育てる体制が無い、人が今すぐ要る | 中途に寄せる | 新卒を採っても育たない。まず中途で回し、育てる体制を作る |
| 育てる体制ができてきた | 中途を主に、新卒を少数で始める | 新卒を少数で始め、育てる型を検証する |
| 育てる体制があり、年齢構成を若くしたい | 新卒を毎年一定数、中途は経験が要る役割に | 新卒で組織の基盤を作り、中途で専門と経験を補う |
| 急な増員や欠員 | 中途 | 時間が無い |
| 社内に無い専門 | 中途(経験者) | 育てる元が無い |
| 一斉の退職に備える | 新卒と中途を段階的に | 継承と次の管理職を、時間をかけて。年齢構成が偏っている |
型の要点は、「育てる体制の有無」で新卒の比率が決まることです。体制が無いまま新卒に寄せると、失敗します。
「新卒で組織を作りたい」という経営者の方針は、育てる体制を作ることとセットです。方針だけで体制が無ければ、新卒は辞めます。
エラベルの見解
相談で最も多い失敗は、「経営者が『新卒で組織を作る』と決め、育てる体制が無いまま新卒を五人採り、三人が一年で辞め、『やはり中途だ』と全部を中途に切り替えた」というものです。二択で揺れました。役割を分けると、「専門を積む役割」が二つ、「経験が要る役割」が三つ。前者は育てる体制を作ってから新卒を少数で、後者は中途で。配分にしたら、新卒も中途も定着しました。「どちらか」ではなく、「役割ごとの配分」でした。
見ていて差がつくのは、担当者が「配分」で話すかどうかです。「新卒と中途、どちらにしますか」と聞く担当者と、「要る役割を書き出して、役割ごとに新卒か中途かを四つの軸で決めましょう。全体の配分は、その結果です」と、役割から入る担当者がいます。後者は、二択の議論を止めます。
発注側にできるのは、「新卒か中途か」の議論を、「役割ごとに、どちらが合うか」に置き換えることです。
新卒を始める判断
新卒の採用を始める(または再開する)判断の材料です。
育てる体制があるか。 型、教える人、教える時間。無ければ、先に作ります。作らずに始めると、失敗します。
専門を積む役割が、社内にあるか。 新卒が担う役割が無ければ、採っても居場所がありません。役割を切り出してから。
複数を同時に採れるか。 一人だけの新卒は、孤立します。二人以上を同時に採れる予算と役割があるか。
年単位の計画を回せるか。 新卒は、説明会から内定まで長く、年に一度の集中です。年単位で動かす人事の時間があるか。
数年後の姿を、経営者が持っているか。 「三年後に、新卒が育って、この役割を担っている」。姿が無ければ、途中で「やはり中途」に揺れます。
最初の年は、少数で。 育てる型を検証する年として、二〜三人。うまくいけば、翌年から増やします。
中途の採用は、続ける。 新卒を始めても、経験が要る役割は中途で。「新卒に切り替える」ではなく、「新卒を足す」。
始める判断の要点は、「育てる体制と役割が先」です。体制と役割が無い新卒は、費用と時間の無駄になります。
中途に寄せる判断
中途に寄せる判断の材料です。
今すぐ、経験が要る役割がある。 半年以内に戦力が要り、育てる時間が無い。中途です。
社内に無い専門が要る。 育てる元が社内に無い専門は、経験者を中途で採ります。
育てる体制が、まだ無い。 新卒を育てる型と教える人が無いなら、中途で回しながら体制を作ります。
急な増員や欠員。 時間が無い場面は、中途です。急な増員要請に対応できない、急な欠員をどう埋めるか。
中途の受け入れの型は、要る。 中途は「即戦力だから放っておいてよい」ではありません。役割の書面、最初の一か月の予定、相談の相手。無ければ、中途も辞めます。
中途の費用を、全体で見る。 紹介の手数料や媒体の費用は、新卒の育成の費用と並べて、自社の記録で比べます。「中途は高い」だけで判断しない。
中途だけの組織の弱さも、見る。 中途だけだと、自社の型の継承が弱く、年齢構成が偏ることがあります。将来の新卒の開始を、計画に入れます。
寄せる判断の要点は、「時間と専門」です。時間が無い、専門が無い、体制が無い、なら中途。ただし、受け入れの型と、将来の新卒の計画は持ちます。
配分を見直す運用
配分は、固定しません。見直す運用です。
年に一度、四つの軸で見直す。 要る役割、時間、育てる体制、費用。事業の計画と要員計画(要員計画と採用計画がつながっていない)に合わせて。
新卒の定着と育成の記録を、見る。 「新卒が何か月で戦力になったか」「定着したか」。育てる体制が機能しているかの確認。機能していれば新卒の比率を上げ、していなければ体制を直すか中途に寄せる。
中途の定着と費用の記録を、見る。 「中途が定着したか」「一人あたりの費用と期間」。自社の記録で。
新卒と中途の費用の全体を、並べる。 新卒一人が育つまでの費用と、中途一人の採用の費用。自社の記録で、年に一度。
役割の変化に、追従する。 「専門を積む役割」が増えれば新卒を、「経験が要る役割」が増えれば中途を。役割が変われば、配分も変わります。
経営者と現場の時点を、揃える。 経営者の「数年後の組織」と、現場の「今月の業務」を、両方を配分に反映します。「今年は現場の今すぐの役割を中途で、来年から経営者の数年後の役割を新卒で」のように。
変えた配分と理由を、記録する。 「〇年に、育てる体制ができたので、新卒を二人から四人に」。
見直す運用の要点は、「記録で判断する」ことです。「新卒は育たない」「中途は高い」の印象ではなく、自社の記録で。
外注する場合の範囲
新卒と中途の配分を、採用代行に出す場合の範囲です。
出せる工程。 要る役割の書き出しと「専門を積む役割」「経験が要る役割」への分類、四つの軸での整理(時間、育てる体制の有無の確認、費用の自社の記録からの整理)、配分の案、新卒を始める場合の育てる体制の型の案と役割の切り出し、中途の受け入れの型の案、新卒の採用の運用(説明会、選考、内定期間の接点、新卒が定着しない)、中途の採用の運用、新卒と中途の定着と費用の記録と年次の集計、配分の見直しの材料、経営者と現場の時点を揃える一枚。
社内に残す判断。 役割の決定、配分の決定、育てる体制を作る判断と教える人の指名、新卒を始めるかどうかの決定、予算の配分、経営者の数年後の姿の決定、判定、内定。
外注の効きどころ。 新卒と中途の配分は、「二択で議論が止まる」ことが問題で、担当者が「役割ごとの配分」に置き換え、四つの軸で整理すれば、議論は決まります。担当者は複数の会社の新卒と中途の配分を見ているので、「この段階の会社は、この配分から」の型を持ち込めます。新卒と中途の両方の採用の運用も、担当者が担えます(同じ代行に任せるかは新卒と中途を同じ代行に任せるか)。
外注しても動かない場合。 経営者が「新卒で組織を作る」を体制無しで譲らない、現場が「今すぐ中途」しか言わない、育てる体制を作らない、記録を取らない。社内の判断で、代行を替えても直りません。
新卒と中途は、配分で決めます。外注は、二択を配分に置き換え、記録で判断する手段です。
エラベルの見解
担当する側から見ると、この相談で最も多いのは、「新卒の費用と中途の費用を、同じ土俵で比べていない」ことです。「中途は紹介の手数料が高い」と言うが、新卒の「育つまでの人件費と育成の費用と、その間の現場の時間」は数えていない。逆に、「新卒は安い」と言うが、育たずに辞めた場合の損失は数えていない。
自社の記録で、新卒一人が戦力になるまでの費用と、中途一人の採用から戦力になるまでの費用を、並べる。並べれば、「どちらが高い」ではなく、「この役割ならこちらが合う」が見えます。
発注側にできるのは、新卒と中途の費用を、「採用の費用」だけでなく「戦力になるまでの全体の費用」で、自社の記録から出すことです。
まとめ
- 決められないのは二択で考える・役割を分けていない・時間の軸が無い・育てる体制を見ていない・費用の全体を見ていない・経営者と現場の時点が違う・固定して考える構造
- 違いは戦力になるまでの時間・育てる体制の必要・型への適応・採用の時期と期間・費用の形・定着の傾向・同期・組織への影響・向いている役割。自社の記録で確かめる
- 四つの軸はどの役割が要るか(専門を積む役割か経験が要る役割か)・いつまでに要るか・育てる体制があるか・費用と時間をどう使えるか。役割ごとに決め、全体の配分はその結果
- 配分の型は体制が無く今すぐ要るなら中途・体制ができてきたら新卒を少数で・体制があり若返りたいなら新卒を毎年・急ぎと専門は中途・一斉の退職には段階的に。育てる体制の有無で新卒の比率が決まる
- 新卒を始めるのは体制と役割が先・複数を同時に・年単位の計画・経営者の数年後の姿・最初は少数・中途は続ける
- 中途に寄せるのは今すぐ経験が要る・社内に無い専門・体制がまだ無い・急ぎ。受け入れの型と将来の新卒の計画は持つ
- 見直しは年に一度四つの軸で・新卒の定着と育成の記録・中途の定着と費用の記録・費用の全体を並べる・役割の変化に追従・時点を揃える・理由を記録。印象でなく記録で
- 外注できるのは役割の分類・四つの軸の整理・配分の案・体制の型・受け入れの型・新卒と中途の運用・記録と集計・見直しの材料・一枚。社内に残るのは役割・配分・体制と教える人・始めるかどうか・予算・数年後の姿・判定・内定
よくある質問
経営者は「新卒で組織を作りたい」、現場は「今すぐ中途を」と言います
見ている時点が違います。経営者は数年後の組織、現場は今月の業務。両方を配分に反映します。「今年は、現場の今すぐの役割を中途で埋める。並行して育てる体制を作り、来年から新卒を少数で始め、経営者の数年後の姿に向けて増やす」。二択ではなく、時間の軸で並べれば、両方が入ります。新卒を始めるには育てる体制が要ることを、経営者に示し、体制を作る判断と時間を経営者から取ります。
新卒は費用が安いので、新卒に寄せたいです
「採用の費用」だけを見ると新卒は安く見えますが、「戦力になるまでの全体の費用」(育つまでの人件費、育成の費用、教える人の時間、育たずに辞めた場合の損失)を自社の記録で並べると、役割によっては中途のほうが全体で安いことがあります。逆に、経験が要る役割を新卒で埋めようとすると、育つまでの時間が長く、その間の事業の遅れが損失になります。役割ごとに、四つの軸で決めます。「安いから新卒」は、役割を見ていない判断です。
新卒を始めましたが、育たずに辞めました。中途に戻すべきですか
育てる体制(型、教える人、時間)と、新卒が担う役割があったかを、先に確認します。無かったなら、新卒が悪いのではなく、体制の問題です。体制を作ってから、少数で再開する選択肢があります。体制を作れないなら、中途に寄せ、将来の新卒の開始を計画に入れます。「新卒は育たない」と結論を出す前に、辞めた新卒の時期と理由を記録で見ます。「新卒か中途か」の二択に戻さず、「役割ごとの配分」と「体制の有無」で判断します。