採用代行 / 採用の課題

人事が1人で回らない|頑張りで埋めるのをやめて、工程を減らし、外に出し、判断だけを残す

公開 2026-09-13

人事が一人。採用も、入社の手続きも、給与も、評価の取りまとめも、研修も、一人で抱えている。採用は「時間があるときにやる仕事」になり、応募への返信が三日遅れ、候補者が流れる。人事は毎日遅くまで働いて、それでも回らない。結論を先に書くと、一人人事が回らないのは、人事の能力や努力の問題ではなく、一人に載せている仕事の量が一人分を超えているからです。頑張りで埋めるのをやめ、採用の工程を減らし、減らせない工程は外に出し、人事には判断だけを残します。人事を育てる話は人事の育成に、兼務の場合は他業務と兼務で採用が進まないにまとめています。

一人人事で起きていること

人事が一人の会社では、次のことが起きています。

起きていること背景
採用が後回しになる給与や手続きは期限があり、採用には期限が無い。期限のある仕事が優先される
応募への返信が遅れる応募が来た日に返信できず、まとめて週末に。候補者は他社に進んでいる
面接の日程が組めない人事が候補者と面接官の間に立ち、往復に日数がかかる
求人票が更新されない一度書いた求人票が、そのまま。応募が来なくても直す時間が無い
人事が休めない人事が休むと、採用も手続きも止まる。休暇が取れず、疲弊する
人事が辞めると、全部が止まる一人に全部が入っていて、引き継ぎができない
「人事を増やす」以外の解決策が見えない増員は予算と採用の両方が要り、すぐには実現しない

一人人事の問題は、人事を責めても、人事が頑張っても、解決しません。載せている仕事の量を変えます。

抱えている仕事の棚卸し

最初にやるのは、人事が何をどれだけ抱えているかの棚卸しです。

一週間の仕事を、全部書き出す。 採用(求人票、応募対応、日程調整、面接、内定、入社準備)、労務(給与、社会保険、勤怠、手続き)、評価(取りまとめ、面談の設定)、研修(企画、手配)、その他(相談対応、庶務)。一週間分を、時間の目安付きで。

「期限があるもの」と「期限が無いもの」に分ける。 給与や手続きは期限がある。採用は期限が無い。期限の無い仕事が、後回しの候補です。

「人事にしかできないもの」と「他の人でもできるもの」に分ける。 判断(誰を通すか、誰を採るか、制度をどうするか)は人事や責任者に残る。作業(日程調整、書類の整理、手続きの入力)は他の人でもできる。

「自社でやる必要があるもの」と「外に出せるもの」に分ける。 給与の計算や社会保険の手続きは、外に出している会社が多い。採用の工程も、判断以外は外に出せる。

採用の工程だけを、さらに細かく分ける。 求人票の作成、媒体への掲載、応募の受付と返信、書類の確認、日程調整、面接の同席、記録、内定の連絡、条件の調整、入社の準備。

棚卸しをすると、「人事にしかできない」仕事は、全体の一部だと分かります。残りは、減らすか、他に回すか、外に出せます。

採用の工程を減らす

棚卸しの後、採用の工程で「減らせるもの」を減らします。

応募への返信を、型で自動化する。 応募が来たら自動で受付の返信が出る形にします。媒体や応募の仕組みの機能で対応できる場合があり、仕様は各媒体の公式の案内で確認します。人事が一件ずつ書かなくてよくなります。

日程調整を、枠の予約制にする。 面接官の枠を先に押さえ、候補者が空いている枠を選ぶ形。人事が間に立って往復する工程が消えます。日程調整の道具は、社内で使えるものを確認します。

書類の確認を、現場に一次を任せる。 人事が全部の書類を見るのをやめ、現場に「この観点だけ」で見てもらいます。現場の負担を減らす頼み方は現場が採用に協力してくれないに書いています。

面接の同席をやめる。 人事が全部の面接に同席する形をやめ、面接官に質問と基準を渡して任せます。人事は最終だけ。

求人票の更新を、月に一度の定例にする。 「時間があるとき」ではなく、月の初めの一時間を求人票の見直しに固定します。

媒体の数を減らす。 五つの媒体を管理するより、効いている二つに絞ります。管理の工程が減ります。

記録の型を一枚にする。 応募から内定までの記録を、一枚の表に。あちこちに散らばった記録を探す時間が消えます。

工程を減らすと、採用にかかる人事の時間は目に見えて減ります。減らした後に残るのが、「減らせないが、外に出せる工程」です。

外に出す工程と、残す判断

減らせない工程は、外に出します。残すのは判断です。

外に出せる工程人事に残す判断
求人票の案の作成求人票の決定(役割と条件の確定)
媒体への掲載と管理媒体の選択と予算の決定
応募の受付と一次の返信書類で通すかどうかの基準の決定
書類の一次の絞り込み(基準に沿って)面接に進める判断
日程調整と候補者への連絡面接官の指名
面接の記録の整理と集計通す・通さないの判定
内定の連絡文の作成と条件の整理内定と条件の決定
入社準備の案内と書類の回収配属と入社日の決定
採用の進み具合の月次のまとめ経営者への報告と判断の依頼

外に出す先は、採用代行の担当者、社内の別の人(庶務や現場のアシスタント)、道具(自動返信や予約制の日程調整)のどれかです。人事に残るのは、右の列だけです。

右の列だけなら、一人でも回ります。左の列まで一人でやろうとするから、回りません。

エラベルの見解

相談で最も多い失敗は、「人事が一人で回らないので、人事をもう一人採用しようとした。その採用も人事が一人でやるので、進まなかった」というものです。人事の増員は、一年近くかかることがあります。その間、採用は止まったまま。先に工程を減らし、外に出して、人事に判断だけを残していれば、増員を待たずに採用は動き、増員の採用そのものも進みました。増員は解決策の一つですが、最初の一手ではありません。

見ていて差がつくのは、担当者が「人事に残す判断」を明確に言えるかどうかです。「人事の負担を減らします」と言う担当者と、「この九つの判断だけ人事に残し、残りは全部こちらで動かします。人事の採用の時間は週に二時間で済みます」と、残す判断を列挙する担当者がいます。後者は、人事が「本当に減る」と分かり、任せられます。

発注側にできるのは、「人事の負担を減らしてほしい」ではなく、「人事に残す判断を決めて、残りを出したい」と依頼することです。

責任者と現場の巻き込み方

一人人事が回らない問題は、人事だけでは解決できません。責任者と現場を巻き込みます。

責任者に、棚卸しの結果を見せる。 「人事の一週間はこう使われていて、採用に使えるのは週に三時間」。事実を見せれば、責任者は「一人では無理」と分かります。人事が「忙しい」と言うだけでは、伝わりません。

責任者に、減らす・外に出す判断をしてもらう。 工程を減らす(媒体を絞る、同席をやめる)、外に出す(代行、道具)は、費用や方針に関わるので、責任者の判断です。人事の一存では決めにくいことを、責任者に決めてもらいます。

現場に、一次の書類と面接を担ってもらう。 人事が全部を抱える形をやめ、現場に観点を絞って渡します。責任者から「面接は業務の一部」と示してもらいます。

採用の優先順位を、責任者に決めてもらう。 三つの職種を同時に採ろうとすると、一人人事は全部が中途半端になります。「まず〇〇職から」と、責任者が順番を決めます。

人事が休める体制を作る。 人事が休んだとき、応募の返信と日程調整が止まらない形(自動返信、予約制、外部の担当者)を作ります。人事が休めない状態は、人事が辞める前兆です。

責任者と現場を巻き込むのは、人事が弱いからではありません。採用は会社の仕事で、人事はその一部を担う人です。

人事が一人でも回る形

減らし、外に出し、巻き込んだ後の、一人人事が回る形です。

人事の採用の時間は、週に数時間。 判断(書類の基準、面接に進める判断、判定、内定、報告)に使います。作業には使いません。

応募から日程まで、人事が触らずに進む。 自動返信、基準に沿った一次の絞り込み(外部か現場)、予約制の日程調整。人事は、進み具合の表を見るだけ。

面接は、現場と責任者が担う。 質問と基準は書面にあり、人事は最終だけ。

月に一度、責任者に一枚で報告する。 進み具合と、止まっている理由と、決めてほしいこと。報告の型は経営者に採用の状況が伝わらないに書いています。

人事が休んでも、止まらない。 外部の担当者か、道具が動いている。

引き継ぎができる。 工程が書面と表になっていて、人事が交代しても続けられる。

この形は、人事が二人になっても、三人になっても、そのまま使えます。増員の前に形を作っておけば、増えた人は判断の側を分担できます。

外注する場合の範囲

一人人事の問題を、採用代行に出す場合の範囲です。

出せる工程。 仕事の棚卸しの支援、減らす工程の設計、求人票の案、媒体の掲載と管理、応募の受付と返信、書類の一次の絞り込み、日程調整、面接の記録の整理、内定の連絡文、入社準備の案内、月次の報告の一枚、責任者向けの提案資料。

社内に残す判断。 基準の決定、面接に進める判断、判定、内定と条件、配属、報告と判断の依頼。

外注の効きどころ。 一人人事の会社では、担当者が「もう一人の人事」として動く形になります。人事は判断に集中し、担当者が作業を回す。人事が休んでも、担当者が応募と日程を止めません。

外注しても動かない場合。 責任者が人事の負担を認めない、現場が面接を担わない、人事が「全部自分で見ないと不安」を手放せない。社内の判断で、代行を替えても直りません。

一人人事の問題は、載せている仕事の量の問題です。外注は、量を外に出す手段の一つです。

エラベルの見解

担当する側から見ると、一人人事の相談で最も多いのは、「人事が、外に出すことに罪悪感を持っている」ことです。「自分の仕事なのに、外に頼むのは申し訳ない」「全部自分で見ないと、責任が持てない」。人事が真面目なほど、抱え込みます。

担当者が入っても、人事が全部の工程を確認しようとすると、人事の負担は減りません。担当者に任せる工程は任せ、人事は判断の結果だけを見る形にしないと、意味がありません。責任は、判断を残している人事にあります。作業を外に出しても、責任は人事に残ります。

発注側にできるのは、人事に「作業は出してよい、判断だけ残してほしい」と、責任者から伝えることです。人事が自分で線を引くのは、難しいです。

まとめ

よくある質問

人事をもう一人採用すれば、解決しますか

増員は解決策の一つですが、最初の一手ではありません。増員の採用そのものに時間がかかり、その間は採用が止まったままです。先に工程を減らし、外に出し、人事に判断だけを残す形を作れば、一人でも回り、増員の採用も進みます。形ができていれば、増えた人は判断の側を分担でき、二人とも作業に埋もれる形になりません。

人事が「全部自分で見ないと不安」と言います

真面目な人事ほど、抱え込みます。作業を外に出しても、判断と責任は人事に残ることを、責任者から伝えます。人事が自分で線を引くのは難しいので、責任者が「作業は出してよい」と言う形が要ります。最初は、日程調整と応募の返信など、判断を含まない工程から出し、「出しても問題が起きない」と人事が実感できれば、次の工程も出せるようになります。

外に出すと、候補者への対応の質が下がりませんか

人事が一人で抱えて返信が三日遅れる状態より、外部の担当者が当日に返信する状態のほうが、候補者への対応の質は上がります。質が下がるのは、外に出した工程の型(返信の文、日程の組み方、記録の形)が無い場合です。型を人事と担当者で決め、担当者はそれに沿って動き、人事は結果を見る形にすれば、質は保てます。