採用代行 / 採用の課題
複数職種を同時に採用できない|「全部を同時に」をやめて、職種ごとに工程を分け、共通の工程を一つにまとめる
営業を二人、エンジニアを一人、事務を一人。四つの求人を同時に出している。人事は一人で、全職種の応募を見て、返信し、日程を組み、面接に同席し、結果を連絡する。どの職種も、返信が遅れ、面接が組めず、候補者が流れる。三か月経って、一人も決まっていない。結論を先に書くと、複数職種を同時に採れないのは、「全部を同時に、同じ人が、同じ形で」回そうとしているからです。職種ごとに違う工程(要件、経路、面接官、観点)は分け、共通の工程(受付、返信、日程、連絡、記録)は一つにまとめます。分けるものと、まとめるものを整理すれば、同時に回ります。回らないなら、並行の数を減らします。優先順位の付け方はどの職種から採用すべきか決められないに、スカウトでの職種の優先は複数職種があるときの優先順位にまとめています。
同時に採れない構造
複数職種を同時に採れないのは、次の構造で起きます。
| 構造 | 起きていること |
|---|---|
| 一人が全職種の全工程を回している | 応募の確認、返信、日程、面接の同席、連絡を、四職種分。回らない |
| 職種ごとの違いを、同じ形で扱っている | 営業とエンジニアで、経路も観点も面接官も違うのに、同じ求人票の型、同じ面接の進め方 |
| 共通の工程を、職種ごとに別々にやっている | 受付の返信、日程の調整、記録を、職種ごとに別の表、別の文面で |
| 面接官が、職種ごとに違い、日程が組めない | 四職種の面接官の予定を、それぞれ調整。枠が取れない |
| 優先順位が無い | 四つを同じ重さで扱い、全部が薄くなる |
| 進み具合が、職種ごとに見えない | まとめて「採れていない」。どの職種がどこで止まっているかが分からない |
| 応募が多い職種に、時間が取られる | 事務の応募が多く、その対応で営業とエンジニアが後回し |
同時に採れない問題は、「人が足りない」より「分け方とまとめ方が無い」ことのほうが大きいです。
職種ごとに違う工程と共通の工程
工程を、職種ごとに違うものと、共通のものに分けます。
| 職種ごとに違う工程 | 理由 |
|---|---|
| 役割の記述と要件 | 職種で役割が違う。要件も違う |
| 求人票の中身 | 役割と働く理由が違う。型は共通でよい |
| 経路 | 営業は媒体と紹介、エンジニアはスカウトと特化型、事務は媒体と社員の紹介、のように違う |
| 面接官 | 職種の現場の責任者と一緒に働く人。職種ごとに違う |
| 面接の観点と質問 | 職種で見るものが違う |
| 書類の判断の基準 | 必須の要件が違う |
| 条件の幅 | 職種で違う |
| 共通の工程 | まとめ方 |
|---|---|
| 応募の受付と返信 | 一つの窓口、一つの文面の型(職種名を差し替え) |
| 候補者の表 | 一つの表、「職種」は列で |
| 日程調整 | 一つの仕組み(予約制の枠、または担当者)。面接官の枠は職種ごとに先に押さえる |
| 面接の案内の文面 | 一つの型(職種名と面接官を差し替え) |
| 結果の連絡 | 一つの型 |
| 記録の型 | 観点は職種ごと、記録の形は共通 |
| 月次の集計 | 一枚に、職種ごとの行 |
| 責任者への報告 | 一枚 |
分ける要点は、「中身は職種ごと、型と窓口は共通」です。中身まで共通にすると職種に合わず、型まで職種ごとにすると手間が四倍になります。
同時に回す設計
分けたものと、まとめたものを、同時に回す設計です。
共通の工程を、一人(または担当者)が回す。 受付、返信、日程、連絡、記録、集計。四職種分でも、型と窓口が一つなら、一人で回ります。毎朝の応募の確認は、四職種を一つの表で。
職種ごとの工程を、職種の現場が担う。 書類の判断(基準に沿って、観点一つで)、面接、判定。人事や担当者は、進行と記録。
面接官の枠を、職種ごとに先に押さえる。 「営業の面接官は火曜の午前に二枠、エンジニアの面接官は木曜の午後に一枠」。枠が先にあれば、日程調整は「枠に入れる」だけ。
求人票と面接の観点を、職種ごとに一枚ずつ用意する。 中身は違うが、型は同じ。作る手間は、二回目から減ります。
経路を、職種ごとに分けて、運用は共通の担当者が回す。 営業の媒体、エンジニアのスカウト、事務の社員の紹介。出す先は違うが、応募の受付は一つの窓口に。
候補者の表を一つにして、職種の列で絞る。 「いま営業は何人が選考中か」を、表を絞れば見える。
週に一度、職種ごとの進み具合を確認する。 一つの表を職種で絞って、止まっている候補者と、空欄を見る。
月に一度、職種ごとの一枚を責任者に。 応募・面接・内定・辞退と日数を、職種の行で。
設計の要点は、「共通の工程を一人が、職種ごとの工程を現場が」です。人事が職種ごとの工程(面接の同席、判定)まで抱えると、回りません。
並行の数の目安
同時に回せる職種の数には、限りがあります。目安です。
| 体制 | 同時に回せる目安 |
|---|---|
| 人事が一人、兼務 | 一〜二職種。それ以上は、共通の工程が回らない |
| 人事が一人、専任 | 二〜三職種 |
| 人事が一人+採用代行の担当者 | 三〜五職種。共通の工程を担当者が回す前提 |
| 人事が二人以上 | 四職種以上。ただし、面接官の枠が取れるかで決まる |
目安を超える場合は、並行の数を減らします。減らす判断は、優先順位です。どの職種から採用すべきか決められないに書いています。
並行の数を減らすと、「後回しにした職種が採れない」と現場は言います。ただ、全部を薄く回して全部が採れないより、絞って順に採るほうが、結果として全部が早く採れます。
目安は、体制だけでなく、「面接官の枠」でも決まります。面接官が一人で四職種を見る形なら、枠が取れず、四職種は回りません。
エラベルの見解
相談で最も多い失敗は、「四職種を同時に出し、人事が一人で全工程を回し、三か月で一人も採れず、『人事が足りない』で人事をもう一人採ろうとした」というものです。人事の問題ではなく、分け方の問題でした。共通の工程(受付、返信、日程、連絡、記録)を一つの窓口と型にまとめ、職種ごとの工程(判断、面接、判定)を現場に渡し、面接官の枠を職種ごとに先に押さえたら、同じ人事一人で、四職種が回り始めました。二か月で二職種が決まりました。
見ていて差がつくのは、担当者が「共通の工程を引き受ける」かどうかです。「四職種は多いので、優先順位を付けましょう」だけ言う担当者と、「受付・返信・日程・連絡・記録は、四職種分を私が一つの窓口で回します。人事の方は、職種ごとの判断と面接の進行に集中してください」と、共通の工程を引き受ける担当者がいます。後者がいれば、並行の数は増やせます。
発注側にできるのは、担当者に「共通の工程」を渡し、社内は「職種ごとの工程」に集中することです。
職種ごとの担当と面接官
職種ごとに、担当と面接官を決めます。
| 職種 | 現場の担当(書類の判断・面接・判定) | 面接官の枠 | 経路 | 観点の一枚 |
|---|---|---|---|---|
| 営業 | 営業の責任者と、一緒に働く人 | 火曜の午前、二枠 | 媒体A、紹介会社B | 営業用 |
| エンジニア | 開発の責任者と、一緒に働く人 | 木曜の午後、一枠 | スカウト、特化型媒体C | エンジニア用 |
| 事務 | 管理部の責任者 | 水曜の午前、一枠 | 媒体A、社員の紹介 | 事務用 |
表にすれば、「誰が、いつ、どの経路で、何を見るか」が職種ごとに見え、人事や担当者は進行に集中できます。
現場の担当が「忙しくて判断できない」場合は、現場が採用に協力してくれないの負担の減らし方で。「観点一つで、五分で」の形にします。
面接官の枠は、職種ごとに先に押さえます。「候補者が来たら調整」では、四職種分の調整が同時に発生し、回りません。
月次で見る一枚
複数職種の進み具合を、一枚で見ます。
| 職種 | 応募 | 書類通過 | 面接 | 内定 | 辞退 | 応募から内定までの日数 | 止まっている段階 | 来月の打ち手 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 営業 | ||||||||
| エンジニア | ||||||||
| 事務 |
一枚で、「どの職種が、どこで止まっているか」が見えます。営業は応募が少ない、エンジニアは面接に進まない、事務は応募は多いが要件に合わない、のように、職種ごとに詰まりが違います。
詰まりが違えば、打ち手も違います。営業は経路、エンジニアは要件、事務は求人票の絞り込み。全部に同じ打ち手をしません。詰まりの読み方は採用ファネルのどこが詰まっているか分からないに書いています。
一枚を、月に一度、責任者と現場の責任者で見ます。「来月の打ち手」を職種ごとに一つ決めます。
外注する場合の範囲
複数職種の同時採用を、採用代行に出す場合の範囲です。
出せる工程。 職種ごとに違う工程と共通の工程の整理、共通の工程の運用(受付、返信、日程、連絡、記録、集計)を全職種分、職種ごとの求人票(型は共通、中身は職種ごと)、職種ごとの経路の設計と運用、職種ごとの観点の一枚、面接官の枠の調整(職種ごとに先に押さえる)、候補者の表の一本化と職種の列、週に一度の職種ごとの確認、月次の一枚、並行の数の目安の提示と優先順位の案。
社内に残す判断。 職種ごとの要件と条件、面接官の指名と枠の決定、書類の判断と面接と判定(職種の現場)、並行の数の決定、優先順位の決定、来月の打ち手の決定。
外注の効きどころ。 複数職種の採用は、「共通の工程の量」が回らない原因です。担当者が共通の工程を全職種分引き受ければ、社内は職種ごとの工程だけになり、並行の数を増やせます。担当者は複数の会社で複数職種を回しているので、「この職種はこの経路」「型は共通で中身は職種ごと」の設計を持ち込めます。
外注しても動かない場合。 現場が職種ごとの判断と面接を担わない、面接官の枠が取れない、責任者が並行の数を減らす判断をしない。社内の判断で、代行を替えても直りません。
複数職種は、分けるものとまとめるものを整理すれば、同時に回ります。外注は、共通の工程を引き受ける人を置く手段です。
エラベルの見解
担当する側から見ると、複数職種の相談で最も多いのは、「応募の多い職種に時間を取られて、応募の少ない重要な職種が放置されている」ことです。事務の応募が五十件、エンジニアの応募が三件。人事は事務の五十件の対応に追われ、エンジニアの三件への返信が一週間後になり、三件とも他社に決まる。
応募の多い職種は、書類の判断の基準を厳しくして絞るか、共通の工程を担当者に出して人事の手を空けるか。応募の少ない重要な職種は、来た応募を当日に返す。「応募の数」と「重要さ」は別で、時間の配分は重要さで決めます。
発注側にできるのは、応募の多い職種の共通の工程を担当者に出し、社内の時間を重要な職種に回すことです。
まとめ
- 同時に採れないのは一人が全職種の全工程・違いを同じ形で・共通を別々に・面接官の日程が組めない・優先順位が無い・進み具合が見えない・応募の多い職種に取られる構造
- 職種ごとに違うのは役割と要件・求人票の中身・経路・面接官・観点・判断の基準・条件。共通は受付と返信・表・日程・案内と結果の文面・記録の型・集計・報告。中身は職種ごと、型と窓口は共通
- 設計は共通を一人が・職種ごとを現場が・枠を職種ごとに先に・一枚ずつ用意・経路は分けて運用は共通・表を一つに職種の列・週に一度・月に一度
- 並行の数は兼務で一〜二・専任で二〜三・代行と組んで三〜五・二人以上で四以上が目安。超えたら優先順位で減らす。面接官の枠でも決まる
- 職種ごとに現場の担当・面接官の枠・経路・観点の一枚を表に
- 月次の一枚で職種ごとの応募・通過・面接・内定・辞退・日数・止まっている段階・来月の打ち手。詰まりは職種で違う
- 外注できるのは整理・共通の工程の全職種分・求人票・経路・観点・枠の調整・表・確認・一枚・目安と優先順位。社内に残るのは要件と条件・面接官・判断と面接と判定・並行の数・優先順位・打ち手
よくある質問
人事が一人で、四職種を同時に採るのは無理ですか
全工程を一人で回すなら、無理です。共通の工程(受付、返信、日程、連絡、記録)を一つの窓口と型にまとめ、職種ごとの工程(判断、面接、判定)を職種の現場に渡し、面接官の枠を職種ごとに先に押さえれば、人事一人で三職種ほどは回ります。共通の工程を採用代行の担当者に出せば、さらに増やせます。それでも回らないなら、並行の数を優先順位で減らし、順に採ります。
現場が「自分の職種を後回しにしないでほしい」と言います
全部を同時に薄く回して全部が採れないより、絞って順に採るほうが、結果として全部が早く採れます。優先順位を「採れないと最も困る順」で責任者が決め、現場には「〇月から動かす」と時期を伝えます。後回しになる職種も、求人票と観点の一枚は先に用意しておき、動かす時期が来たらすぐ出せる形にします。並行の数を増やしたいなら、共通の工程を担当者に出すか、現場が職種ごとの工程を担うかです。
応募が多い職種に時間を取られて、他の職種が回りません
応募の数と重要さは別です。応募の多い職種は、書類の判断の基準を厳しくして絞る(必須の要件を観察できる言葉で)か、共通の工程を担当者に出して社内の手を空けます。応募の少ない重要な職種は、来た応募を当日に返します。時間の配分は、応募の数ではなく、「採れないと最も困る順」で決めます。月次の一枚で職種ごとの詰まりを見て、打ち手を職種ごとに一つ決めます。