採用代行 / 採用の課題

早期離職が続くのは採用のどの段階の問題か|「入社後の問題」に見えて、原因は募集・選考・内定後にある

公開 2026-09-13

採用が決まり、入社した。三か月後、「合わなかった」と辞めた。次に採った人も、半年で辞めた。早期離職が続くと、「職場に問題があるのでは」「育成が足りないのでは」と、入社後の問題として見がちです。しかし、原因の多くは、採用の段階にあります。結論を先に書くと、早期離職は、要件・募集・選考・内定後・受け入れの五つの段階のどこかで生まれた「期待と実態のずれ」が、入社後に表に出たものです。離職の時期と理由を分ければ、どの段階の問題かが見え、その段階を直せば、次の離職は減ります。辞退理由の集め方は内定辞退の理由を正しく集める方法に、応募の質は応募は来るが質が合わないにまとめています。

早期離職の時期と理由を分ける

早期離職を、時期と理由で分けます。

時期。 入社直後(一か月以内)、三か月以内、半年以内、一年以内。早いほど、採用の段階の問題である可能性が高い。

理由。 役割が聞いていた話と違った。仕事の量や難しさが想定と違った。一緒に働く人や雰囲気が合わなかった。条件(給与、働き方)が聞いていた話と違った。会社の方向や将来に不安を持った。本人の事情。

時期と理由を組み合わせると、段階が見えます。「一か月以内に、役割が違った」なら、募集か選考。「三か月以内に、仕事の難しさが」なら、要件か選考。「半年以内に、雰囲気が」なら、選考か受け入れ。

直近の早期離職を、時期と理由で並べます。傾向が、直す段階を示します。

採用の五つの段階と、それぞれの原因

早期離職の原因は、採用の五つの段階のどこかにあります。

段階原因の例見分け方
要件要件が実態より高い(または低い)。入社後の仕事に要るものと、要件がずれている「仕事の難しさが想定と違った」「経験を活かせなかった」が多い
募集原稿が実態より良く書かれている。役割が曖昧で、応募者が自分の想定で応募している「聞いていた役割と違った」「裁量があると聞いたが」が多い
選考面接で役割と実態を伝えていない。候補者の志向を確かめていない。合わない人を通している「面接で聞いた話と違った」「面接では分からなかった」が多い
内定後条件や役割が、内定の後に変わった。入社までの接点が無く、不安のまま入社した「条件が聞いていた話と違った」「入社前に不安が解消されなかった」が多い
受け入れ入社後の支援が無い。最初の仕事が曖昧。誰に聞けばよいか分からない「入社後に放置された」「何をすればよいか分からなかった」が多い

五つのうち、要件・募集・選考・内定後は、採用の段階です。受け入れは、入社後の段階ですが、採用の設計(内定後に最初の仕事を伝えるなど)と地続きです。

「入社後の問題」に見える離職も、理由を聞けば、要件・募集・選考のどこかで生まれた期待のずれであることが多い。

「聞いていた話と違う」を生む構造

早期離職の理由で最も多いのは、「聞いていた話と違った」です。この構造を見ます。

募集で、実態より良く書く。 「裁量が大きい」「幅広く活躍」「アットホーム」。応募を増やすために、実態より良く見せる。応募者は、良い姿を期待して入り、実態を見て離れる。

面接で、良いことだけを話す。 課題や大変な点を話さず、魅力だけを話す。候補者は、魅力だけを期待して入る。

面接者と、一緒に働く人が、違うことを言う。 面接者が「〇〇を決める役割」と言い、入社後の上司は「まず〇〇を覚えて」と言う。面接で伝えた役割と、現場の実態がずれている。

条件が、内定後に変わる。 面接で「〇〇の幅で」と言い、内定で下限の額。「入社後に上がる」と言い、上がらない。

内定から入社までに、実態を伝える機会が無い。 内定後に、一緒に働く人と話す場、最初の仕事の説明が無い。候補者は、面接の印象のまま入社し、初日に実態を知る。

構造の共通点は、「実態を伝える機会が、採用の中に無い」ことです。募集・面接・内定後のどこかで、実態(良い点も、大変な点も)を伝えていれば、期待のずれは入社前に解消されるか、合わない人は入社前に離れます。

離職者から理由を集める

早期離職の理由は、離職者から聞かないと分かりません。集め方は、内定辞退の理由を正しく集める方法と似ています。

聞く人。 直属の上司ではなく、人事の別の人か、代行の担当者。上司には本音を言いにくい。

聞き方。 選択肢と一言。「役割が違った」「仕事の量や難しさ」「人や雰囲気」「条件」「会社の方向」「本人の事情」のうち、近いもの。

時期。 退職の意思を伝えたとき(一回目)と、退職後しばらく(二回目)。退職後のほうが、本音が出やすい。

「どの段階で分かれば、入社しなかったか」を聞く。 「募集の段階で〇〇が分かっていれば」「面接で〇〇を聞いていれば」。これが、直す段階を直接示す。

責めず、参考として。 「今後の採用の参考に」。離職者を責めると、本音は出ない。

記録し、五つの段階に当てはめる。 時期、理由、「どの段階で分かれば」、選考の経緯(面接者、伝えた内容)、経路。

三件ほど集まれば、傾向が見えます。

エラベルの見解

相談で最も多い失敗は、「早期離職が続くので、入社後の研修を厚くした」というものです。研修を厚くしても、離職は減らない。離職者に聞くと、「役割が聞いていた話と違った」「面接で聞いた裁量が無かった」。募集の原稿が実態より良く書かれ、面接でも良いことだけを話していた。研修ではなく、募集と面接で実態を伝えていれば、合わない人は入社前に離れ、合う人が入っていました。

見ていて差がつくのは、担当者が「早期離職を、採用の段階の問題として見る」かどうかです。「入社後のことは、うちの範囲外」と考える担当者と、「離職の理由が『聞いていた話と違う』なら、募集か面接の問題」と、自分の担った段階に引き戻す担当者がいます。後者は、次の採用で原稿と面接を直します。

発注側にできるのは、早期離職が起きたら、離職者に「どの段階で分かっていれば」を聞き、採用の段階に戻すことです。入社後の問題として扱うと、採用の設計は変わらず、同じ離職が続きます。

対策の順番

五つの段階の対策を、効きやすい順に並べます。

一.募集で、実態を書く。 良い点だけでなく、大変な点、いま詰まっていること、役割の範囲。「裁量が大きい」を「〇〇を決める。〇〇は決めない」に。応募は減りますが、減るのは実態と合わない人。費用はかかりません。

二.面接で、実態を伝え、志向を確かめる。 課題と大変な点を話す。「入社後の最初の三か月は〇〇」を具体的に。候補者が求めるもの(裁量、安定、成長)を聞き、自社が提供できるものと合うかを確かめる。

三.面接者と一緒に働く人の言葉を揃える。 面接で伝える役割と、現場の実態を合わせる。面接者が現場と違うことを言わないように、役割の記述を共有する。

四.内定後に、実態を見せる機会を作る。 一緒に働く人と話す場、最初の仕事の説明、職場の見学。期待のずれを、入社前に解消する。

五.条件を、内定後に変えない。 面接で示した幅の中で、根拠を添えて提示。「入社後に上がる」を約束しない。

六.受け入れの型を作る。 最初の一か月の支援者、最初の仕事、週に一度の確認。入社後の放置を防ぐ。

七.要件を見直す。 「仕事の難しさが想定と違った」が多いなら、要件が実態とずれている。入社後三か月の仕事から、要件を作り直す。

一から五は、採用の段階で、費用がかからず、次の採用から変えられます。六は受け入れの段階。七は、要件の根本の見直しで、時間がかかります。

外注する場合の範囲

早期離職の問題を、採用代行に出す場合の範囲です。

出せる工程。 離職者からの理由の収集(担当者が聞く)、五つの段階への当てはめ、募集の原稿の書き直し(実態を書く)、面接の観点と質問の設計(志向を確かめる)、面接者向けの役割の記述の共有、内定後の接点の運用、受け入れの型の提案。

社内に残す判断。 要件を決める、実態を言葉にする(大変な点、いま詰まっていること)、面接者の対応、条件、受け入れの実行。

外注の効きどころ。 理由の収集は、担当者のほうが本音を聞きやすい。原稿と面接の設計は、実態を社内から聞き取れれば、担当者が形にできる。

外注しても動かない場合。 社内が実態を言葉にしない(良いことだけを伝えたい)、面接者が実態を話さない、受け入れが実行されない。社内の問題で、代行を替えても直りません。

早期離職の対策は、「実態を伝える」ことに尽きます。実態を言葉にするのは社内で、それを募集と面接に組み込むのは担当者です。

エラベルの見解

担当する側から見ると、早期離職で最も困るのは「社内が、実態を伝えることを嫌がる」ことです。「大変な点を書いたら応募が減る」「面接で課題を話したら辞退される」。実態を隠して採り、入社後に分かって辞められる。減った応募と辞退より、早期離職のほうが、はるかに損失が大きい。

実態を伝えれば、応募は減り、辞退も出ます。しかし、減った分と辞退した分は、入社しても早期に離れる人です。入社前に離れるほうが、双方の損失は小さい。

発注側にできるのは、「実態を伝えて、合う人だけを採る」と決めることです。決まれば、担当者は原稿と面接に実態を組み込めます。決まらなければ、担当者は良いことだけを書き、早期離職は続きます。

まとめ

よくある質問

早期離職は、職場や上司の問題ではないのですか

職場や上司に原因がある場合もあります。ただし、離職者に「どの段階で分かっていれば入社しなかったか」を聞くと、「募集で」「面接で」と答えることが多い。職場や上司の実態を、募集と面接で伝えていれば、合わない人は入社前に離れます。職場の改善と、採用での実態の伝達は、両方が要りますが、後者は次の採用からすぐに変えられます。

実態(大変な点)を募集や面接で伝えると、応募や承諾が減りませんか

減ります。減るのは、実態と合わない人で、入社しても早期に離れる人です。入社前に離れるほうが、採用の費用と、入社後の育成の費用と、離職の損失を、全部避けられます。「実態を伝えて、合う人だけを採る」ほうが、結果として採用の効率は上がります。

離職者が理由を話してくれません

直属の上司ではなく、人事の別の人か代行の担当者が、選択肢と一言で、参考のためとして聞いてください。退職の意思を伝えたときと、退職後しばらくの二回。それでも出なければ、時期(早いほど採用の段階)と、選考の経緯(面接で何を伝えたか、条件提示の経緯)から推測し、募集と面接で実態を伝える対策から始めます。