採用代行 / 採用の課題
急な欠員をどう埋めるか|「同じ人を採る」と決めつけず、「空いた役割」を分けて、埋め方を三つ並べる
主力の一人が、来月末で辞めると言ってきた。引き継ぎは一か月。その人がやっていた仕事を、誰が担うのか。「同じ経験の人を急いで採ろう」と求人を出すが、市場にいない。いても、応募から入社まで三か月。その間、残った人がその人の仕事を抱え、疲弊し、次の退職の話が出る。結論を先に書くと、急な欠員は、「同じ人を採る」と決めつけると、埋まりません。辞める人がやっていた仕事を「役割」に分け、役割ごとに「内部で埋める」「外から採る」「一時的に外に出す」の三つを並べます。全部を外から採る必要は無く、全部を内部で抱える必要もありません。並べれば、最も早く、残った人を守る埋め方が見えます。急な増員の対応は急な増員要請に対応できないに、急な欠員でのスカウトは急な欠員でスカウトを立ち上げるにまとめています。
急な欠員で起きていること
急な欠員が出た会社では、次のことが起きています。
| 起きていること | 背景 |
|---|---|
| 「同じ人を採ろう」で求人を出す | 辞める人の経歴をそのまま要件にして、市場にいない人を探す |
| 辞める人の仕事の全体が、見えていない | 何をしていたかを、本人しか知らない。引き継ぎで初めて分かる |
| 残った人が、全部を抱える | 「採れるまで頑張って」で、残った人の負担が倍になる |
| 引き継ぎが、間に合わない | 一か月で全部を引き継ごうとして、浅い引き継ぎになる |
| 焦って採って、失敗する | 「早く埋めたい」で見極めを省き、合わない人を採り、また辞める |
| 次の退職が出る | 残った人が疲弊し、「自分も」と辞める。欠員が連鎖する |
| 欠員が、毎回「急」 | 退職の見込みを持っておらず、毎回突然 |
欠員の問題は、「採れない」より「残った人が疲弊する」ことのほうが、深刻です。採用と、残った人を守ることの両方が要ります。
最初の一週間でやること
退職の申し出があったら、最初の一週間でやることです。
一日目:辞める人の仕事を、書き出してもらう。 「毎日・毎週・毎月やっていること」「担当している顧客や案件」「自分しか知らないこと」「判断していること」。本人に、一枚で。引き継ぎの前に、全体を見ます。
二日目:仕事を、役割に分ける。 書き出した仕事を、「役割」の単位に分けます(次の章)。一人の仕事は、複数の役割の集まりです。
三日目:役割ごとに、埋め方を三つ並べる。 内部で埋める、外から採る、一時的に外に出す。役割ごとに、どれが最も早く、残った人を守るか。
四日目:残った人と、話す。 「この役割は〇〇さんに、この役割は外から、この役割は一時的に外に。あなたの負担は、この範囲で、いつまで」。負担の範囲と期限を、明確に。
五日目:外から採る役割の、求人を動かす。 役割の一行、必須の要件、条件の幅で。急ぎの経路(紹介、社員の紹介、過去の応募者、スカウト)を同時に。動き方は急な増員要請に対応できないに書いています。
五日目:一時的に外に出す役割の、相手を探す。 業務委託、副業、派遣、採用代行。契約の形と法令上の扱いは専門家に確認します。
引き継ぎの計画を、役割ごとに立てる。 内部で埋める役割は、埋める人への引き継ぎ。外から採る役割は、書面と記録への引き継ぎ(採れるまで、誰かが書面で回す)。
一週間の要点は、「役割に分けてから動く」ことです。分けずに「同じ人を採ろう」と動くと、市場にいない人を探し続けます。
空いた役割の分け方
辞める人の仕事を、役割に分けます。
| 分け方の軸 | 例 |
|---|---|
| 判断か作業か | 「顧客への提案の内容を決める」は判断。「提案書を作る」は作業。判断は内部で、作業は外に出せることが多い |
| 専門か汎用か | 「〇〇の設計」は専門。「日程の調整」「資料の整理」は汎用。専門は採用か一時的な外部、汎用は内部で分担 |
| 継続か単発か | 「毎日の顧客対応」は継続。「今期の〇〇の立ち上げ」は単発。単発は一時的な外部が合う |
| 関係が要るか | 「長い付き合いの顧客の担当」は関係が要る。内部で引き継ぐか、時間をかけて外から採った人に移す |
| 本人しか知らないか | 「〇〇の手順は本人の頭の中」。引き継ぎで書面にする。書面になれば、誰でも担える |
分けると、一人の仕事が「判断の役割が二つ、専門の作業が一つ、汎用の作業が三つ、関係が要る担当が一つ」のように見えます。
「同じ人を採る」は、この全部を一人で担える人を探すことです。市場にいません。分ければ、それぞれに合った埋め方があります。
埋め方の三つ
役割ごとに、三つの埋め方を並べます。
| 埋め方 | 向いている役割 | 注意 |
|---|---|---|
| 内部で埋める | 判断の役割、関係が要る役割、汎用の作業 | 埋める人の負担を、範囲と期限で明確に。埋める人の元の仕事を、誰かが引き取る |
| 外から採る | 専門の役割、継続する役割、内部に担える人がいない役割 | 「辞める人と同じ人」ではなく、「この役割の人」を採る。要件は役割から |
| 一時的に外に出す | 単発の役割、専門の作業、外から採れるまでのつなぎ | 業務委託、副業、派遣、採用代行。契約の形と法令上の扱いは専門家に確認。「一時的」の期限を決める |
三つを組み合わせます。「判断は責任者が一時的に、専門の作業は業務委託で三か月、汎用の作業は残った人で分担、継続する役割は外から採る(三か月)」。
組み合わせの要点は、「外から採る役割を、最小にする」ことです。採る役割が小さければ、要件も小さくなり、市場にいる人が増え、早く採れます。
エラベルの見解
相談で最も多い失敗は、「主力が辞めるので、同じ経験の人を求人票の要件にして半年募集し、誰も来ず、その間に残った二人が疲弊して一人辞めた」というものです。辞める人の仕事を役割に分けると、「判断が二つ、専門が一つ、汎用が四つ」でした。判断は責任者が引き取り、専門は業務委託で、汎用は残った人と新しく採る若手で分担。外から採る役割は「継続する顧客対応」だけになり、要件が小さくなって、二か月で採れました。同じ人を探し続けた半年が、無駄でした。
見ていて差がつくのは、担当者が「辞める人の仕事を分ける」ところから入るかどうかです。「同じ経験の方を探します」と求人を出す担当者と、「まず、辞める方の仕事を役割に分けて、外から採る役割を絞りましょう。全部を一人で探すと、市場にいません」と分ける担当者がいます。後者は、早く埋めます。
発注側にできるのは、担当者に「辞める人の経歴」ではなく「辞める人の仕事の一覧」を渡すことです。
同じ人を採ろうとしない判断
「同じ人を採る」をやめる判断の材料です。
辞める人は、時間をかけて今の状態になった。 入社時から全部できたわけではありません。同じ状態の人を外から探すのは、「数年分の成長を経た人」を探すことです。
同じ人がいても、同じ役割を担うとは限らない。 経歴が同じでも、自社の顧客と関係と手順を知りません。入社後に覚える時間が要ります。
役割を分ければ、要件は小さくなる。 「全部できる人」から「この役割の人」に変われば、市場にいる人が増えます。
欠員は、役割を見直す機会。 「この役割は、本当に一人が全部担うべきか」「分けたほうが、組織として強いか」。辞める人の仕事の分け方が、次の組織の形になります。
「同じ人」に固執する現場には、市場の情報を見せる。 「この要件で、紹介会社二社が該当者なしと言っている」。記録で。
採れるまでの間の設計が、採用と同じくらい重い。 「同じ人を三か月かけて採る」より、「役割を分けて、一か月で埋まる形にする」ほうが、残った人を守ります。
判断の要点は、「辞める人の穴」ではなく「空いた役割」を見ることです。穴を埋めようとすると、同じ形の人を探します。役割を見れば、埋め方は複数あります。
残った人を守る設計
欠員の間、残った人を守る設計です。守れなければ、次の退職が出ます。
負担の範囲と期限を、明確に伝える。 「この役割を、〇月まで担ってほしい。〇月に外から採った人に移す」。範囲と期限が無いと、「いつまで続くのか」で疲弊します。
元の仕事を、減らす。 欠員の役割を引き取る人の、元の仕事の一部を、他に回すか止めます。「上乗せ」ではなく「入れ替え」。
責任者が、判断の役割を引き取る。 辞める人が担っていた判断を、残ったメンバーに載せない。責任者が一時的に持ちます。
一時的な外部を、早く入れる。 「採れるまで残った人で」ではなく、「採れるまで外部で」。業務委託や派遣や採用代行を、一週間以内に。
残った人と、週に一度話す。 「負担はどうか」「限界に近いか」。限界の前に、手を打ちます。
残った人への評価と処遇を、責任者が考える。 欠員の間の負担を、評価に反映するか、一時的な手当を出すか。制度は社内の規程と法令に沿い、専門家に確認します。
「頑張って」を言わない。 「頑張って」は、範囲と期限の無い依頼です。「この範囲を、いつまで、その代わりにこれを減らす」と言います。
守る設計の要点は、「範囲と期限と入れ替え」です。三つが無い「頑張って」は、次の退職を呼びます。
欠員を減らす備え
欠員は、毎回「急」に見えますが、備えで減らせます。
退職の兆候を、見る仕組みを持つ。 定期の一対一の面談、負担の確認。兆候が見えれば、「急」ではなくなります。
役割の記述を、主要な役割で持っておく。 誰かが辞めたとき、「何が空くか」がすぐ分かります。ジョブディスクリプションがないの一枚。
「本人しか知らない」を、減らしておく。 手順の書面化、顧客の情報の共有、判断の基準の共有。一人に集中している仕事を、普段から分けておきます。
一人が全部を担う役割を、作らない。 主要な役割は、二人以上が担えるか、書面があるか。「この人が辞めたら止まる」を、普段から無くします。
退職の見込みを、要員計画に入れる。 過去の記録からの見込みを入れておけば、欠員の補充は「計画の一部」になります。要員計画と採用計画がつながっていないに書いています。
急ぎに効く経路を、普段から持っておく。 紹介会社との関係、社員の紹介、過去の応募者の記録、一時的な外部の相手。急ぎの備えは急な増員要請に対応できないに書いています。
引き継ぎの型を持っておく。 「辞める人が書き出す一枚」「役割の分け方」「引き継ぎの計画」。型があれば、一週間で回ります。
備えの要点は、「一人に集中させない」ことです。集中していなければ、欠員は「役割の一部が空く」で済みます。
外注する場合の範囲
急な欠員への対応を、採用代行に出す場合の範囲です。
出せる工程。 辞める人の仕事の書き出しの型と進行、役割への分解、埋め方の三つの並べ方の案、残った人との話し合いの材料(範囲と期限)、外から採る役割の求人(役割の一行、必須、条件)、急ぎの経路の同時の立ち上げ、一時的な外部の相手の候補の整理(契約の形は専門家の確認を経て)、引き継ぎの計画の型、採れるまでの間の運用(受付、返信、日程、連絡)、残った人の負担の確認の型、欠員を減らす備えの整備。
社内に残す判断。 役割の分け方の決定、埋め方の決定(内部・外部・一時的)、残った人への依頼と入れ替えの決定、責任者が引き取る判断の範囲、要件と条件、契約の形(専門家との連携)、評価と処遇。
外注の効きどころ。 急な欠員は、「役割に分ける」ことと「同時に複数を動かす」ことが要点で、社内の人が本業と引き継ぎと並行して行うのは難しい工程です。担当者が分解と並べ方を進め、外から採る役割の経路を立ち上げ、採れるまでの運用を回せば、社内は「埋め方を決める」「残った人と話す」「引き継ぎを受ける」に集中できます。担当者は複数の会社の欠員を見ているので、「この役割は内部、この役割は一時的な外部」の型を持ち込めます。
外注しても動かない場合。 現場が「同じ人でないと困る」を譲らない、責任者が判断の役割を引き取らない、残った人への入れ替えをしない。社内の判断で、代行を替えても直りません。
急な欠員は、役割に分けて、三つの埋め方を並べれば、埋まります。外注は、分けて並べる手順と、動く人を置く手段です。
エラベルの見解
担当する側から見ると、欠員の相談で最も多いのは、「辞める人の仕事の全体を、誰も知らない」ことです。「〇〇さんが辞めるので、〇〇さんと同じ人を」と言われて、「〇〇さんは何をしていたのですか」と聞くと、答えられない。引き継ぎで初めて、「こんなこともやっていたのか」と分かる。
辞める人に「毎日・毎週・毎月やっていること、自分しか知らないこと、判断していること」を一枚で書き出してもらう。それが、欠員の対応の出発点です。書き出しが無いと、役割に分けられず、埋め方も決められず、「同じ人」を探すしかなくなります。
発注側にできるのは、退職の申し出があった日に、辞める人に「仕事の一覧を一枚で」と頼むことです。引き継ぎの前に、全体を見ます。
まとめ
- 起きているのは同じ人を採ろうとする・仕事の全体が見えていない・残った人が全部抱える・引き継ぎが間に合わない・焦って失敗・次の退職・毎回急
- 最初の一週間は仕事の書き出し・役割に分ける・埋め方を三つ並べる・残った人と話す・求人を動かす・一時的な外部を探す・引き継ぎの計画。分けてから動く
- 役割は判断か作業か・専門か汎用か・継続か単発か・関係が要るか・本人しか知らないかで分ける
- 埋め方は内部で埋める(判断・関係・汎用)・外から採る(専門・継続・内部にいない)・一時的に外に出す(単発・専門の作業・つなぎ)を組み合わせ、外から採る役割を最小に
- 同じ人を採らないのは時間をかけて今の状態・同じ人でも覚える時間・分ければ要件が小さい・役割を見直す機会・市場の情報を見せる・採れるまでの設計が重いから
- 残った人は範囲と期限・元の仕事を減らす・判断は責任者が・一時的な外部を早く・週に一度話す・評価と処遇・「頑張って」を言わないで守る
- 備えは兆候を見る仕組み・役割の記述・本人しか知らないを減らす・一人に集中させない・退職の見込みを計画に・急ぎの経路・引き継ぎの型
- 外注できるのは書き出しの型・分解・並べ方・材料・求人・経路・外部の候補・引き継ぎの型・採れるまでの運用・負担の確認・備え。社内に残るのは分け方・埋め方・依頼と入れ替え・引き取る範囲・要件と条件・契約の形・評価と処遇
よくある質問
辞める人と同じ経験の人を、急いで採るべきですか
「同じ人」は、市場にいないことが多く、いても自社の顧客と手順を覚える時間が要ります。辞める人の仕事を役割に分け、「内部で埋める」「外から採る」「一時的に外に出す」の三つを並べます。外から採る役割を最小に絞れば、要件が小さくなり、市場にいる人が増え、早く採れます。「同じ人」を探し続ける間に、残った人が疲弊して次の退職が出ることが、最も避けたい事態です。
引き継ぎが一か月しかありません
一か月で全部を引き継ごうとせず、役割ごとに引き継ぎ先を分けます。内部で埋める役割は、埋める人へ直接。外から採る役割は、採れるまでの間、書面と記録に引き継ぎ(手順、顧客の情報、判断の基準を書面に)、一時的に誰かが書面で回す。一時的に外に出す役割は、外部の相手へ。「本人しか知らないこと」を最優先で書面にします。全部を一人に引き継ぐ形が、一か月で最も浅くなります。
残った人が「自分も辞める」と言い始めました
負担の範囲と期限が無いことが原因であることが多いです。「この役割を、〇月まで。〇月に外から採った人に移す。その代わり、元の仕事の△△は他に回す」と、範囲と期限と入れ替えを明確に伝えます。判断の役割は責任者が引き取り、一時的な外部を一週間以内に入れ、週に一度負担を確認します。欠員の間の負担を評価と処遇にどう反映するかも、責任者が考えます。「採れるまで頑張って」は、次の退職を呼びます。