採用代行 / 採用の課題

面接で何を聞けばよいか分からない|「良い質問」を探すのをやめて、観点ごとに「過去の場面を聞く」型で作る

公開 2026-09-13

面接の時間になる。履歴書を見ながら、「これまでのご経歴を教えてください」から始め、経歴を順に確認し、「志望動機は」と聞き、残りは雑談。終わって、候補者の何が分かったかを聞かれると、「感じは良かった」としか言えない。結論を先に書くと、面接で何を聞けばよいか分からないのは、「良い質問」を探しているからです。良い質問は、観点が無ければ作れません。先に「何を確認するか」を三〜四つに絞り、観点ごとに「過去の具体的な場面を聞く」型で質問を作ります。型があれば、質問は自分で作れ、面接官全員が同じ観点を確認できます。基準の作り方は評価基準が言語化できていないに、一枚にまとめる方法は構造化面接を入れたいが手が回らないにまとめています。

聞くことが無い構造

面接で聞くことが無いのは、次の構造で起きます。

構造起きていること
観点が無い「何を確認するか」が無いので、質問が作れない。経歴の確認と雑談になる
「良い質問」を探している質問の例を集めても、自社の役割に合わなければ使えない
履歴書を読み上げている「〇〇社で△△をされていたんですね」の確認だけで、時間が過ぎる
仮定の質問をしている「もし〇〇だったらどうしますか」。答えは想像で、確認にならない
志望動機と自己PRで終わる候補者が用意してきた答えを聞くだけ。用意していないことが分からない
面接官が話しすぎる会社の説明に時間を使い、候補者の話を聞く時間が無い
聞いた後、どう判定するかが無い聞いても、通す・通さないの基準が無いので、聞く意味が無い

質問が無いのは、質問の問題ではなく、観点と基準の問題です。観点から作ります。

質問の前に決める観点

質問の前に、「何を確認するか」を決めます。

役割の記述から取る。 ジョブディスクリプションがないの一枚の「何ができないと詰まるか」が、観点の元です。「顧客の要望を聞き取って提案にまとめる経験」「自分で優先順位を決めて進める」「三名以上のチームを動かした経験」。

三〜四つに絞る。 観点が多いと、一つひとつが浅くなります。三十分の面接で確認できるのは、三〜四つです。

段階で分ける。 一次は経験の深さと役割の認識、二次は組織との相性、最終は通すかどうかと訴求。同じ観点を三回聞きません。

「見ない観点」も決める。 学歴、年齢、私的な事情。法令上の扱いがあるものは、専門家に確認のうえ、「聞かない」と決めます。

観点ごとに、通す状態と通さない状態を書く。 「自分で設計し、判断した場面を具体的に語れる(通す)/所属した事実は語れるが、自分が何を決めたかを語れない(通さない)」。質問は、この状態を確認するために作ります。

観点が決まれば、「この観点を確認するには、何を聞けばよいか」と考えられます。観点が無いまま「良い質問」を探しても、見つかりません。

過去の場面を聞く型

質問の型は、一つです。「過去の具体的な場面を聞く」。

型。 「〇〇(観点に関わること)をした場面を、一つ教えてください。そのとき、何を、どう決めましたか」。

なぜ過去の場面か。 仮定の質問(「もし〇〇なら」)の答えは、想像です。過去の場面の答えは、事実です。事実は、具体性で確認できます。「自分で決めた」人は、場面と判断の理由を語れます。「決めていない」人は、場面が曖昧になります。

一つの場面を、深く。 「いろいろやりました」と広く語られたら、「その中で、一つ選んで、詳しく教えてください」。一つの場面を深く聞くほうが、経験の深さが分かります。

「何を」「どう決めた」「結果は」「今ならどうする」。 場面→判断→結果→振り返り、の順に聞きます。判断の理由を語れるか、結果を自分の責任の範囲で語れるか、振り返りがあるか。

用意された答えを外す。 志望動機と自己PRは、候補者が用意しています。過去の場面の質問は、用意しにくく、その場で考えて答えます。用意していないことが見えます。

答えを、基準と照らす。 聞いた後、「通す状態」に当てはまるか、「通さない状態」に当てはまるかを判定します。判定できなければ、「判断できず」として記録し、質問を直す材料にします。

型が一つなら、面接官は迷いません。「観点に関わる過去の場面を、一つ、深く」。

観点ごとの質問の例

型に沿った質問の例です。自社の役割に合わせて、言葉を変えます。

観点質問通す状態の目安
経験の深さ「〇〇を設計した場面を一つ教えてください。何を、どう決めましたか」自分で決めた判断と、その理由を具体的に語れる
役割の認識「この役割は〇〇を決める役割です。ご経験のどこが活きて、どこは新しく覚えることになると思いますか」活きる部分と覚える部分を、自分の言葉で分けられる
自分で進める力「指示が無い状態で、自分で優先順位を決めて進めた場面を教えてください」優先順位の理由と、進めた結果を語れる
人を動かす経験「複数の人を動かして何かを成し遂げた場面で、最も難しかったことは何でしたか」難しさの中身と、どう対処したかを語れる
失敗と振り返り「うまくいかなかった場面を一つ教えてください。今なら、どうしますか」自分の責任の範囲を含めて語り、振り返りがある
覚え方「新しいことを覚えなければならなかった場面で、どうやって覚えましたか」方法を具体的に語れる
分からないときの動き「分からないことがあったとき、どうしましたか」聞ける人か、抱える人か。具体的な場面で
会社の型との相性「前の会社のやり方と違う場面で、どうしましたか」違いへの対処を語れる。「前はこうだった」を押し通さない

質問は、観点ごとに二〜三個で足ります。全部を聞く必要は無く、一つの質問で観点が確認できれば、次の観点に進みます。

聞いてはいけないこと

面接で聞いてはいけないことがあります。

私的な事情。 家族構成、結婚や出産の予定、住まいの事情、宗教、支持する政党、など。法令上の扱いがあり、選考に使ってはいけないものがあります。専門家に確認のうえ、面接官に「聞かない一覧」として共有します。

年齢や性別を理由にした質問。 「この年齢で大丈夫ですか」「女性でもできますか」。法令上の扱いがあります。

健康に関すること。 業務に直接関わる範囲を超えて、病歴や体調を聞くことは避けます。扱いは専門家に確認します。

前職の機密。 「前の会社の顧客の情報を教えてください」。候補者に守秘義務があり、聞くこと自体が問題です。

答えを誘導する質問。 「〇〇は得意ですよね」。「はい」しか返ってきません。

候補者を試す質問。 「圧迫」の形。候補者の信用を失い、口コミに書かれます。

雑談の中で、私的な事情に踏み込む。 雑談で「お子さんは」と聞くのも、選考の場では避けます。

聞いてはいけないことは、面接官の善意に関わらず、聞いてしまうことがあります。一覧にして、面接官全員に渡します。

エラベルの見解

相談で最も多い失敗は、「面接の質問集を買ってきて、面接官に配ったが、質問が自社の役割に合わず、使われなかった」というものです。質問集は、他社の役割のための質問です。自社の役割の記述から観点を三つ取り、観点ごとに「過去の場面を聞く」型で質問を作ったら、面接官は「これなら聞ける」と使い始めました。質問は、探すものではなく、観点から作るものでした。

見ていて差がつくのは、担当者が「質問」ではなく「観点」から入るかどうかです。「面接の質問を用意します」と言う担当者と、「まず、この役割で確認する観点を三つ決めましょう。質問はそこから作ります」と言う担当者がいます。後者の質問は、役割に合い、面接官が使います。

発注側にできるのは、担当者に「良い質問を教えてほしい」ではなく、「役割から観点を決めて、質問を作ってほしい」と依頼することです。

深掘りの仕方

質問の後、答えを深掘りする方法です。深掘りが、確認の質を決めます。

「具体的には」。 抽象的な答え(「調整しました」「対応しました」)には、「具体的には、何をしましたか」。

「なぜそう決めたのですか」。 判断の理由を聞きます。理由が語れるかどうかが、自分で決めたかどうかの目安です。

「あなたの役割は」。 チームでの成果を語られたら、「その中で、あなたが担った部分はどこですか」。

「結果はどうなりましたか」。 成果と、うまくいかなかった部分の両方を。

「今なら、どうしますか」。 振り返りがあるか。

「他には」。 一つの場面で確認できなければ、「他に似た場面はありますか」。

沈黙を待つ。 候補者が考えている間、面接官が埋めない。考えて答える時間が、その場で考えている証拠です。

深掘りで、観点を外れない。 面白い話に引っ張られて、観点から外れると、確認ができません。「話を戻しますが」で、観点に戻ります。

深掘りは、面接官の力です。一枚で質問の入口を揃え、深掘りは面接官に任せます。

質問を直す運用

質問は、使って直します。

記録に「判断できず」の欄を持つ。 質問しても観点が確認できなかった場合、「判断できず」と記録します。

「判断できず」が多い質問を、直す。 答えにくい、抽象的な答えしか返らない、観点とずれている。質問の言葉を変えます。

面接官に、「使いにくかった質問」を聞く。 月に一度、三十分。「この質問は答えが薄い」「この質問は観点と違うことが返ってくる」。面接官の実感で直します。

通した人の入社後と、照らす。 「面接で〇〇の観点を確認したはずが、入社後にできなかった」なら、質問が観点を確認できていません。

質問を増やしすぎない。 観点ごとに二〜三個。「良い質問を思いついた」で足していくと、一枚に収まらなくなります。

変えた理由を記録する。 「〇〇の質問を△△に変えた。理由は判断できずが多かったから」。

質問は仮説です。記録と面接官の実感と入社後で検証し、直します。

外注する場合の範囲

面接の質問の問題を、採用代行に出す場合の範囲です。

出せる工程。 役割からの観点の抽出、観点ごとの質問の作成(過去の場面を聞く型で)、通す状態と通さない状態の文の案、聞いてはいけないことの一覧(専門家の確認を経て)、深掘りの型、面接官向けの一枚、面接への同席と振り返り、記録の集計(判断できずの多い質問)、質問の修正、入社後との照合の材料。

社内に残す判断。 観点の決定、通す状態と通さない状態の決定、見ない観点の決定(法令上の扱いは専門家と)、判定そのもの、質問の変更の承認。

外注の効きどころ。 質問の問題は、観点の問題です。担当者が役割から観点を取り、型で質問を作れば、面接官は「何を聞くか」で迷わなくなります。担当者は複数の会社の面接を見ているので、「答えが薄い質問」「観点を確認できる質問」の経験を持ち込めます。聞いてはいけないことの一覧も、担当者が専門家の確認を経て用意できます。

外注しても動かない場合。 面接官が一枚を使わない、履歴書の読み上げと雑談を変えない、記録を取らない。社内の判断で、代行を替えても直りません。

質問は、観点から作れます。外注は、観点と型を持ち込む手段です。

エラベルの見解

担当する側から見ると、質問の相談で最も多いのは、「面接官が話しすぎている」ことです。三十分の面接で、二十分を会社の説明と自分の話に使い、候補者の話を聞くのは十分。それで「何が分かったか分からない」のは、当然です。

面接は、候補者に話してもらう場です。会社の説明は、面接の前に資料で渡すか、面接の最後の五分に。「聞く時間を二十分以上取る」と決めるだけで、面接で分かることは倍になります。

発注側にできるのは、面接官に「面接の時間の三分の二は、候補者が話す時間」と伝えることです。

まとめ

よくある質問

面接の質問集を参考にしてもよいですか

参考にはなりますが、質問集は他社の役割のための質問です。自社の役割から観点を三〜四つ決め、観点ごとに「過去の具体的な場面を聞く」型で作るほうが、役割に合い、面接官が使います。質問集の質問を使うなら、「この質問は、自社のどの観点を確認するか」を一つずつ当て、当たらない質問は使いません。

候補者が用意してきた答えばかりで、本当のところが分かりません

志望動機と自己PRは、候補者が用意しています。「過去の具体的な場面を一つ、深く」の質問は、用意しにくく、その場で考えて答えます。「〇〇した場面を一つ教えてください。そのとき、何を、どう決めましたか」と聞き、「具体的には」「なぜそう決めたのですか」「あなたの役割は」で深掘りすれば、用意していない部分が見えます。沈黙を待つことも要点です。

面接官によって、聞くことが違います

観点と質問の入口を一枚にして、面接官全員に渡します。「何を見るか」と「最初の質問」を揃え、深掘りは面接官に任せます。同じ観点を同じ質問で確認すれば、面接官が違っても判定の材料が揃います。一枚の作り方は構造化面接を入れたいが手が回らないに書いています。