採用代行 / 採用の課題

年収交渉で毎回折り合わない|内定の場で初めて額を出すのをやめて、面接の早い段階からすり合わせる

公開 2026-09-13

面接を三回通して、内定を出した。条件を伝えると、候補者から「希望より低い」と返ってくる。社内で上げられるか相談し、一週間かけて少し上げて再提示、候補者は「他社と比べて決めたい」と言い、結局辞退。毎回、内定の後にこれが起きる。結論を先に書くと、年収交渉で毎回折り合わないのは、交渉の技術の問題ではなく、「内定の場で初めて額を出している」構造の問題です。面接の早い段階で候補者の希望と自社の幅をすり合わせておけば、内定の場は「確認」になり、交渉にはなりません。提示年収が市場と合っていない場合は提示年収が市場と合っていないに、年収の提示を代行に任せる話は候補者への年収提示を代行に任せてよいかにまとめています。

折り合わない構造

年収交渉で折り合わないのは、次の構造で起きます。

構造起きていること
内定の場で初めて額を出す面接では年収の話をせず、内定の通知で初めて額が出る。候補者は「聞いていない」と感じる
候補者の希望を、面接で聞いていない希望を知らずに社内で額を決め、出してから開きに気づく
求人票の幅が広く、候補者は上限を期待している「〇〇〜△△円」の上限を見て応募し、下限に近い提示に落胆する
社内の決裁に時間がかかる提示の額を変えるたびに、責任者の承認が要り、一週間かかる。その間に他社が決まる
提示の根拠を、候補者に説明していない「規定により」では、候補者は納得しない。なぜこの額かが無い
候補者が複数社を比べている自社だけと交渉している前提で進めるが、候補者は他社の提示と比べている
年収以外の条件が、交渉の材料になっていない額だけの交渉になり、額で負ければ終わる

内定の場での交渉は、候補者にとっては「最後に条件を突きつけられた」場面です。面接の中ですり合わせていれば、その場面は来ません。

面接の早い段階で希望を聞く

すり合わせは、一次面接から始めます。

一次面接で、希望の幅を聞く。 「差し支えなければ、年収の希望の幅を教えてください」「現在の水準は、聞ける範囲で」。一次で聞くのは、早すぎではありません。開きが大きければ、二次に進む前に、お互いに判断できます。個人情報の扱いは社内の規程に沿います。

自社の幅と、決め方を、一次で伝える。 「この役割の幅は〇〇〜△△で、経験と、面接で確認する〇〇の深さで決めます」。候補者は、自分がどこに入りそうかを想像できます。

二次面接で、候補者の位置を伝える。 「一次と二次で伺った経験から、〇〇の幅で考えています」。内定の前に、候補者は額の目安を知ります。開きがあれば、ここで話します。

最終面接の前に、社内で額を決めておく。 最終面接で「通す」と決めたとき、額も決まっている状態にします。最終の後に社内で額を決め始めると、一週間かかります。

内定の場は、確認にする。 「二次でお伝えした幅の中で、〇〇円です。内訳はこうです」。候補者にとって、初めて聞く額ではありません。

開きが埋まらないと分かったら、早く伝える。 一次で聞いた希望が、自社の上限を大きく超えていれば、「この役割の幅では、ご希望に届きません。それでも進みますか」と、一次の後に伝えます。三回面接して内定の場で分かるより、お互いに時間を無駄にしません。

早い段階で聞くことに抵抗がある会社は、「年収の話を先にすると、お金目当てに見える」と考えています。候補者は、年収を含めて会社を選んでいます。先に話すほうが、誠実です。

提示の額の決め方

提示の額を、根拠を持って決めます。

役割と経験で、幅の中の位置を決める。 「この役割の幅の中で、〇〇の経験がこの深さなら、この位置」。基準が書面にあれば、候補者ごとに迷いません。

候補者の希望と、現在の水準を、判断の材料に入れる。 希望を知らずに決めた額は、外れます。希望と現在の水準を聞き、自社の幅と重ねて、提示の額を決めます。

既存社員との整合を、事前に決めておく。 「同じ役割の既存社員の幅を超えない」「役割が違えば別の幅」。内定のたびに考えると、時間がかかります。整合の考え方は提示年収が市場と合っていないに書いています。

上げられる余地を、最初から決めておく。 「初回の提示はここ、候補者の反応で、ここまでは上げられる」。余地を最初から決めておけば、決裁の往復が無く、その場で答えられます。余地の上限は責任者の承認を先に取ります。

内訳を決めておく。 基本給、賞与、手当、残業代の扱い。額だけでなく、内訳を説明できる状態に。制度の内容は社内の規程のとおりに正確に。

根拠を、候補者に説明できる形にする。 「〇〇の経験がこの深さなので、幅の中でこの位置です。△△の成果で、この水準に上がります」。「規定により」ではなく、候補者の経験と役割で説明します。

額の決め方が書面になっていれば、決裁は「基準に沿っているか」の確認だけになり、速くなります。

交渉の場での伝え方

内定の場で、額を伝える型です。

場面伝え方
額の提示「二次でお伝えした幅の中で、〇〇円です」。面接で伝えた幅と対応させる
根拠「〇〇の経験がこの深さなので、この位置です」。候補者の経験に基づいて
内訳基本給、賞与の考え方、手当、残業代の扱いを、書面で渡す
見通し「△△の成果で、この水準に上がります」。制度のとおりに。誇張しない
候補者の反応「ご希望との開きはありますか」と聞く。開きがあれば、その場で理由を聞く
上げられる場合事前に決めた余地の中で、その場で答える。「〇〇までは調整できます」
上げられない場合理由を説明する。「この役割の幅の上限です。役割が変われば幅が変わります」
年収以外働き方、裁量、成長の機会、入社後の見通しを、事実として添える
期限「〇日までにお返事をいただけますか」。期限が無いと、他社を待って決まらない
他社との比較「他社と比べていらっしゃいますか」と聞く。比べているなら、比べる材料を渡す

伝え方の要点は、「その場で答えられる」ことです。「社内で確認します」が続くと、候補者は「この会社は決められない」と感じ、他社に進みます。

エラベルの見解

相談で最も多い失敗は、「面接で年収の話をしないのが礼儀だと思っていて、内定の場で初めて額を出し、毎回開きが出て辞退された」というものです。候補者は、一次面接で他社から年収の幅を聞いています。自社だけが内定まで言わないと、候補者は「この会社は条件を隠している」と感じます。一次で幅と決め方を伝え、二次で位置を伝えるようにしたら、内定の場での交渉は無くなりました。

見ていて差がつくのは、担当者が「上げられる余地を、事前に責任者から取っているか」です。内定の場で候補者が「希望より低い」と言ったとき、「社内で確認します」と持ち帰る担当者と、「〇〇までは調整できます。そのうえで、入社後の見通しはこうです」と、その場で答える担当者がいます。後者は、候補者を待たせません。

発注側にできるのは、内定の前に、「初回の提示」と「上げられる上限」を決めて、担当者に渡しておくことです。

上げられないときの選択肢

候補者の希望に届かない、上げられない場合の選択肢です。

役割を変えて、幅を変える。 候補者の経験が、より広い役割に見合うなら、役割を変えて、その役割の幅で提示します。役割が変われば、既存社員との整合の問題も変わります。

入社後の見通しを、制度で示す。 「入口はこの額、〇〇の成果で半年後にこの水準」。制度のとおりであることが前提です。口約束は、入社後の不信になります。

年収以外の条件で補う。 働き方(リモート、時間)、裁量、成長の機会、担当する領域の広さ。額で負けていても、候補者が重く見る条件があれば、選ばれることがあります。

候補者に、選ぶ材料を渡す。 「他社の提示と比べて、額では負けているかもしれません。ただ、役割と裁量と見通しはこうです」。隠さず、比べる材料を渡します。

縁が無かったと判断する。 開きが大きく、埋まらないなら、無理に上げて採るより、辞退を受け入れます。無理に上げた採用は、既存社員との整合と、次の採用の基準を崩します。

辞退の理由を記録する。 「条件で辞退」が続けば、提示年収が市場と合っていない兆候です。記録が、次の判断の材料になります。

上げられない判断は、経営者の判断です。人事と担当者は、上げずにできることを全部やり、それでも届かなければ、記録を残して次に活かします。

紹介会社経由の場合の進め方

紹介会社経由の候補者は、年収の交渉が紹介会社を通ります。

候補者の希望を、紹介会社から先に聞く。 推薦の時点で、紹介会社は候補者の希望を把握しています。面接の前に聞き、自社の幅との開きを確認します。

自社の幅と決め方を、紹介会社に伝えておく。 紹介会社が候補者に「この会社の幅はこう」と説明できれば、面接の前にすり合わせが進みます。

提示の前に、紹介会社に「この額で候補者は受けそうか」を聞く。 紹介会社は、候補者の本音を知っています。提示の前に聞けば、外れにくくなります。

紹介会社に、交渉を任せきりにしない。 紹介会社は、決まることに利害があります。候補者の希望を高めに伝えることも、自社の提示を低めに伝えることもあります。自社の幅と根拠は、自社から候補者に直接も伝えます。

手数料と提示年収の関係を、混ぜない。 提示年収を上げれば手数料も上がる形の契約では、額の判断に手数料が影響します。提示は、役割と経験で決めます。

辞退の理由を、紹介会社から聞く。 条件での辞退なら、他社の提示を紹介会社が知っていることがあります。次の判断の材料にします。

紹介会社は、すり合わせの助けになります。ただし、自社の幅と根拠を自社で持っていることが前提です。

外注する場合の範囲

年収交渉の問題を、採用代行に出す場合の範囲です。

出せる工程。 面接の各段階で年収をすり合わせる型の作成、面接での希望の聞き方の質問の用意、額の決め方の基準の案、内訳と見通しの説明の書面、内定の場での伝え方の型、候補者の希望と辞退の理由の記録と集計、紹介会社との年収の往復、候補者への条件の連絡(自社の幅と根拠に沿って)。

社内に残す判断。 幅と上限の決定、上げられる余地の承認、提示の額の決定、既存社員との整合、上げられないときの判断。

外注の効きどころ。 年収交渉は、型と、事前の準備で大半が決まります。担当者が型を作り、面接の各段階で聞き、記録を取り、内定の前に額と余地を社内から取り付ければ、内定の場は確認になります。担当者が候補者に条件を伝える場合は、社内で決めた幅と根拠に沿います。

外注しても動かない場合。 責任者が上げられる余地を事前に決めない、決裁に一週間かかる形を変えない、面接で年収の話をしない方針を変えない。社内の判断で、代行を替えても直りません。

年収交渉は、技術ではなく構造の問題です。外注は、構造を整える速さを上げる手段です。

エラベルの見解

担当する側から見ると、年収交渉の相談で最も多いのは、「決裁が遅い」ことです。候補者が「希望より低い」と言ってから、責任者に相談し、承認を取り、再提示するまでに一週間。候補者は、その一週間で他社の内定を受けています。

事前に「初回の提示」と「上げられる上限」を責任者から取っておけば、その場で答えられます。取っていない会社は、候補者のたびに決裁を回し、毎回遅れます。

発注側にできるのは、内定を出す前に、担当者に「初回と上限」を渡すことです。渡していなければ、担当者は持ち帰るしかありません。

まとめ

よくある質問

一次面接で年収の話をするのは、早すぎませんか

早すぎません。候補者は、他社の一次で年収の幅を聞いています。自社だけが内定まで言わないと、「条件を隠している」と感じます。一次で「希望の幅」を聞き、「自社の幅と決め方」を伝えれば、開きが大きい場合にお互いが早く判断でき、三回面接した後に辞退される時間の無駄が無くなります。「お金目当てに見える」という懸念は、候補者の側には当てはまりません。

候補者が「他社の提示のほうが高い」と言います

「他社と比べていらっしゃいますか」と聞いて、比べているなら、比べる材料を渡します。額で負けているなら、隠さず「額では届かないかもしれません」と認め、役割・裁量・見通し・働き方で、自社が上回る点を事実として伝えます。上げられる余地があれば、その場で答えます。それでも他社を選ぶなら、縁が無かったと判断し、辞退の理由を記録します。無理に上げて採ると、既存社員との整合と次の基準が崩れます。

毎回、決裁に一週間かかります

内定を出す前に、「初回の提示」と「上げられる上限」を責任者から取り付けておきます。基準(役割と経験で幅の中の位置を決める)が書面にあれば、決裁は「基準に沿っているか」の確認だけになり、内定の前に済ませられます。候補者が「希望より低い」と言ってから決裁を回す形では、毎回一週間かかり、その間に他社が決まります。