採用代行 / 採用の課題

障害者雇用の法定雇用率が達成できない|「数を満たす」ではなく、「役割を作り、受け入れを整え、続く雇用にする」から始める

公開 2026-09-13

障害者雇用の法定雇用率を満たしていない。「採らなければ」と求人を出したが、応募が来ない。来ても、何を任せればよいか分からず、面接で何を聞いてよいかも分からない。過去に採った人は、半年で辞めた。「数を満たす」ことだけが目的になっていて、何から手を付ければよいか分からない。結論を先に書くと、法定雇用率が達成できないのは、「数を満たす」ことから入っているからです。数から入ると、役割が無く、受け入れが無く、採っても続かず、また数が足りなくなります。「任せられる役割を作る」「受け入れの体制を整える」「続く雇用にする」から始めれば、結果として数が満たされます。制度の内容、支援の仕組み、法令上の扱いは、公的機関の案内と専門家で確認しながら進めます。受け入れの型の考え方は候補者体験が悪いまま放置されているの入社後の項目と共通です。法定雇用率の水準、対象となる範囲、届出、助成などの制度は、公的機関の案内と専門家(社労士など)で確認します。

達成できない構造

法定雇用率が達成できないのは、次の構造で起きます。

構造起きていること
「数を満たす」から入っている役割も受け入れも無いまま、「〇人採る」だけが目的。採っても続かない
任せる役割が無い「何をしてもらえばよいか分からない」。既存の仕事を切り出していない
受け入れの体制が無い配慮の内容、教える人、相談の窓口が無い。採った後に現場が困る
経路と支援の仕組みを知らない公的な支援の仕組み、専門の紹介の窓口、就労の支援の機関を使っていない
面接で何を聞いてよいか分からない配慮の確認と、私的な事情への踏み込みの線が分からず、聞けない
社内の理解が無い「なぜ採るか」「どう接するか」を、社内に説明していない
過去の失敗で止まっている「前に採った人が続かなかった」で、設計を見直さずに避けている
制度と法令の扱いを、確認していない対象、届出、支援の制度を、公的機関の案内と専門家で確認していない

構造の大半は、「数から入って、役割と受け入れを作っていない」ことです。

最初に整理すること

障害者雇用を進めるとき、最初に整理することです。

整理すること中身誰と
制度と法令の扱い法定雇用率の水準、対象となる範囲、届出、支援と助成の制度。最新の内容公的機関の案内、専門家(社労士など)
自社の現状現在の雇用の状況、不足の数、期限人事、専門家
任せられる役割の候補既存の業務の中で、切り出せる仕事。新たに作る仕事現場の責任者、人事
受け入れの体制配慮の内容、教える人、相談の窓口、社内の理解現場の責任者、人事、経営者
使える支援の仕組み公的な就労の支援の機関、専門の紹介の窓口、職場の定着の支援公的機関の案内、専門家
経営者の方針「数を満たす」ではなく「続く雇用にする」方針。経営者が社内に示す経営者

整理の要点は、「制度と法令は公的機関と専門家で確認し、役割と受け入れは社内で作る」ことです。両方が要ります。制度だけ分かっても役割が無ければ採れず、役割があっても制度を知らなければ支援を使えません。

役割の作り方

「何をしてもらえばよいか分からない」を、役割を作ることで解決します。

既存の業務を、書き出す。 各部署の業務を、細かく書き出します。「資料の整理」「データの入力」「備品の管理」「検品」「清掃」「メールの仕分け」「システムの確認」など。部署の責任者と一緒に。

切り出せる仕事を、探す。 書き出した業務の中で、「まとまった量がある」「手順が決まっている」「他の業務と切り離せる」ものを探します。複数の部署から集めて、一つの役割にする形もあります。

「本人の得意」から作る形も。 候補者の得意なこと(集中力、正確さ、特定の技能)に合わせて、役割を作る。採用の過程で、本人と支援の機関と相談しながら。

役割を、書面にする。 何を、どのくらいの量で、どういう手順で、誰と、どこで。役割の記述(ジョブディスクリプションがない)と同じ考え方で、配慮の項目を足します。

「数を満たすための仕事」にしない。 意味の無い仕事を作ると、本人も周囲も続きません。「会社にとって要る仕事」を切り出します。

役割は、本人に合わせて調整する。 最初に作った役割を固定せず、本人の得意と、周囲との関係を見て、調整します。支援の機関の助言を受けます。

役割の要点は、「会社にとって要る仕事を、切り出して、書面にする」ことです。役割が書面にあれば、求人票も、面接も、受け入れも、そこから作れます。

経路と支援の仕組み

障害者雇用には、公的な支援の仕組みと、専門の経路があります。制度の内容と使い方は、公的機関の案内と専門家で確認します。

経路・仕組み中身確認先
公的な職業紹介の障害者向けの窓口求人の受付、候補者の紹介、相談公的機関の案内
就労の支援の機関就労に向けた支援を行う機関。候補者の紹介、職場への定着の支援、会社への助言公的機関の案内
障害者雇用に特化した紹介会社や媒体候補者の紹介、求人の掲載各社の公式の案内
特別支援学校などの学校新卒の経路。実習の受け入れから学校との連携
職場の実習や体験の仕組み採用の前に、職場で実習や体験をしてもらう仕組み公的機関の案内、支援の機関
職場の定着の支援入社後、支援の機関の担当者が職場と本人を支える仕組み公的機関の案内、支援の機関
助成や支援の制度雇用や職場の環境の整備に関する助成や支援公的機関の案内、専門家

経路の要点は、「支援の機関と一緒に進める」ことです。会社だけで探し、会社だけで受け入れる形より、支援の機関の助言と定着の支援を受ける形のほうが、続く雇用になります。

制度の内容、対象、手続きは変わることがあります。公的機関の案内で、最新の内容を確認します。

エラベルの見解

相談で最も多い失敗は、「法定雇用率の期限が迫り、『とにかく〇人』で求人を出し、役割を決めずに採り、現場が『何をしてもらえばよいか分からない』で放置し、半年で辞めた。また数が足りなくなった」というものです。数から入ったので、役割も受け入れも無かった。既存の業務を書き出し、切り出せる仕事を役割にし、支援の機関と一緒に候補者を見て、実習から始め、定着の支援を受ける形にしたら、続く雇用になり、結果として数も満たされました。「数」ではなく「役割と受け入れ」からでした。

見ていて差がつくのは、担当者が「支援の機関と一緒に進める」ことを最初に提案するかどうかです。「障害者雇用の求人を出しましょう」で一般の求人と同じ流れにする担当者と、「まず制度を公的機関と専門家で確認し、役割を現場と切り出し、支援の機関に相談して、実習から始めましょう」と、支援の仕組みを使う担当者がいます。後者は、続く雇用を作ります。

発注側にできるのは、「数を満たす」ではなく「続く雇用にする」を方針として、経営者が社内に示すことです。

見極めと配慮の確認

面接での見極めと、配慮の確認の仕方です。法令上の扱いがあるので、専門家に確認のうえ、面接官に共有します。

役割に対する適性を、見る。 役割の記述に対して、「この仕事ができそうか」「得意なことは何か」を、本人と(必要なら支援の機関の担当者と)確認します。障害の種類や程度ではなく、役割に対する適性で。

配慮の内容を、本人に確認する。 「業務を行ううえで、会社に配慮してほしいことはありますか」。本人が伝えたい配慮を、本人の言葉で聞きます。会社が一方的に決めない。

聞き方の線。 配慮の確認は、業務に関わる範囲で。障害の詳細や私的な事情への踏み込みは、法令上の扱いがあります。「何を聞いてよいか、何を聞いてはいけないか」は、専門家に確認のうえ、面接官に一枚で共有します。

支援の機関の担当者の同席。 本人が希望すれば、支援の機関の担当者が面接に同席する形があります。本人の得意と配慮を、担当者が補足できます。

実習や体験で、見る。 面接だけで判断せず、職場の実習や体験の仕組み(公的機関の案内で確認)を使って、実際の業務で適性と配慮を確認します。

通す・通さないの理由を、役割に対する事実で。 障害を理由にした判断は、法令上の扱いがあります。判断は役割への適性で行い、理由も役割に対する事実で。専門家に確認します。

見極めの要点は、「役割への適性で見る」ことと「配慮は本人の言葉で聞く」ことです。障害の種類や程度で判断する形は、法令上の扱いに反する可能性があり、専門家に確認します。

受け入れと定着

採用の後の受け入れと、続く雇用にする設計です。

項目設計
配慮の実施面接で確認した配慮を、入社前に整える。作業の環境、時間、手順、道具。内容は本人と合意
最初の一か月の予定何を、誰と、どうやって覚えるか。書面で。本人の理解の仕方に合わせた形(図、手順書、実演など)
教える人一人決める。教える時間の分、その人の業務を調整。支援の機関の助言を受けられる形に
相談の窓口業務の相談(教える人)と、それ以外の相談(人事、または支援の機関)。本人が相談しやすい形
支援の機関との連携定着の支援の仕組みを使い、支援の機関の担当者と定期的に連絡。困りごとを早く把握
周囲の理解受け入れる部署に、事前に説明。「役割」「配慮の内容(本人が同意した範囲で)」「どう接するか」
体調や状況の変化への対応変化があれば、役割や配慮を調整。本人と支援の機関と相談
評価と処遇役割に対する評価。制度は社内の規程と法令に沿い、専門家に確認
定期の振り返り月に一度、本人と教える人と人事(と支援の機関)で。「役割は合っているか」「配慮は足りているか」

受け入れの要点は、「配慮を入社前に整える」ことと「支援の機関と連携して定着を支える」ことです。会社だけで抱えると、困りごとに気づくのが遅れます。

周囲の理解は、本人が同意した範囲で、受け入れる部署に説明します。説明が無いと、周囲は「どう接すればよいか分からない」で距離を置きます。

社内の理解

障害者雇用を続く雇用にするには、社内の理解が要ります。

経営者が、方針を示す。 「法定雇用率を満たすため」ではなく、「会社として、多様な人が働ける職場を作る。障害者雇用はその一部」。経営者の言葉で。

受け入れる部署に、事前に説明する。 役割、配慮の内容(本人が同意した範囲で)、どう接するか、困ったときの相談先。「特別扱い」でも「無視」でもなく、「同じ社員として、配慮のうえで」。

教える人を、支える。 教える人が一人で抱えない。支援の機関の助言、人事の相談、教える時間の確保。

成功の例を、社内に共有する。 「〇〇の役割で、〇〇さんが活躍している」。本人の同意のうえで。次の受け入れが楽になります。

社内の研修や学ぶ機会を、持つ。 障害に関する基本の理解、接し方。公的機関や支援の機関が提供する研修や資料を使います。

「数」を社内の目標にしない。 「〇人採る」を目標にすると、役割と受け入れが後回しになります。「続く雇用」を目標に。

社内の理解の要点は、「経営者の方針」と「受け入れる部署への事前の説明」です。この二つが無いと、現場は困り、本人は孤立します。

外注する場合の範囲

障害者雇用の問題を、採用代行に出す場合の範囲です。

出せる工程。 最初の整理の進行(制度の確認の公的機関と専門家への橋渡し、現状の整理)、既存の業務の書き出しと切り出せる仕事の整理(現場の責任者との聞き取り)、役割の書面化、支援の機関との連携の窓口、経路の設計と運用(公的な窓口、特化した紹介会社、学校、実習の仕組み)、求人票、面接での配慮の確認の仕方の整理(専門家の確認を経て)、面接官向けの一枚、実習や体験の設計、受け入れの型の案、受け入れる部署への説明の資料、支援の機関との定期の連絡の窓口、定期の振り返りの型。

社内に残す判断。 経営者の方針の決定、役割の決定、配慮の内容の合意(本人と)、教える人の指名と業務の調整、判定、内定、評価と処遇の制度(専門家との連携)、社内への説明。

外注の効きどころ。 障害者雇用は、「数から入って役割と受け入れが無い」状態から、「役割と受け入れを作り、支援の機関と連携する」形に変えることが要点です。担当者が整理と切り出しと連携の窓口を担えば、社内は役割の決定と配慮の合意と受け入れに集中できます。担当者は複数の会社の障害者雇用を見ているので、「この業務は切り出しやすい」「支援の機関との連携はこう」の型を持ち込めます。ただし、制度と法令上の扱いは、担当者も公的機関と専門家で確認します。

外注しても動かない場合。 経営者が「数を満たせばよい」を譲らない、現場が業務の書き出しに応じない、受け入れる部署への説明を認めない。社内の判断で、代行を替えても直りません。

障害者雇用は、役割と受け入れから始めれば、続く雇用になります。外注は、整理と切り出しと連携を持ち込む手段です。

エラベルの見解

担当する側から見ると、障害者雇用の相談で最も多いのは、「支援の機関を使っていない」ことです。会社だけで求人を出し、会社だけで面接し、会社だけで受け入れる。支援の機関には、候補者の紹介、実習の仕組み、定着の支援、会社への助言があります。使わない理由は、「知らなかった」がほとんどです。

公的機関の案内で支援の仕組みを確認し、支援の機関に一度相談する。それだけで、「何をしてもらえばよいか分からない」「続かない」の大半に、助言と支援が付きます。

発注側にできるのは、求人を出す前に、公的機関の案内で支援の仕組みを確認し、支援の機関に相談することです。

まとめ

よくある質問

何をしてもらえばよいか、分かりません

各部署の業務を細かく書き出し、「まとまった量がある」「手順が決まっている」「他の業務と切り離せる」仕事を探します。複数の部署から集めて一つの役割にする形もあります。候補者の得意なことに合わせて役割を作る形も、支援の機関と相談しながら進められます。「数を満たすための仕事」ではなく、「会社にとって要る仕事」を切り出します。役割を書面にすれば、求人票も面接も受け入れも、そこから作れます。

面接で、障害のことをどこまで聞いてよいですか

業務を行ううえでの配慮を、本人の言葉で聞きます。「配慮してほしいことはありますか」。障害の詳細や私的な事情への踏み込みは、法令上の扱いがあります。「何を聞いてよいか、何を聞いてはいけないか」は、専門家に確認のうえ、面接官に一枚で共有します。本人が希望すれば、支援の機関の担当者が同席する形もあります。判断は役割への適性で行い、通す・通さないの理由も役割に対する事実で。障害を理由にした判断は、専門家に確認します。

前に採った人が半年で辞めました。何が悪かったのですか

多くの場合、役割が無い(何をしてもらえばよいか分からず放置)、配慮が整っていない、教える人がいない、相談の窓口が無い、支援の機関と連携していない、周囲に説明していない、のどれかです。辞めた理由を(本人か支援の機関から)聞ければ、直す先が分かります。次に採る前に、役割の書面、配慮の合意、教える人、相談の窓口、支援の機関との連携、受け入れる部署への説明を整えます。同じ設計で採れば、同じ理由で辞めます。