採用代行 / 新卒採用の実務

新卒採用の実務は代行に出せるか|任せる範囲の切り分け方

公開 2026-09-20

「新卒採用は一年を通して手間がかかり、人事が中途採用と兼ねられないので、実務を代行に出したい」という相談は、新卒を数名から十数名採る規模の会社から来ます。出せます。ただ、新卒採用で学生が入社を決める理由は、「この会社の人と働きたい」「この会社で育ててもらえそう」であり、説明会で語るのも、面接で見るのも、内定期間に接点を持つのも、会社の人でなければ意味がありません。もう一つ、新卒採用は時期が決まっていて、遅れると取り返せません。外の人が持てるのは、年間の段取りを回し、学生への連絡と日程を速く回し、内定期間の接点を設計して運用する部分です。結論を先に書くと、新卒採用の実務は、「採用人数と役割の決定」「学生に伝える会社の話を社員が語ること」「選考の判定と内定」「配属」「内定者と直接関係を作ること」「学校との関係の窓口」は会社が持ち、「年間の計画と時期ごとのやることの一覧・媒体・学校・イベントの運用と申込の管理・説明会と選考の運営と日程調整・学生への当日中の連絡と選考の案内・内定期間の接点の設計と運用・応募から入社までの記録」は代行に出せます。新卒と中途の投資の分け方は新卒と中途のどちらに投資すべきかに、定着の設計は新卒が定着しないときに書いていますので、ここでは「新卒採用の実務を工程に分けて出す」観点に絞ります。採用の時期や広報の解禁に関する取り決めは変わるので、その時点の公的な情報でご確認ください。

「決めて会う」と「段取りして回す」を分ける

新卒採用の実務を工程に分けると、次のようになります。

一つ目は、何人を、どの役割で、いつ入社で採るかを決めることです。会社が決めます。

二つ目は、年間の計画と、時期ごとのやることの一覧を作ることです。広報の開始、説明会、選考、内定、内定期間、入社前。時期ごとに、誰が何をいつまでにやるか。外の人ができます。

三つ目は、媒体・学校・イベントの運用と申込の管理です。媒体への掲載、学校の窓口への案内、イベントへの出展、申込の受付とリマインド。運用は外の人ができます。学校との関係の窓口(学校の担当者と会うこと)は会社の人が持ちます。

四つ目は、説明会と選考の運営です。会場か配信の手配、受付、進行、日程調整、学生への連絡。外の人ができます。説明会で会社の話を語り、面接で見るのは社員です。

五つ目は、学生への連絡です。応募の受付、選考の案内、結果の連絡、質問への回答。当日中に。外の人ができます。

六つ目は、選考の判定と内定です。会社が行います。判定の記録と内定の書面の事務は外の人ができます。

七つ目は、内定期間の接点の設計と運用です。内定から入社までの数か月から一年、いつ、誰が、何をするか(社員との面談、内定者同士の場、月に一度の連絡、家族向けの材料、入社前の準備)。設計と段取りと連絡は外の人ができ、社員が会うのは会社です。

八つ目は、記録です。応募から入社までの経路、段階、日数、辞退の時期と理由、内定期間の接点、入社後の定着。外の人ができます。

八つのうち、一の決定、三の窓口、四で語ること、六の判定と内定、七で会うこと、配属は会社が持ち、それ以外は外に出せます。

代行に出せる工程と出せない工程

工程会社が持つ代行に出せる
採用人数・役割・入社時期決める過去の記録から見た計画の案
年間の計画と時期ごとの一覧承認する時期ごとに誰が何をいつまでにの一覧
媒体・学校・イベントの運用学校の担当者と会う掲載、案内、出展、申込の管理、リマインド
説明会と選考の運営社員が語る。面接官が見る手配、受付、進行、日程調整
学生への連絡当日中の受付、案内、結果、質問への回答
判定と内定判定する。内定を出す判定の記録、書面の事務
内定期間の接点社員が会う設計、段取り、月に一度の連絡、内定者同士の場の運営
記録経路・段階・日数・辞退・接点・定着

表の要点は、「説明会と選考」で語るのと見るのが社員であることです。代行が説明会で会社を説明する形は、学生に「会社の人が出てこない」と受け取られます。代行が持つのは、説明会が成立するように手配し、進行し、学生への連絡を速く回す部分です。

もう一つの要点は、「内定期間の接点」です。新卒は内定から入社までが長く、その間に接点が無いと、他社の内定と比べて辞退します。接点の設計(いつ、誰が、何を)と段取りは外の人が持てますが、会う社員の時間は会社が確保します。

エラベルの見解

相談で最も多い思い込みは、「新卒採用は説明会に学生を集めれば、あとは選考で決まる」というものです。実際には、新卒採用で最も辞退が出るのは内定期間で、説明会と選考を頑張っても、内定後に接点が無ければ、学生は他社に決めます。ある会社では、説明会に多くの学生を集め、内定も予定どおり出していましたが、承諾は半分に届かず、原因は内定から入社までの数か月に人事からの事務連絡しか無いことでした。担当者が入って、内定期間の接点を「内定の翌月に配属予定の社員と面談、内定者同士の場を数か月に一度、月に一度の連絡は事務ではなく近況を、入社前に上司と最初の一か月の話」と設計し、段取りと連絡を担当者が持ち、社員が会う時間を責任者が確保したところ、承諾が上がり、入社後の早期退職も減りました。新卒採用の実務で外に出して最も効くのは、集客の段取りではなく、内定期間の接点の運用です。

代行に出したほうがよい状況

次の状況では、新卒採用の実務を代行に出したほうが進みます。

一つ目は、人事が中途採用と兼ねていて、新卒の時期ごとの段取りが遅れ、広報や選考の開始が他社より遅くなっているときです。年間の計画と段取りを外に出します。

二つ目は、学生への連絡が遅く、選考の途中で離脱が多いときです。当日中の連絡と日程調整を外に出します。

三つ目は、内定を出しても承諾が少なく、内定期間の接点が事務連絡だけのときです。接点の設計と運用を外に出します。

四つ目は、説明会や選考の運営に人事の時間が取られ、学生と話す時間が無いときです。運営を外に出し、人事は学生と話す側に回ります。

五つ目は、応募から入社までの記録が無く、どの経路の学生が入社して続いているか分からないときです。記録を外に出します。

代行に出さないほうがよい状況

逆に、次の状況では、新卒採用の実務を外に出しても進みません。

一つ目は、説明会で語る社員、面接官、内定者と会う社員の時間が取れないときです。段取りを外に出しても、会う人がいなければ学生は決めません。先に社員の時間を確保します。

二つ目は、採用人数と役割が決まっておらず、「良い学生がいれば」になっているときです。計画が作れません。先に決めます。

三つ目は、新卒の受け入れ(入社後の型、教える人、役割)が無いときです。採用しても定着しません。受け入れの型は新卒が定着しないときに書いています。

四つ目は、学生の情報を外の人に渡すことについて、決まりが無いときです。学生の氏名、学校、連絡先、選考の記録を代行が扱うことになります。扱いの決まりと契約が先です。法令に関わる部分は専門家にご確認ください。

担当者の選び方

新卒採用の実務を任せる担当者は、次の点で選びます。

一つ目は、新卒採用の年間の流れを経験していて、時期ごとのやることを一覧にできるかです。中途採用の経験だけでは、時期の感覚がずれます。

二つ目は、学生への連絡を当日中に、丁寧に回す型を持っているかです。学生は返信の速さで会社の印象を決めます。

三つ目は、内定期間の接点を「いつ、誰が、何を」で設計し、社員と学生の間を段取りできるかです。

四つ目は、説明会や選考の運営を、受付から進行から日程調整まで回せるかです。

五つ目は、学生の情報を慎重に扱えるかです。担当者の経歴の見方は担当者の経歴の見方に書いています。

出す前に用意しておくもの

新卒採用の実務を代行に出す前に、次を用意しておくと、最初の一週間が速くなります。

一つ目は、採用人数、役割、入社時期です。

二つ目は、説明会で語る社員、面接官、内定者と会う社員と、それぞれの時間です。

三つ目は、学生に伝える会社の話の整理です。事業、日々の仕事、育て方、大変なところ。社員が語るための材料。

四つ目は、学校との関係の窓口(会社の誰が学校の担当者と会うか)と、使う媒体やイベントの予算です。

五つ目は、内定から入社までの受け入れの考え方です。入社後の型、教える人、役割。

六つ目は、学生の情報の扱いの決まりと、代行との契約です。法令に関わる部分は専門家にご確認ください。

七つ目は、これまでの新卒採用の記録です。あれば、担当者は「どの時期に何人応募し、どこで減り、内定期間に何人辞退したか」を最初に読めます。

エラベルの見解

担当する側から見ると、新卒採用の実務で最も効くのは、「時期ごとのやることを一覧にして、遅れを先に見つける」ことと、「内定期間の接点を段取りして、社員が会う時間を先に押さえる」ことの二つです。前者で新卒特有の「時期を逃す」が無くなり、後者で内定辞退が減ります。新卒採用は中途と違い、遅れた分を後から取り返せません。エラベルでは、新卒採用の実務を任せる案件で担当者を紹介するとき、最初の一週間で採用人数と役割と社員の時間を会社と確認し、年間の計画と時期ごとの一覧を作り、学生への連絡の型を決め、内定期間の接点の設計を会社と決めるところまでをお願いしています。語ること、判定、内定、配属、学校との関係の窓口、内定者と会うことは会社の役割であり、担当者は段取りして回す役割に徹してもらっています。

まとめ

よくある質問

説明会での会社説明も代行に出せますか

説明会で会社の話をするのは社員が行うのが基本です。学生は「働いている人の話」を聞きに来ており、外の人が会社を説明する形は学生に伝わります。代行が持てるのは、進行、受付、質疑の取りまとめ、説明の資料の整理までです。社員が人前で話すのが苦手なら、人事が問いを投げて社員が答える座談の形にします。

学校の就職課との関係も代行に任せてよいですか

学校の担当者と会い、会社として関係を作るのは、会社の人が持ちます。担当者が替わる可能性のある外の人が窓口になると、学校側から見て継続性がありません。代行が持てるのは、学校への案内の送付、イベントへの申込の管理、学校ごとの記録までです。

内定期間の接点はどのくらい必要ですか

内定から入社までの期間が長いほど、間が空きすぎないように接点を置きます。目安は、内定の直後に社員との面談、数か月に一度の内定者同士の場や社員との接点、月に一度の近況の連絡(事務ではなく)、入社前に上司と最初の一か月の話。数より、「会社の人と話した」と学生が感じる回数を見ます。接点の設計は内定者フォローの進め方に書いています。