採用代行 / 一次面接
一次面接の進め方|自社でやる場合の手順
一次面接を自社で進めようとして、「面接官が空いている時間に、思いついたことを聞く」から始めると、面接官によって聞くことが変わり、記録は「良い印象」「少し弱い」のような感想で終わり、二次の面接官は一次で何を聞いたか知らずに同じことを聞き、一次で通した人が二次で落ちても理由が分かりません。一次面接で最初にやるべきは、面接官の予定を空けることではなく、「一次で何を確かめるか」を二つか三つに絞ることです。観点が絞れれば、質問が決まり、記録が根拠になり、二次は一次の続きから始められます。結論を先に書くと、進め方は、一次で確かめる観点を二つか三つに絞る→観点ごとに過去の場面を聞く質問を作る→記録の様式を作る→面接官と枠を決める→当日の流れと時間配分を決める→次に進めるかを決める人と期限を決める→記録の表を作る→月に一度、一次で通した人が二次でどうだったかを見る、の八つの手順で、順番を守ると、面接官が替わっても記録が揃い、一次で通した人が二次で落ちる率が下がります。代行に出す場合の切り分けは一次面接は代行に出せるかに、質問の作り方は面接で何を聞けばよいか分からないときに書いていますので、ここでは自社で進める手順に絞ります。
手順の全体
| 手順 | やること | 誰が | 頻度 |
|---|---|---|---|
| 一 | 一次で確かめる観点を二つか三つに絞る | 人事と現場の責任者 | 最初に一度 |
| 二 | 観点ごとに過去の場面を聞く質問を作る | 人事 | 最初に一度 |
| 三 | 記録の様式を作る | 人事 | 最初に一度 |
| 四 | 面接官と枠を決める | 責任者 | 最初に一度、枠は毎週 |
| 五 | 当日の流れと時間配分を決める | 人事 | 最初に一度 |
| 六 | 次に進めるかを決める人と期限を決める | 責任者 | 最初に一度 |
| 七 | 記録の表を作る | 人事 | 最初に一度 |
| 八 | 一次で通した人が二次でどうだったかを見る | 人事と責任者 | 月に一度 |
手順の要点は、一から三が「何を聞いて何を残すか」で、四以降が「誰がいつやるか」であることです。多くの会社は四から始めて、一から三を面接官に任せています。それでは面接官ごとに面接が変わります。
手順一:一次で確かめる観点を二つか三つに絞る
採用要件のうち、書類で読めず、一次で確かめるものを取り出します。二次以降で見るものとは分けます。一次は三十分から四十五分が多く、観点が四つ以上あると一つあたりが浅くなります。
| 要件の項目 | 書類で読めるか | どこで確かめるか |
|---|---|---|
| 既存顧客の対応の経験 | 読める | 書類 |
| 提案を自分で組み立てた経験 | 書いてあっても程度は読めない | 一次 |
| チームでの自分の役割を説明できるか | 読めない | 一次 |
| 事業への関心と、この会社を選ぶ理由 | 読めない | 二次 |
| 条件面の合意 | 読めない | 最終 |
止まりやすいのは、責任者が「全部見たい」と言うときです。この場合は、「一次で落とす理由になるもの」だけを一次に残します。落とす理由にならない項目は、二次以降で見ます。観点を言葉にできないときの作り方は評価基準が言語化できていないときに書いています。
手順二:観点ごとに過去の場面を聞く質問を作る
観点ごとに、「過去の場面を聞く」質問を一つか二つ用意します。「あなたの強みは」のような一般的な質問は、用意した答えが返ってきて、観点が確かめられません。「その案件で、あなたが決めたことは何ですか」「うまくいかなかったとき、何を変えましたか」のように、場面と本人の行動を聞きます。
| 観点 | 質問の例 | 深掘りの例 |
|---|---|---|
| 提案を自分で組み立てた経験 | 直近で、提案の中身を自分で決めた案件を一つ教えてください | 上司や先輩が決めた部分と、自分が決めた部分はどこですか |
| チームでの自分の役割 | チームで動いた案件で、あなたの役割は何でしたか | 他の人がやっていたことと、あなたしかやっていなかったことは |
止まりやすいのは、質問を作っても面接官が使わないときです。質問は「読み上げる台本」ではなく「外してはいけない項目」として渡し、聞き方は面接官の言葉で構わない、と伝えます。
手順三:記録の様式を作る
観点ごとに、「候補者がどの場面でどう動いたと答えたか」を書く欄と、観点に対する見立てを書く欄を分けます。見立ては「十分・不足・判断できず」の三段階程度にし、根拠の欄が空のまま見立てだけ書けない形にします。
| 欄 | 書くこと |
|---|---|
| 観点 | 手順一の観点 |
| 答えた場面と行動 | 候補者が話した場面と、本人がやったこと。要約でよい |
| 見立て | 十分・不足・判断できず |
| 二次で確かめてほしいこと | 一次で判断できなかった点 |
止まりやすいのは、記録が「良い人だった」「少し弱い」で終わるときです。根拠の欄を先に置き、見立てを後に置くと、根拠無しの見立てが書きにくくなります。質問と基準と記録を一枚にする方法は構造化面接を入れたいが手が回らないときに書いています。
エラベルの見解
これをやる前に、先に手順一の観点を絞っておかないと、手順二と三は効きません。相談で多いのは、「質問リストと評価シートを作ったのに、面接官が使わない」というご相談です。聞くと、質問が二十問あり、評価項目が十あり、三十分の面接で全部は聞けないので、面接官は結局いつもの聞き方に戻っていました。観点を「提案を自分で組み立てた経験」と「チームでの役割」の二つに絞り、質問を観点ごとに一つ、記録を観点ごとに一行にしたところ、面接官は使うようになり、記録が揃いました。面接の型は、細かいほど使われません。三十分で聞ける量に絞ることが、型を作ることより先です。エラベルで一次面接の設計を担当する人には、観点を二つか三つに絞ることを責任者と合意してから、質問と記録を作ってもらっています。
手順四:面接官と枠を決める
一次の面接官を、職種ごとに一人か二人に固定します。面接官には、週にどの時間帯を一次に使うかを決めてもらい、二週間先まで枠を空けておきます。枠が無いと、書類を通過した候補者が一次まで待たされ、その間に他社に進みます。枠の空け方は面接の日程調整の進め方に書いています。
止まりやすいのは、面接官が忙しく、枠が週に一つしか無いときです。一次の面接官を現場の責任者から人事に替える、面接官を増やす、一次を外に出す、のどれかを考えます。面接官が足りないときの組み方は面接官が足りないときに書いています。
手順五:当日の流れと時間配分を決める
三十分なら、最初の三分で自己紹介と流れの説明、次の二十分で観点ごとの質問と深掘り、次の五分で候補者からの質問、最後の二分で次の流れの案内、のように配分を決めます。観点が二つなら一つあたり十分です。
止まりやすいのは、最初の会社説明が長くなり、観点を聞く時間が無くなるときです。会社の説明は書類通過の連絡や面接前の資料で済ませ、面接では観点に時間を使います。
手順六:次に進めるかを決める人と期限を決める
一次の記録を見て、二次に進めるかを誰が、いつまでに決めるかを決めます。面接官本人が決める形と、記録を責任者が見て決める形があります。どちらでも、期限は面接の翌日までにします。
止まりやすいのは、「次の会議で決める」と持ち越すときです。会議が週に一度なら、候補者は一週間待たされます。決める人と期限を先に決め、決められない日は代わりの人を決めます。
手順七:記録の表を作る
候補者ごとに、一次の日付、面接官、観点ごとの見立て、次に進めるかの判断と判断日、二次の結果、二次で落ちた理由、を一行で残します。手順三の記録は候補者ごとの一枚で、手順七の表は全候補者を横に並べたものです。
| 列 | 何が分かる |
|---|---|
| 面接官 | 面接官ごとの通過率の違い |
| 観点ごとの見立て | どの観点で落としているか |
| 判断日 | 翌日までに決まっているか |
| 二次の結果と落ちた理由 | 一次で通した人が二次でどうだったか |
手順八:月に一度、一次で通した人が二次でどうだったかを見る
月に一度、表を見て、一次で通した人が二次で落ちる率と、落ちた理由を確かめます。「二次で毎回同じ点で落ちる」なら、その点を一次の観点に足すか、二次の観点を一次に前倒しします。面接官ごとに通過率が大きく違うなら、記録を見比べて、観点の見立てのずれを直します。ばらつきの直し方は面接官によって評価がばらつくときに書いています。
止まりやすいのは、二次の結果が一次の表に戻ってこないときです。二次の面接官に「一次で通した人の結果と理由を一行で戻す」ことを頼み、人事が表に入れます。
外の人に頼む場合の境目
八つの手順のうち、一の観点の決定、四の面接官の決定、六の決める人の決定は会社が持ちます。二の質問、三の様式、五の流れ、七の表、八の見方の整理は、外の人に出せます。一次の実施そのものも、型があれば外の人ができます。切り分けの詳しい話は一次面接は代行に出せるかに書いています。
外に出す判断の目安は、「観点は決まっているが、面接官の枠が無い」か、「面接官はいるが、質問と記録の型が無くて揃わない」ときです。前者なら実施ごと、後者なら設計だけを出します。
エラベルの見解
担当する側から見ると、一次面接で会社ごとに差がつくのは、手順八の「二次の結果が一次に戻ってくるか」です。観点と質問と記録は、作れば一度は揃います。しかし、一次で通した人が二次でどうだったかが戻ってこないと、一次の観点は最初に決めたまま動かず、二次で落ちる人が減りません。戻ってくる会社では、三か月もすると一次の観点が「二次で落ちる理由」に合わせて直り、一次から二次への通過率が上がります。エラベルでは、一次面接を担当する人に、最初の一週間で観点の絞り込みと質問と記録の様式を作り、同時に二次の面接官と「結果と理由を一行で戻す」約束をしてもらっています。ここが約束できていると、担当者が替わっても一次の観点は会社の中で育ち続けます。逆に、戻る仕組みが無い会社では、どれだけ良い型を作っても、一次は最初の型のまま止まります。
まとめ
- 一次面接は「思いついたことを聞く」ではなく、観点を二つか三つに絞るところから始める
- 手順は観点を絞る→過去の場面を聞く質問→記録の様式→面接官と枠→流れと時間配分→決める人と期限→記録の表→月に一度見るの八つ
- 質問は「過去の場面と本人の行動」を聞く。一般的な質問は用意した答えが返る
- 記録は根拠の欄を先に、見立てを後に置く。「良い印象」で終わらせない
- 型は三十分で聞ける量に絞る。細かい型は使われない
- 二次の結果と理由を一次の表に戻す。戻らないと一次の観点が育たない
よくある質問
観点を二つか三つに絞ると、見落としが増えませんか
一次で見落とすのではなく、二次以降で見る形になります。一次で落とす理由になる観点だけを一次に置き、それ以外は二次以降に回します。三十分で十の項目を浅く見るより、二つか三つを深く見たほうが、一次の判断は揃います。二次で毎回同じ点で落ちるなら、手順八でその点を一次に足します。
面接官が「型どおりに聞くと堅くなる」と言います
質問は読み上げる台本ではなく、「外してはいけない項目」として渡します。聞き方は面接官の言葉で構いません。堅くなるのは、質問を順に読み上げ、答えを書き取るだけの面接です。観点ごとに場面を聞き、答えに合わせて深掘りする形なら、会話として成立します。記録も面接中に全部書く必要はなく、面接の直後に根拠と見立てを書けば足ります。
一次の面接官を人事にしてよいですか
観点が「提案を自分で組み立てた経験」のように職種の中身に関わるなら、その職種を知っている人のほうが深掘りできます。人事が一次を持つなら、観点を「チームでの役割」「転職の理由と条件」のように職種を問わないものに寄せ、職種の中身は二次で現場が見る形にします。どちらにするかは、観点で決めます。