スカウト代行 / データサイエンティスト
データサイエンティストへのスカウト文面|開封される件名と本文の型
データサイエンティストにスカウトを送っても返信が来ない。文面を見せていただくと、件名が「データ活用を推進するデータサイエンティスト募集」で、本文に「データドリブンな組織へ」「AIを活用した事業変革」と書いてあり、何の問いを解いてほしいのか、データはどんな状態なのか、分析の結果を誰が使うのかが、どこにも書かれていません。データ職の経験者は、「データ活用」という言葉を信用していません。データが整っておらず、問いも無く、結果が使われない会社を何度も見ているからです。件名と本文の前半で「問い・データ・使われるか」が分からなければ、読まれません。結論を先に書くと、件名は「相手のデータと問いの一点+自社の最初の問い」、本文は「一行目に相手が解いた問いの一点→自社の最初の問い→役割(分析・モデル・基盤のどれか)→データの状態(正直に)→結果を使う体制→環境と体制→条件の幅→分析の分かる人と結果を使う人が出る面談への短い締め」の順で、会社の紹介は後ろに回すか省きます。刺さる訴求と外す訴求の中身はデータサイエンティスト向けスカウト文面の型に書いていますので、ここでは「データ職向けの件名と本文の型」に絞って、そのまま使える形にします。
先に決めるのは「最初の問い」と「役割」
文面の前に、二つを決めます。一つは、入社した人に最初に解いてほしい問い。「どの顧客が離れそうか」「どの施策が売上に効いたか」「需要をどう見込むか」のように、事業の言葉で一つ。もう一つは、役割。分析(問いに答えて事業に返す)、モデル(予測や推定を作って組み込む)、基盤(データを集めて整える)のどれが主か。三つを一人に求める文面は、誰にも刺さりません。
| 役割 | 文面で先に書くこと | 探す人 |
|---|---|---|
| 分析 | 最初の問いと、結果を使う人 | 事業の問いに答えてきた人 |
| モデル | 組み込む先と、いまのデータの量と質 | 予測や推定を本番に入れた人 |
| 基盤 | データの散らばり具合と、整える優先順位 | データを集めて整えた人 |
止まりやすいのは、問いが無いまま「データを活用したい」で書くときです。問いが無い会社に、データ職は来ません。
件名の型
データ職が件名で見るのは、「自分のデータと問いを見ているか」「この会社に問いがあるか」の二つです。
| 型 | 例 | なぜ開かれるか |
|---|---|---|
| 相手の問い+自社の問い | 〇〇(相手が解いた問い)のご経歴へ|当社は〇〇を最初に解きたい | 経歴を読んでいて、問いが具体 |
| 相手のデータ+自社のデータ | 〇〇(データの種類)を扱われた方へ|当社の〇〇のデータで〇〇を | データの種類で重なると分かる |
| 相手の役割+自社の役割 | 〇〇(予測など)を本番に組み込まれたご経歴へ|当社の〇〇への組み込み | 役割が合うと分かる |
書いてはいけない件名は、「データサイエンティスト募集」「データ活用推進」「AI人材」のように、問いもデータも無いものです。件名の失敗の型は件名でやりがちな失敗に書いています。
本文の型
本文は、データ職が「確かめる順」に並べます。
| 順 | 書くこと | 長さ | 注意 |
|---|---|---|---|
| 一行目 | 相手が解いた問いかデータの一点。「〇〇のデータで〇〇を明らかにされたご経歴を拝見しました」 | 一文 | 手法名ではなく、問いに触れる |
| 二 | 自社の最初の問い。事業の言葉で一つ | 二行 | 「データ活用」ではなく具体の問い |
| 三 | 役割。分析・モデル・基盤のどれが主か | 二行 | 三つ全部を求めない |
| 四 | データの状態。何があり、どこにあり、どのくらい整っているか。正直に | 三行 | 良く見せない。「散らばっている」も書く |
| 五 | 結果を使う体制。誰が結果を受けて、何を決めるか | 二行 | 使われない分析にデータ職は来ない |
| 六 | 環境と体制。使える道具、何人で、誰と | 二行 | 一人目なら一人目と書く |
| 七 | 条件の幅 | 一、二行 | 幅で書く |
| 八 | 短い締め。「分析の分かる者と、結果を使う事業の責任者が出ます。三十分で最初の問いの話を」 | 一文 | 誰が出るかを書く |
| 最後 | 会社の紹介 | 一、二行 | 先に書かない |
長さは、スマートフォンで二度スクロールする程度に収めます。
エラベルの見解
相談で最も多い思い込みは、「データ職には手法や環境を書けば響く」というものです。実際には、手法や環境を並べた文面より、「最初の問い」と「データの状態」を正直に書いた文面のほうが返信が来ます。ある会社では、使える道具と環境を丁寧に書いた文面で返信が無く、担当者が候補者の視点で読むと、「何を解いてほしいのか」「データは整っているのか」「結果は誰が使うのか」が無く、候補者は「データ活用と言っているが、実態が無いのでは」と読んでいました。「最初の問いは〇〇。データは複数の場所に散らばっていて、整えるところから。結果は事業の責任者が施策の判断に使う」と正直に書き直したところ、「整えるところからやりたい」という人から返信が来ました。データ職への文面で効くのは、環境の良さではなく、問いの具体さとデータの状態の正直さです。
書いてはいけないこと
一つ目は、「データ活用」「データドリブン」「AIで変革」のような、問いの無い言葉です。最初の問いを事業の言葉で書きます。
二つ目は、データの状態を良く見せることです。散らばっている、欠けている、整っていないなら書きます。面談で分かって辞退されるより、先に書いて「整えるところから」を役割にするほうが、合う人が来ます。
三つ目は、分析・モデル・基盤の三つを一人に求めることです。主の役割を一つ書き、他は「必要に応じて」にとどめます。
四つ目は、結果を使う人を書かないことです。「分析して報告してもらう」だけの役割に、データ職は来ません。誰が結果で何を決めるかを書きます。
五つ目は、手法名やツール名を並べることです。手法は問いに合わせて選ぶもので、先に並べると「手法を使うことが目的」に見えます。
六つ目は、締めに「結果を使う人が面談に出る」と書かないことです。分析の分かる人だけの面談では、「結果は本当に使われるか」に答えられません。
送る前の確認
| 確認 | 見ること |
|---|---|
| 件名に相手の問いかデータの一点があるか | 「データサイエンティスト募集」になっていないか |
| 最初の問いが本文の前半に、事業の言葉であるか | 「データ活用」で逃げていないか |
| 役割が一つに絞られているか | 三つを求めていないか |
| データの状態を正直に書いたか | 良く見せていないか。散らばっているなら書いたか |
| 結果を使う人と、何を決めるかが書いてあるか | 「報告」で終わっていないか |
| 面談に結果を使う人が出ると書いたか | 実際に出る合意があるか |
返信が来ないときの直す順番
| 症状 | 直すところ |
|---|---|
| 開かれない | 件名。問いかデータの一点があるか。「データ活用」になっていないか |
| 開かれるが返信が無い | 最初の問いの具体さと、データの状態の正直さ |
| 返信は来るが面談で辞退 | 面談に結果を使う人が出たか。文面のデータの状態と実態が合っていたか |
| 面談後に辞退 | 結果を使う体制の実態。問いが本当に事業の問いだったか |
一箇所ずつ変えます。変え方はスカウト文面のABテストのやり方に書いています。
エラベルの見解
担当する側から見ると、データ職向けの文面で会社ごとに差がつくのは、「最初の問いを、結果を使う事業の責任者が言葉にしているか」です。件名と一行目は、担当者が候補者の経歴を読めば書けます。しかし、最初の問いは事業の側にしか無く、人事や担当者が「データを活用して事業を伸ばす」と書くと、問いになりません。事業の責任者に「入社した人に最初に何を明らかにしてほしいか。それが分かったら何を決めるか」を聞いて書いた文面は、データ職に「この会社には問いがある」と伝わります。エラベルでスカウト文面を担当する人には、文面を書く前に、事業の責任者に最初の問いを聞き、面談に出る合意を取ってもらっています。刺さる訴求と外す訴求はデータサイエンティスト向けスカウト文面の型に書いています。
代行に出す場合の範囲
担当者が持つのは、候補者の経歴(解いた問い、扱ったデータ、役割)を読んで件名と一行目を相手ごとに書くこと、事業の責任者に聞いた最初の問いと、データを知る人に聞いたデータの状態を本文にすること、送る前の確認、返信の記録と直す順番の提案、です。会社が持つのは、最初の問いと役割の決定、データの状態の事実、結果を使う体制、事業の責任者と分析の分かる人が面談に出ること、条件の幅、です。事業の責任者が最初の問いを言葉にできない状態では、データ職へのスカウトは成立しません。出す前に、問いを一つ決めます。
まとめ
- 先に最初の問い(事業の言葉で一つ)と役割(分析・モデル・基盤のどれが主か)を決める
- 件名は「相手のデータと問いの一点+自社の最初の問い」。「データ活用」の件名は開かれない
- 本文は一行目に相手が解いた問いの一点→自社の最初の問い→役割→データの状態→結果を使う体制→環境と体制→条件の幅→結果を使う人も出る面談への締め
- データの状態を正直に書く。散らばっているなら書き、「整えるところから」を役割にする
- 結果を使う人と何を決めるかを書く。「報告してもらう」だけの役割にデータ職は来ない
- 返信が来ないときは件名→問いの具体さとデータの正直さ→面談に事業の人が出たか→使う体制の実態の順に直す
よくある質問
データがまだ整っておらず、問いも定まっていません。送れますか
送れますが、正直に書きます。「データは散らばっていて、整えるところから。最初の問いは〇〇にしたいが、データを見て一緒に決めたい。結果は事業の責任者が使う」のように。整えるところから一緒に決めたいデータ職は一定数います。ただし、「問いを一緒に決めたい」と書くなら、事業の責任者が面談に出て、本気で決める姿勢が要ります。整っているように見せて面談で無いと分かると、その場で辞退されます。
手法やツールの名前を書かないと、スキルが合うか判断できないのでは
手法は問いに合わせて選ぶもので、先に並べると「手法を使うことが目的」に見えます。書くなら、環境の欄に「使える道具」として短く。候補者のスキルが合うかは、一行目で相手が解いた問いに触れ、自社の問いを書けば、候補者の側が判断します。面接では自社の問いを題材に取り組み方を見ます。要件の作り方はデータサイエンティストの採用要件の作り方に書いています。
分析もモデルも基盤も一人にお願いしたいのですが
三つを一人に求める文面は、三つのどの層にも刺さりません。主の役割を一つ書き、他は「必要に応じて関わる」にとどめます。一人目のデータ職を採るなら、「最初の問いに答える分析が主。データを整えるところも自分でやる。モデルは問いが定まってから」のように、順番で書くと、一人でも成立する形になります。役割の分け方はデータサイエンティスト採用を代行に出す判断基準にも書いています。