スカウト代行 / スカウト代行
文面の標準化と属人化の間|「型」は標準化し、「一段落目」は属人化を残す
スカウトの文面を、誰が書いても同じ質になるように標準化したい。しかし標準化した文面は、型に見えて読まれない。一方で、書ける担当者に任せれば響く文面になるが、その担当者が替わると、書き方が消える。標準化と属人化のどちらかを選ぶと、どちらかを失います。結論を先に書くと、標準化するのは「型」——段落の構成、言葉づかい、二段落目以降の書き方——で、属人化を残すのは「一段落目」——経歴を読んで書く「なぜあなたに」——です。一段落目の属人化は、書いた理由を記録することで、次の担当者に渡せる資産になります。文面のルールの作り方は文面のトーンをどう指定するかに、担当者交代への備えは担当者が替わったにまとめています。
標準化と属人化、それぞれの問題
標準化しすぎると。 文面が型になり、候補者に「誰にでも送っている」と見える。一段落目に「なぜあなたに」が無く、会社紹介から始まる。返信率は下がる。担当者が経歴を読まなくなり、対象の選び方も雑になる。
属人化しすぎると。 書ける担当者に依存し、その人が替わると文面の質が落ちる。書き方が記録されておらず、次の担当者は一から作る。複数の担当者で書くと、トーンがばらつく。良い文面が「なぜ良いか」を誰も説明できない。
どちらも、「文面のどの部分を、誰が、どう書くか」を分けていないことから起きます。文面を一つの塊として扱うと、標準化か属人化かの二択になります。部分に分ければ、両方を取れます。
標準化する部分
文面のうち、次の部分は標準化します。標準化とは、「書面にして、誰が書いても同じになるようにする」ことです。
段落の構成。 一段落目は役割と「なぜあなたに」、二段落目はいま詰まっていること、三段落目は誰と決めるか、四段落目は会社の話、五段落目は次の一歩。この順番を固定します。
言葉づかい。 敬称、会社の呼び方、文末の形、使わない言葉。文面のルールとして書面にします。
二段落目以降の中身。 いま詰まっていること(役割ごとに一つ)、誰と決めるか、会社の話、次の一歩。役割が同じなら、候補者が違っても同じ内容でよい部分です。役割ごとに、担当者が一度書けば、使い回せます。
条件の示し方。 年収の幅、働き方、勤務地。どこに、どう書くか。
長さ。 段落ごとの目安の長さと、全体の上限。
直した理由。 過去に直した文面と、なぜ直したか。「会社紹介から始めた文面は返信が来なかった」「一段落目に役割を書いたら上がった」。理由が残っていれば、次の担当者は同じ試行錯誤をしません。
標準化した部分は、書面にして、担当者が替わっても引き継げる形にします。
属人化を残す部分
一段落目の「なぜあなたに」だけは、標準化しません。
「なぜあなたに」は、候補者の経歴を読んで、「この経歴のどこが、この役割で活きるか」を書く部分です。候補者ごとに違い、経歴を読んだ人の判断が入ります。ここを標準化すると、「ご経歴を拝見し」だけの空の一文になり、候補者に「読んでいない」と分かります。
属人化を残すとは、「担当者が経歴を読んで、自分の判断で書く」ことを認める、ということです。書ける担当者と書けない担当者で差が出るのは、避けられません。差を無くそうとして標準化すると、全部が書けない側に揃います。
ただし、属人化を「その人の頭の中だけ」にはしません。次の二つで、資産にします。
書いた理由を一行残す。 「〇〇の立ち上げの記述があったので、〇〇で活きると書いた」。一段落目を書くたびに、担当者が理由を一行、記録に添えます。
合った例・合わなかった例を溜める。 返信が来た一段落目と、来なかった一段落目。面談で「合った」候補者の一段落目。個人が特定できない形で、例として溜めます。
理由と例が溜まれば、次の担当者は「この会社では、経歴のこういう記述に、こう書くと返信が来る」を読めます。属人化は残しつつ、頭の中を書面に写します。
標準化の手順
文面の標準化は、次の手順で行います。
一.いまの文面を並べる。 直近の文面を十通ほど。返信が来たものと来なかったものを分けて。
二.共通する部分を抜き出す。 段落の構成、言葉づかい、二段落目以降の中身。返信が来た文面に共通するものが、標準化の候補です。
三.書面にする。 文面のルール(言葉づかい)、段落の構成、役割ごとの二段落目以降の中身、条件の示し方、長さ。一枚に。
四.一段落目は、理由と例だけを残す。 一段落目の書き方そのものは標準化せず、「経歴のどこを見て、どう書くか」の理由と例を、別の一枚に。
五.新しい文面を、書面に照らして書く。 担当者が書いた文面を、標準化した部分は書面と照らし、一段落目は理由を一行添えて記録する。
六.四半期に一度、書面を更新する。 直した理由、返信率の変化、面談の結果を反映。標準化した部分も、動かないものではありません。
標準化は、一度作って終わりではなく、運用の中で更新するものです。
エラベルの見解
相談で最も多い失敗は、「文面を完全にテンプレート化して、誰でも送れるようにした」というものです。担当者が経歴を読まずに、氏名だけを差し替えて送る。送信数は増え、返信率は落ち、候補者から「一斉送信」と受け取られる。標準化で失ったのは、一段落目の「なぜあなたに」でした。
逆の失敗は、「書ける担当者に全部任せて、その人が退職した」というものです。文面のルールも、一段落目の理由も、どこにも残っていない。次の担当者は一から作り、三か月かけて前の水準に近づける。属人化で失ったのは、書き方の記録でした。
見ていて差がつくのは、担当者が「型は書面にします。一段落目は自分で書いて、理由を残します」と言えるかどうかです。全部を型にする担当者と、全部を自分の頭の中に置く担当者の間に、型と属人化を分ける担当者がいます。後者は、自分が替わっても運用が続く形を作ります。
発注側にできるのは、担当者に「型は書面に、一段落目は理由を残す」と頼むことです。それだけで、標準化と属人化の両方が取れます。
担当者交代への備え
標準化と属人化を分けておけば、担当者の交代に備えられます。
標準化した部分は、そのまま渡す。 文面のルール、段落の構成、役割ごとの二段落目以降、条件の示し方、長さ。書面を渡せば、次の担当者は初日から同じ型で書けます。
一段落目の理由と例を渡す。 前の担当者が残した理由と、合った例・合わなかった例。次の担当者は、「この会社では、こう書くと返信が来る」を読んで、自分の一段落目を書けます。
最初の二週間は、一段落目を全通見る。 次の担当者の一段落目が、理由と例に沿っているかを、発注側が見ます。ずれていれば、理由を添えて直します。
前の担当者と次の担当者が話す時間を取る。 書面に残らない、経歴の読み方の勘所。三十分で足ります。
理由と例の記録を、次の担当者も続ける。 引き継いだ後も、一段落目の理由を一行残す。記録は運用の中で育ちます。
備えがあれば、交代の影響は最初の二週間に収まります。無ければ、三か月かかります。
標準化しすぎたときの見分け方
文面が標準化しすぎているかどうかは、次で見分けます。
一段落目が、候補者を変えても同じ。 「ご経歴を拝見し、ぜひお話しさせていただきたく」。経歴のどこを見たかが無い。
返信率が下がり続けている。 型の文面は、送るほど候補者の間で「見たことがある」になり、返信率が落ちます。
返信の内容が薄い。 「詳細を教えてください」だけの返信。文面が具体的なら、候補者の返信も具体的になります。
担当者が経歴を読む時間が減っている。 一通あたりの時間が短くなり、送信数が増えている。標準化で経歴を読まなくなった証拠です。
候補者から「一斉送信ですか」と聞かれる。 見抜かれています。
これらが出ていれば、一段落目を属人化に戻します。担当者に、経歴を読んで「なぜあなたに」を書く時間を返し、送信数を減らします。
逆に、属人化しすぎているかどうかは、「担当者が替わったら困るか」で見分けます。困るなら、標準化する部分を書面にし、一段落目の理由を残す運用を始めます。
エラベルの見解
担当する側から見ると、標準化で最も困るのは「テンプレートどおりに書いてほしい、と一段落目まで固定される」ことです。「なぜあなたに」を書く余地が無く、経歴を読んでも書けない。返信率が落ち、「文面が悪い」と言われ、テンプレートを直しても変わらない。直すべきは、テンプレートではなく、一段落目を固定したことでした。
一段落目を書く自由が担当者にあれば、担当者は経歴を読み、候補者ごとに書きます。その代わり、理由を一行残す。自由と記録の組み合わせが、標準化と属人化の間です。
発注側にできるのは、一段落目を担当者に任せ、理由を残してもらうことです。「型どおりに」と全部を固定すると、担当者は経歴を読まなくなります。「一段落目は自由に、理由は残して」と伝えれば、担当者は読んで書き、記録も残ります。
まとめ
- 標準化しすぎると型に見えて読まれず、属人化しすぎると担当者が替わると消える
- 標準化するのは段落の構成・言葉づかい・二段落目以降の中身・条件の示し方・長さ・直した理由。書面にする
- 属人化を残すのは一段落目の「なぜあなたに」。担当者が経歴を読んで書く
- 属人化を資産にするには書いた理由を一行残し・合った例と合わなかった例を溜める
- 標準化の手順は文面を並べ→共通部分を抜き出し→書面に→一段落目は理由と例だけ→照らして書く→四半期に更新
- 担当者交代には標準化した部分を渡し・理由と例を渡し・二週間は全通見て・前後の担当者が話し・記録を続ける
- 標準化しすぎのサインは一段落目が同じ・返信率の低下・返信が薄い・経歴を読む時間の減少・「一斉送信ですか」
- 一段落目は担当者に任せ、理由を残してもらう
よくある質問
担当者によって文面の質が違います。標準化すべきですか
段落の構成、言葉づかい、二段落目以降の中身は標準化してください。書面にすれば、担当者の間でトーンと構成は揃います。一段落目の「なぜあなたに」は、担当者の判断に任せ、理由を一行残してもらいます。質の差は一段落目に残りますが、理由と例が溜まれば、書けない担当者も書けるようになっていきます。
テンプレートを作りましたが、返信率が下がりました
一段落目までテンプレートに固定していないか、確認してください。「ご経歴を拝見し」だけの一段落目は、候補者に「読んでいない」と分かります。一段落目を担当者に返し、経歴を読んで書く時間を確保してください。送信数は減りますが、返信率は戻ります。
書ける担当者が退職しそうです。何を残してもらえばよいですか
標準化する部分(文面のルール、段落の構成、役割ごとの二段落目以降)を書面にしてもらい、一段落目については、これまで書いた文面のうち返信が来たものと来なかったものを、経歴のどこを見て書いたかの理由とともに、個人が特定できない形で残してもらってください。加えて、次の担当者と三十分話す時間を設けます。それで、次の担当者は二週間で同じ型で書けます。