住民税から本業に知られるか|仕組みを知ったうえで、先に届け出る

報酬・契約・税務単価・契約・税務 更新日 2026-10-16

人事の副業を考える人から、「住民税で会社に副業が知られると聞いたのですが、本当ですか」と聞かれることがあります。人事の仕事をしている人ほど、会社が従業員の住民税をどう扱っているかを知っているので、気になるのは自然です。結論から書くと、住民税の仕組み上、副業の所得によって本業の会社に通知される住民税額が変わる可能性はあります。ただし、副業の所得の種類によっては、その分の住民税を自分で納める方法を選べます。

それでも、この記事で最初に伝えたいのは、仕組みを使って隠すことより、本業の会社の規程に沿って先に届け出ておくほうが、人事の副業では結局うまくいくということです。以下は自治体の案内に沿った一般的な整理です。扱いは自治体や個別の状況で変わることがあるので、お住まいの市区町村にご確認ください。

住民税が本業の会社を通る仕組み

会社員の住民税は、多くの場合、毎月の給与から差し引かれて会社が市区町村に納めています。これを給与からの特別徴収といいます。市区町村は、前年の所得をもとに住民税額を計算し、会社に従業員ごとの税額を通知します。

西宮市の案内では、会社は各従業員の徴収すべき税額を把握しなければならないため、年税額と毎月の徴収額は会社宛てに通知されていると説明されています。そのうえで、本業の給与以外の所得が極端に多額であった場合は副業を疑われる可能性がある一方、その所得の種類は分からない、とも書かれています。

つまり、副業の所得が住民税の計算に入り、その住民税を給与から差し引く形にしていると、会社に届く税額が本業の給与だけで計算した額より大きくなります。人事や給与の担当者が気づくかどうかは状況によりますが、仕組みとしてはそういう流れです。

「自分で納付」を選べる範囲

副業の所得にかかる住民税は、給与から差し引く形ではなく、自分で納付書で納める形(普通徴収)を選べる場合があります。文京区の案内では、給与所得以外の所得にかかる住民税を自分で納付したい場合は、確定申告期限内に確定申告書を提出し、第二表の「住民税・事業税に関する事項」にある「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」で「自分で納付」を選択するとされています。確定申告をしない人は、市区町村に出す住民税の申告書に同じような欄があります。

ただし、選べる範囲には限りがあります。自治体の案内から、次の点が読み取れます。

場合扱い根拠
副業が業務委託の報酬(雑所得・事業所得など)「自分で納付」を選べる文京区・西宮市の案内
副業も給与(アルバイトなど)一部の給与の分だけを普通徴収にすることは法律上できない西宮市の案内
給与以外の所得がマイナスの場合など「自分で納付」を選んでも特別徴収になる場合がある文京区の案内
e-Taxで選択欄が使えない場合区の税務課に問い合わせる文京区の案内

人事の副業の多くは業務委託で受けるので、一つ目の行に当てはまります。一方、副業先と雇用契約を結んでアルバイトとして働く場合は、二つ目の行になり、この方法は使えません。また文京区の案内では、変わるのは納付の方法であって、納める住民税額は変わらないことも明記されています。

エラベルの見解

担当者として登録している人から、この話を相談されることがあります。そのときに毎回お伝えしているのは、人事の副業は、隠し通すことに向いていないということです。人事の副業は、同じ業界の会社から依頼が来ることが多く、採用の場で本業の関係者と顔を合わせることもあります。スカウトを送った相手が、本業の取引先の社員だったということも起こりえます。

住民税の納め方を工夫しても、仕事の場で知られる可能性は残ります。知られたときに規程違反だと、副業の収入よりはるかに大きなものを失います。人事の人こそ、社内の規程を読み、届け出を出し、競業に当たる依頼を最初から受けない、という順番で始めてください。届け出たうえで、副業の分の住民税を自分で納める形を選ぶのは、管理を分けるという意味で合理的です。

本業の会社の規程を先に確かめる

厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、副業・兼業を認める方向が示されていますが、実際にどこまで認めるか、届出や許可が必要かは会社の就業規則で決まります。人事の副業を始める前に、次の三つを確かめてください。

  1. 副業が認められているか。 全面的に禁止か、届出制か、許可制か
  2. 競業の扱い。 同じ業界の会社や、本業の取引先から仕事を受けてよいか
  3. 秘密保持の扱い。 本業で知った情報をどこまで使ってはいけないか

人事の仕事をしている人なら、自社の規程がどこにあるかはすぐに分かるはずです。規程が曖昧なら、所属の上長や人事の窓口に相談してから始めるほうが安全です。届け出が済んでいれば、住民税の金額が変わっても説明に困ることはありません。

申告の時期にやること

副業の住民税を自分で納める形にしたい場合、必要な手続きは確定申告か住民税の申告のときに一度だけです。

20万円以下の場合の住民税の申告については年20万円以下でも申告は要るかで書いています。また、副業の住民税を自分で納める形にすると、6月ごろから届く納付書で、自分で期限までに納める必要があります。給与から自動で差し引かれないので、納め忘れに気をつけてください。

エラベルの見解

もう一つ、副業を本業の会社に届け出ておくことには、税金以外の利点があります。本業の会社の人事評価や働き方の相談の場で、副業の経験を話せることです。他社の採用を見た経験は、本業の採用の改善にも生きます。届け出ていない副業の経験は、本業では使えません。

担当する側から見ていると、本業と副業をうまく両立している人は、副業で見た他社のやり方を、自社にも持ち帰っています。もちろん、副業先の情報を本業で漏らさないことが前提です。そのうえで、「他社ではこういう選考の組み方をしている」という視点を持ち込める人は、本業での評価も上がっていきます。届け出は、副業を続けるための手続きであると同時に、本業に経験を還元するための入口でもあります。

まとめ

よくある質問

「自分で納付」を選べば、本業の会社に知られることはありませんか

副業の所得にかかる住民税を自分で納める形にすれば、会社に通知される税額に副業の分が加わらない場合があります。ただし、所得がマイナスの場合などは特別徴収になることがあり、また仕事の場で知られる可能性は住民税とは別に残ります。本業の規程に沿って届け出ておくことをおすすめします。

アルバイトとして雇用される副業でも選べますか

西宮市の案内では、複数の会社から給与を得ている場合に、一部の支払者からの給与に係る税額だけを普通徴収にすることは法律上できないとされています。副業も給与として受け取る場合は、この方法は使えないと考えてください。詳しくはお住まいの市区町村にご確認ください。

本業の会社が副業を禁止していたらどうすればよいですか

規程で禁止されている場合は、副業を始める前に、規程の趣旨や例外の有無を人事の窓口に確認してください。会社によっては、競業しない範囲や、事前の許可を条件に認めている場合もあります。規程に反して始めることはおすすめしません。

出典

本記事は 2026-10-16 時点の公開情報にもとづいて作成しています。

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