人事副業 / 単価・契約・税務
請求書の書き方|依頼側の経理が迷わない項目と、税務上の記載は専門家に確認する前提で
最初の月の稼働が終わり、請求書を出すことになった。何を書けばよいのか、依頼側の経理に迷われない形はどれか、税務上の決まりは何か。分からないまま出すと、差し戻され、支払いが遅れます。結論を先に書くと、請求書は、「依頼側の経理が迷わない項目」と「業務の内容と根拠が分かる書き方」を整えれば、実務としては足ります。税務上の記載事項(適格請求書に関する事項など)は、制度と自分の立場によって変わるため、この記事では扱わず、税理士などの専門家への確認を前提にしてください。支払いの条件は支払いサイトの確認に、経費は経費にできるものに、申告は確定申告の進め方にまとめています。
請求書が差し戻される理由
請求書が依頼側の経理で止まる理由は、だいたい決まっています。
宛名が違う。 会社名の表記、部署、担当者。依頼側の指定と違う。
業務の内容が分からない。 「業務委託料」だけで、何の業務か、いつの分か、経理が判断できない。
金額の根拠が無い。 月額なのか、時間分なのか、成果分なのか。契約と照らせない。
支払期限が無い、または契約と違う。 経理が、いつ払えばよいか分からない。
振込先が不完全。 銀行名、支店名、口座の種類、番号、名義。どれかが欠けている。
依頼側の指定の様式と違う。 依頼側が様式を指定しているのに、独自の様式で出した。
税務上の記載事項が、依頼側の求める形になっていない。 制度上、依頼側が求める記載があり、それが無い。この点は専門家に確認。
差し戻されると、支払いが一か月遅れることがあります。最初の一通を、依頼側の経理に確認してから出すと、以降が楽です。
依頼側の経理が迷わない項目
請求書に書く項目は、次のとおりです。税務上の記載事項は、別途専門家に確認したうえで足します。
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 宛名 | 依頼側の会社名(正式表記)、部署、担当者名。依頼側の指定どおりに |
| 発行日 | 請求書を出した日 |
| 請求番号 | 自分の管理用の番号。依頼側ごと、月ごとに連番 |
| 発行者 | 自分の氏名(屋号があれば屋号も)、住所、連絡先 |
| 業務の内容 | 契約の業務名と、対象の期間。「〇〇に関する業務委託(〇月分)」 |
| 内訳 | 月額なら「月額報酬」、時給なら「〇時間×時給」、成果なら「〇件×単価」、追加があれば別行で |
| 金額 | 内訳の合計。税の扱いは制度と自分の立場によるので、専門家に確認 |
| 支払期限 | 契約の支払い条件どおり |
| 振込先 | 銀行名、支店名、口座の種類、口座番号、口座名義(カナ) |
| 備考 | 振込手数料の負担、契約書の参照、その他の合意事項 |
この項目が揃っていれば、依頼側の経理は、契約と照らして処理できます。
税務上の記載事項(登録番号、税率ごとの区分など)は、制度と、自分が登録しているかどうかで変わります。この記事では扱わず、税理士などの専門家にご確認ください。
業務の内容と根拠の書き方
請求書の「業務の内容」と「内訳」は、契約と照らせる形で書きます。
契約の業務名で。 契約書に「スカウト運用支援業務」とあるなら、請求書も同じ名前で。別の名前だと、経理が照らせない。
期間を明示。 「〇月分」「〇月〇日〜〇月〇日」。締め日に合わせて。
内訳を、契約の形に合わせて。 月額なら一行。時給なら「〇時間×〇〇」。成果なら「面談設定〇件×〇〇」。追加の業務は、別の行で「追加:〇〇(〇時間)」。
根拠を添える。 時給なら稼働の記録、成果なら成果の一覧を、別紙で添付するか、依頼側が求めれば出せる状態に。稼働時間の管理と申告の記録がそのまま使える。
依頼側が社内で説明できる形に。 依頼側の担当者が、経理や上長に「これは〇月の〇〇の業務で、契約どおりの金額」と説明できる形。
内訳が明確なら、依頼側の経理は迷わず、後から「何の費用か」と聞かれることもありません。
送付と控えの管理
請求書の送付と、控えの管理です。
送付の形式。 依頼側の指定に従う。PDFをメールで、経理のシステムに登録、郵送。指定が無ければ、PDFをメールで。
送付先。 依頼側の担当者か、経理か、両方か。契約時に確認。担当者だけに送ると、経理に回らないことがある。
送付のタイミング。 締め日の直後。遅れると、支払日も遅れる。
受領の確認。 送ったら、「受領しました」の返事をもらう。返事が無ければ、届いているかを確認。
控えを残す。 出した請求書のPDF、送付のメール、受領の確認。依頼側ごと、月ごとに整理。
入金の確認。 支払日に、入金を確認し、記録。入金が無ければ、支払いサイトの確認の対応へ。
税務のための保管。 請求書の控えは、税務上、一定期間の保管が求められることがあります。期間と方法は、専門家にご確認ください。
控えと記録が揃っていれば、支払いの遅れや、税務の申告のときに、困りません。
エラベルの見解
相談で最も多い失敗は、「最初の請求書を、依頼側の経理に確認せずに出して、差し戻された」というものです。宛名の表記が違う、様式が指定と違う、税務上の記載が足りない。差し戻されて直して出し直すと、締め日を過ぎ、支払いが翌々月に。最初の一通を出す前に、「請求書の様式と、必要な記載を教えてください」と経理に聞いていれば、一回で通りました。
見ていて差がつくのは、受ける側が「最初の請求書の前に、経理に確認する」かどうかです。契約の担当者とだけ話して、経理の要件を知らないまま出す人と、経理に一度聞く人がいます。後者は、以降の請求が一回で通ります。
受ける側にできるのは、契約時に「請求書の様式、記載事項、送付先、締め日と支払日を、経理のご担当者に確認させてください」と一言添えることです。担当者は知らないことが多く、経理に聞くのが確実です。
依頼側の指定の様式への対応
依頼側が、請求書の様式を指定することがあります。
指定の様式があれば、それに従う。 依頼側の経理のシステムに合わせた様式。項目の順番や名前が違っても、指定に従う。
指定の項目に、自分の情報を埋める。 業務の内容、期間、内訳、金額、振込先。自分の様式と対応させて。
指定に無い情報は、備考に。 契約書の参照、追加の業務の内訳、根拠の添付。指定の様式に欄が無ければ、備考か別紙で。
システムへの登録なら、登録の手順を確認。 依頼側の経理システムに、受ける側が登録する形。アカウントの発行、登録の期限、承認の流れ。
税務上の記載事項が、様式に含まれているか確認。 依頼側の様式が、制度上の記載を満たしているか。満たしていなければ、専門家に確認のうえ、依頼側と相談。
指定の様式に従うことは、依頼側の経理の負担を減らし、支払いを速くします。自分の様式にこだわらない。
税務上の記載事項について
請求書には、実務上の項目とは別に、税務上の記載事項があります。この記事では、その中身を扱いません。
理由は、税務上の記載事項が、制度と、自分の立場(登録しているかどうか、課税の区分)によって変わり、制度も改定されるためです。誤った記載は、依頼側の経理に影響し、自分の申告にも影響します。
運用の側で気をつけるのは、次の点です。
- 自分の立場(登録の有無、課税の区分)を、専門家に確認して把握しておく
- 依頼側が請求書に求める税務上の記載を、契約時に確認する
- 制度の改定があれば、記載を見直す
- 請求書の控えを、税務上求められる期間、保管する
- 分からないことは、依頼側の経理と、自分の側の専門家の両方に確認する
税務上の記載事項と、その要否、扱いについては、税理士などの専門家にご確認ください。制度の案内は、公的な機関の公式の情報で確認します。
エラベルの見解
担当する側から見ると、請求書で最も困るのは「依頼側の経理と、受ける側の税務の立場が、かみ合わない」ことです。依頼側の経理は、制度上の記載を求める。受ける側は、自分の立場でどう記載すべきかを把握していない。どちらも「相手が分かっているはず」と思い、請求書が止まる。
受ける側にできるのは、自分の税務上の立場を、契約の前に専門家に確認して把握しておくことです。把握していれば、依頼側の経理の要件に対して、「私の立場では、こう記載します」と答えられます。把握していないと、答えられず、依頼側の経理も判断できません。
請求書は、業務の実務の最後の一歩ですが、税務の実務の最初の一歩でもあります。両方を整えて、出します。
まとめ
- 差し戻される理由は宛名・業務の内容・金額の根拠・支払期限・振込先・指定の様式・税務上の記載
- 実務の項目は宛名・発行日・請求番号・発行者・業務の内容と期間・内訳・金額・支払期限・振込先・備考
- 業務の内容は契約の業務名で・期間を明示・内訳を契約の形に合わせ・根拠を添え・依頼側が社内で説明できる形に
- 送付は指定の形式・送付先を確認・締め日の直後・受領の確認・控えを残し・入金を確認・税務のための保管
- 依頼側の指定の様式があれば従い・自分の情報を埋め・無い情報は備考に・システムなら手順を確認・税務上の記載を確認
- 税務上の記載事項はこの記事では扱わない。自分の立場を専門家に確認し、依頼側の経理の要件を契約時に確認する
- 最初の一通の前に、依頼側の経理に確認する
よくある質問
請求書は、どの様式で作ればよいですか
依頼側の指定があれば、それに従ってください。無ければ、この記事の項目を入れた自分の様式で。PDFで送る形が一般的です。最初の一通を出す前に、依頼側の経理に「様式と必要な記載事項」を確認すると、差し戻しを防げます。税務上の記載事項は、専門家にご確認ください。
税務上の記載事項(登録番号など)は、書く必要がありますか
自分の立場(登録の有無、課税の区分)と、依頼側の求める形によって変わります。この記事では扱いません。自分の立場を税理士などの専門家に確認して把握し、依頼側の経理に求める記載を聞いたうえで、記載を決めてください。
請求書の控えは、どのくらい保管すればよいですか
税務上、一定期間の保管が求められることがあります。期間と方法(紙か電子か)は、制度と自分の立場によるので、専門家にご確認ください。実務上は、依頼側ごと・月ごとに、請求書のPDF、送付のメール、受領の確認、入金の記録を、一つの場所にまとめて残しておくと、申告のときに困りません。