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個人情報の扱い|人事の副業で、候補者の情報を「取得・利用・保管・共有・削除」の五段階で依頼側の規程に沿って扱う型

公開 2026-09-16

人事の副業は、候補者の履歴書、職務経歴書、連絡先、選考の評価といった個人情報を、日常的に扱います。本業でも同じ情報を扱っているので慣れていますが、本業では会社の規程と仕組みが枠を作っていました。副業では、依頼側の規程の枠の中で、外部の人として扱うことになり、自分の判断で枠を越えると、依頼側にも自分にも責任が及びうる。結論を先に書くと、候補者の個人情報は「取得・利用・保管・共有・削除」の五段階に分けて、各段階で依頼側の規程に沿い、自分の判断で目的や範囲を広げないのが原則です。個人情報の扱いは法令と依頼側の規程に関わるので、この記事は一般的な整理にとどめ、判断に迷う点は依頼側の規程と専門家にご確認ください。端末や環境の分離は情報の取り扱いと端末の分離に、候補者との接し方は候補者対応で気をつけることにまとめています。

五段階の全体像

個人情報は、取得されてから削除されるまでの流れがあります。副業の人が関わる段階と、関わらない段階を整理します。

段階誰が主体か副業の人の関わり原則
取得依頼側(応募、媒体、紹介)依頼側が取得した情報を見る。自分で取得しない取得の目的と方法は依頼側の規程による
利用依頼側選考のための作業(一次絞り、連絡、記録)に限って使う依頼側が候補者に示した利用目的の範囲内
保管依頼側依頼側の環境の中で。自分の側に保管しない保管の場所と期間は依頼側の規程による
共有依頼側依頼側の中で、業務に必要な人にだけ。外には出さない第三者への提供は依頼側の判断と規程による
削除依頼側自分の側に残っていないことを確認する削除の時期と方法は依頼側の規程による

全体像の要点は、「五段階とも主体は依頼側で、副業の人は利用の段階で作業を担うだけ」ということです。取得も保管も共有も削除も、依頼側の判断です。副業の人が主体になる段階はありません。

段階ごとの扱い

各段階で、副業の人がすること・しないことを整理します。

段階することしないこと
取得依頼側が取得した情報を、依頼側の環境で見る。取得の経路(応募、媒体、紹介)を把握する自分で候補者の情報を集める(検索、知人経由、別の媒体)。本人の同意なく情報を取る
利用選考の作業(一次絞り、連絡の下書き、記録の更新)に使う。依頼側が候補者に示した目的の範囲で別の目的に使う(自分の発信、別の依頼側の選考、本業)。評価に、業務と無関係の情報(家族、健康、思想など)を使う
保管依頼側の環境の中で扱い、作業が終わったら閉じる端末にダウンロード、印刷、メールへの転送、自分のメモへの転記
共有依頼側の中で、担当・面接官・判断する人に、業務に必要な範囲で別の依頼側、本業、紹介者、家族、コミュニティ、発信
削除案件の終了時に、自分の側に情報が無いことを確認し、依頼側に伝える「念のため」の控えを持つ。自分の判断で依頼側の情報を消す(削除は依頼側の判断)

扱いの要点は、「利用の段階で、業務と無関係の情報を評価に使わない」ことです。履歴書には、業務と無関係の情報が含まれることがあります。評価は、依頼側が決めた要件に沿った項目だけで行い、それ以外の情報は評価に使わず、記録にも書きません。判断に迷う点は依頼側の規程に従い、専門家にご確認ください。

エラベルの見解

登録の相談で多いのは、「依頼側の候補者で、別の依頼側にも合いそうな人がいる。紹介してよいか」という話です。候補者の情報は、その依頼側が、その依頼側の選考のために取得したものです。別の依頼側の選考に使うことは、利用目的の外であり、共有の段階では第三者への提供にあたりうる。候補者本人から見ても、応募していない会社に自分の情報が渡ることは、想定していません。悪気が無くても、線を越えています。

見ていて差がつくのは、「候補者の情報を、その依頼側の、その選考の中だけで扱っているか」です。別の依頼側に合いそうでも、紹介しない。自分の発信の事例に使わない。本業に持ち込まない。「この情報は、この会社の、この選考のためだけ」という線が、五段階すべてを貫きます。エラベルの登録でも、複数の依頼側を持つ人が続いているのは、依頼側ごとに情報を完全に分けているからで、混ぜた人は、どちらの依頼側からも信頼を失っています。

依頼側の規程を確認する項目

案件の開始時に、依頼側の個人情報の規程について確認する項目を、番号付きで整理します。依頼側に規程が無い場合の扱いも添えます。

  1. 利用目的として、候補者に何を示しているか。 応募の画面や媒体の規約で、候補者に示された目的。その範囲で使う。
  2. 保管の場所と期間。 どの仕組みに、どのくらいの期間。副業の人は場所の中で扱い、期間の判断はしない。
  3. 共有の範囲。 社内の誰まで見てよいか。外部への提供の可否と、その判断者。
  4. 削除の時期と方法。 選考終了後、どのくらいで、誰が消すか。
  5. 外部の人(副業の人)の扱い。 規程に外部委託の項目があるか。無ければ、書面に情報の扱いの条項を入れる。情報の取り扱いと端末の分離
  6. 候補者本人からの問い合わせ(開示、訂正、削除の求め)への対応。 誰が窓口か。副業の人は窓口にならない。
  7. 事故時の連絡先と手順。 誰に、どう伝えるか。
  8. 規程が無い場合。 「規程が無いので、応募者の情報は選考の目的にだけ使い、御社の環境の中で扱い、外に出さず、終了時に私の側に残さない、という形でよいですか」と提案し、書面に入れる。規程の整備そのものは、専門家にご確認いただくよう依頼側に伝える。

確認の要点は、「八で、規程が無い依頼側には、最低限の形を提案する」ことです。人事がいない会社では、規程が無いことがあります。副業の人が規程を作るのは範囲外ですが、自分の扱いの線を書面にすることはできます。規程の整備は、専門家にご確認いただくよう伝えます。

候補者本人からの問い合わせへの対応

候補者から、自分の情報についての問い合わせが来ることがあります。副業の人は窓口ではないので、依頼側につなぎます。

問い合わせ対応
「自分の情報を消してほしい」「ご連絡は御社の窓口へ」と案内し、依頼側の担当に伝える。自分で消さない
「自分の情報がどう使われているか知りたい」同上。副業の人は説明しない
「不採用の理由を教えてほしい」同上。理由の開示は依頼側の判断
「別の会社に情報を渡したか」同上。渡していないことは事実として言えるが、回答は依頼側から
「担当者(副業の人)に直接話したい」「私は外部で選考の補助をしており、窓口は御社になります」

対応の要点は、「副業の人は、候補者からの問い合わせの窓口にならない」ことです。自分の連絡先を候補者に渡していなければ、問い合わせは依頼側に届きます。渡していると、自分に届き、窓口になってしまいます。連絡手段の分け方を参照してください。

扱いで起きる失敗

個人情報の扱いで起きやすい失敗を、段階ごとに整理します。

段階失敗起きる構造直し方
取得候補者を自分で探して情報を集める良い人を見つけたい自分で取得しない。取得は依頼側の経路で
利用業務と無関係の情報で評価する履歴書に書いてある要件に沿った項目だけ。無関係な情報は評価にも記録にも使わない
利用別の依頼側の選考に使う合いそうな人がいる使わない。その依頼側の、その選考だけ
利用発信の事例に使う具体的で読まれる使わない。型だけを一般化
保管端末に保存する、印刷する作業しやすい依頼側の環境の中で。閉じる
保管自分の記録に候補者の名前を書く何をしたか具体的に数と種類だけ
共有紹介者や家族に候補者の話をする近況としてしない
共有別の依頼側に「良い人がいた」と話す悪気なくしない。社名も候補者も出さない
削除「念のため」控えを残す何かあったとき残さない。終了時に確認
削除依頼側の情報を自分の判断で消す整理のつもり削除は依頼側の判断。自分の側だけ消す
全体依頼側の規程を確認しない本業と同じだと思う開始時に八項目を確認
全体候補者からの問い合わせに自分で答える聞かれたから窓口は依頼側

失敗の要点は、「利用の段階の失敗(別の依頼側、発信、無関係の情報)は、悪気なく起きる」ことです。合いそうな人を紹介したくなる、具体的な事例を書きたくなる、履歴書に書いてある情報を見てしまう。線を意識していないと、自然に越えます。

エラベルの見解

担当する側として登録した人の話を聞くと、個人情報で困っていない人は、扱う情報を「その依頼側の、その選考の、その作業に必要な分だけ」に絞っています。履歴書の全部を読まず、要件に関わる項目だけを見る。記録には数と種類だけ。作業が終われば閉じる。扱う量が少ないほど、線を越える機会も減ります。

依頼側から見ると、外部の人に候補者の情報を渡すことは、候補者に対する責任を外部に委ねることです。エラベルは、企業と担当者の間に立つ窓口として、担当者にお願いする業務では、候補者の情報を依頼側の環境の中で、選考の目的にだけ扱う形をお伝えしています。五段階の型を持ち、依頼側の規程を開始時に確認していただくことが、依頼側と候補者の両方に対する責任の果たし方です。個別の判断は、依頼側の規程と専門家にご確認ください。

まとめ

よくある質問

依頼側の候補者で、別の依頼側にぴったりの人がいます。本人に「別の会社も紹介できる」と言ってよいですか

言いません。候補者の情報は、その依頼側が、その選考のために取得したもので、別の依頼側に使うことは利用目的の外です。本人に直接言うことも、副業の人が候補者と企業の間に立つ形になり、職業紹介の整理が絡む可能性があります。「もったいない」と感じても、線の外です。どうしても、と思うなら、本人が別の経路(媒体、登録先)で自ら応募する状態を作ることは依頼側の判断ですが、副業の人が動くことではありません。判断に迷う場合は、専門家にご確認ください。

履歴書に、業務と関係ない個人的な事情が書かれています。評価にどう扱えばよいですか

評価に使わず、記録にも書きません。依頼側が決めた要件に沿った項目(経験、スキル、働き方の条件など)だけで評価し、それ以外の情報は「見なかった」扱いにします。依頼側の面接官がその情報を評価に使おうとした場合は、「要件に沿った項目で評価する型」を担当を通して渡し、評価の型に無関係の情報が入らない形にします。どの情報を評価に使ってよいかは、法令と依頼側の規程に関わるので、迷う点は専門家にご確認ください。

案件が終わったあと、候補者から「あのときの選考について聞きたい」と連絡が来ました

案件が終わっていても、窓口は依頼側です。「私は選考の補助を外部で担当していた者で、すでに終了しています。ご連絡は御社の窓口へお願いします」と返し、依頼側の担当に連絡が来たことを伝えます。自分の側に候補者の情報が残っていなければ、答えようがありませんし、答える立場でもありません。案件が終わったあとに候補者から連絡が来る状態は、自分の連絡先が候補者に渡っていた証拠なので、次の案件では依頼側の環境で連絡が完結する形にします。