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注意したほうがよい依頼|人事の副業で、合う・合わない以前に「受けると自分が危うくなる」依頼の七つの型

公開 2026-09-16

合わない案件を見分けることと、注意すべき依頼を見分けることは、別の話です。合わない案件は、自分の範囲や時間と噛み合わないだけで、依頼側に問題があるわけではありません。一方で、注意すべき依頼は、受けること自体が、法令・情報の扱い・本業との関係で、自分を危うい立場に置きます。案件が欲しい時期ほど、この違いを見落とします。結論を先に書くと、注意すべき依頼は「候補者との間に立たせる」「本業の情報を求める」「無償の試用を求める」「報酬が候補者の側から出る」「個人情報の扱いが危うい」「成果保証を求める」「契約を書面にしない」の七つの型に集約され、これらは条件が良くても受けず、迷ったら専門家に確認するのが原則です。合う・合わないの判断は合わない案件の見分け方に、断り方は断り方にまとめています。法令の解釈は個別の事情で変わるので、この記事は一般的な整理にとどめ、判断は専門家にご確認ください。

「合わない」と「注意すべき」の違い

二つを分けると、断る理由と、断る強さが変わります。

観点合わない依頼注意すべき依頼
何が問題か自分の範囲・時間と噛み合わない受けること自体が、法令・情報・本業との関係で危うい
依頼側の側問題ではない。別の人には合う依頼側が意図していないこともあるが、構造として危うい
条件が良ければ面談で解消できれば受けてよい条件が良くても受けない
断る理由範囲か時間の違い範囲の違いを表向きの理由にしつつ、内側では明確に線を引く
迷ったとき短い区切りで試す専門家に確認する。試さない

違いの要点は、「注意すべき依頼は、試さない」ことです。合わない依頼は、短い区切りで試して判断できますが、注意すべき依頼は、試している間に危うい状態に入ります。

七つの型

注意すべき依頼を七つの型に分け、それぞれ何が危ういか、どう見えるかを整理します。

依頼の見え方何が危ういか
一 候補者との間に立たせる「候補者を探して連れてきてほしい」「知り合いを紹介して」「候補者との条件交渉を代わりに」採用活動の補助を越えて、職業紹介にあたる可能性があるとされる。個人が許可なく行うことには制約があると整理されている
二 本業の情報を求める「前職(本業)の採用の型をそのまま」「本業で使っている媒体の設定を」「本業の候補者リストを」本業の規定と情報の持ち出し。競業避止
三 無償の試用を求める「まずお試しで一か月、無償で」「成果が出たら払う」稼働の対価が無い。成果の定義が曖昧なまま無償が続く
四 報酬が候補者の側から出る「候補者から相談料を」「転職が決まったら候補者から」求職者から報酬を受けることは、一般に職業安定法で制約されているとされる
五 個人情報の扱いが危うい「履歴書を私用のメールで」「候補者の情報を別の会社にも」「本人の同意なく情報を使う」個人情報保護の法令と、依頼側の規程。事故が起きれば自分にも責任が及びうる
六 成果保証を求める「〇名採用できなかったら返金」「採用できるまで無償で」採用の結果は依頼側の判断と市場に依存する。副業の人が保証できる範囲ではない
七 契約を書面にしない「口約束で」「書面は面倒なので」「信頼関係で」範囲・報酬・情報の扱いの根拠が無い。揉めたときに守られない

七つの要点は、「一と四は、職業安定法の整理が絡む」ことです。採用活動の補助(スカウトの文面、一次対応、書類の一次絞り)と、候補者を探して企業に引き合わせる行為の線引きは、一般に難しいとされています。範囲が候補者との接点に及ぶ依頼は、受ける前に専門家に確認してください。企業から直接受けるにはにも同じ注意があります。

エラベルの見解

登録の相談で多いのは、「依頼側に悪気は無さそうだが、『知り合いの人事を紹介してほしい』『候補者を連れてきてほしい』と言われて、断り方が分からない」という話です。依頼側は、副業の人事なら人脈もあるだろうと軽く頼んでいます。ただ、受ける側から見ると、採用活動の補助を越えて、候補者と企業の間に立つ形になり、法的な整理が変わる可能性があります。依頼側の悪気の有無と、構造の危うさは別です。

見ていて差がつくのは、「採用活動の補助と、候補者との間に立つことを、自分の中で分けているか」です。「スカウトの文面と送信と一次対応はお受けできますが、候補者を探して引き合わせることはお受けしていません」と、最初に線を引く。依頼側は「そういうものか」と理解します。エラベルは、企業と担当者の間に立つ窓口として、担当者にお願いする業務を採用活動の補助に限る形で案件を出していますが、依頼側から直接、範囲を越える依頼が来ることはあります。そのときに線を引ける型を持っていただくことをお勧めしています。

見分け方

七つの型は、打診や面談で、次のような言葉で現れます。番号付きで、確かめる順番を整理します。

  1. 範囲の中に「候補者を探す」「紹介する」「連れてくる」があるか。 あれば一の型。「採用活動の補助に限る」と伝え、それでも求められれば断る。
  2. 本業の名前や本業の資産を口にされるか。 「前職の」「いまの会社の」。あれば二の型。「本業の情報は使えません。一般化した型なら」と伝える。
  3. 無償の期間や、成果が出てからの支払いを提案されるか。 あれば三か六の型。「稼働には対価をいただきます。成果の定義は数で決めて、区切りで見直します」と伝える。
  4. 報酬の出所が候補者の側にないか。 「候補者から」「転職者から」。あれば四の型。受けない。
  5. 個人情報の受け渡しの方法を聞いて、私用のメール・口頭・別の会社への共有が出てくるか。 あれば五の型。依頼側の環境の中で扱う形を提案。できなければ受けない。情報の取り扱いと端末の分離
  6. 採用の結果に対する保証や返金の話が出るか。 あれば六の型。「結果は御社の判断と市場に依存するので、保証はできません。稼働と数で示します」と伝える。
  7. 書面を交わすことに難色を示されるか。 あれば七の型。「お互いのために書面にさせてください」。それでも拒まれれば受けない。

見分け方の要点は、「言葉で現れたときに、その場で線を引く」ことです。曖昧に返して持ち帰ると、依頼側はその前提で話を進めます。「それはお受けしていません」を、その場で言えるようにしておきます。

断り方

注意すべき依頼の断り方は、合わない依頼と少し違います。表向きの理由は範囲の違いにしつつ、内側では明確に線を引きます。

表向きの断り方内側の線
一 候補者との間に立たせる「私がお受けしているのは採用活動の補助までで、候補者を探して引き合わせることは範囲外です」法的な整理が絡む。受けない
二 本業の情報を求める「本業の情報は規定で使えません。一般化した型ならお出しできます」規定と競業。受けない
三 無償の試用「稼働には対価をいただく形でお願いしています。最初の区切りを短くすることはできます」無償は受けない。区切りで代替
四 報酬が候補者から「候補者の側から報酬をいただく形はお受けしていません」受けない
五 個人情報の扱い「応募者の情報は御社の環境の中で扱わせてください。それが難しい場合はお受けできません」環境が整わなければ受けない
六 成果保証「結果の保証はできませんが、稼働と数で示します」保証は受けない。数で代替
七 書面にしない「お互いのために書面にさせてください」書面が無ければ受けない

断り方の要点は、「三と六は、代替を出せる」ことです。無償の試用は「短い区切り」に、成果保証は「数で示す」に置き換えられます。一・二・四・五・七は、代替が無く、受けません。

迷ったときの確認先

七つの型は、個別の事情で判断が変わります。迷ったときの確認先を整理します。

迷う内容確認先
職業紹介にあたるか(一・四)弁護士、社会保険労務士。労働局の相談窓口
本業の規定と競業(二)勤め先の担当部署。判断がつかなければ弁護士
契約の形と対価(三・六・七)弁護士、または契約に詳しい専門家
個人情報の扱い(五)依頼側の規程。判断がつかなければ弁護士
税務(報酬の形)税理士

確認先の要点は、「確認してから受ける」ことです。受けてから確認すると、すでに危うい状態に入っています。

受けてしまいやすい心理

注意すべき依頼を受けてしまう心理と、直し方を整理します。

心理起きていること直し方
依頼側に悪気が無い人柄で判断する悪気と構造は別。構造で判断
条件が良い単価や期間に引かれる条件が良くても、七つの型は受けない
断ると関係が切れる依頼側との関係を優先範囲の違いで断れば関係は保てる。受けて危うくなるほうが失う
少しだけなら「一人だけ紹介」「一回だけ無償」少しでも構造は同じ。線を引く
分からないので受ける法的な整理が分からない分からないなら受けない。確認してから
案件が欲しい一件目が無い登録先の経路を持つ。注意すべき依頼を受けて実績にはならない

心理の要点は、「少しだけなら」が最も危ういという点です。一人だけ紹介する、一回だけ無償で受ける。少しでも、構造は同じです。

エラベルの見解

担当する側として登録した人の話を聞くと、長く続いている人は、七つの型を「自分の範囲の外」として最初から扱っています。依頼側に悪気が無くても、「それはお受けしていません」を、その場で、感情を交えずに言える。依頼側は、範囲が明確な人として受け取り、範囲の中の依頼に切り替えます。断り方を持っていないと、曖昧に返して持ち帰り、依頼側の期待が固まり、断りにくくなります。

依頼側から見ると、副業の人が採用活動の補助に範囲を限ることは、依頼側自身を守ることでもあります。線を越えた形で進めば、依頼側も危うい立場になりうる。エラベルは、企業と担当者の間に立つ窓口として、担当者にお願いする業務を採用活動の補助に限り、報酬は企業側から、情報は企業の環境の中で、書面を交わす形で案件を出しています。それでも、依頼側から直接、範囲を越える依頼が来ることはあるので、七つの型と断り方を持っていただくことをお勧めしています。個別の判断は、専門家にご確認ください。

まとめ

よくある質問

依頼側から「知り合いで転職を考えている人がいたら教えて」と軽く言われました

軽い依頼でも、候補者を探して企業に引き合わせる形に近づきます。「私がお受けしているのは採用活動の補助までで、候補者を探して紹介することはお受けしていません」と、その場で伝えます。依頼側に悪気は無いことが多いので、感情を交えず、範囲の話として。代わりに、「スカウトの文面や送信の型を整えることで、候補者に届く形は作れます」と、範囲の中の提案を添えれば、依頼側は切り替えられます。判断に迷う場合は、専門家に確認してください。

「最初の一か月は無償で、成果が出たら払う」と言われました。一件目なので受けるべきですか

受けません。無償の期間は、稼働の対価が無いだけでなく、成果の定義が曖昧なまま続くことが多く、一か月が二か月になります。代わりに、「最初の区切りを一か月にして、その時点で続けるかを判断していただく形なら」と提案します。一か月の稼働に対価をもらい、区切りで数を示し、続けるかを依頼側が決める。これなら依頼側の「試したい」気持ちにも応えられます。一件目でも、無償は受けない。無償で受けた案件は、実績台帳の行にもなりません。

書面を交わしたいと言ったら、「信頼関係でやりたい」と言われました

書面は、信頼を疑うものではなく、お互いが後で困らないためのものだと伝えます。「信頼しているからこそ、範囲と条件を書面にして、お互いに安心して進めたいです」。それでも拒まれるなら、受けません。書面を拒む依頼側は、範囲・報酬・情報の扱いの根拠を残したくない理由があるか、単に慣れていないかのどちらかで、後者なら、自分の側で一枚(範囲・時間・期間・報酬・締め日と支払日・秘密保持)を用意して「この内容で合意いただければ」と出せば、多くの場合は受け入れられます。それでも拒む場合は、前者と考えて断ります。