人事副業 / 案件獲得
使うツールをそろえる|人事の副業で、自分のツールと依頼側のツールを分け、情報を自分の側に残さないための構成
副業を始めるとき、「何のツールを使えばよいか」で立ち止まる人は多い。チャット、ビデオ会議、共有フォルダ、表計算、電子契約、稼働の記録。便利なものは無数にあり、全部そろえようとすると、始める前に疲れます。結論を先に書くと、副業のツールは「便利なものを集める」より「依頼側の情報を自分の側に残さない」を軸に決め、依頼側の環境で使うもの・自分の側で持つもの・本業のものを使わない線の三つに分けると、迷わずにそろいます。応募者の個人情報や依頼側の社内情報は、依頼側の環境の中で扱い、自分の側には稼働の記録と請求の控えだけを持つ。この分け方が、情報の事故を防ぎ、依頼側の信用を作ります。作業する場所や端末の整え方は作業環境の整え方に、遠隔で回すための運用はフルリモートで完結する案件にまとめています。
三つに分ける
ツールを用途で並べる前に、誰の環境で使うかで三つに分けます。この分け方が、情報の扱いを決めます。
| 区分 | 内容 | 例 | 情報の扱い |
|---|---|---|---|
| 依頼側の環境で使う | 依頼側が用意し、権限をもらって使う | 採用媒体の管理画面、応募者管理の仕組み、依頼側のチャットと共有フォルダ | 応募者情報、社内情報はここから出さない |
| 自分の側で持つ | 自分が用意し、依頼側の情報を入れない | 稼働の記録、請求書の控え、契約書の控え、自分の型(文面の雛形など) | 依頼側の情報は入れない。入れるなら依頼側の環境に |
| 本業のものを使わない | 本業の端末、本業のアカウント、本業のツール | — | 副業に一切使わない。規定に触れる |
分け方の要点は、「依頼側の情報は、依頼側の環境の中だけで扱う」ことです。応募者の履歴書を自分の端末にダウンロードしない、候補者の名前を自分のメモに書かない、依頼側のチャットの内容を自分のツールに転記しない。この線を守ると、副業を終えたときに自分の側に何も残らず、依頼側は安心して権限を渡せます。
六つの用途で何を用意するか
用途ごとに、誰の環境で使うか、無ければどうするかを整理します。特定の製品名は挙げず、種類で書きます。
| 用途 | 誰の環境か | 用意するもの | 無いとき |
|---|---|---|---|
| 連絡 | 依頼側 | 依頼側のチャットか、依頼側が指定するメール | 依頼側に一つ決めてもらう。自分の私用のメッセージアプリは使わない |
| 会議 | 依頼側 | 依頼側のビデオ会議 | 自分の側のビデオ会議を提案。録画は依頼側の了解を得てから |
| 共有 | 依頼側 | 依頼側の共有フォルダ、応募者管理の仕組み、媒体の管理画面 | 依頼側の共有フォルダを一つ作ってもらう。自分の側に置かない |
| 記録 | 自分 | 稼働の記録(日付、時間、やったこと)の表 | 表計算で自分で作る。依頼側にも見える形にするなら、依頼側の共有フォルダに置く |
| 契約 | 双方 | 電子契約か、書面の郵送。控えは自分の側にも | 依頼側の規程に従う。形式や印紙は専門家に |
| 請求 | 自分 | 請求書の雛形、控えの保管 | 表計算か、請求書の作成の仕組み。請求書の書き方 |
用途の要点は、「連絡・会議・共有は依頼側、記録・請求は自分」という原則です。この原則で分けると、依頼側の情報は依頼側の環境に、自分の稼働と金銭の記録は自分の側に、と自然に分かれます。
エラベルの見解
登録の相談で多いのは、「便利だから」と自分のメッセージアプリや個人の共有フォルダで依頼側とやり取りしている状態です。依頼側も慣れたツールなので受け入れますが、応募者の情報が個人のアプリに残り、副業を終えても消えない。依頼側が後から気づいて、信用が落ちます。便利さと、情報の扱いは、別の問題です。
見ていて差がつくのは、「面談で、依頼側の環境を先に聞いているか」です。「連絡と共有は、御社のツールを使わせてください。権限をいただければ、その中だけで作業します」と伝える。依頼側は「情報を外に出さない人だ」と受け取ります。エラベルの登録でも、情報の扱いを最初に言える人は、依頼側から権限を渡されるのが早く、稼働の立ち上がりも早い。ツールをそろえることは、自分の便利さより、依頼側の安心のためだと考えると、選び方が定まります。
そろえる手順
ツールをそろえる手順を、番号付きで整理します。案件が決まる前と、決まった後で分けます。
案件が決まる前(自分の側だけ)
- 副業用のメールアドレスを一つ作る。 本業のアドレスは使わない。私用のアドレスと分けるかは、自分の管理のしやすさで
- 稼働の記録の表を作る。 日付、時間、案件、やったこと、次にやること。稼働管理の方法
- 請求書の雛形を作る。 宛名、期間、内容、金額、締め日と支払日、振込先。控えを保管する場所も
- 契約書の控えの保管場所を決める。 自分の側の、依頼側の情報を入れない場所
- 自分の型(文面の雛形、基準の型)の置き場を決める。 依頼側の情報を含まない、一般化したものだけ
- パスワードの管理の方法を決める。 依頼側から渡される権限が増えるので、使い回さない仕組みを
案件が決まった後(依頼側の環境)
- 面談で、依頼側の連絡・会議・共有のツールを聞く。 「御社のツールを使わせてください」
- 権限をもらう。 媒体の管理画面、応募者管理の仕組み、共有フォルダ。自分専用のアカウントを作ってもらう(共用にしない)
- 情報の扱いを書面に入れる。 依頼側の環境の中だけで扱う、自分の端末に保存しない、終了時に権限を返す
- 依頼側にツールが無ければ、最小限を提案する。 連絡はメール、共有は依頼側の共有フォルダを一つ、記録は自分の表を依頼側にも見える形で
手順の要点は、「八で、自分専用のアカウントをもらう」ことです。依頼側の担当のアカウントを共用すると、誰が何をしたかが分からず、終了時に権限を返せません。自分専用なら、終了時にそのアカウントを止めるだけで済みます。
ツールが増える失敗
ツールにまつわる失敗を整理します。増やしすぎと、線を越えるものに分かれます。
| 失敗 | 起きる構造 | 直し方 |
|---|---|---|
| 便利なツールを次々足す | 全部そろえようとする | 六つの用途に一つずつ。足すのは必要になってから |
| 自分のメッセージアプリで依頼側とやり取り | 慣れていて速い | 依頼側のツールに。無ければメール |
| 応募者の情報を自分の端末に保存 | 作業しやすい | 依頼側の環境の中で作業。ダウンロードしない |
| 本業の端末やアカウントを使う | 手元にある | 使わない。規定に触れる。副業の許可申請 |
| 依頼側の担当のアカウントを共用 | 権限の発行が面倒 | 自分専用を依頼してもらう |
| 案件ごとにツールが違い、混乱する | 依頼側ごとに環境が違う | 自分の側の記録と請求は一つに統一。依頼側の環境は案件ごとに切り替える |
| パスワードを使い回す | 権限が増えて管理しきれない | 管理の仕組みを一つ持つ |
| 終了時に権限が残る | 返す手順を決めていない | 書面に「終了時に権限を返す」。終了時に確認 |
| 自分の型に依頼側の情報が混ざる | 実際の文面をそのまま型にする | 一般化してから型にする。社名、候補者名を消す |
失敗の要点は、「情報が自分の側に残る形は、全部やめる」ことです。便利さで選んだツールの多くは、情報を自分の側に残します。残らない形を選ぶと、ツールの数は自然に減ります。
依頼側にツールが無いとき
人事が一人か、いない会社では、共有フォルダも応募者管理の仕組みも無いことがあります。そのときの最小限の提案です。
| 用途 | 最小限の提案 |
|---|---|
| 連絡 | 依頼側の会社のメールアドレス。チャットが無ければメールで足りる |
| 会議 | 自分の側のビデオ会議を使う。録画はしない |
| 共有 | 依頼側の会社のアカウントで共有フォルダを一つ作ってもらい、自分に権限を渡してもらう。自分のアカウントで作らない |
| 応募者の管理 | 共有フォルダの中に、表計算で一覧を作る。依頼側の所有で |
| 媒体 | 依頼側の契約している媒体の管理画面に、自分専用のアカウント |
| 記録 | 自分の稼働の記録を、共有フォルダにも置く。依頼側が見られるように |
提案の要点は、「共有フォルダは、依頼側のアカウントで作ってもらう」ことです。自分のアカウントで作ると、所有が自分になり、情報が自分の側に残ります。依頼側が作り、自分は権限をもらう。終了時に権限を返せば、何も残りません。
エラベルの見解
担当する側として登録した人の話を聞くと、ツールで困っていない人は、ツールが少ない。自分の側には記録と請求の表が一つずつ、依頼側の環境は案件ごとに切り替える。それだけです。ツールで困っている人は、便利なものを集めた結果、どこに何があるか分からなくなり、依頼側の情報が自分の側のあちこちに散っています。
依頼側から見ると、副業の人にツールの提案をされるより、「御社の環境で作業します」と言われるほうが安心です。自分たちの環境の中に情報があり、終了時に権限を止めれば済む。エラベルは、範囲と時間を書いた登録に、条件が合う案件のときだけご連絡する窓口ですが、案件を出すときに、依頼側の連絡と共有の環境をお伝えしています。その環境の中で作業する前提で受けていただければ、ツールを自分でそろえる負担は、記録と請求の二つで済みます。
まとめ
- ツールは便利なものを集めるより依頼側の情報を自分の側に残さないを軸に
- 依頼側の環境で使う・自分の側で持つ・本業のものを使わないの三つに分ける
- 用途は連絡・会議・共有は依頼側、記録・請求は自分。契約は双方の控え
- 案件が決まる前は副業用のメール・記録の表・請求書の雛形・契約の控えの置き場・自分の型の置き場・パスワード管理
- 決まった後は依頼側のツールを聞く・自分専用の権限をもらう・情報の扱いを書面に・無ければ最小限を提案
- 失敗は便利さで増やす・私用アプリ・端末に保存・本業の端末・共用アカウント・終了時に権限が残る
よくある質問
依頼側が、自分の私用のメッセージアプリで連絡したいと言います
依頼側が慣れているので、断りにくい場面です。「応募者の情報が私の個人のアプリに残ると、御社にとってよくないので、御社のメールかチャットでお願いします」と、依頼側の側の理由で伝えると受け入れられやすい。それでも私用のアプリを希望するなら、連絡の日程調整だけに限り、応募者の情報や文面は依頼側の環境でやり取りする、と分けます。応募者の情報を私用のアプリに流さないことが線です。
応募者の書類を、自分の端末で開かないと作業できません
依頼側の環境(共有フォルダや応募者管理の仕組み)の中で、ブラウザ上で開いて作業できる形が基本です。どうしても端末にダウンロードが要る場合は、依頼側の了解を得たうえで、作業が終わったらその都度消す、端末に残さない、と書面に入れます。副業用の端末を分けて、本業や私用と混ぜないことも、事故を防ぎます。作業環境の整え方に、端末の分け方があります。個人情報の扱いは依頼側の規程に従い、判断に迷う点は専門家に確認してください。
稼働の記録は、依頼側に見せるべきですか
見せる形が基本です。日付、時間、やったこと、次にやることを、依頼側の共有フォルダに置いておけば、依頼側は稼働を見られ、請求の根拠にもなります。遠隔で働きが見えにくい副業では、記録が信頼の土台です。自分の側にも控えを持ち、案件が終わっても自分の記録は残す。ただし、記録の中に応募者の名前や依頼側の社内情報は書かず、業務の種類と時間だけにします。